1. オルカ
《ネタバレ》 題名とシャチの映画以外の知識無し。 オープニングタイトルロール、ディノ・デ・ラウレンティスを初めとする撮影、脚本、監督、音楽の名匠が居並び、リチャード・ハリス、シャーロット・ランプリング、ウィル・サンプソンという意外な組み合わせに「ええんちゃうん、これ!」座り直しての鑑賞。 妻子を目の前で殺されたオルカの復讐劇。涙を流して絶叫する姿にグッときますが、村人の生活を脅かして巻き込み、クルーを一人また一人と食いちぎり、対決せざるを得ないようにノーランを追い詰める人間並み若しくはそれ以上のやりくちに同じく妻子を失ってオルカの心情を理解するノーランに肩入れしてしまう。対決を終え涙を流し氷で閉ざされた海を妻子の元へ行くのであろうオルカに、過日のイルカ同様泣かされてしまいました。 素晴らしい脚本、これぞハマり役絶品のリチャード・ハリス、切なさをかきたてられる御大モリコーネ節。 シャーロット・ランプリングがイマイチ微妙で8点か9点迷いに迷って骨太傑作に9点。 [インターネット(字幕)] 9点(2023-03-24 14:18:06)(良:1票) |
2. 女渡世人 おたの申します
《ネタバレ》 数ある切った張ったの作品の中で傑作と呼べる出来映え。渡世人としての筋を通す生き辛さ、手を差し伸べてあげた堅気のオバサン達に刺すような視線で毛嫌いされ、業火の中命懸けで救い出した赤ん坊をひったくるように取り上げられすすり泣く姿がやるせない。そんな彼女に「姐さん、やくざは日蔭の花だ。日向に咲こうなんて考えたら、てめえが惨めになるだけですよ。どんなに日蔭に咲こうが、おめえさんの花の美しさは、私にはわかっています」静かに語りかける菅原文太に鼻の奥がツーンと。渡世人としての意地を貫き通した姿は彼の言葉通りに息を呑む美しさでありました。 美しいと言えば、私的「この世にこんな美しい人が居てるのか!」ランキングはアヌーク・エーメ、ジェーン・シーモア、キャロル・ブーケ、ナスターシャ・キンスキー、ブルック・シールズでありますが、藤純子がアヌーク・エーメの次にランクインしました。 練り上げられた脚本、キャスト全員の名演、道行きシーンが無いのを始めとする大胆でキレの良い演出、お見事。拍手。 [DVD(邦画)] 9点(2022-04-10 01:04:53)(良:1票) |
3. 狼たちの午後
綿密な計画、浮世離れしたハイテク武器、仲間との連携、スマートな身のこなし、邪魔者を削除する冷酷さ、映画でよく見かける犯人像とは対極にある三人です。一人は怖気づいて逃げ、一人はワイオミングを外国と思うお粗末な仲間を持つリーダーのソニー。妻とゲイの愛人との電話から漂う彼の絶望感にうっかり同情してしまいそうになります。行員達や野次馬達の態度に彼は自分の気持ちが理解されていると勘違いしたのでしょうが、空港で彼を一顧だにしない行員達に、苦しさに負けて罪を犯す事は同情される事ではない事を彼は思い知らされ、自分も気づかされます。サルと行員を見送るパチーノの眼差しはパチーノ名シーンの一つで忘れられません。実話がベースでなかったら10点でした。 [DVD(字幕)] 9点(2005-05-01 13:35:54)(良:1票) |
4. オーメン(1976)
《ネタバレ》 記憶に残る西川のりおのギャグ、今でもレジでの「666円です」に「オッ」反応してしまう本作ですが、この歳にして初見となりました。神と悪魔、母親が犬というところに違和感あるものの、格調高くドライでゴシックな雰囲気漂うホラーにダミアン君とグレゴリー・ペックが見事にマッチしており魅入ってしまいました。とりわけ最後の狂気と正気の狭間にあるグレゴリー・ペック絶品演技は流石名優。どうして棺が3つじゃないのだろうと思った途端のラストショットはポランスキー作品のようで本作一番の恐ろしさでありました。傑作です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-06-26 15:28:08) |
5. 女ガンマン・皆殺しのメロディ
《ネタバレ》 ラクエル・ウェルチ繋がりでの鑑賞。再生1秒後にさぞかしお色気溢れる無双な活躍を見せるのだろうと苦笑したのですが、続くクレジットでロバート・カルプ、アーネスト・ボーグナイン、ジャック・イーラム、クリストファー・リーに「ひょっとしたら、当たりかも」座り直しました。ハイエナのような3人兄弟に亭主を殺され犯され家を焼かれたハニーと賞金稼ぎトーマスの出会いから結末までの、殺しの理論と気構えと虚しさの実に丹念な描写は、ウエスタン復讐話では初めて見るもので、恨み骨髄の相手を呪い殺しは出来ず復讐するには力をつけなければならない事を実感させられました。MIPロバート・カルプのこれ程までの漢な姿を拝めたのは大収穫で、浜辺のウェルチを眺めるカルプを見るクリストファー・リーの人殺しの虚しさが胸に刺さるシーンが絶品。スティーヴン・ボイドのような(でした 驚)黒づくめがもう少しだけ話に絡んでくれれば(-1点)並びに3悪人にもう少しだけ知性があれば(-1点)歯痒いところですが、大当たりの快作でした。 [DVD(字幕)] 8点(2021-06-07 15:07:32)(良:1票) |
6. オリエント急行殺人事件(1974)
《ネタバレ》 初見、原作未読。 雪山に立ち往生する列車内での密室殺人事件。豪奢な一等客車の乗客が目も眩む絢爛豪華な大スター達で漂う重厚さを堪能出来ました。彼等彼女等を過不足なく交通整理した監督の手腕はお見事。ポアロが事情聴取をする度に友人が「犯人だ」と決めつけるのに、「この人にかかったら全員が犯人になってしまう」と友人をオトボケキャラ認定したのですが、あの結末には「お見それ致しました」 犯人は都合よく乗り合わせたのではないので、乗車前のオルソンの慄きは後になって理解できます。彼女の始終怯えた様子に一番の人間臭さを感じました。 ポアロが私怨を私刑で果たした犯人を見逃したのは刑事ではなく探偵なのでどうにか納得できますが、乾杯はやり過ぎの感がします。それと謎解きの決め手が不明瞭なのが残念でした。 [DVD(字幕)] 8点(2017-03-24 00:53:52) |
7. おかしなレディ・キラー
観たいと思ってから40年で念願の鑑賞。 ニコルソン、ベイティ共に結構あくどい事をしています。笑えはしませんでしたが、カラリとした妙な味わいがありました。 結末に不満があったものの、若き二人の生き生きとした姿に満足出来た作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2024-04-21 14:58:28) |
8. オープニング・ナイト
駆け出し時代は怖い物知らずで芝居に臨めるが、大スターであるがゆえ観客の期待、自分の老いなどいろいろな事に怯え役を演じる事が出来ない。幕が上がり舞台裏ではヨレヨレでも観客の前では素晴らしい芝居を見せる姿は大スターなればこそのプライドなのだろう。ただ台詞をしゃべる役者ではなく、こういう苦しみを背負い、苦しみと闘い、観客の喝采を浴びる喜びを知る者が演じる姿に観る者は感動させられるんだなあと感じた。ジーナ・ローランズが素晴らしかった。 7点(2004-02-14 19:35:45) |
9. オデッサ・ファイル
《ネタバレ》 ジャッカルの日、悪魔の選択、に次ぐ大好きな作品で当時読み終えたら朝になっていました。 優生思想を得意気にまくしたてるロシュマンを観念させるクライマックスは名演でしたが、総じてインパクトに欠ける出来映えでした。 [インターネット(字幕)] 6点(2023-04-11 20:04:55) |
10. 狼は天使の匂い
ジャン=ルイ・トランティニャン、ロバート・ライアン共演に期待特大。最晩年ライアンの熱演は見応えがあり、トランティニャンもキレのある動きでした。無理筋なストーリーがもう少し何とかならなかったものか歯痒さが特大でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-09-26 21:54:11) |
11. 女渡世人
肉親の絆に重きをおいた脚本はなかなかのもの。演出と音楽にクドさがあったものの、MIP木暮実千代の名演にグッときます。 [DVD(邦画)] 6点(2022-03-19 15:03:22) |
12. 王子と乞食(1977)
《ネタバレ》 初見、原作未読。リチャード・フライシャー監督による児童文学の実写化作品。童話としては超一流のスタッフ・キャストを起用した贅沢極まりないもの。 「わが命つきるとも」のエピローグが浮かんだイングランド王室が舞台であり、主人公エドワード6世が父であるヘンリー8世からどのような帝王学を施されたのか描かれておらず、トムと入れ替わった後に「私は王だ」とひたすらに連呼するだけなのに白けてしまう。ジョージ・C・スコットをはじめ名優達は存在感たっぷりなものの誰にも惹かれなく残念。トムの目を通して民の事など頭の隅にもない王室の有り様が印象深い。架空の国の物語であれば素直に楽しめた気がする惜しい一品。 [DVD(字幕)] 6点(2018-09-15 01:38:11) |
13. 王になろうとした男
雄大な地を舞台に繰り広げられるバディムービー。見果てぬ夢を追う男のロマンと未開の者達を食い物にしようとする文明人の身勝手さを感じました。カナハン演ずる瑞々しいマイケル・ケインに目を奪われっ放しでした。眼鏡と髭のせいなのか「これは本当にクリストファー・プラマーなのか?」釈然としなかったことにモヤモヤが残ります。 [DVD(字幕)] 6点(2017-07-08 21:57:28) |
14. 狼の挽歌
オープニングに流れる音楽に「これはモリコーネか?」正解でした。 凄腕スナイパーのチャールズ・ブロンソンはまずまずでしたが、他のキャスト全員が頭悪そうなのがいけません。 結局のところ痴話喧嘩を見せられて盛り上がれません。 歯痒さが残る残念な作品でした。 [DVD(字幕)] 5点(2023-09-09 23:56:26) |
15. 狼よさらば
《ネタバレ》 重苦しい雰囲気が全編を覆い尽くし、妻子の仇はそのままというところに後味の悪さが倍加します。ブロンソンの凶行に対する警察の決着のつけ方に、この国特有の「ご都合主義の正義」が見てとれました。 [DVD(字幕)] 5点(2010-11-23 21:22:00) |
16. 大いなる眠り
内容が把握出来ず、「一体この物語は何だったのか」という結末に徒労感が募る。将軍を演ずるジェームズ・スチュワートの老いた姿がうら悲しかった。 [DVD(字幕)] 4点(2017-06-15 00:48:12) |
17. オードリー・ローズ
輪廻転生ものですが、乗り移られたほうの一家の理不尽極まりなさをこれでもかと見せつけられて萎える中でのあの結末、とどめをさされ不快感しか残りません。キャンキャンけたたましいだけで見応えは何も無く、お目当てアンソニー・ホプキンスと共にモッサリした凡作です。 [DVD(字幕)] 3点(2021-10-27 16:49:51) |
18. おかしなおかしな大追跡
《ネタバレ》 演技だとしてもド厚かましく小狡く卑しいジュディへの胸糞悪さに、「赤ちゃん教育」臭がするなぁと思ったら監督がオマージュを捧げたそうで、なるほどね。知っていたら絶対観なかったのに。同じカバンが4つという設定も過ぎたるは及ばざるがごとしであって「滑ってるで」と叫びたい。気楽に笑わせて貰うつもりがクスリとも出来なかった。鑑賞とは決して後悔しない事と言い聞かせて胃の痛みを鎮めるハメに(泣)「ブリット」ばりのカーチェイスで、ガラスを持った二人並びに車と共に宙を舞って海にダイブした人に1点ずつ。 [DVD(字幕)] 2点(2020-01-16 16:05:48) |