1. ゼイリブ
《ネタバレ》 いやあ~~けんか長い。せっかく「資本主義社会のひずみを皮肉る社会派作品」的なインテリっぽい方向に持ってったのに。後々この映画を思い出すに「サングラスをかけろかけないで延々殴り合うヘンな映画」としか。そのへんてこぶりがカーペンターをしてカーペンターたらしめる評価に繋がってるというのも興味深いなあ。 [ビデオ(字幕)] 5点(2024-04-22 23:34:40) |
2. 戦慄の絆
元ネタは実話だそうで、またクローネンバーグが飛びつきそうな猟奇事件が起きたものですなあ。 哀しみもやりきれなさも、うつうつと毒々しい色彩を伴って観る者に迫ってくるけれど、いやあ・・わし双子じゃないしとても身につまされる、といった感慨は無い。(双子であってもわかるわかる、という人は少ないのではと思うが) J・アイアンズは熱演。グロい映画、と一蹴されかねないキワモノ映画にてこうも丁寧にキモチ悪さを演じるとはあっぱれな役者魂ですな。 [ビデオ(字幕)] 6点(2015-11-28 00:24:59) |
3. 戦場の小さな天使たち
大戦下の、英国の一家族の日常を記録したエッセイ風な作品です。ただ、エッセイは好きですが、一本の映画にまとめるには話の起伏が平坦なので、心にすとん、と落ちるといった読後感に欠けます。もう少し話を盛ろうという色気はなかったんだろうか。 主人公は男の子で、この子を取り巻く近所の悪がき達の戦時下にも関わらずといった伸び伸びぶりは良かった。爆撃で学校が焼けても、子供っていうのは喜んじまうんだなー。まったく大人とは違う時間を生きている奴らだ。原題とは大きく離れた苦心の邦題は、この子供たちを指しているんでしょう。子供パートの場面が一番印象としては鮮烈ですもんね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-12-04 00:52:19) |
4. セイ・エニシング
ジョン・キューザックが若い!このいかにも人の良さそうな、無害で汎用性の高い顔が抜擢されて生き残ることができてるのが、ハリウッドの懐深いところですね。相対するヒロインもいまいち垢抜けないアイオン・スカイを持ってきたので、どこにでもありそうな高校生カップルの青いお話としてうまく成立しました。十代の繊細さを思い出すには格好の映画です。 [ビデオ(字幕)] 6点(2013-06-17 22:52:54) |
5. 1000年女王
《ネタバレ》 わあ懐かしい。当時宣伝の熱気に当てられて映画館で買ったパンフレットまだあるなあ。メーテルは1000年女王なのか?と煽るだけ煽られ、わくわくしながら映画館に足を運び、で子供心にずっこけて帰宅した思い出。件のメーテルと女王様の相関図なるものがご丁寧にパンフに載ってるんだよ。なんか大人の商売ってズルイよな、と思ったもんだった。 [映画館(邦画)] 3点(2012-07-15 13:09:43) |
6. 戦場のメリークリスマス
これを観た時の衝撃。それこそ頭をハンマーで殴られたようだった。何もかも美しくて切なくて呆然とした。まだ柔らかかった心に(笑)ざっくり突き刺さった、数々のシーン。脱走兵がボウイと知って一瞬怯む坂本。剣を捨てるボウイ。埋められて首だけ出ているボウイ。音楽。ラストシーンに至ってはたけしすら美しい。安易な涙すら出なかった。この映画を観た後、憑かれたようにこの曲を練習し、D・ボウイを追い求める日々が続いた。気恥ずかしいですが、これほど身も心も持ってかれた映画は後にも先にもこれだけです。 [映画館(邦画)] 9点(2011-12-14 00:06:34) |
7. セックスと嘘とビデオテープ
《ネタバレ》 自分の心を正しく掴むことのなんて困難な時代であることか。登場人物の一人は自分を偽った副作用で不能を患うし、主人公はセラピー通いだ。他者や自分に嘘をついている4人の男女。ビデオカメラを介して己を客観視することで体裁を繕っていた心の防御壁が崩れる、そのアイデアといい、それぞれの人物の内面描写の巧さといい、当時26歳のソダーバーグは凄い脚本を書いたものだ。 ”カメラを向けられる”というのは自分をさらけ出すように感じるものなのですね。グレアムは撮られる側になった途端、狼狽して拒否した。彼のキャラクターが長くはない上映時間の中で実に巧みに描写されていて見事です。他者との深入りを避けて生きてる彼は車で放浪中。着るものは自分を護る黒。家を探して落ち着くのかと思えば、一ヶ月更新に契約したり、どうにも不安定さが伺える彼。電話は引かず他者とは希薄なスタンスを取ってはいるけど、でもドアはいつでも開いている。 役者4人皆良いけれど、やはりグレアム役のJ・スペイダーが凄くて。グレアムの繊細な内面が仕草や困惑した表情に滲み出てくるようで、複雑で屈折した難役を完全に自分のものにしています。 圧巻は終盤。直接の性的な接触でなくとも、心が絡み合ったその場の空気は酔ってしまいそうなほどに濃密。そう、女は心が求めていれば、相手の掌が触れるだけでも「達した」表情になれるものです。何故ソダーバーグはそんなことを知っているのだ。 封切当時と現在では感じ方が少し違って驚いた。むしろ経験を経た今の方が深く心に響くものがあり、時の流れで色褪せない、つまりこれは傑作といっていいのだろうな。 [映画館(字幕)] 10点(2011-09-13 16:59:19)(良:1票) |