1. 姿三四郎(1943)
演じるというか、そのまんまの藤田進に尽きる! 真っ白な柔道着が似合う姿三四郎(藤田進)、純朴かつ誠実そのもので好感度大。対する月形龍之介演じるあのムカデみたいないやな奴、檜垣源之介との対比が姿三四郎のそれをより一層際立たせている。また、矢野正五郎(大河内傳次郎)の口から出る柔道家(柔の道を志す者)らしい、闘技と人の道を一致させた言葉も味わい深くいつまでも記憶に残る。実際この映画では派手な格闘シーンを披露するわけでもなく、主人公達の心理描写、雰囲気描写などで盛り上げ受け手の想像力にまかせるという独創性ある演出も、さすが黒澤明という感じがする。唯一残念なのは、古い作品なので画像が傷んでおり、しかもカット版ゆえに正しい評価が出来ないということです。 8点(2004-10-29 21:30:48)(良:1票) |
2. スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする
精神を病んだ男の遠い記憶のことであり、どこからどこまでが本当の出来事なのか分かりづらい。少年の母親は本当に殺されたのか? それでは誰に? 少なくとも母親は、この世にいないことだけは確かみたいだ。この辺り、受け手より推測するしかないのだろう。今作では、本来クローネンバーグ作品の売りとも言えるグチョグチョ感をビジュアルで見せようとしておらず、しかも共感しづらく感情移入しにくい主人公ときている。そういった意味ではエンターテイメント性は薄く、やや退屈に感じるかもしれません。しかし、陰気な主人公を演じたレイフ・ファインズを初め、二役を演じたミランダ・リチャードソン、ガブリエル・バーン、三人三様の確かな演技力に支えられ、作品自体の完成度は極めて高いと思いましたね。ジワジワとオゾマシさを増していく展開も秀逸で、鬼才クローネンバーグらしい独特の世界観が味わえるサイコ・スリラーの秀作です。 8点(2004-06-29 10:07:32) |
3. スピード2
「スピード」「ツイスター」と、ヤン・デ・ボン演出が冴えまくる快作を連発した彼なんだが…。前2作には十分過ぎるほど感じ取れた緊張感もなければ、ワクワクドキドキ感も皆無。メリハリのないダラダラ感のみが終始漂い、巨費を投じたパニック物の駄作になってしまっている、とでもいえばちょっと言い過ぎだろうか。コメディ色が強くなっているドタバタ劇風も個人的には好きではないし…。う~ん、どうしちゃったんだろうヤン・デ・ボン。ラジー賞でも狙ったか? 「ホーンティング」も大コケで、ホントにあとがない。まぁ3~4点と言いたいところなんだが、第5作目(撮らせてもらえるのか?)に期待を込めて5点。 5点(2004-04-16 11:21:21) |
4. 砂の女
これぞ! ! 前衛芸術…とでも言えばいいのだろうか、まあとにかくインパクトのある映画だった。岸田今日子の独特な艶かしさを放つ怪演もさることながら、武満徹の不安を煽る音楽がこの作品の位置付けを決定的にしている。安部公房の同名小説を映像化したものらしいですが、この映画は作り話ではなく実話かも知れませんよ。世間一般の常識では推し量れない村社会が存在し、日本のどこかで今なお行われている事実なのかも知れません。作り手は何が言いたかったのかは分かりかねますが、日本映画史上、記録されるべき傑作には間違いない。 8点(2004-03-22 15:00:59) |
5. スケアクロウ
陽の目を見ないもうひとつのアメリカ。華やかな表舞台とは正反対にある、ホコリと手垢にまみれしたたかに生き抜く人々。個人的には、青春ドラマの名作「真夜中のカーボーイ」と比べてしまうわけなんですが(この映画は多分に「真夜中のカーボーイ」を意識して作られていると思う)、ストーリーが平坦なせいか今ひとつ印象に残りませんでしたね。うーん何だろう。主人公達二人に、今ひとつ感情移入出来なかったのが要因なんだろうか。真の友情を感じさせてくれた切ないラストは秀逸でした。 6点(2004-03-16 23:33:21) |
6. スキャナーズ
強烈な描写もあり、しかも切ない雰囲気を漂わす作風はクローネンバーグらしいといえる。さらに薬害問題を絡めるなど、当時としてはタイムリーなアイデアだったのでは? ただ、薬の副作用で超人的な能力(というより破壊力)を身につけるというのは安直過ぎる。クローネンバーグ作品にしてはアイデア、展開ともB級のままで終らせてしまった凡作。 6点(2003-12-29 00:51:45) |
7. スパイダー パニック!
クモ、くも、蜘蛛。クモだらけ! ! ネタとしてはまんまB級パニックものなんですが、CG、アイデア、展開などなかなか良く出来ており、クモ好き(おるのか?)には垂涎の作品に仕上がっている。しかも、リアルでエグい描写があまりなく、ユーモアやパロディを利かしまくっているので家族で見てもけっこう楽しめる。…というものの、私、クモだーーいキラいなんですよ。オエ。 6点(2003-11-18 10:47:45) |
8. スタンド・バイ・ミー
誰しも経験した少年時代を、しみじみと思い出させてくれる感動作。みんなどうしてるかな~、だけど純粋なあの頃には戻れないし…。ストーリーはシンプルで淡々と続くが、終始、人の死が絡んでいるので、明るい様で実は重い物語というところが印象的。また、みんなそれぞれ悩みを抱えながらも、前向きに生きてゆくというのも共感を覚える。有名なベン・E・キングの主題歌「スタンド・バイ・ミー」。この物語りに大変合っており、どこかでこの曲を聴くとつい口ずさみ、この作品を思い出してしまう。 8点(2003-09-20 20:28:33) |
9. 砂の器
序盤早々、“カメダ”や東北なまりを手掛かりに二人の刑事達が盛夏の中、汗だくになりながら東奔西走するという緊張感のある展開でゾクゾクさせてくれる。やがて点と点が線に繋がり、謎めいた事件の全容が明らかにされてゆく。この辺り、構成もしっかりしており腰を据えた演出も申し分ない。前半のサスペンスタッチの展開から後半、悲痛な人間ドラマが浮き彫りにされていくわけだが、本作で忘れてならないのが作品を支える俳優たちの名演。とくに緒方拳と加藤嘉の情感を込めた演技が素晴らしく、この作品の印象付けに多大に貢献していた。《ネタバレ》ラストのクライマックス、悲哀に満ちた力感のある菅野光亮作曲・演奏「宿命」をバックに、和賀(加藤剛)の哀れな少年期の回想シーンとシンクロさせる演出は圧巻の一言であり、劇的な効果を収めている。これはまさに映画だからこそ可能な表現方法であり、観る者の脳裡に鮮明に焼き付けてくれる。雪が吹きすさぶ厳冬の中で行われる父と子の巡礼、偏見と迫害の中で強まる親子の絆などなど、当時不治の病といわれたハンセン氏病を取り入れ悲痛な社会派ドラマに仕上げる作風は、さすが監督野村芳太郎らしい。余りにも日本的なサスペンスドラマの名作です。 9点(2003-08-16 13:27:42) |
10. スピード(1994)
まさに“手に汗握る”ノンストップ・アクション映画の決定版!! 頭のてっぺんからつま先まで、アドレナリンが「出るわ! 出るわ!」で興奮度はもう120%! ! 壮絶なアクション物にありがちの「そんなアホな~」と、突っ込みを入れるだけ野暮というもので、勇猛果敢なニューヒーロー、キアヌの活躍振りに酔いしれる2時間ちょいでした。おっと、サンドラ・ブロックは少々ヒス気味だがチャーミングでよかったゾ。 8点(2003-06-07 14:28:46) |
11. スターシップ・トゥルーパーズ
レンタル料半値だったのでダメもとで見てみると、ああ…やっぱり…。バーホーベンの過激で残虐さが、とことん発揮されている映画だった。バグズとの戦闘シーンが最大の見せ場で、どぎついスプラッタ描写なんてもう…。ストーリーもマンガレベルだし、マニアには垂涎の一品なんだろうね。 5点(2003-05-25 11:10:07) |
12. スピーシーズ/種の起源
ずばり、この映画の見どころはナターシャ・ヘンストリッジのナイスバディと、芸術家ギーガーがデザインしたエイリアン・シルです。メス型エイリアンのデザインは、さすがギーガーだけあって斬新で秀逸! ! エロい、グロい、ゲロい。後味の良くない変に物悲しい映画だった。 6点(2003-03-24 18:38:19) |