1. 洗濯機は俺にまかせろ
《ネタバレ》 80年代を背景とした作品だという。そのころ確か、世の中はバブリーな景気にあふれていた、ように記憶している。「新しければ新しいほど良し」「高価なものほど良し」という価値観が、乱立する各種新店舗や、ビルや、都内にあふれる外車にもあらわれていた。と思う。 この映画には、ツルピカした新しいものや、ゴージャスなものが、全く出てこないし、人間もそうだ。そういう確かな美意識に裏打ちされ、新しいものを慎重に排除して、作られている。 で、出てくる人は誰も彼もなんとなく貧乏な雰囲気で、「バブルはどうなっていたのか?」とも思うのだが、そういうリアリティを求めた映画ではないんだろうたぶん。 富田靖子も「きれいな人だから」では全然なかったし、ラブシーンとて不発。各登場人物も、裏ビデオで拘留とか借金まみれとか不景気な話が続く。 では「ツルピカしたものやゴージャスなものが無い状態を楽しむ」以外に何かいいところがあるのかというと…なんていうか筒井道隆の木崎を見ていると、「過去に自分の知っていたいろんな男性(恋愛感情の有無問わず)」のことを、筒井が何かするたんびに思い出してしまった。「そうそう、こういうこと言う(男って)」「そうそう、こういう態度とるよね(男って)」。 木崎っていうのは、「次にこうする(言う)だろう」という予想をことごとく裏切らないやつなんです。木崎ってのは、いわば「男の最大公約数」なヤツ。「ザ・普通の男」。 ほのぼのしてていいんだけれど、私はこれはわざわざ映画にしなくても、という気もする。TVドラマで充分な内容ではないだろうか。なぜ映画化したんだろう…?というくらいドキドキも発見もない映画。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-11-10 20:17:36) |
2. セレブリティ
《ネタバレ》 どうやらこればっかりは、年齢とか経験とかで「客を選ぶ」映画だったようだ。 というのは数年前、まだ40の大台まで若干の余裕があり、ゆえに煩悩多き負け犬ライフを送っていたころに見た際は、「おもしろくない」という感想しか持てなかったからだ。が、今回「スカパーだから」というケチな理由により見直したところ…なんだ、とんでもなくおもしろいじゃないかあ。 とにかくジュディ・デイビスだ。中野翠によれば白人女優にしては珍しく〝お直し〟の入っていないという優雅なシワ顔、白黒映像によって、〝とびきりの美人〟でもなくブスでもないという、絶妙な映り具合となっている。そして、コメディエンヌとしてこれ以上ないというような愛らしいボケ連発、私は好きだ。 何よりロビン本人が、常に〝超のつくマジメ人間〟であることが、作品全体を通してずっと効いている。コメディだ。 白黒の理由は他にも、本物のセレブを何人も出演させることによるリアリティの低下を防ぐ意味と、色を排すことにより、客に考える暇を与えずドタバタと話を進めケムにまく、という効果を狙ったものと私は思う。「あっセロンじゃん」とか「あっディカプリオだ」という客の先入観を、少しでも薄めたかったのだろう。 アストンマーチンクラッシュ後のセロンの切れっぷりは、吹き替えを排してぜひとも耳で味わってもらいたいし、ディカプリオの壊れっぷりと王子風ヘアスタイルも、突き抜けた面白さがあった。 40を超えて夫に見捨てられたバツイチ教師の女性が、〝運命のいたずら〟であれよあれよと「セレブ」になっていく…そんな万に一つのとびきりの幸運を掴んだ女が、ジュディ・デイビスでなくしては「ケッ」という女性客の顰蹙を買わずにはいられないだろう。本当に不思議な女優さんだ。そして、女性にとっては勇気の出る映画である。 ケネス・ブラナー、ウッディ・アレンの役どころを引き受けたが、今回はジュディ・デイビスに完全に喰われたと思う。死ななきゃ治らないバカ…な「リー」なる男性は、当然憎めない。なぜだか美女に構われる。でも、また浮気する。ロビンよ、別れて本当に良かったね。 それにしても、監督アレンは、女性がキレるところを描くのが抜群にうまい。実体験によるのか。 トニー役の俳優さんが安倍晋三に見えて仕方がないのがただひとつの難であった。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-09-11 14:41:59)(笑:1票) |
3. セント・オブ・ウーマン/夢の香り
《ネタバレ》 なんとも長い作品で、この内容で「ミュンヘン」と同じくらいの長さというのはやっぱりちょっと無理がある。 と長さに不満は残るが、後味はなんともいえずさわやか。 「盲目の退役軍人が後見人席で勝手なことをいったくらいでそう都合よくいくものか馬鹿馬鹿しい」というご都合主義を中和するために、NYでの冒険譚とスレードの鬱および自殺願望を延々と見せたわけでしょう。ラストの演説の時点で最高潮にもってきたところ、常に高低のバランスを意識したつくりと思います。 45径の銃を片手に「養子になるか一緒に死ぬかどっちだ」と言いますね。これは相手が女性だったとしたら、求婚しているのと同じですね。こんなふうにしか、「お前が気に入った。離れがたい。」ということを表現できないなんて、スレードというおっさんはせつないな。それと、このおっさんは男性相手には卑猥な女性蔑視の表現ばかりするんだけど、女性相手になると全然違うのね。どうです、見ず知らずのおっさんに「君の香水は○○だね。」とか言われたら。気持ち悪くてすぐに逃げるでしょう。セクハラな会話ばかりしていても決して女性に嫌われない。ここに至るまでにはひっぱたかれること何百回の修行を積んだことでしょう。真の女好きとはこういうものか、と妙に納得したのでした。 それにしてもパチーノ、生まれる前から役者さんであったかのようなその存在感には今更ながらお手上げです。このところ出演作をよく見ていますが、「これはもう役者さんになるしかないような人」といえましょう。マイケル・ジャクソンを例えにすると、「人前で歌って踊ってお金をもらうことに何の疑問も抱かせない(何であんたなんかがとつっこまれる余地がない)」のが歌い手の条件だという説がありますが、俳優部門でいったら迷うことなくパチーノを推します。誰がつっこめるでしょうか、身長が足りないとか、顔がデカく見えるとか、パチーノが演技しているときに。そういうことがどうでもよくなってしまう不思議な俳優さんです。 私見では、トム・クルーズにはまだ迷いがあります。「身長が足りないのに堂々主役を張っている」という後ろめたい気持ちが、5%くらいは彼の中に残っている。だから見ている私たちも「トムがんばってるー」と応援する合間に「やっぱ身長が足りないから女優さんと並んで映さないのね」とかどこかで思ってしまう。やっぱパチーノはそういう意味で偉大だ。 [DVD(字幕)] 8点(2006-09-03 12:48:23) |
4. セブン
《ネタバレ》 ブラピが「汚な作り」にはげんでいたころ。顔がきれいな人の悩みは凡人には理解しにくいのである。「きれいならきれいに写っとけばー?」と思ってしまうところがこれ凡人。 ケヴィンのニヤニヤ演技には飽きたなあ。「妻を殺されて」をラストにもってきてしまったところがレベルを下げた。「実は生きていた」とかさ、これからはもうひとひねり要です。ずっと雨降っているのがイヤだなあ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-11-23 13:10:31) |
5. セイヴィア
《ネタバレ》 なんでこれ見ちゃったかなあ、と思うような映画。女の人を物扱いするのはやめてくださいね。「アート」だから、というだけで鑑賞に値するわけではないんじゃ。アメリカ人て「家族愛」が最高の価値でもって、「レイプ」がこの世で最悪の悲劇と思っているのだなあ。単純ですなあ。 [DVD(字幕)] 3点(2005-11-15 21:00:55) |
6. 戦火の勇気
《ネタバレ》 ここではいつものデンゼル。メグライアンはラブコメ意外の作品に出たときはなぜこんなに存在感薄くなっちゃうのでしょう。「あたしのホームグラウンドじゃないから」「ちょっと出てみただけだから」って感じ。女性で士官ならば、そうなった背景があるはずだー。説得力のないまま出てすぐ死ぬ。ああゆう女性士官のオーダー聞くわけないじゃんね。アイディアはよし。ルーが出ているので大目にみたい。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-07 21:09:52) |