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1.  TUBE チューブ 死の脱出(2020) 《ネタバレ》 
SFが入ったソリッドシチュエーション・ホラー映画。 閉所恐怖症の人なら気が狂いそうな狭苦しいチューブ状の通路の中を、娘を亡くして心に傷を抱えたヒロインがひたすら匍匐前進で進み、仕掛けられた罠や襲ってくるモンスターを避けたりやっつけたりしながら、とにかく出口を目指す、まさにソリッドシチュエーション映画です。ホラーというほど怖くはない。  CUBUもそうでしたが、そもそもなぜこのシチュエーションなのかは謎のまま、ひたすらハラハラドキドキで引っ張っていきます。 途中で子宮の中のような場所に出たり、死んだ娘が現れたり、髑髏にドローンをかぶせたような機械がヒロインのケガを直してくれたりするのですが、ラストシーンまで行っても、それらの伏線がしっかり回収されているとは言えませんでした。というか、わからないままでした。  子宮を通り抜けていく事や、死んだ娘の誘導を断って自分が信じた地図通りの道を選択すること。そして苦痛が待ち受けているだろうことを承知で罠をくぐりひたすら出口を目指すこと。 それらのシーンから、ヒロインがチューブで生まれ変わる事を意図しているのだろう、とは思うのですが。  ヒントは映画の冒頭のカーラジオの声でしょうか。 ハッキリとUFOを見た、と語る声。そしてどんな時も神の声に耳を傾けましょう、という何かの宗教信者の声。 最後に、2人の少女を刺した犯人が逃走中、と流れます。  犯人はヒロインが乗ったヒッチハイカーの運転手だったわけですが、この男もヒロインと一緒にチューブに閉じ込められて、途中で再登場してヒロインの邪魔をします。 ゾンビのようなモンスターも現れて襲ってくるのですが、これらが産まれなおしに本当に必要な試練なんですかね…?宇宙人さんが考えた試練にしては、ちょっとイカレた設定すぎるのではありませんか。  ラストシーンで、再登場した死んだ娘に「私は死んだの?」と聞くと、「肉体は何度も死んだわ」と言われます。「どうすれば?」と聞くと、「生きて」。  生きてって言われても!!!ここ、地球じゃないし!!!!  監督も当初はSFはまぜるつもりはなかったんじゃないかなー。でも回収しようがなくなって、SFにして無理やりハッピーエンドにするしかなかったんじゃあないのかな。なーんて事を思うくらい、テーマに説得力がなかった。  でもこういう密室系のソリッドシチュエーションホラー映画でいい終わり方にしようと思ったら、どうしても無理が出てしまうのかもしれないですね。  ヒロインは魅力的で等身大のリアルな女性っていう感じがいいし、演技もとても上手でした。痛いシーンは観てる方もギャーっと声が出るくらい痛そうだったし、演出だって悪くなくて中だるみもなく、最後まで緊張感を保って引っ張ってくれています。 だから、いい感じのラストで終わってよかった、と思う反面、もう少し説得力のあるラストがよかったなぁ、と。あと少しくらい、観る側にヒントや説明をしてくれてもよかった気がします。  悪くないけどあと一歩!な感じの映画でした。
[インターネット(字幕)] 5点(2023-08-07 21:35:43)
2.  チャイルド44 森に消えた子供たち 《ネタバレ》 
「チャイルド44」の元になったノン・フィクション「子供たちは森に消えた」を読んでいたので、いつか視聴したかった作品。 アンドレイ・チカチーロがどんな描かれ方をしているか期待したのだが、ほとんど端折られていてビックリ。殺人や殺人犯よりも、それを隠ぺいする共産主義国家をかなり批判的に描いた作品だった。 そうしてみると、< 主役は国家のエリート → しかし夫婦愛と正義感のために国に睨まれ転落 → 転落先でもめげずに事件を解決 → エリートに返り咲くが、国に迎合しつつも一石を投じる >というストーリーで、目新しいものはない。 連続殺人犯が生まれた理由も、孤児院で育って飢えに苦しみ歪んだのはスターリンの政策のせい、と言わんばかりだ。ヲイヲイ、資本主義国家アメリカだってシリアル・キラーだらけだろ、と思わず突っ込みを入れたくなる。 恐ろしいのは共産主義とか資本主義とかではなく、国の上層部が国の理念を維持するために現実を否定して国民から事件を隠ぺいする体質だ。国を批判する思想の人間を弾圧する政府や軍部が力を持つ社会だ。 そんな恐ろしいことが、社会主義国家だけでなく、資本主義国でも現実にあったことは、歴史が証明しているはずだ。そこらへんを忘れないようにして観ないと、うっかり「社会主義ってこわ~い!」と他人事で終わりそうな映画だと思った(笑) ただ主役の夫婦の描き方は悪くない。困難が起きた時こそ人間の本質が現れ、本質に触れ合った事で愛情が生まれるのだ、と。少々キレイ事っぽくはあるのだが、その夫婦愛と、自分が孤児にしてしまった少女たちを引き取るラストは、人として正しい姿を描いていると思う。
[DVD(吹替)] 6点(2016-04-11 23:49:30)
3.  地球が静止する日 《ネタバレ》 
実はワタクシ、キアヌ・リーブスって、ルックスだけの大根役者だと思っているのですが(あ、ファンに殴られそう…)、この宇宙人役は良かったです。演技力いらない役だし、あのノッペリ~とした雰囲気がぴったりでしたね(ほめてない…)。  まあTVだし吹き替えだし、巨大ツルツルロボット出現シーンでは「あ、キングダークだ!」と隣で相棒くんが叫ぶし、非常にアンフェアな状況での観賞ではあるのですが、それでもこの点数が精一杯かなぁ。  映画として肝の部分の、宇宙人が説得された地球人の「いい面」「変わる可能性」に、まったく説得力がない。 人間は、自分の愛する人のためならば自分の命も投げ出せるよ。ええ。でもそれは、決して「人間のいい面」ではない。そんな単純なもんじゃない。 愛国心と同じで、自分の愛する人や国のためなら、人間は平気で他人や他国を虐げる事ができる、という「悪い面」につながっているんだから。  だから、人間の表層的な部分だけを見て「人間は変われる」と納得しちゃう宇宙人の単純さ、思考力の浅さ、にガッカリしこそすれ、感動なんてするわけナイ。  ラストで車を運転したヒロインの友人のマイケル博士?が、軍に攻撃されて死んだところで、「時間がない、走れ!」って死体を置いて走って行っちゃう3人の姿を見て、ワタシは思わず「人類は変われない…」とつぶやきましたよ。 宇宙人、彼を生き返らせることが出来たハズなのに、置き去りですよ。ヒロインも頼みもしません。非常事態だとはいえ、要は自分の命を優先!って事でしょ。  自分の命が一番大事。 人の命にプライオリティをつける。 そうやって、人間は愛するもの以外を平気で傷つけて来たのに、人間以外の生き物たちを絶滅させてきたのに、宇宙人さんはその事実に気づきもしません。  こりゃダメだ~っと、白けてしまっても仕方がナイ。  まあそのシーンは置いとくとして、もしどうしても、「子ども」を使って宇宙人に人類の可能性を信じさせるシーンを描かなきゃならなかったのなら、子どもが継母をかばうか、宇宙人をかばうか、まったく利害関係のない誰かのために命を投げ出すかしなくちゃ、説得力は出ないし、観客には何も伝わらないんじゃないかなぁ…。 いろいろ浅すぎて、なんとも残念な作品でした。
[地上波(吹替)] 3点(2013-01-30 00:07:40)(良:1票)
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