1. ドラえもん のび太の魔界大冒険
“STAY HOME”なGWも最終日。我が家では、家族そろってドラえもん映画を観て午後を過ごした。 2007年公開のリメイク版「映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~」は、適切な“改変”を含めて、1981年生まれのオールドファンも納得せざるを得ない良作だった。 改変ポイントは多岐に渡っていたが、それらの殆どが、オリジナルのストーリー性をきちんと踏まえた上で、F先生(藤子・F・不二雄)の原作漫画ですら描き切れていなかったウィークポイントを精力的に補っており、思わず感心してしまった。 特に、見事だったのは、パラレルワールドとして生み出された「魔法世界」の危機と並行して、現実世界においても地球規模の危機を描き、二つの世界が相互に影響しあっているというSF的な整合性を、極めて簡潔に表現していたことだ。 それにより、あの“フェイクエンディング”におけるのび太の決断の価値が殊更に高まっていた。 ただし、その一方で、オールドファンにとっては拭い去れない“物足りなさ”も存在していた。 それはずばり「魔界大冒険」ならではの「恐ろしさ」や「不気味さ」の欠落であり、言い換えるならば、「魔法」や「悪魔」に纏わる歴史文化に対するF先生の「趣向」そのものが薄れていたことに他ならなかった。 この1984年公開のオリジナル映画や、原作漫画(大長編ドラえもん)には、それらの文化に造詣が深いF先生ならではの魅力的な設定や造形で満ち溢れていた。 “実はゲストヒロインの○○だった”なんて裏設定など皆無で只々不気味で恐ろしい“メジューサ”をはじめ、肉食角クジラの恐怖や、帰らずの原の絶望感、魔界のハイエナ、人魚、大魔王の心臓等の印象的なビジュアルの数々には、F先生の“魔法(悪魔)愛”と、それに伴う独創性が詰め込まれていた。 そして、今回久しぶりにこのオリジナル映画を再鑑賞してみると、当時の録音技術ならではのくぐもったような音声と、それによる一つ一つの台詞までもが、自分の脳裏に張り付くように残っていたことに気づいた。 それは本作が、幼少時、VHSが擦り切れるくらいに何回も観たアニメ映画の一つであることの証明であり、そういった“感覚”の一つ一つを含めて、この映画の価値が揺らぐことはないのだろうと改めて思った。 それはもはや、オリジナルとリメイクのどちらが良い悪いという話ではないのだろう。 20数年の時を経て制作された二つの「のび太の魔界大冒険」は、両作とも原作をリスペクトし、精力的に生み出された優れたアニメ映画である。 30年来のファンとしては、自らの子どもたちと共に、それぞれの作品を楽しめるという「幸福」を、素直に噛みしめるべきだろう。 ああ、あとそれと、やっぱり最後の“銀のダーツ”はジャイアン(名投手)に投げさせなきゃね! [ビデオ(字幕)] 9点(2020-05-07 22:40:16) |
2. ドラえもん のび太の宇宙小戦争
F先生(藤子・F・不二雄)の「スター・ウォーズ」好きは、「ドラえもん」に限らず彼の作品でモチーフにされていることからも明らかだ。 代表的なところで言うと、ドラえもんのエピソード「天井うらの宇宙戦争」は、登場するキャラクターたちの造形も完全に「スター・ウォーズ」のパロディであり、キャラクターたちが“小人”である設定は、本作「のび太の小宇宙戦争」に直結するものだった。 その他にも、“SF・異色短編集”に収録されている「裏町裏通り名画館」で登場する「ヌター・ウォーズ」は、オリジナルで言うところのストームトルーパーに“徴兵”される若者たちの悲しき青春を、第二次世界大戦の特攻隊になぞらえて皮肉たっぷりに描いた問題作だった。 同じく、傑作短編「ある日……」に登場する「スター・ウォーク」は、スターデストロイヤー的な超巨大宇宙船に“勤務”するストームトルーパー風の兵士たちが、長距離を徒歩で移動しなければならない不便さに不満爆発させるというコメディだった。 他にも随所に「スター・ウォーズ」のパロディやオマージュ的な描写はF先生作品の随所で見受けられる。 そして、その“SW愛”の極みとも言えるのが、大長編ドラえもん「のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)」だろう。 のび太たち少年少女たちが「宇宙戦争」に参戦するなんて無茶苦茶な話だ。 けれど、登場する惑星の異星人たちそのものを“小人”にすることで、惑星を丸ごと独裁する軍事国家との対決を可能にした設定がF先生らしく、流石である。 とはいえ、のび太たちも“小人”になってしまうわけで、「決死」の危険極まりないアドベンチャーであることは間違いないのだけれど、ギリギリの局面を「超強化プラスチック」や「スモールライトのききめ」という各種設定を上手く利用して回避するあたりも、無論漫画的ではあるが同時にSFとして論理的であった。 特に、スモールライトの“ききめが切れて”大逆転を巻き起こすという展開は、ドラえもん達がピリカ星に潜入する中で使用する“かたづけラッカー”や“チーターローション”のききめが切れてピンチに陥るというくだりが伏線としてよく効いており、ストーリーテラーとしての上手さも光る。 ここのところ、自分の子どもたちと共に、新旧のドラえもん映画をよく観ているが、F先生原作の大長編ドラえもんの映画化作品と、先生死後のオリジナルストーリーによる映画化作品との違いは、そういうストーリー展開の妙によるところが大きい。 新世代のアニメクリエーターたちによる昨今のドラえもん映画も、精力的にクリエイトされているとは思うが、F先生信者のオールドファンとしてはストーリーテリングに対して物足りなさを感じることが多い。 偉大な漫画家、そしてこの国を代表するSF作家としての藤子・F・不二雄の凄さを改めて感じる。 [ビデオ(邦画)] 8点(2020-04-18 11:04:45) |
3. ドラえもん のび太の恐竜
WOWOWで、「37作一挙放送!史上最大の映画ドラえもんまつり」という「流石!」な企画があり、ここぞとばかりに全作を録り溜めている。 早速、この記念すべき第一作を子どもたちと共に鑑賞。 タイムトラベル、恐竜世界(異世界)、未来人の横暴……F先生によるドラえもん映画ならではのスペクタクルの要素は、この一作目から既に確立している。 鑑賞後にすかさず、本棚から原作漫画の「大長編ドラえもん」を引っ張り出してきて読んだが、たった一冊の普通サイズの単行本にこれ程の大冒険を詰め込み、成立させるF先生のまさに“神業”に改めて驚く。 そして、鑑賞後3歳の息子が拙くも「面白かった」と言った。 僕にとっては、それがすべてだ。 [CS・衛星(邦画)] 9点(2018-04-18 08:36:37) |
4. 時をかける少女(1983)
スゴイな。映画鑑賞暦20年。初めて“アイドル映画”というものを観た。 9割方“とんでもない”映画であり、変てこな映画である。しかし、これが原田知世というアイドルのアイドル映画である以上、これで“完璧”であるんだと思う。 実際、ハチャメチャなストーリーも、棒読みな台詞回しも、際どい映像センスも、原田知世に対する「カワイイ~」ですべてが好転する。奇想天外なストーリー、初々しい演技、革新的な映像世界、というふうに。 正直なところ、ラストシーンまで“???”疑問符が付きまとったが、スバラシイエンディングに迷いは消し飛んだ! [ビデオ(字幕)] 8点(2013-10-11 17:47:09)(良:1票) |
5. となりのトトロ
残業帰り、遅い夕飯を食べ終わりテレビを付けると「トトロ」が放送されていた。 もうすでにクライマックスの前あたりまで差し掛かっていたので、見るともなく何気なく見始めた。 まず、こういう風に見始めることが出来る映画は少ない。 たとえ一度観たことがある映画であっても、再度観るのであれば最初から観たいし、CMが挟み込まれる民放放映の映画は基本的に観ない。それが良い映画ならば尚更だ。 ただし、「となりのトトロ」なんかになるともはやその範疇ではない。 もちろん最初からじっくり観るにこしたことは無いが、何時にどのシーンから見始めたとしても、何度も同じように感動し、また新しい面白味を発見する。 それくらいこの作品を含め、幾つかのジブリ映画の存在感は自分という人間の中に刷り込まれている。 サツキがついに感情を抑えきれなくなり泣き出してしまう時の表情のくずれ具合に涙が溢れ、 トトロの森に向かって駆け出す瞬間の周囲の声が無音になる表現に感心し、 糸井重里の「案外そうかもしれないよ。ほら」というラストの台詞のヘタウマ感に絶妙さを感じた。 一見は、老若男女楽しめるファンタジー映画という感じだけれど、この映画の持つ味わいは、もっと深いものを描き出しているように思う。 それが、古きよき日本の情景なのか、少女たちの明るさの奥に秘める力強さなのか。 きっとそれは、観る人のその時の在り方で様変わりするのだろうと思う。 ただ、その何か普遍的で価値のあるものを「トトロ」というキャラクターで包んで描き出した宮崎駿は、やはり偉大だなと思う。 [ビデオ(邦画)] 10点(2012-07-13 23:03:45)(良:1票) |
6. トロン
映画の善し悪し以前に、この時代にこの題材をチョイスし世界観を構築したマニアックさが凄い。 ビデオゲームがようやく市民権を得始めた時代に、その電脳世界に入り込んで、そこに存在する擬人化されたプロムラミングと攻防戦を繰り広げるという設定を当時一体どれだけの大衆が完全に理解できたのだろうか。 黎明期のコンピューターグラフィックスはつたなく、アニメーションの表現にも達してしない。 それでも不思議と画面に惹きつけられるのは、そういった表現に対する革新的な挑戦があったからだと思う。 決して現代の“ユーザー”が満足できる映画世界が堪能できるとは言えないが、こういう挑戦的な映画娯楽の可能性を広げる礎になったことは間違いないと思う。 そういう意味も含めて、このオリジナル作品の後に、2010年の最新続編を観ると、いろいろな部分で感慨深さが残る。それはそれで、良い映画体験だ。 [DVD(字幕)] 6点(2011-12-27 17:22:14) |
7. トッツィー
想定外の後味の良さが印象的な映画だった。 映画の9割以上は女装したダスティン・ホフマンが、魅力的なキャラクター性を発揮しつつドタバタとした人間模様が展開される物語だ。 当然、“偽り”は最終的にばれて、それがうまい具合にハッピーエンドにつながるのだろうと思っていたのだけれど、そうではなかった。 主人公が自分の正体を明かすクライマックスを終えて、その後に続くエピローグが素晴らしかった。 女装した自分に求婚したヒロインの父親に会いに行って酒を飲みかわしたり、険悪なままのヒロインを待ち伏せしてたどたどしく自分の本心を伝えたりする。 その決して仰々しくドラマチックではない、人間と人間の対話の様が、無性に心に残った。 アメリカ映画を代表する「名作」と評されるわりには、正直全体的にグダグダしていて粗も多い。 個人的に期待していたビル・マーレーの役所も、彼としては珍しいほどに普通。 なのに、エンディングが流れた瞬間には、不思議なほどに爽快感に溢れている。 つまるところ、この映画そのものが、ダスティン・ホフマンという大俳優の成せる業だろうと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2011-05-14 02:53:46) |
8. ドラミちゃん ミニドラSOS!!!
未来世界ののび太たちの子供らとドラミちゃんの活躍を描いた作品だったけど、ドラえもんファンとしては、ジャイアンやスネ夫たちの大人になった様が楽しかった。作品的にも楽しい映画に仕上がっている。 [地上波(邦画)] 4点(2009-06-25 15:58:21) |
9. ドラゴンボール 魔神城のねむり姫
最初の方のドラゴンボール映画は、完全なオリジナルストーリーで原作の主要キャラクターがまったく違うキャラクターとして登場する。今作は確か、不気味な城に潜入して行くやつですよね。なーんか気持ち悪い雰囲気だけ覚えている。 [ビデオ(邦画)] 4点(2009-06-25 15:35:50) |
10. ドラゴンボール 神龍の伝説
最初の方のドラゴンボール映画はストーリーがまったくオリジナルで設定もメチャクチャなので混合してしまう。グルメス王ってキャラだけうっすらと覚えているような。後期のグダグダした映画版よりは面白いと思う。 [ビデオ(字幕)] 3点(2009-06-25 15:30:38) |
11. ドラゴンボールZ
《ネタバレ》 神様のかつてのライバルガーリックジュニアがドラゴンボールによる不老不死を望んで暗躍するストーリー。Z版としては最初の映画作品。ストーリー的には悟飯がさらわれるなど、原作でのラディッツのくだりに似ている。ラスト、ガーリックは不老不死を得るがそのまま異次元に閉じこまれてしまう。哀れ。 [ビデオ(邦画)] 4点(2009-06-24 15:46:56) |
12. ドラゴンボール 摩訶不思議大冒険
原作とはまったく違う設定で登場するキャラクターが楽しい。確か餃子が天皇だったり、天津飯がその付き人だったりする。アラレちゃんやカリン様も出てくる。亀仙人が活躍したりと娯楽性が高い。 [ビデオ(邦画)] 5点(2009-06-23 23:49:21) |
13. ドラえもん のび太の宇宙開拓史
映画シリーズの中では若干地味な印象はあるけど、ストーリーのクオリティは極めて高い。畳を開けば遠い宇宙とつながるという設定は藤子不二雄らしいファンタジーに溢れている。ギラーミンを筆頭に悪役たちのアウトローぶりも印象深い。加えてエンディングで流れる武田鉄矢の主題歌も感動的だ。 [ビデオ(邦画)] 8点(2009-06-12 23:23:43) |
14. ドラえもん のび太の大魔境
大長編ドラえもんシリーズでは知られざる世界というものを舞台にしている物語が多いが、今作における犬の世界というのは中でも特に異色で斬新だったと思う。犬が立って喋るというアイデアは誰しも考えそうなものだが、それが成立する説得力のある環境を作り出すことが藤子不二雄の凄さだ。藤子ワールドらしいクライマックスの展開やジャイアンの男らしさなど見応えがある。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-29 10:47:30) |
15. ドラえもん のび太と鉄人兵団
ロボットが登場する映画や漫画は数多く存在するけど、藤子・F・不二雄ほど独創性と説得力に溢れたロボット世界を生み出すことのできる作家はいないのではないだろうか。そこに妙に現代的な気取りはなく、普遍的な人間の精神を描きつけるあたりに彼の漫画家としての信念とプライドを感じる。最後の最後で人間の心を得たロボットのリルルがしずちゃんの手の中で消えていく。あの瞬間こそ藤子・F・不二雄がロボットに対し永遠に夢見たものだったに違いない。 [ビデオ(字幕)] 9点(2005-05-29 10:46:47) |
16. ドラえもん のび太の日本誕生
ドラえもんファンの中では見慣れた感もある石器時代ではあるが、日本の誕生を軸に未来人ギガゾンビとの攻防は見応えがある。若干独創性には欠けるが、のび太が作り出したペガたちの存在やドラゾンビのコスチュームなど楽しいエッセンスは多い。 8点(2003-11-27 17:15:25) |
17. ドラえもん のび太のパラレル西遊記
正確には大長編ドラえもんシリーズとは一線を画し、ストーリーの原作は藤子先生ではないのだけれど、西遊記とタイムパラドックス、ドラえもんの道具を巧みに組み合わせた見事なストーリーに仕上がっている。何といっても、他のドラえもん映画とは一味違った極めてダークな世界観が素晴らしい。そのくせ基本的にはドラえもんの王道的なノリも忘れていないところが今作の質を高めている。藤子先生の原作がなくてもこれくらいのクオリティの作品が出来たのだから、藤子先生亡き後のドラえもん映画ももう少し何とかならないのか……。 10点(2003-11-27 17:00:31)(良:1票) |
18. ドラえもん のび太と竜の騎士
大長編ドラえもんならではの知られざる世界として描かれた地下世界の想像は見事だった。その世界で繁栄したのは恐竜族で、その発端となったのがドラえもんだったというタイムパラドックス的な展開も藤子ワールド満載でとても興味深い。SFとアドベンチャーに満ちた秀作。 9点(2003-11-27 16:51:16) |
19. ドラえもん のび太の海底鬼岩城
名作揃いの大長編ドラえもんシリーズの中でも特に鬼気迫り、感動的な傑作であると思う。海底世界を舞台にしているだけに、その緊迫感とサスペンスフルな展開は秀逸そのもの。海底でのハイキングから自然な流れで壮大な世界死守へとつなげて行く辺り、さすがドラえもん、さすが藤子不二雄と言うしかない。海底人の存在、世界を破滅に導く狂気的なコンピューター、魔のバミューダ海域の秘密と独創性と斬新さに溢れるアイデアに感服する。 10点(2003-11-27 16:04:46) |
20. どついたるねん
半分は赤井英和自身によるノンフィクションなので、その空気感が非常にリアルだった。汗臭い大阪の雰囲気に引き込まれる。トレーナー役の原田芳雄の演技が映画の質を高めている。ラスト前のかつてのライバルとのシャドーボクシングの場面は、日本映画史に残る名シーンだと思う。 7点(2003-11-25 15:03:39)(良:1票) |