1. スキージャンプ・ペア ~Road to TORINO 2006~
モキュメンタリーという手法と馬鹿映画の取り合わせが根本的に失敗だったと思う。フェイク・ドキュメンタリーを目指すなら、徹底してリアルっぽさを求めて欲しかったし、馬鹿映画を目指すなら、もっともっと笑わせて欲しかった。ジャンプの技もOV版からの流用だし、CGもOV版からほんの少し向上しただけで安っぽいまま。どうせなら各国チームの技開発を追ったドキュメンタリーにすれば、馬鹿馬鹿しくも面白いモキュメンタリーになった筈だし、従来からのペアジャンプ・ファンも楽しめたんじゃないでしょうか。とにかく、私は「チューチューアイスが分裂した」時点で脱力…、3点献上。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2007-04-01 00:04:40) |
2. スクールウォーズ HERO
連日の様に報道される児童・生徒・教師の自殺、過労・心身症で休職する教師達、ろくに子供を躾けられない上、給食費も払わないくせに要求ばかり過剰な親達…。そう、今やこれはファンタジーかパロディにしか感じられない。最初の内は、この恥ずかしい程のアナクロニズムに身体が痒くなりそうでもあった(元のTVドラマは知らないので、私は「飛び出せ!青春」辺りを連想)。しかし照英が何度も何度も泣きじゃくってる内に、こちらも自然と泣けてきてしまう。洗練されてはいませんが、悪い映画じゃありません。本作にはリアリズムも演技力も不要。ストーリーは実話なんだから、どんなに臭かろうが納得するしかない。そして、今現在この主人公を違和感なく演じられるのも、熱く無骨な照英しかいなかったでしょう、6点献上。 [地上波(邦画)] 6点(2007-02-09 00:00:51) |
3. スコルピオンの恋まじない
つまらない映画ではないんですけど、本作ではウディ・アレンのスタイルが、単なる懐古趣味みたいに感じられて「粋」には見えない。もちろん往年の映画へのオマージュかパロディのつもりなんでしょうけど、この後向きの姿勢は少し気になる。ちょっと前まで「最先端の現代作家」だったのに、「昔を懐かしむだけの頑固な老人」みたいになってて良いのか? それに、若い頃は「美女(シャーリーズ・セロン)と冴えない小男」のギャップもそれなりに絵になってましたけど、この歳だと単なるスケベじじいにしか見えん。路線を変えたらしい「マッチポイント」が気になりますね、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2007-02-03 00:02:08) |
4. スペーストラベラーズ
大作感漂うカメラワークや大袈裟な音楽が、少しふざけ気味の小ぢんまりした密室劇と全くマッチしていない。出来るだけスケールを大きく見せるつもりだったんでしょうけど、却って物語の軽快感を殺いでしまって、中途半端に重苦しい雰囲気を作ってます。ケレン味自体は好みですけど、これではセンスが悪すぎる。また、居合わせた人間をアニメのキャラクターに当てはめていくのは面白いし(「レディ・イン・ザ・ウォーター」っぽいかも…)、それなりにワクワクもさせて貰いましたが、何でこんな落とし所を放棄した様なラストにしたんでしょう? 多くの方が指摘されてる様に、これで全体がスポイルされちゃってます。別に後味の悪い映画でも全然構わないんですけど、この映画はそんな作品を意図した訳じゃない筈です、4点献上。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2006-10-26 00:02:33) |
5. スネーク・フライト
「エアポート」シリーズに「スパズムス/蛇霊の恐怖」を加えた様な、普通なら絶対にビデオ・スルーの超B級ムービー。まぐれで全米興収No.1なんか獲っちゃたから、たぶん急遽日本公開が決定したんじゃないかな(「パニック・フライト」がビデオ・スルーで「スネーク・フライト」が公開される不条理)。いつ、どうやって、あれ程の量と種類の毒蛇を集めたのかとか、これなら爆弾を仕掛けた方が早くて確実とか、無用な突っ込みは入れずに楽しんだ者勝ち(これが中々難しい)。とにかく「ジャンボに大量の毒蛇を乗せたかった」、唯それだけのコンセプトで作られた映画です。クライマックスのサミュエル・L・ジャクソンの馬鹿げた行動も「ジャンボに穴が開くのはお約束」というだけ。主題歌も本編同様に馬鹿馬鹿しくて笑えました、4点献上。 [試写会(字幕)] 4点(2006-10-18 00:05:09) |
6. ストーリーテリング
何でこんなに中途半端な2部構成にしてあるのかが、まず解らない。私はてっきり30分ものの3部構成だと思ってました。また、一話目と二話目に繋がりがある訳でもなく、対比してある訳でもなく、ただ並べられただけ。もちろん現在のアメリカの若者の姿を切り取ったんでしょうけど、そんなにブラックでも衝撃的でもない(登場人物が全員痛すぎる、つーか、「恥」を知らなさすぎる気はしますが…)。彼らにモラルや常識がないことは既に常識。アメリカの現状を描くブラック・コメディなら、出来が悪いと評判の「ブレックファースト・オブ・チャンピオンズ」の方が面白いです、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-09-29 00:04:09) |
7. スーパーマン リターンズ
(少し長めで失礼します) 特別「スーパーマン」に思い入れがある訳じゃないんですけど、このテーマ音楽に乗って、クレジットがスリット・スキャンで手前に迫ってくるタイトルバックを見ると、確かに何か込み上げてくるものがありました。エンディングも含めて、構成を「Ⅰ」「Ⅱ」に準じたのは非常に好感度が高い。つまり、名実共に「スーパーマンⅢ/帰還篇」という位置づけな訳です。従って第一・二作の鑑賞は必須(「Ⅰ」は「ディレクターズカット版」をお薦めします)。本作はブライアン・シンガーらしい落ち着いた色調で、スーパーマン・スーツの色合いもシックになり、また、旧シリーズにあったコミカルな描写も影を潜め、全体的に大人の雰囲気にまとまってます(ブランドン・ラウスはスーパーマンにピッタリ。一時期、ニコラス・ケイジが候補に挙がってたなんて信じられませんネ)。子供にアピール出来るかどうかは判りませんし、「なぜ世界はスーパーマンを必要としないのか」という部分への踏み込みも足りなかったと思いますけど、映画としては間違いなくシリーズ一の完成度でしょう。それにしても、今後は「ドラゴンボール」みたいな展開になっていくんでしょうか…、7点献上。 [試写会(字幕)] 7点(2006-08-12 00:05:05) |
8. スパイダーフォレスト 懺悔
「蜘蛛の森」と呼ばれる森に佇む山荘で起きた殺人事件の真相を描く、すっかりネタの出尽くした感のある韓国製亜流サイコ・スリラー。もう、この手のオチは序盤で直ぐに察しがついてしまう上、映像や演出等にも特別見るべき部分は無い。あと、ソ・ジョン(相変わらずの汚れ役)が二役やってる意味が不明で、回想シーンの構成も判り辛く、オチはバレてるのに話は良く解らないというヘンテコな仕上がりの作品になってました、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2006-07-27 00:08:15) |
9. THREE/臨死
特にアナウンスが無いんですけど、アジア三ヶ国によるホラーの競作ってのは、原題も同じだし、もしかして「美しい夜、残酷な朝」の前作に当たるのかな? で、こちらは「美しい夜~」に比べると、ヴィジュアル的に今一つ印象の薄い仕上がりです。「memories」は使い古されたネタの為、早々とオチの割れてしまう都会的(?)な韓国ホラー。「the wheel」は、タイの伝統芸能である「フンラコンレック」の世界を舞台とした怪談。はっきり言って一番ワケ判りませんでしたが、一番興味深かったです。香港の「going home」は、死者の甦りをテーマとした東洋的なゾンビもの(?)。流石に大御所ピーター・チャンだけあって、【パブロン中毒】さんのお書きの通り、映画的な完成度は一番だと思います。という訳で、全体をひっくるめて5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-07-27 00:04:27) |
10. スコーピオン・キング
完全に幼い子供向けに特化した、お気楽極楽アクション・ムービー。一本調子でご都合主義的なストーリーも、俳優の肉体(演技や殺陣ではない)だけに頼った単純なアクション・シーンも、もの凄い格好してるのに、肝心な部分は絶対見せない綺麗なお姉さんも子供向け。いずれ「悪の帝王」になってしまう主人公なのに、その片鱗を全く見せなかったのも興醒め(「エピソード2」のアナキン君くらいのダークさがあっても良かった)。ま、中途半端にしないで、潔く子供向けに徹したことだけは評価しましょう(小学生以下の子供は結構楽しめるんじゃないかな?)。そういう訳で、4点献上。 [地上波(字幕)] 4点(2006-05-19 00:01:03) |
11. すべては愛のために(2003)
何て陳腐な邦題なんだと思ってましたけど、観てみたら、「すべては愛のために」で全く嘘偽りございませんでした…。中身はこの邦題にぴったりの女性向け大河メロドラマ。余りにも陳腐な設定だった為、古い原作なり、モデルになった人物なりがあるのかと思って少し調べたら、どうもオリジナル脚本みたいですね。よくもここまで古臭くいい加減な脚本が書けたもんだし、製作にゴー・サインを出したプロデューサーもプロデューサーです。映画としては各活動地域の映像に手抜きが無かったし、面白くない代わりに、つまらなくもありませんでした。また、人道支援活動に命を懸けてる方々には頭の下がる思いですが、その命にもまた、命を懸けざるを得ない人がいるってことも忘れないで欲しいと本作でも感じました、5点献上。 [地上波(字幕)] 5点(2006-05-03 00:04:05) |
12. スカイハイ[劇場版](2003)
原作もTVドラマ版も知りませんが、この劇場版に限って言えば北村龍平は悪くない。彼はちゃんと自分の仕事をしてる。ハリウッドの真似だろうが何とかの一つ覚えだろうが、こういうアクション映像を現在の日本でクールに撮れるのは北村監督しかいない(釈ちゃんの前に現れた魚谷佳苗が、得体の知れない刃物を持っていきなりポーズを決めた瞬間に「あ~あ、またやっちゃった…」って感じ。それに、無理矢理にでも北村一輝を出さんと気が済まんのか?)。諸悪の根源は、オカルト・ホラーみたいな題材の作品に、SFチックな馬鹿アクションしか撮れない監督を起用した会社。って、また東映かよ…。ホントにプロダクション編成能力ゼロ。…ようこそ、駄作の門へ。東映よ、お前には三つの選択肢がある。一、転生してVシネマ専門の会社になる。二、これまでの版権を管理するだけの会社になり現世を彷徨う。三、倒産して地獄に堕ちる。さあ、お逝きなさい…、3点献上。 [地上波(邦画)] 3点(2006-04-25 00:04:37) |
13. スカートの翼ひろげて
さっぱりと訳の解らないこの邦題が、本作の中途半端な内容を端的に表してます。「ランド・ガールズ」というのも日本では無理があるし、配給会社としてもどんなタイトルにして良いんだか判らなかったんだと思う。基本的にはオーソドックスな女性向け戦争メロドラマ。主人公が三人いることで、製作サイドは時代に翻弄される女性の姿を三倍強く描けると踏んだのかもしれませんが、仕上がりは三つに分散してしまったという所でしょうか。牧歌的な情景と女性達の現代的なキャラクター設定もこの映画の味にはなっておらず、単に雰囲気を緩めてるだけの様に感じました、4点献上。 [地上波(字幕)] 4点(2006-02-21 00:02:08) |
14. スタンドアップ
男女雇用機会均等の進んだ末の「セクシャル・ハラスメント」という概念の草創期に、男性社会の「慣習」改善に「立ち上がった」働く女性達の物語。カタルシス満点のサクセス・ストーリーや大袈裟に演出された感動大作ではなく、派手なのは出演者の顔触れだけという、非常に地味な社会派作品になってます。概念や理想がいくら素晴らしくても、無学で粗野な田舎者揃いの男性肉体労働者の巣窟に、何の対策も打たないで「現実に」女を放り込むというのは土台無理な話。この辺は極端なアメリカらしさが表れてます。極端であるが故に問題も極端に表れて、今日の世界的社会合意形成のきっかけになったと思えば、アメリカナイズも悪いことばかりではありません。そんな訳で、中々巧みにまとめられた脚本構成に、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-01-14 00:06:00) |
15. スウィングガールズ
矢口史靖キャラクター映画の集大成って感じですが、「ウォーターボーイズ」の二番煎じでは終わらせず、明らかに「ウォーター~」より出来が良く(製作費が多かったお陰かな?)、女の子の人数分だけ「ひみつの花園」より楽しめる。何より、無理矢理で薄っぺらい話を最後まで引っ張っていく勢いとエネルギーに溢れてます。「作為」という言葉は、とかく悪い意味で使われがちですが、ストーリーも演出もこれだけ作為的な映画が嫌味にならないのは、偏に矢口監督の才能(若手の中で対極にいるのが山下敦弘だと思いますけど、彼の作品の方が胡散臭く独りよがりな作為を感じます)。「大会で優勝する」等の陳腐な設定を廃し、純粋に「人前で演奏することの喜び」に焦点を絞った展開も爽やかでした。ということで、7点献上。 [地上波(字幕)] 7点(2005-12-07 00:04:38) |
16. スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする
最初っから狂人の主観で物語が進むので、何が起ころうとここに驚きは無い。中盤辺りでラストも簡単に想像がついてしまいます。それに原因も結果も無く、唯「精神疾患の男がこういうことをしました」というだけの内容では話も面白くない上に、はっきり言ってこの映画を観る意味すら無いと思う。従って本作は「衝撃のどんでん返し」等を期待するのではなく、正に狂気の雰囲気だけを楽しむ作品。しかし雰囲気を楽しむにしては演出が落ち着きすぎです。題材的にはデヴィッド・クローネンバーグよりも、確かにデヴィッド・リンチに向いていたかもしれません。そんな訳で、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-12-02 00:03:01) |
17. スティル・クレイジー
一時代を築きつつも現在は落ちぶれたロック・バンド仲間が、ン十年の時を経て再結集し、夢と絆を取り戻そうと奮闘努力する姿を描いた、イギリス映画十八番のダメ人間再生コメディ。もう少し感動させて貰えるかと思ったんですけど、意外にあっさり終わってしまいました。ここは語り部であり観客の分身であるビリー・コノリーを、もっと前面に出した方が良かったと思います。一番感心したのはラストのロック・フェスのシーン。これだけこじんまりした映画でも、大規模ロック・フェスが「大規模」に見える様に、金をかける所にはちゃんとかけている。こういうことは重要です、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-09-20 00:08:28) |
18. ズーランダー
こーゆー映画になっちゃえば「あはは、馬鹿だなぁ」ということになりますが、例えば本作のウィル・フェレルみたいな人って、実際に「ファッション通信」とかに出てきません? ズーランダーの「キメ顔」もベン・スティラーがやるから笑えますけど、実際のファッション誌等にも同じ様な「表情」のモデルがごまんと掲載されてます。物語の背景にはベネトンやナイキの問題が使用されてるし、世界一の肥満大国であると同時に世界一の美容大国であるアメリカをちゃんとおちょくってるし(「ガソリンがけ」のシーンは秀逸)、これはこれで結構辛辣なパロディ映画になってると思いました。ところで、本作のミラ・ジョヴォヴィッチ嬢は、絶対「ナチ女収容所/悪魔の生体実験」のダイアン・ソーンをイメージしてると思うゾ。そーゆーことで、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-03 00:08:22) |
19. スーパーサイズ・ミー
マイケル・ムーアと言うよりも「ジャッカス」という感じもしますが、「社会問題」を扱う王道ドキュメンタリーとしてかなり面白く観れました。問題はマクドナルドという一企業にあるのではなく、アメリカ人の生活習慣自体にある(更に突き詰めれば【anemone】さんのご指摘通り、経済格差の問題になる)。私は、これは極端な例とは言い切れないと思う。例えば定食屋のメニュー(マック風に表現すれば“Grilled Fish Meal”等)を1日3食1ヶ月食い続けても、こんな結果にはならない筈。それにアメリカ人って、流石に3食マックという人は少ないでしょうけど、家でもファスト・フードみたいな物しか食べてない人も多いので、これに近い人は大量に存在するのです。個人的に一番衝撃的だったのは学校給食の実態。子供の健康に直接影響する上、嘗ては重要な躾や教育の場であった筈の食事が、平気で経済効率の犠牲になってるってんですから、これは日本以上の重症です、7点献上。 [DVD(字幕)] 7点(2005-07-17 00:09:03) |
20. スコア
出演者の顔触れの割に、異常に軽く仕上がってるクライム・サスペンス映画。大御所、大スター、若手実力派という三大俳優のぶつかり合いを期待させながら、そこは思いっきり肩透かし(ま、この三人の俳優達自身も、昔から出演作を余り選んでませんでしたけどね…)。大体、何で監督が選りにも選ってフランク・オズなのさ? 題材自体がかなりありふれたものなので、これなら本格的ハードボイルド・ムービーにするか、軽妙洒脱なコミカル・サスペンスにするかしかないのに、オズらしい中途半端なポップコーン・ムービーのまま終わってしまってる。こいつは戴けません、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-07-17 00:08:37) |