1. 幸せのレシピ
《ネタバレ》 オリジナル(「マーサの幸せレシピ(2001)」)に完敗しちゃってます。ストーリー展開、登場人物の設定、台詞もオリジナルとほぼ同じ。異なる点は、ゾーイの父親が登場しないのと、場所がニューヨークで二人ともアメリカ人であることぐらい。オリジナルは、母を亡くした哀しい少女、いかにもドイツ人らしいストイックでヒステリックな女性シェフ、陽気で明るいイタリア人シェフが、雲の低く垂れ込めた重苦しいドイツの冬を舞台にお互いに反発しながらも最後に一つになってゆくドラマ。これを、同じ台詞・ストーリーで、ニューヨークにもってくること自体に無理がある。キャスティングにも無理があります。オリジナルのマルティナ・ゲデックはいかにもヒステリックそうな鋭角的な雰囲気。本作のゼタ=ジョーンズは頬もふっくらしてとても役にはまっていない。相手役の、オリジナルのセルジオ・カステリットはイタリア人っぽく底抜けに明るい中にも、マジな側面を見せて好演。本作のアーロン・エッカートはちょっと軽すぎる。ゾーイもオリジナルの少女に比べるとわりと素直で明るい。「冬のドイツの重苦しい空気の中で対照的な性格の男女の織りなすストーリー」をリメイクの舞台設定では描ききれていない。場所をニューヨークにもってくるなら、脚本もアレンジするべきだったと思います。この作品のおかげで、改めてオリジナルの素晴らしさを感じて、オリジナルに+1点献上しました。 [DVD(吹替)] 4点(2009-01-11 15:26:08) |
2. 親密すぎるうちあけ話
大人の恋にからまる心の動きを、会話中心にうまく描いていてさすがフランス映画(ハリウッド作品ではない)ですねってかんじです。音楽がサスペンス的だけど内容はそういうわけでもない。でも、未婚ではない大人の恋は、常にサスペンスの要素がつきまとうという暗示かなあ。ちょっとラストにひとひねりが欲しいところでした。でも、作品の持つ空気は十分楽しめるました。 [DVD(吹替)] 6点(2008-04-05 18:19:09) |
3. シンシナティ・キッド
《ネタバレ》 こんなすごい作品があったんだと感動。登場人物のプロファイリングも、スートーリーの進行に含める形でしっかりと描き込まれています。しかも、私の大好きな100分程度の作品。とっても引き締まって無駄の無い作りです。カール・マルデン、エドワード・G・ロビンソンの好演に加え、アン・マーグレットの悪女ぶりもとってもいいです。黒人の男の子の使い方もとっても上手です。唯一の欠点は、マックィーンの恋人の役割がが明確でなく、いない方が作品を引き締めたのではないかと思います。ラストも、恋人と抱き合うより、黒人少年にまで負けて一人寂しく立ち去る、どこまでもツキに見放された男を演じる方が良かったかなと思います。レイ・チャールズの音楽も、こういう状況の男性を表現するのには(普遍的に)ピッタシです。派手な道具立てはないけれど、傑作です。最後に・・マックィーンって、、、すっごく格好いい~~!!!癖になりそう。 [映画館(吹替)] 9点(2007-11-18 16:36:54)(良:1票) |
4. 真実の行方
《ネタバレ》 法廷もので二重人格が扱われる作品は他にもあると思いますが、最後のリチャード・ギアとローラ・リニーの迫真の演技はすごかったし、エドワード・ノートンの豹変ぶりも良かったです。お約束のどんでん返しもちゃんと用意されています。迫力のある、最後まで楽しめる作品でした。裁判制度が日本と違うので、裁判の進行にややわかりにくいところがあるのですが、それでも楽しめる作品でした。 [映画館(吹替)] 8点(2007-10-21 20:33:10) |
5. シティ・オブ・エンジェル
《ネタバレ》 ニコラス・ケイジ演じる天使が外科医のメグ・ライアンに恋しちゃって、堕天使(人間)になって結ばれるけど、結ばれた翌日メグの方が死んじゃうというシリアスドラマ。天使の時のニコラス・ケイジがすっごく元気なさそうで気持ち悪い。そして、病院や海辺で天使がいっぱい並んでいる姿も気色悪いものがあります。そういう描き方はいいのですが、なんであんなに天使が気色悪くて元気のないものなのかの説明がないから違和感があります。人間になったあとのニコラス・ケイジの元気さ・嬉しさを対比させるための演出かなあ。メグ・ライアンは演技の良し悪しを通り越して、ミスキャストだと思います。こういうシリアスドラマにはやっぱり別の人の方が良かったと思います。メグはやっぱりラブ・コメじゃないと。同年公開の、ユー・ガット・メールと比べるとつくづくそう思います。 [DVD(吹替)] 5点(2007-10-18 21:40:48) |
6. 白いカラス
この作品には、黒人差別問題、近親相姦・DV等の女性問題、そしてベトナム後遺症と複数のアメリカ社会が抱える負のテーマが含まれています。題名どおり黒人問題がメインテーマなのですが、ニコール・キッドマンの演技があまりにもヘビーなので、逆に女性問題についての表現が物足りなくなる感じをつい受けてしまいます。社会問題を提起している作品ととして鑑賞するのではなく、男女のやや歪んだ関係を通して人間の哀しさを表現した作品して鑑賞すると十分に良い作品だと思います。原作(日本語訳はまだ無いみたいですが)を読んでみたくなるような作品です。 [DVD(吹替)] 8点(2007-01-21 12:12:12) |
7. ショコラ(2000)
いい話なんですよね。ただ、私にはヨーロッパの田舎の村に巣くう因習がよくわからないので、その因習からの解放というテーマも今ひとつピンときませんでした。完全なシリアスでもないしコメディでもなく、どっちつかずになってるかな。まあ、あまり力まず淡々と観ればいいのかもしれないけど。ビノッシュとレナ・オリンの組み合わせは「存在の耐えられない軽さ」以来ですが(私が観たのは)レナ・オリンの方が老けてますよね。ビノッシュの顔立ちはあまり老けを感じさせなくて得だなあって変なところに感心してしまいました。・・・ところでレスリー・キャロンはどの人だったのだろうか?気がつかなかった。くやしぃ~~。 [DVD(吹替)] 6点(2006-12-28 21:40:22) |
8. シェフと素顔と、おいしい時間
《ネタバレ》 いい雰囲気の作品で好きです。ストレートではなくてちょっとひねくれているのがいい。一夜で成立する恋といったら「恋人までの距離」を思い出しますが、あちらは若者の、すがすがしくテンポのいい言葉のキャッチボール。こちらは、中年男女の皮肉とイヤミの入り混じったドロ~リとした疲れた会話。でも、それはそれでリアルっぽいし、これで恋におちるのも何となくわかるのが年取った証拠(汗。2人が盛り上がり始めると、航空機の都合や電話で何度も中断される。「え~い、もう」って、2人と同じように観ている私もいらだたしくなる。その中断の間合いが本当にいいですね。上手な演出です。携帯をトイレに流してしまったのがきっかけで恋が始まるって、世界初のシチュエーションですよね。昔の映画なら、航空機が離陸したらお別れなのに、その後ああいう方法があるんですね。う~ん、あれやられると絶対戻ってくるなあ。レノの疲れた感じがセクシーだし、ビノシュのコテコテメイクとスッピンメイクの変化も楽しめます。85分。もう少し長くても良かったかなと思います。 [DVD(吹替)] 7点(2006-06-10 10:30:46) |
9. シルヴィア
《ネタバレ》 欧米ではシルヴィア・プラスは今でも人気のある詩人だそうですから、その半生はよく知られていることと思います。この作品も「シルヴィアはよく知られた詩人」という前提で作られたものだと思います。私はシルビアという詩人をこの映画を見て知りました。死の少し前に出版された彼女の自伝的小説「ベル・ジャー」も読んだことがありません。そういう環境で鑑賞したレビューになります。シルビアが夫となるテッドと出会ってから、出産、テッドとの別れ、そして自殺までの10年足らずを映画化したもの。それ以前の描写は映像としてはありませんから伝記とは言えない。彼女は双極性障害(躁鬱病)に悩まされたそうですから、多分自殺も病気のためでしょう。映画も躁のあと鬱状態になります。最初の30分ぐらい(テッドと結婚するぐらいまで)は映像も明るくて楽しい雰囲気。残りの80分は映像も薄暗く、重い空気に包まれています。見ていて「カミーユ・クローデル」を思い浮かべました。あちらは、統合失調症でロダンとの恋と仕事の間で悩み精神のバランスを乱してゆく姿を、アジャーニが激しく熱演していました。この作品でも、病気は異なりますが、シルヴィアが苦悩して次第に精神のバランスを欠いていく姿を、パルトローが静かに好演しています。シルヴィアの唐突な行動や、まわりとの不調和の描写も精神疾患を描くための演出だと思いますが、最後までその点をはっきり記述していないので、かえってわかりにくくなっている感が否めません。実話なので仕方のないことですが、暗いどんよりとした空気のまま救いようのないエンディングをむかえます。 [DVD(吹替)] 7点(2006-05-27 10:47:15)(良:1票) |
10. 終電車
《ネタバレ》 相当によい感じの作品ですよ、と誉めておいて、いろいろけなしたい面もあります。まず、ドヌーヴが地味。ドヌーヴ30代後半の作品ですよね。それにしては華がない(今でもすごく綺麗なのに)。髪を上げて、目元のメイクが地味なせい。戦争中が舞台と言うことを考慮しての演出なのでしょうか。占領時の抑圧感を出して、解放されたとたんにパッと華やかになるのかなあと思ったけど最後まで地味。何でこういう演出になったのか不思議。それと、トリュフォーの脚フェチには閉口。あまりにもドヌーヴの脚ばっかりで、ちょっとマンネリ気味。ルカとベルナールの初対面の時、ルカがベルナールに「妻は君に夢中だ」というまで、私にはマリオンの気持ちがわからなかったです(私が鈍いのかもしれません)。BGMがほとんど無いのは、かえって新鮮な印象を受けました。最後の舞台挨拶シーンで、さりげなくマリオンがルカとベルナールの間に入り込むのは暗示的でさすがにフランス的な演出ですね。とりとめなく、長短取り混ぜて書きましたけど、かなり出来の良い作品なので8点です。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-13 16:56:41) |