1. 摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に
《ネタバレ》 「俺たちのマーティ」ことMJフォックス主演のラブコメチックなサクセスストーリー。 「お前はクビだー!」というメリケンの辛辣な社会もポップな演出で緩和、冒頭の80年代シンセロックと摩天楼群のスケール感、カンザスとニューヨークとの対比などテンポよく観られますし、いきなり強盗からの警察との撃ち合いのドタバタさなどもなかなかパンチが効いていてよかったです。 今のリアリティ溢れる恋愛ドラマやラブストーリーもいいけど、こうした「金のあった時代」の無駄に豪華なオフィスや地に足がつかない感じの雰囲気の物語はやっぱり観ていて面白いと思いました。 「成功の秘訣」と言う意味の原題からの邦題はセンスあって好き。 しかもただ運がいいだけでなくしっかりと「能力」もあるし、ラストの伏線として週末のホームパーティ(と言う規模ではない笑笑)でしっかり人脈作ってるあたり流石だと思いました。 最後割を食ったのは社長だけですが、まあ能力なく浮気してボロボロだったので自業自得ということで(笑) [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-12-18 21:26:03) |
2. ニューヨーク 親切なロシア料理店
《ネタバレ》 タイトルほどロシア料理店がフォーカスされるわけでもなく、DV亭主から逃げている母子を筆頭に何かしら問題を抱えた登場人物が、些細な親切で徐々に光が見えてくる、と言った感じです。 タイトルのようにほのぼのとした感じではなく、結構シリアスなテーマなので、ちょっと意表は突かれますが、どぎつくなるギリギリのラインの演出で寿司、なかなか良かったと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2022-04-25 11:59:12) |
3. 肉体の悪魔(1947)
《ネタバレ》 美の貴公子、ジェラール・フィリップが残念ながら高校生には見えないのと、彼らの心が変わった心理描写がいまいち描写されていない点やストーリー自体がよくよく考えればドロドロのメロドラマなので正直、あまり乗れませんでした。 ただ、冒頭の、鏡を見つめながら回想に入っていくシーンや、2人が一夜を共にする一連のシーンや生命を表した暖炉の火、妊娠を直接言うのではなくあくまで含みを持たせて「まだ重くない」と表現するなど、演出面ではなかなか凝っていた場面が多くあり、そう言う意味では観ていて面白かったです。 [DVD(字幕)] 6点(2021-12-17 03:24:48) |
4. にんじん(1932)
《ネタバレ》 原作小説は小さい頃にほんのさわりだけ読んだ程度だったのでこんなにハードな内容だったのかとびっくり。 とにかくにんじんことフランソワの不当かつ理不尽な扱いが酷すぎて胸が痛い。 演じるロベール・リナンのなんとも言えない表情が物語をよりリアリティにしていました。 なんといっても母親のクソっぷりが目につきますが父親も大概、だけど息子を愛すれど不器用さも感じられる感じで、最後は美味しいとこどりな感じもしましが、これから父親らしくなって行くことを暗示しており良かったです。 まあ、罪をなすりつけた兄姉に制裁はないんかいとか母親との絆はどうなるんだいとか、短い故の点は気になりますが、原作読めってことで、原作小説へのとっかかりとしてもいいのではないか、と思いました。 なにはともあれ、ブレッソンの「少女ムシェット」のように自殺エンドではなくて良かったです。 [DVD(字幕)] 8点(2021-11-25 02:17:51) |
5. 肉体の冠
《ネタバレ》 ベッケルの作品は個人的に合うものと合わないものがあるのですが今回は後者の方でした。 シモーヌ・シニョレがあまり好きではないというところも起因するのですが。 ただ、過不足ない設定や男の友情、殺人といった要素が色々と絡み合ったものは見応えあったのかな、という感じでした。 全体的にあまりピンとこなかったのですが、終盤の、ルカを殺そうとするシークエンスからの流れは個人的に良かったです。 [DVD(字幕)] 5点(2021-11-07 18:52:31) |
6. 人間の條件 第六部 曠野の彷徨
《ネタバレ》 全9時間31分の壮大なヒューマンドラマ。それもついに完結。 かつては有能と言われた男も、捕虜という立場になっては危険分子と判断されるみじめさ、 かつての仲間は国境の向こうに理想の国家があると信じていた、しかしソ連兵のそれは決して理想とは程遠い酷いものだった。 結局、自分の信念と道理を信じて生きてきたが、戦争というものの中では些細なこと、そして戦勝国といえどやっていることはどこも同じ、ただ勝った負けたの違いで決定的に善悪が決まってしまうという滑稽さ、本当に、日本が、ではなく世界中がばかばかしくなってくるような虚しい内容でした。 そして、全編通して、「会いたい人には会える」ということを謳いながら、最後は愛する妻のもとに戻れず、思い出とともに死んでいく儚さ。 戦争というものの滑稽さを痛烈に表現している作品でした。 [DVD(邦画)] 8点(2021-08-23 01:58:39) |
7. 人間の條件 第五部 死の脱出
《ネタバレ》 前回、何としても生き抜くことを誓った梶、次第に軍人としての顔になっていきます。それはつまり、人ならざる者になるということ。 方々で敗残兵、民間人と合流するも、余りの過酷さに脱落者が出てしまう。それでも、何としても生き抜こうとする。第1部の時点では考えられないような状況。 そんな心情の変化にあっても、終盤、少女が水面に顔をつけるシーンは本作唯一の清涼剤としての役割を果たしていました [DVD(邦画)] 7点(2021-08-23 01:52:18) |
8. 人間の條件 第四部 戦雲篇
《ネタバレ》 新兵の教育係に抜擢されたことで古参兵の顰蹙をより一層受けてしまう梶、しかしその怒りがついに爆発。 極限状態においては平時の負荷がものをいうような気もするが、結局古参兵の鬱憤晴らしの面が多いので、永遠に答えの出ない問題だと思いました。結局は腐敗した軍部のせいという感じがより一層出ていました。 そして、ついに実戦、弾丸、砲弾の飛び交う中、ついに自分の身を守るために殺人を犯し、人の道を外れてしまう。 これは正しかったのか?間違っていたのか?しかし彼は、人ならざる者になっても、愛する妻のもとへを帰ることを選ぶ。 非常に考えさせられる章でした。 [DVD(邦画)] 8点(2021-08-23 01:48:17) |
9. 人間の條件 第三部 望郷篇
《ネタバレ》 赤紙が届き、いよいよ本格的に戦争の波が襲ってくる第3章。 想像以上のしごき、そして無茶ぶり。そんな異様なことを異様ととらえられない状況でも、人道主義を貫く、しかしそのつらさ。 仲間の自殺や、よりよい世界を求めて国境を越えていった同胞も、そんな軍の軍の、ひいては戦争の犠牲者。 そんななかでも、会いたい人には会える、という作品全体のテーマのようなものが語られる印象深いパート。 全体的に暗く、次作以降より過激さを増していくのですが、一点だけ、徳永看護婦の「こら、勝手に歩くと、ビンタだぞ?」は、現代にも通じる萌え要素なのではないか、と不純なことを思ってしまいました。おそらく僕も婦長にドヤされるでしょう。 [DVD(邦画)] 8点(2021-08-23 01:42:31) |
10. 人間の條件 第二部 激怒篇
《ネタバレ》 前回からの続き、所長の「今は戦時中だ。平時の道理は通用しない」にあらわされている通り、倫理観、人道的行為そのほかすべてが意味をなさない異様な状況、それが戦争。 それを象徴するかのような、残酷な結末。 そして同胞が加担しているとも知らずに一方的に「日本人の鬼め!」と ののしる滑稽さ、一方で加担していることを隠してさも平然としているつらの厚さ。 しかしすべて「そうしなければ生きられない」という本能がさせたもの。非常に考えさせられる作品でした。 [DVD(邦画)] 8点(2021-08-23 01:34:51) |
11. 人間の條件 第一部 純愛篇
《ネタバレ》 壮大なヒューマンドラマの第1章。 理想に燃える主人公と、現実(現場)の軋轢、そして捕虜たちの待遇をめぐっての対立、ようやく心を開いてもらったと思った矢先、ひそかに進む脱走計画、、、 ほんの序章に過ぎないが、かなり濃密な作品でした。 [DVD(邦画)] 7点(2021-08-23 01:30:18) |
12. 21エモン 宇宙いけ!裸足のプリンセス
《ネタバレ》 半分以上思い出補正も入ってるのですが、小さい頃によくビデオを借りて観ていました。 時間にして約40分、テレビアニメのスペシャル的な時間で、登場人物も主要3人以外はほぼ劇場オリジナル。 展開も所謂「ローマの休日」なのですが、短い時間の中にぎゅぎゅっと見所が詰まっていて楽しい作り。 何よりヒロインのファナ王女のお転婆さと可愛さ、世間知らずさ云々が観ていてある意味心地いいアクセントになっているので、今も時たま観返したくなる作品です。 [ビデオ(邦画)] 8点(2021-06-03 16:59:27) |
13. 肉の蝋人形 (1953)
《ネタバレ》 中盤の身意味に長い呼び込み師の場面は3D作品として作られた故のものでしょうが、あそこだけ妙に浮き出て不自然に感じられます。 まあ、あとは、弱そうに見えて実はやたらと強くて元気な人形師等々、設定やストーリーは33年のオリジナルとほぼ一緒ですが、若干ストーリーをシンプルにして入り込みやすくしているので結構見やすいです。 まあ、面白さで言えばどっこいどっこいなんですが、こちらの方が、どうして人形師が蝋人形に死体を埋め込むようになったのか、という心理描写が若干明確にされているので、オリジナルの点数にプラスして6点と云うことで。 [DVD(字幕)] 6点(2011-07-11 01:42:31) |
14. 肉の蝋人形 (1933)
《ネタバレ》 幾度もリメイクされている作品のオリジナル。 現代風にアレンジされた蝋人形の館は残虐描写がなかなかすさまじいですが、さすがに本作は80年近く前の作品であるためそんな残虐描写があるわけもなく…古き良きゴシックホラーの趣で進んでいきます。 が、実際にホラー色を感じられるのは冒頭と終盤のみ。あとは結構ノーテンキ、そして結構複雑に進んでいきます。 まあ、上映時間も77分と短く、人形師の造詣もなかなか気合が入っていたり、結構タフで一人で警官隊十数人を相手にするアクションシーンもあり、幾分フランケンシュタインを彷彿とさせるギミックもあったりするので色々と楽しめる面もあるのですが、展開が遅い割にはちょっと場面転換が忙しすぎな気もするので、この点数で。 [DVD(字幕)] 5点(2011-07-11 01:34:24) |
15. ニクソン
《ネタバレ》 JFK同様の大統領ものですが、こちらは主に伝記のようなものになってますね。 やはり、JFKと比べると少々見劣りしますし、半生を描くにしても駆け足で過ぎ去っていくため(まあ、本題が大統領就任前後なのでそれは仕方ないですが)、ちょっと物足りなさを感じます。 しかし、それを差し引いても、やはりドラマのある人なので、見ていて引き込まれますし、予測や仮説が織り交ぜられているとはいえ、こうした政治の裏側(真相)を窺い知ることができるので、とても見ごたえがあるものでした。 [ビデオ(字幕)] 7点(2007-03-31 03:34:02) |
16. NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE
ぜってぇにはずすだそーなぁーと思ってたら、意外といけた。というか、ぶっちゃけ結構楽しかった。なんでだろ?多分、CGの使い方。ド真面目な話のくせして場違いなCG使うんじゃ、見ていて寒くなる。けど、これは違った。「修行の賜物でござるよ」って、どんなに頑張っても“壁歩き”とか“分身の術”とかできませんから。ある意味ではこういう技は子どもの夢。個人的には、上手くできてたなと思うし、ストーリーの方も、簡単に言えば主人公の成長物語だけど、へんに大作じみた壮大な事やってないから、逆にそれが心地よかった。たまにはこういうのも悪くないと思う。 [地上波(吹替)] 7点(2006-01-22 03:24:19) |
17. 2000人の狂人
《ネタバレ》 ホラー・スプラッタが好きだといっている以上、やはりこれは外せないわけですよ。勿論ふつーのどーでも良いようなスプラッタ物ならスルーはしますけど、STING大好きさんも仰っている通り、スプラッタの始祖ことハーシェル・ゴードン・ルイスの代表作とされている作品ですからね、これは。といっても、勿論この作品もどーでも良いような作品ってことには変わりないんですけどねぇ。しかし、どーでも良いながら、これが結構面白いんです。勿論、スプラッタの創世記の作品ですから今のように凄いシーンを“過程”から見せるわけではないんですが、異様なほど陽気な音楽と町の住人たちの態度がより一層不気味さを引き立てていると言う作り。そして設定も一応筋が通っているといえば通ってますし、今見ても充分不気味な作品だと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2005-07-23 03:32:05) |
18. 2010年
《ネタバレ》 前作の哲学的な要素が殆ど消え去っているため、前作を崇める方々からはイマイチ教評価のよくない作品ですが、前作の難解な世界が把握できなかった自分としては、作品の質とインパクトでは敵わないにしろなかなか良く出来た続編だと思います。これといって惨事も起こらず淡々と話が進んでいきますが、激しい演出無しで静かな音響によって作り出された宇宙空間はどこか居心地がいいとさえ思いました。前作で残った謎も上手く解消されていると思いますし、個人的に、HAL9000とチャンドラ博士との別れのシーンが、ある意味での犠牲愛を表現するもののように思え、実に感傷深いシーンであると思いました。そしてこの作品が出来たのは丁度冷戦真っ只中。その中での人々が抱いていた平和という願いを、気取ることなく実に自然体で描いているのにも好感が持てました。 8点(2004-06-30 21:13:19) |
19. 肉の鑞人形
《ネタバレ》 これは最初、ルチオ・フルチが製作するらしかったんですけど、残念ながら他界してしまったので、ダリオ・アルジェントとセルジオ・スティヴァレッティの二人が引き継いで製作されたそうですが、そうか、フルチ爺さんが死の間際まで製作していた作品ってこのことだったのか。監督は違えど、もとはフルチ監督の作品なだけに、ストーリー性は皆無…といってもいいでしょう。いやだって、序盤あいつが犯人だろうなと思ってたら、なんの捻りもなくそのまま犯人発覚、しかも終盤でターミネーター(マジ)が出てきた時はあきれましたよ。それでもやはり、フルチ爺さんが撮ってたら残虐表現はもっとねちっこく撮ってたんだろうな…。 4点(2003-12-15 03:27:51) |
20. 人間解剖島ドクター・ブッチャー
《ネタバレ》 2024年6月2日訂正 一部の人は知っている「イタリア製ゾンビ」映画でひときわ目立つ存在の本作。 食人族とゾンビを足してドクターモローの島で割った作品、という悪く言えば雑多、よく言えば「我々ボンクラ映画好きにとって」盆とクリスマスと正月がいっぺんに来たような作品。 ゾンビは人の肉は食いませんし3体くらいしか出てきませんがその分食人族の人たちが頑張ってくれています。その過剰なまでのゴア描写はなかなか見られないほど。 ストーリーも穴ぼこだらけで一瞬サンゲリアかと見紛う場面もありますが、このいかがわしさと残虐さがクセになりますし、ゾンビ映画ベスト10を作るとすれば間違いなく入ります。 なんだかんだで数年に一度観返したりしているので、好きな作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2003-10-30 05:07:02) |