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R&Aさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2162
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 実は自分のPC無いので仕事先でこっそりレビューしてます

評価:8点以上は特別な映画で
全て10点付けてもいいくらい
映画を観て損をしたと思ったことはないので
酷評しているものもそれなりに楽しんで観たものです


  *****

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1.  動くな、死ね、甦れ! 《ネタバレ》 
たしかにギャーギャーとまくしたてている。でもアレクセイ・ゲルマンの『フルスタリョフ、車を!』(こっちはさらに喧しい)でも思いましたがこの喧騒こそが当時の旧ソ連の社会情勢を表しているようでもあります。この喧騒に自然の音が重なり、音楽が重なり、さらに喧騒が重なり、強烈な印象を伴いながら当時の「生活」と「社会」を露にしてゆく。子供も大人も本気でたたきまくるわ、好き勝手にしゃべるわで、まるでドキュメンタリーさながらのリアル感で覆われており、一方でその中で生まれる少年と少女の幼い恋愛模様や劇的な逃走劇といういわゆる劇映画らしい劇映画が展開される。カメラがどこを映そうと、一見リアル、それでいて美しい画面を構築している。すさんだ社会になんとか適応する強い人間たちが映され、それでも限界があるという悲劇が飛び込んでくる。参りました。完璧にやられました。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2006-09-21 11:08:50)(良:1票)
2.  裏切り者(2000)
素晴らしい!とにかく見てください!と思ったがここまでの平均点4.42点て・・・。寡作の人、ジェームズ・グレイの作品の中では傑作の声の多い新作『アンダーカヴァー』よりもヴェネチア銀獅子賞受賞のデビュー作『リトル・オデッサ』よりも好きなんだけど・・・。グレイが一貫して描く「家族の絆」「犯罪」「ニューヨーク」が他の二作品以上の濃さで絡み合い、重厚な雰囲気を持ちながら切なさも加味して紡がれてゆく。主人公、マーク・ウォールバーグは刑務所帰りの真面目な青年、、というと矛盾しているのだが、環境が犯罪者を作るということが、そしてこの舞台となる街がそういう環境なのだということをこの設定だけで語ってみせているわけだ。不評のシャーリーズ・セロンの化粧だってその環境をリアルにするためのものだ。犯罪にどっぷりとはまり込んでいる悪友、ホアキン・フェニックスが時折見せる優しい表情もまたそのことを強調するとともにこの作品が青春映画の一面も持ち得ることに貢献している。だからこそ切ないのだ。キャスティングがまた絶妙で、母親が出所したての息子の仕事の世話を頼む「ゴッドファーザー」的役割の男に『ゴッドファーザー』で長兄を演じたジェームズ・カーンを配するあたりが実にニクイ。どう見たって面白いんだけどなあ。
[DVD(字幕)] 8点(2009-11-11 14:33:04)(良:1票)
3.  浮雲(1955)
成瀬巳喜男の最高傑作らしいという前知識をもって鑑賞したのですが、その最高傑作という言葉にかなりの違和感を持ったことをよく覚えています。これ観たとき、『夫婦』とか『妻』、その他いろいろをいっしょに観たのですが、この『浮雲』よりもその他の映画のほうが良かったと思ったし、他の作品に感じた成瀬的なものをこの作品に見出すことが出来なかった。私が当時思っていた成瀬映画(現代劇)の世界観というのはもっと些細な出来事を、あるいは物語とは別のところで見せる小さなやりとりをこそ映し出す、その繊細な感覚というのがまずひとつあるのですが、『浮雲』は「出来事」が作品を支配し、男女の大河ドラマ風になっている。でもね、時がたつとともにおかしな現象が私を襲いました。成瀬映画を思い出そうとすると、まず一番に出てくるのがこの作品の高峰秀子のアンニュイで愚痴っぽい語り口。そして旅先での歩き姿だったり、男の部屋に立っている姿だったり、病床に伏せっている姿だったり、、。他の作品を押しのけて頭に浮かぶのはこの作品の風景ばかり。実のところまだ一回しか観ていないのですが、頭の中では何十回と上映されております。そしていつのまにか傑作だと思うに至ってしまったという稀な映画となりました。
[映画館(邦画)] 8点(2007-04-25 13:08:03)(良:1票)
4.  雨月物語
私もぐるぐるさん同様、溝口初体験がこの作品。溝口という名が日本よりもヨーロッパのほうが知名度が高いということ、『雨月物語』がこのうえなく美しいということ、くらいは前々から耳にはしていました。で、いざ鑑賞。はじまってすぐに「え?これのどこが美しいの??」しかし最後まで、いや、途中まで見て納得。私はこの作品で言われるところの「美しい」の意味を取り違えていました。ここでいう「美しい」はモノクロであることを活かした美や目にやさしい美ではなく、構図とカメラワークで見せる美。とくにスローボートさんが絶品とおっしゃるところのシーンと大河内伝次郎ノ介さんが泣けてきたとおっしゃるシーン。あまりの美しさに2度目の鑑賞ではこの二つのシーンを何度も巻き戻して見てしまいました。 「溝口見ぬものは人にあらず」ですか..誰が言ってるんですか?(ニガ笑) でも日本映画の巨匠=クロサワの図式が定着している今日の日本において、そう言われるお気持ちもわかるような気がします。
8点(2005-01-05 15:38:08)(良:1票)
5.  ウエスト・サイド物語(1961) 《ネタバレ》 
ミュージカルが苦手な私を「凄い!」と唸らせたミュージカル。まず冒頭、マンハッタンを上空から撮った映像に、従来のミュージカルのような夢物語ではないことを予感させる。『ロミオとジュリエット』という古典をベースに、アメリカの抱える移民問題を大胆に描く。従来の全編セットのミュージカルでは成し得なかった現実感、シリアス感が存在する。もちろんミュージカルの醍醐味である歌と音楽とダンスも素晴らしい。中でも圧巻は、決闘に向かうジェット団とシャーク団、そしてマリアを想うトニー、ベルナルドを心待ちにするアニタ、兄を案じながらもトニーを愛するマリアの五重奏。ひとりスタンディングオベーションを送りたいシーンである。そして私が”ミュージカルは苦手”というのを忘れる瞬間である。ラストはここからどう強引にハッピーエンドにもっていくのだろうと思ったら、もっていかなかった(そりゃ、そうだ)。ミュージカルの概念をぶっ壊しながらのこの存在感、この完成度。傑作でしょう。
8点(2004-04-15 12:32:31)(良:4票)
6.  打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993)<TVM>
三人の男の子たちが走って学校へ行く姿をカメラが追い、そのままバックに見える海を見下ろすという、そういうことができるロケーションを選んでいるところがまずいい。窓から入る光に照らされる机が並ぶ教室の描写が、かけがえのない一瞬を切り取ったかのようで美しかった。プールサイドに仰向けに寝ながら片足を水に浸けている奥菜恵の手前に揺らめく光のポジションが最適だ。消えたかと思った奥菜恵が突如何かから逃げるように走って戻ってくるシーンのスローモーションや細かなカット割りや揺れるカメラといった急激な技の応酬をここぞというところで出してくるのも巧い。ガキンチョの男たちと妖しさを秘めた女の子という設定に演者が見事に応えている。ガキンチョたちの無駄話の無駄話っぷりはいいのだが、その無駄話が長く感じた。ま、それでも45分の映画なんだけど。
[DVD(邦画)] 7点(2011-11-01 16:40:22)
7.   《ネタバレ》 
このとき高峰秀子17歳。ずいぶん子供っぽい。昔の、しかも田舎だとこんなもんか。特集上映で『綴方教室』のすぐ後に見たので「子役」のイメージを引っぱってたってのもあるかもしれん。ところが、預かった馬が子馬を生んでその子馬が売られるまでだから物語の期間は2年くらいだろうか、その物語の終盤で女工を勤め上げた高峰が子馬と再会する場面ではどこか大人びたところをはっきりと見せる。なるほど序盤の子供っぽいのは役作りだったのかと合点がいった。若き黒澤明がこのとき高峰に惚れたのもついでに合点がいった。それにしても淡々と語るセリフまわしの変化の無さとは裏腹にその雰囲気の差異には驚いた。これが女優か。それとも演出の賜物なのか。馬を巡って家族がもめたり嘆いたり喜んだり悲しんだり。そこには物語以上に当時の厳しい生活が活写されている。その見事なまでのリアリズムは山本嘉次郎の色。合間に挟まれる弟くんのエピソードが微笑ましい。
[映画館(邦画)] 7点(2011-10-19 14:02:43)
8.  ウイークエンド(1967)
ジャック・タチのような風刺映画にちょっぴりの毒を入れようとしたら中蓋が開いててどっさり入っちゃったみたいな。しかも中蓋開いてたの、わざと、みたいな。文明=車社会=事故=死、この飛躍が笑える。まるでゾンビ映画のようにあらゆる場所に死体が転がってる。ゴダールの映画っていつも何かに怒ってるというか反論してるというか、そういうところがあるんだけど、こういうの見ちゃうとホントに怒ってるの?怒ってるフリして楽しんでない?って思っちゃう。で、結局面白いんだか面白くないんだかよくわからんままに進み、正直退屈感を覚えてきたところでとんでもないシーンが出てくる。実に退屈な農村での日常風景が延々と映されているだけなんだけど、カメラが360度回ってそれらを何度も映し出すことでえらくドラマチックに見えてくるというシーン。ジャック・リヴェット『北の橋』でバイクが同じところを延々と走ってる退屈な画が音楽ひとつで壮大な画になっちゃうってのがあったけどそれと同じ効果をカメラ一つでやっちゃうのだ。エロ会話とか政治的な風刺を装ったセリフとかいまひとつノレなかったんだけど、このワンシーンだけですっかりやられた。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-12-09 17:12:53)
9.  浮草
大映というだけでこうまで変わってしまうのか。それとも宮川一夫の影響か。いや、脚本の時点でいつもの小津映画ではない。それはこの作品が大映であるからであり、大映であるからには宮川になるからということなのかもしれない。映画冒頭の灯台を映した画。それだけならいつもの風景から始まる小津映画だ。しかしその灯台を構図とアングルを変えて何カットも見せてゆくとなると話は違う。意味はわからないがそこからしていつもの小津ではなく、ゆえにそれはいつもの小津映画ではないことのノロシとしてあるのだと思う。男女が罵倒しあう様を小津独特の切り替えしで見せるとどうしてもどこかコミカルになるところを中村鴈治郎と京マチ子と激しい雨が泥沼のような感情の暴露にしてしまう。キスシーンはアップで撮っちゃうし、若尾文子は感激して大袈裟に涙を流しちゃうし、いちいちドラマドラマしている小津らしからぬ躍動ぶりに驚かされる。釣りをする親子の後姿や杉村春子の合いの手のような会話はいつもの小津調であり安心感がある。するとこの安心感を提供する世界の崩壊はまさに小津がよく描く家族崩壊なんだけど、その崩壊の担い手として大映的抑揚のドラマを持ち出したのだろうかなどと勘ぐってみたりするのもまた楽しい。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-07 15:10:01)(笑:1票)
10.  ウルトラミラクルラブストーリー 《ネタバレ》 
たぶん、途中からの松山ケンイチは死人なんだろうな。てか心臓止まってんだから絶対死んでる。だから首のない死人とお話できちゃうんだ。じゃあ、なんで死人がしゃべったり遊んだりできるのか。ウルトラミラクルだから。愛がもたらすウルトラミラクル。なんていう気ままな解釈は置いておくとして。なんなんだろう。この人の長回しは不思議。なんかえらいもんが映っちゃいました、みたいなのがてんこ盛り。決定的瞬間ってのとは違って、ちょっとした間合いの生々しさだったり、その間合いについ演者たちが見せてしまったなにものかであったり。訛りのせいで何しゃべってんのかよくわからなくても笑っちゃうというのも、そのシーンが映画になってることの証拠。物語の意表をつく展開に気をとられがちになっちゃうけど、あるいはいろんな深読みをさせ得る意味不明感に溢れていて困っちゃうけど、この映画の魅力はたぶんそこにはない。ただ二人が延々と歩いているシーンの中に、二人が立ち止まって会話する(会話そのものは重要でない)シーンの中にこそあるのだと思う。
[映画館(邦画)] 7点(2010-03-16 18:51:31)
11.  ウンベルトD 《ネタバレ》 
50年代のネオレアリズモ映画で描かれた高齢者の孤独、貧困問題、年金問題が古びるどころか普遍性を増し、新しくさえあることに驚かされる。とはいってもけして社会問題を描いた映画ではなく、それらは背景に過ぎないことはネオレアリズモ映画に共通する。主人公の老人はけして弱々しい老人ではない。実に人間らしいずるさも見せる。頑なに弱者とならんとするプライドもある。そこがネオレアリズモであり生々しさの源泉となっている。老人だけでなくアパートで働く若い女もまた社会的弱者として登場するところがまた「現実」の非情さを助長している。「暗い」と言われるネオレアリズモ映画にあって老人の庇護すべき子供のような、それでいて最高の理解者であり友人である雑種犬の健気な仕草が作品全体を和やかな雰囲気にしている。と同時にラストの感動的なシーンを見事に演じている。
[映画館(字幕)] 7点(2009-06-02 14:04:41)
12.  ヴィレッジ(2004) 《ネタバレ》 
前作の『サイン』で宇宙人の影に隠れてしまった現実社会の描写。汚染された水、隣人の嫌がらせ、過酷な労働条件、それゆえに起こった理不尽な交通事故、食べたいものはジャンクフード、そしてテレビだけを信じる家族。そんな病んだ社会から逃れて閉じた空間で暮らす面々が『ヴィレッジ』の住人。まるで『サイン』のあの家族が外の世界を見えないように窓を覆い隠したように。盲目のヒロインが盲目ではないかのように暮らす姿は現実を見ないように見ないようにしているヴィレッジの住人たちがヒロイン以上に盲目であることを提示している。年寄りだけでなく若者たちも目先のものしか見ていない。スーツのしわを気にする男もその典型的な描写といえる。『サイン』のあの家族たちは奇跡を信じたが住人たちには何も見えない。その結果の悲劇。そして外を見ようとする二人の若い男女がいずれ奇跡を体現するのだろう。この映画はそんなわずかな光を残して静かに終わる。うまいなぁと思ったんですが、、。ビジュアル的にも森の中の赤と黄色が強烈な印象を残していてけっこう気に入ってます。
[DVD(字幕)] 7点(2006-10-27 14:05:25)(良:1票)
13.  歌行燈(1943)
芸の道に生きる男の波瀾に満ちた物語の中で、未熟さゆえに人を自殺に追い込んだことによる心の葛藤と父との絆、そして女との純愛が見事にラストの大団円で収束してゆく様は圧巻。個人的にはこの大作感が成瀬らしからぬ作風だと感じましたが、「能」という伝統芸能を娯楽色豊かに、それこそ誰にでも楽しめ得る作品に仕上げた脚本演出が素晴らしいと感じた。しかしなんといっても一番の見せ所は山田五十鈴の「舞い」ではなかろうか。能の舞いを知らないので実際のところどうなのかはよくわかりませんが、事実あの「舞い」は、もう美しいとしか言い様がないし、ごまかし無しの長回しでじっくりと見せてるんだからきっと能の舞いとしても素晴らしいんですよ、きっと。私のような素人をウットリさせたのは成瀬の演出によるところが大なのかもしれませんが、その演出も山田五十鈴の「舞い」そのものの美しさがあってこそだと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2005-10-04 14:23:01)(良:1票)
14.  美しき諍い女
舞台がパリではなく、陰謀も無いせいか、これまでのリヴェットの映画とは作風が違う(長尺という部分はリヴェットらしい)ように感じる。それがダメというわけではなく、コレはコレで良かったのですが、初見時はちょっと戸惑いました。 ひたすらに絵を描く風景が描かれる中で、音楽を消し去り、絵を描く音だけを響かせて、画家とモデルの間に生まれる緊張感、そして画家とモデルの間に築かれる関係の微妙な変化を際立たせる。とくに何度も見たいとは思わない作品なのですが(長いし..)、なぜか既に4回見ている。何度見ても絵を描く風景の独特な緊張感には引きつけられます。画家は容姿ではなく内面を描く。内面を見られることは裸を見られることよりも辛いことなのかもしれません。無意識的に目を背けていたものが人間の奥底に潜み、それが暴かれたら..。そしてそれを暴くことが芸術だとしたら、芸術とはなんて残酷なのだろうと思わずにはいられない。完成した絵が画商の手に渡らなかった結末に、映画が芸術であるための何がしかのメッセージととるのは考えすぎでしょうか?リヴェットってそういうことしそうなんですけど。
[ビデオ(字幕)] 7点(2005-05-11 15:19:40)(良:1票)
15.  浮き雲(1996)
アキ・カウリスマキ、この人の映画はサイレント映画のごとき会話が無いのですが、ここまで徹底されると笑えてきます。冒頭のレストランでコックが騒動を起こす場面なんて騒動から解決までずっと会話なしですから。で、会話があっても実に単純。「飲むのに付き合ってくれ」「今日はやめておくわ」「ぜひ付き合ってくれ」「わかったわ」(笑)。「許してくれ」「許せないわ」「帰ってきて欲しい」「帰るわ」(笑)。なんて駆け引きのない会話なんだ。言い訳だとか策略だとかが一切無い会話が心地の良い世界を作り上げています。出来すぎのエンディングはいわばこの監督のこだわりでありスタイルと言えましょう。この独特の“味”を活かして違うスタイルのものも観てみたい気もしますが、一生貫き通してほしかったりもします。
7点(2005-02-24 11:34:14)
16.  ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ
国家スキャンダルを題材にした映画のほとんどが、あり得そうと見せる事に力を入れたサスペンスなのに対して、この作品は多かれ少なかれ疑念を持っていることに対しあえてあり得なさそうに描いている。これぞブラックユーモアと感じました。作りかたによってはいくらでも盛り上がるシーンは出来ただろうに、それもあえてせず、無茶苦茶な作戦を普通に淡々と進めていくのが面白い。本当はもっと緊迫感のある映画が好きなんですが、こういうのもありかなと思いました。
7点(2003-08-27 12:56:05)
17.  ヴァイブレータ 《ネタバレ》 
精神が崩壊しようとする寸前でトラック運転手と出合って救われた、といった感じなのでしょうか。妄想もたしかにアリですよね。だとしたら妄想でも救われるというある意味ポジティブな映画とも言えるんだろうけども、どちらにしろそれはラストまで鑑賞して初めて言えることで、それまでは終始ネガティブな雰囲気で、とにかく寺島しのぶの精神と体のバランスが崩れている様の生々しさがきつくって、その根源はいろいろとあるんだろうけど、その中に絶対に「孤独」というのが付いて回ってて、その「孤独」から救ってくれるのが大森南朋のはずなのに、こいつはこいつで「孤独」だってことが追々分かってきて、もうどこまでもきついなぁこの映画、と。でも妙に目が離せないわけで。それはたぶんトラックが走り続けることで景色が変化してゆくように二人も少しずつ変わっているような気にさせられるからかもしれない。移動するということはその先になにかがある。というのは公式みたいなもんだから。
[DVD(邦画)] 6点(2011-11-07 15:16:49)
18.  ウェディング・バンケット 《ネタバレ》 
『推手』『恋人たちの食卓』とあわせて「父親三部作」と言うそうだ。父親役は同じ俳優。父と子の世代ギャップが台湾とアメリカの異国間ギャップとごちゃ混ぜになってるようだけど、この異国間ギャップも含めて世代ギャップなのだろう。アメリカを拠点に活動するアン・リーにとってはアメリカ自体が若者の象徴であり、移りゆく時代の流れの先にあるのがアメリカだったのかもしれない。そしてアメリカの中にゲイがある。ギャップをコメディで見せるという古典的なシナリオの中で「ゲイ」は若者の側の一記号としてある。だから軽やかさを獲得することが出来たのだろう。切なくも感動的な父の偉大な決断は、息子の、あるいは偽の嫁の、はたまた息子のアメリカ人の恋人の優しさがあってはじめて成されるもの。要するにみんないい人。ものすごくいい人。いい人だらけ。ま、コメディですから。
[DVD(字幕)] 6点(2011-08-09 15:37:50)
19.  VERSUS/ヴァーサス
ワオ!B級アイテム大集合だ。ゾンビにガンアクションにチャンバラにガチンコ格闘。ロングコートにサングラス。SFと時代劇、ホラーとアクションがごちゃ混ぜのマンガチックなダークヒーローもの。やってることは単純至極。戦うのみ。ほぼ全編森の中にもかかわらずアクションが間延びしない。低予算ゆえのアイディアで乗り切る。編集でスピード感を作る。説明すればするほど納得してもらえないだろう荒唐無稽な設定を逆手にとりひたすらアクションアクション。かっこつけを極めて非現実的な世界観に油をそそぐ。惜しむらくはヒロインの華の無さ。怒涛のアクションの連続の中で場違いな空気を作り出すコメディエンヌ的役割をもっと大袈裟に担わせたらもっと面白くなったかも。
[DVD(字幕)] 6点(2011-03-03 13:37:48)
20.  うつせみ
男女二人が何もしゃべらない。誰もが想起したように私も北野武の『あの夏、いちばん静かな海。』を想起する。だけど、目指すところがそれぞれ違う。北野は言葉を映像に置き換えるという映画の原点を見せてくれた。キドクは男女がしゃべらないことで他のしゃべる人たちから浮かせているに過ぎない。非人間化してゆく男のミステリアスさと相まって摩訶不思議な世界観を作り出しているが、けして北野のように映画そのものの豊かさを目指したものではない。要するにレベルが違うってことを言いたいのだが、けしてこの作品が駄作だと言ってるわけでもない。目指すところが違うんだから。そもそもこの男と女の間には語らなきゃならないほどのいろんなものが根本的に欠けている。空虚。そして互いが互いの空虚を埋める存在。そのことを描いてみせたという点では素晴らしいのかも。これ、二流以下の監督だったら「世にも奇妙な物語」になっちゃうんだろうな。
[DVD(字幕)] 6点(2010-03-30 17:40:14)
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