1. 劔岳 点の記
《ネタバレ》 物語は淡々としているが、陸軍と山岳会の登頂競争やそれぞれのキャラクター付けもしっかりしているし、物語の筋を追うのは難しくない。 演出上では時折唐突にシーンが変わったりするなど、不慣れな仕事故かたどたどしさはあるが、許容範囲だと感じた。 本作最大の宝はオールロケで撮った山々の息を呑む美しさ。 CGや合成でのごまかしの一切無い映像はそれだけで作品に重みをもたらす。映画を鑑賞するに当たって裏方の苦労云々を言い訳に評価を変えるのは反則という考えもあるが、この映像は木村大作が宣伝で撮影の苦労を語っていることを知っても知らなくても素晴らしいものであるということに変わりはない。 ただ、ここまで美しい映像なのにちょっと雑なパンニングや安っぽいズームが散見されたのが残念。画が美しいだけに重箱の隅が目立ってしまう。 それから嵐のシーンで明らかな音声のブツ切れがあったのも残念だった。 主人公柴崎芳太郎を演じる浅野忠信は、どうにも表情が乏しい。実際寡黙な男であったという柴崎芳太郎を意識しての役作りなのかもしれないが、やはりもう少し内からわき出るような情熱を表現して欲しかった気がする。地元の村人で案内人である宇治長次郎を演じる香川照之。彼は対照的に素晴らしい存在感で主役を圧倒してる。宇治長次郎自身も控えめではあるが意志の強い人間だったのだと思うが、それが大袈裟でなく香川の目や表情立ち居振る舞いから自然と醸し出されている。 木村大作の50年におよぶ映画キャメラマンのキャリアは素晴らしいが他の分野で大きな才能を発揮していても、映画監督としてそのまま優秀な作品を撮れるとは限らないという例は沢山ある。本作もそれを危惧していたが総合的には悪くない。 本作では劒岳周辺の地名や測量用語が出てくるので、事前に予備知識を持っていた方が楽しめるかも知れない。 [映画館(字幕)] 7点(2010-12-09 13:24:54) |
2. 月に囚われた男
ストーリーなど詳細を全く知らないまま鑑賞したのだが、それも奏功したか非常に面白かった。 ハヤカワSF文庫の良質なSF短編を読んでいるような興奮と充実感を味わえる。 全体としては低予算で、CG全盛の昨今ミニチュア特撮もうまく利用した月面シーンや、出演者も実質サム・ロックウェルひとりだけという制約された条件なのに脚本・演出次第でここまで面白くなるのかという見事な例だと思う。 このような作品を鑑賞していつもおもうのだが、予算の制約が大きい邦画界もこういう良品を見習って欲しい。プロダクション、TV局や広告代理店主導の売らんかなマーケティングの安っぽい「○○ザ・ムービー」のようなものよりも、工夫とアイデアを凝らした本作のような小品に活路があると思うのだが。 [DVD(吹替)] 8点(2010-12-08 02:04:09)(良:2票) |
3. 椿三十郎(2007)
《ネタバレ》 本作一番の難は織田裕二。「もうすぐ四十郎」にはとても見えないし、食い詰め浪人にも見えない。着物は綺麗だし肌はつやつや、歯並びの良い真白な歯だ。ぼさぼさの髷もカットの声がかかる度にメイクさんが丁寧に整えたのだなあと思える人工的な乱れ髪。 森田芳光は黒澤がこだわりにこだわったこういうリアリティには興味がないのだろうか。 そもそも彼のキャラクターづくりがオリジナル台本とずれているので、三十郎の行動全てが嘘くさくなってしまうのだ。 殺陣は頑張ってはいるが到底三船には及ばない。ハリウッド風の細かいカット割りでお茶を濁す。まあ仕方ないだろう。 そして最大の見せ場、最後の決闘。 これは新解釈で立ち会いそのものは評価できる。しかし・・・なぜ再現VTRよろしくスローで繰り返したりするのか。がっかりだ・・・。 スタッフロールをバックに三十郎が去っていくが、そんな歩き方侍じゃないよ。緊張感が足りない。 その他、技術面でも雑なドリーショットや信じられないフォーカスの甘いカットを発見した。これでOKを出してしまうのか? 役者は頑張ったと思うが、総合的にみて、とてもオリジナルには及ばない出来だった。これなら森田流にオリジナル脚本で、新しい椿三十郎をつくればよかったのだ。 [映画館(邦画)] 6点(2007-12-02 11:29:47)(良:1票) |
4. ツォツィ
《ネタバレ》 このコンセプトを北米やラテンアメリカ等に置き換えでも成立するだろう。しかしこの映画、舞台は南アフリカ、治安の悪さで悪名高いヨハネスブルグ、旧黒人居住区ソウェトである。この舞台設定だけでかなり類似の不良映画よりも得をしていると思われる。そしてツォツィをはじめとするチンピラ少年達の眼光の鋭さ、独特の存在感が本作の一番の宝だ。この舞台にこのキャスト、映画の成功の半分は約束されたと言っていい。 ツォツィが乳児とのふれあいから人間性を取り戻していく過程は多少無理があるような気がするのだがぎりぎり許容範囲に収まっていると感じた。ただ、彼が最終的に人間性を取り戻すにしても、それまでに犯した犯罪があまりに重大すぎる。脅迫、強盗、ふたりを殺害し、乳児の母親を半身不随に陥らせた。監督はあえてツォツィがホールドアップするところで物語を終わりにしたが、個人的にはDVDに収録されていた銃殺されるバージョンの方がバランスは取れていたように思う。 [DVD(吹替)] 7点(2007-11-09 13:53:38) |
5. 追跡者(1998)
大体飛行機があんなふうに綺麗に墜落するわけないじゃん、って思ってしまってから入り込めなかった。そんなのあんまり気にしないのかな。みんな。これ、劇場公開じゃなくてTVスペシャルでよかったんじゃない? 5点(2003-12-17 18:39:26) |
6. 椿三十郎(1962)
相変わらずの三十郎の痛快な活躍は見ていてスカッとするが「用心棒」よりは若干落ちるか。冒頭から三十郎が事件に絡んでいく所がちょっと強引だったような気がする。加山雄三らの演技も硬い。 7点(2003-12-12 13:14:41) |
7. 月はどっちに出ている
これといって明快な起承転結が無かったような気がする・・でも不思議と魅力的な物語でした。 7点(2003-12-12 13:14:15) |
8. ツイスター
竜巻のCGがすごかったという印象しかない。もう少し物語を何とかして欲しかった。 5点(2003-12-12 13:13:31) |