1. 日本誕生
とにかく物凄い出演陣。 オープニングで出演者の名前が出てくるところなんか、まさに豪華な連続打ち上げ花火の様! 次から次へと、大物役者の名前が出ては消える。 これはまったくもって爽快だった。 その役者陣の中でも、先頭をきるのが三船敏郎。 最初から最後まで出ずっぱり。 他の豪華な出演者達は、カメオを出演程度という内容で、不満を感じた。 東宝映画1000本記念作品ならば、一つのカットにこれだけの出演者達を一堂に並べて欲しかった。 細切れで別々のカットに色んな大物役者が出てきても、いまいちその豪華さを実感できない。 話はヤマトタケルの物語で、ヤマタノオロチとかお馴染みの名前が出てくる。 特撮にかなり偏った構成で、まるで円谷映画を観ているかの様だった。 これが普通に現代劇で、先に書いた様に、豪華出演者達が一堂に会するシーンが一つでもあったら、本当の意味で物凄い作品になったに違いない。 [ビデオ(邦画)] 5点(2011-04-25 18:49:26) |
2. 人間の條件 第四部 戦雲篇
仲代達矢の演技は相変わらず素晴らしい。 魂がこもっている。 この第4部は、そのほとんどが戦争映画そのものである。 2年兵で上等兵になった仲代達矢が、その立場の変化から、更なる問題にぶち当たる。 これはこれで面白かったが、企業を舞台にした第1部、第2部に比べると、見飽きた日本戦争映画の域を出ておらず、まるで一本の日本戦争映画を観た様で、全6部作という壮大さが感じられなかった。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-03-23 16:45:16) |
3. 人間の條件 第三部 望郷篇
兵隊同士のいざこざやいじめ、上官と部下との上下関係などが、細やかに描かれているが、あまたある日本の戦争映画で、それは語りつくされている。 せっかく壮大な全6部作なのに、そんな内容を第3部のメインに据えたのは、何だかもったいない気がしなくもない。 ただ、そんなありふれた日本戦争映画の題材ながらも、仲代達矢の存在感と個性は光るものがあった。 それにしても、仲代達矢のような体力がほしい。 平和な時代であれ戦争下であれ、体が資本。 頑丈な肉体は、宝である。 頑強な身体こそあれば、どんな世の中でもなんとかやっていける、そんなことに注視してしまった。 それにしても、仲代達矢と“ふしだら”な行為とやらをしていた(婦長に、そうみなされた)看護婦を演じた女優さん、とても瞳が綺麗だった。 まさに白衣の天使! 戦場でこんな瞳の美しい看護婦さんがいたら、私なら思わず抱きついてしまうところだろう。 そして、軍隊刑務所ゆきである。 私が戦争中に軍隊にいたら、こんな感じで生涯を終えるんだろうなぁ、と思った始末。 お粗末さま。 婦長に“ふしだら”な行為をしていたと濡れ衣着せられたら、どうせなら“ふしだら“な行為を実際に実行したい。 じゃなきゃ、損だ。 だけど、軍隊刑務所ゆきである。 やっぱり私は、平時でも戦争下でも、結局ダメなところに落ちる気がする。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2011-03-23 01:35:43) |
4. 人間の條件 第二部 激怒篇
《ネタバレ》 第1部からのつなぎ方が良かっただけに、この第2部はやや不満。 仲代達矢は奮闘するが、組織内で権力が無いがために、不遇な運命をたどる。 それ自体はしっかりと描けていたとは思うが、それを描くためだけに第2部として丸々時間を割く必要があったかどうかは微妙なところ。 第1部では冷徹ながらも、厳しい軍人として一本筋が通っているように見えた安部徹が、この第2部では、ただ残忍なだけの軍人として描かれている辺り、違和感をおぼえた。 ラストで夫婦が砂丘で再会し、抱き合う場面は救われた気持ちにはなるが、召集令状がきていて、将来に暗雲が立ちこめているだけに、どうもスッキリとした気分までにはなれない。 次につながっていく高揚を感じた第1部に比べると、この第2部は全体的に中途半端で、中だるみの感が否めない気がする。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-03-22 01:22:33) |
5. 人間の條件 第一部 純愛篇
《ネタバレ》 仲代達矢、三島雅夫、山村聡、小沢栄太郎という濃いメンツを中心に、全6部にわたる壮大な絵巻が斬って降ろされる。 現地民を搾取して利益を上げるという至上命題を持った企業の中で、正義という矛盾を、仲代達矢がどこまで突き通せるかが見ものだった。 自分の正義感は曲げたくない、だけど組織に属している以上は上部の命令には逆らえない時もある。 そうした精神的な苦悩を描いたこの第1部は、序章を飾るにふさわしい内容となっている。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-03-21 21:37:43) |
6. 女体棧橋
これはつまらない。 ギャングモノなんだけど、石井輝男らしさも出ていないし、ストーリーも単調の極み。 しかも、出てくる女性がみんな40女に見えるし、ブヨブヨしている。 石井輝男作品の中では下位に位置するレベル。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2010-07-20 23:25:29) |
7. 人間の壁
教育という問題を軸に、日教組や自民党の話も抱合された内容で、政治的な側面もあり、また、教育問題についても真剣に取り組んだ作品である。 香川京子が女教師役を演じているが、本人もおっしゃっているように、どうもしっくりきていない感じがした。 そもそも題材が教育問題で、しかもそれを生真面目に取り上げているから、遊びがまったくない。 例えば、宇野重吉と香川京子のロマンスが、もっと具体的に起きていたら、もう少し遊びのある楽しい作品に仕上がったんじゃないだろうか。 私が宇野重吉の立場だったら、離婚したばかりの香川京子からの好意を利用して、抱きつくなりしただろうに、もったいない! [DVD(邦画)] 5点(2009-09-17 05:37:27) |
8. 二十四の瞳(1954)
日本映画史上に燦然と輝く名作中の名作を遂に鑑賞することができた。 未見の日本映画としては、私にとっての“最後の大物”であった。 ただ、観る前から嫌な予感があった。 原作、壺井栄による小説を読んだことがあるし、子供を題材にした小豆島の物語というのは分かっていたので、自分の好みに合わない題材であることが明白だったからだ。 だからこそ、ここまでの名声を得た作品を今まで観ていなかったのだろう。 2時間半に渡る長尺の作品で、最初から最後まで実に苦痛であった。 何と言うか、感覚的に合わない感じ。 高峰秀子の演技は素晴らしいし、小さな島におけるほのぼのとした古き良き時代の雰囲気が良く出ているし、映画の出来としては素晴らしいことは間違いないのだが、それが頭では分かっていても、感覚的にどうも不協和音が心の中にざわざわと鳴り響いていた。 そういった状態で2時間半を送ったのだから、これははっきり言ってしまって苦痛以外の何物でもなかった。 これだけ高い評価を得ている名作に、批判的な感想を書くのは勇気が要るが、正直に書いてみた。 この作品を愛している方々には申し訳ない気持ちである。 理由を長々書く気は到底湧いてこない。 ただ一つ言えば、私は“異端の人間”を愛する性向があって、こういった正統派の人情劇は根本的に相性が悪いからだ。 戦争による犠牲を悲しむ気持ち、教え子に対する真っ直ぐな気持ち。 これらは人間にとって欠くことのできない大切な感情である。 だけど、それをひたすら真っ直ぐに2時間半描かれても、私には退屈でしかない。 人間には色んなタイプの者がいるだろうし、変質的な人間もいる。 だけど、本作の世界にはそういった人間たちは封印されて、どこかに追いやられてしまっているのだ。 綺麗すぎる世界。 これが、私にとってこの作品に退屈感をおぼえた最たる理由である。 [DVD(邦画)] 3点(2009-03-24 23:04:22) |
9. 荷車の歌
山本薩夫監督の作品って、どうも息苦しくて、それほど好みではないが、力作が多いため、力ずくでその作品に引き込まれてしまう。 本作も、紛れもなく力作であった。 三國連太郎の演技は相変わらず素晴らしい。 脇を固める出演陣も渾身の演技をみせる。 山本監督が、本作を完成させる為に、相当の労力を費やしたというのも頷ける、素晴らしい演出である。 [DVD(邦画)] 7点(2008-05-07 19:57:25) |
10. 日本の悲劇(1953)
《ネタバレ》 悲劇というより、世の殺伐たるを嘆いてる様かの内容。 他人を信じようとはせず、自分の殻に閉じこもる。 そんな世界観が作品内を支配していて、どうも好きになれない。 [DVD(邦画)] 6点(2008-05-06 12:13:34) |
11. 人間魚雷回天
《ネタバレ》 『雲ながるる果てに』を観た後では、残念ながら同じ展開に少し飽きがきたのは事実。 しかし、凄まじいまでの反戦映画だ。 現代の人間はこの様な反戦映画をもっと観るべき。 どんな説教や授業なんかよりも、よほど真に迫るものがある。 戦争がいかに残酷で無用なものかを、ここまでハッキリと観る者に訴えかけてくる作品はそうにない。 こういった救いようのない話は、個人的好みには合わない。 しかし、一度は観るべき作品として、皆様に推奨したい作品である。 そういった救いようのない話の中で、唯一、純粋に心打たれたのが、木村功の海辺での最後のロマンス。 これにはまいった。 あまりに哀しすぎる。 平和な時代に生まれた有り難味を、非常に実感することができた。 愛する人を大切にしたい。 生きていることの喜びをもっと堪能したい。 明日への活力をそういった意味で得ることができた。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-04-19 19:38:02) |
12. にあんちゃん
《ネタバレ》 今村昌平作品にしては、性描写が全くない。 これにまず驚き。 しかし、今村監督ならではの“泥くさい描写”は健在である。 田舎町の泥臭さをストレートに映像に焼き付けている。 「にあんちゃん」が貧しくて厳しい環境ながら、未来に希望をもって敢然と山を登るラストシーン。 これは北野武監督作品『キッズ・リターン』のラストシーンを思わせる素晴らしいシーンである。 どんな苦しい環境においても、「希望」を持ってさえいれば、人生が「終わった」ということにはならない。 苦境に立たされても、熱い「希望」を決して捨ててはならない。 「希望」を持つことこそが、生きる上で非常に大切であり、生きる喜びの源泉となり得ることを、本作は雄弁に物語っている。 力をもらえる、心に残る良作であった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-03-08 19:32:49) |
13. にごりえ
三つの話から成るオムニバス。 樋口一葉の小説を映画化したもの。 第一話と第二話は普通の出来。 第三話はとても良い。 山村聡、淡島千景ともにいい味を出している。 最後の幕切れはありきたりだが、その裏には、理屈では割り切れない“切りたくても切れない男女の仲”という、永遠不変のテーマが横たわっている。 そう、成瀬巳喜男監督の作品に通ずるテーマが、本作の根底には流れているのだ。 [ビデオ(邦画)] 7点(2007-11-27 20:25:49) |
14. 二十四時間の情事
岡田英次はこういう二枚目路線よりも、もう少しズレた感じの2.5枚目がいいんでないでしょうか。 具体的に言えば、『砂の女』で惨めに奮闘する学者役ですとか。 [ビデオ(字幕)] 3点(2007-10-14 17:34:23) |
15. 肉体の冠
ベッケル作品の中では比較的、一般な評価が高い作品である。 しかし、個人的にはイマイチ乗り切れなかった。 シモーヌ・シニョレが自分の好みに合わなかったせいであろうか?? うーん、よく分からない。 [ビデオ(字幕)] 6点(2007-09-20 23:23:42) |