1. 遅すぎた涙
《ネタバレ》 掘出物傑作。 見た目も言動も普通の女性が、運転中のオープンカーに放り込まれた6万㌦に目が眩み、 獲物を独り占めしてかぶりついているオスライオンのような「誰にも渡さないわよ」執念が物凄い。 頭が切れて、咄嗟の物言いが理にかなって、度胸満点。普通ではなく実は悪女な姿に血圧上昇。 彼女に絡む3人の男性との展開も目が離せないもので、ダン・デュリエの真骨頂とも言えるチンピラ名演ぶりに拍手。 遅すぎた涙は悔し涙だったのでしょう。 [インターネット(字幕)] 9点(2024-07-22 01:57:34) |
2. 奥様は顔が二つ
グレタ・ガルボの弾ける笑顔でのダンスシーンはお宝映像。点数の全てを。本作が最後の出演というのが惜しいところです。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-04 16:26:15) |
3. 奥様は魔女(1942)
起承転結全てが微笑ましい。巨匠作らしい小粋なロマコメにホッコリさせられた一時でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-07-31 01:26:27) |
4. 狼男(1941)
《ネタバレ》 「透明人間」「オペラの怪人」のクロード・レインズがどのような狼男を演じてくれるのか、はち切れんばかりの期待は空振りに。しかしながら、狼男になってしまい、無自覚に人殺しをしてしまう息子の恐怖感を分かろうともしない超絶厳格な貴族役は見応え満点。この世との別れを覚悟した息子に持たされた銀のステッキを狂ったように振り下ろし続けるシーンからエンドマークまであまりにも切ない姿でありました。品格漂う怪奇モノの金字塔たる傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2021-03-28 03:16:23) |
5. オペラの怪人(1943)
《ネタバレ》 原作未読。数ある版どれも未鑑賞。怪人は娘を盲愛する哀しき人物で(最後まで父娘をはっきりさせなかったのはヘイズコード(近親相姦)に触れた為だそうです)あり、半分だけ焼けただれた顔(クロード・レインズ出演条件だったそうです)と共に彼らしいキャラクターでありました。故にヒリつく怖さが無かったのが残念です。見惚れたオペラシーンや恋の鞘当て模様など「陽」の印象が強いのが意外な作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-03-21 14:38:56) |
6. 汚名
《ネタバレ》 共に苦手なケイリー・グラントとイングリッド・バーグマンを白けた思いで眺めていましたが、セバスチャンとその母親が登場してから画面に引きずり込まれ結末までアッという間でした。二人を魅力的だと思わせられたのはクロード・レインズのお陰でしょう。策略に嵌り男としても裏切られた無念さ、我が身可愛さから「助けて下さい」と母親に縋り指示に従う情けなさ、絶品演技に奥歯噛みしめておりました。圧巻の階段降りから後ろ姿でのエンディングに本作の主役は彼だと実感する演出も冴えわたる巨匠の傑作です。 2022.10.22追記 ミニシアターながらもクロード・レインズ スクリーン初体験 唯々ウットリと眺めておりました。(幸) [映画館(字幕)] 9点(2021-02-06 14:17:45)(良:1票) |
7. 踊る結婚式
軍服姿であるだけで陸軍であることをまるで感じない舞台での起承転結は通常運転ですが、アステアのタップはジェームズ・キャグニーに負けず劣らずのキレッキレ具合、リタ・ヘイワースとのデュエット(リプレイタイム)は溜息が漏れる優雅さで、まさに「ダンスの神様」な姿でした。他の作品同様に「笑顔でいこうや!」力づけられるのに加えて爆笑シーンも盛り込まれたご機嫌な逸品です。 [DVD(字幕)] 9点(2020-12-21 02:15:04)(良:1票) |
8. オーソン・ウェルズINストレンジャー
《ネタバレ》 お目当てエドワード・G・ロビンソンのどっしりと構えた立ち居振る舞いが作品に重厚感をもたらしています。ただ、無欠過ぎて、キレッキレ(映像・音楽・演出に気鋭を見る)オーソン・ウェルズの魔の手にかかる心配を感じられなかったのが残念(贅沢)。併せて彼女の生死や如何に!が見どころの一つであるロレッタ・ヤングが今一つ物語に機能していないのも歯痒いところ。時計塔での決着は「カリオストロの城」が影響を受けたと思われるもので、ウェルズはこのシーンありきで本作を作り上げたのでしょうか? どストレートなサスペンスに満足の逸品です。 [DVD(字幕)] 8点(2020-12-02 16:34:37) |
9. 大いなる罪びと
《ネタバレ》 ドストエフスキー「賭博者」(未読)を脚色したという本作。作家フェージャが列車内でポーリーヌと出会った事がきっかけで、カジノに触れ、小説の取材からのめり込み堕ちてゆく姿が描かれています。グレゴリー・ペックが見せる小説家の内面が実に生々しく依存症の恐ろしさを見せつけられる絶品演技でありました。神に救いを求める姿は「意志弱き私にお力添えを賜りますように・・・」度々願う私には身につまされました。脇を固めるキャストが贅沢でウォルター・ヒューストン、エセル・バリモア親子、カジノオーナー メルヴィン・ダグラス、死神の如き質屋 アグネス・ムーアヘッド それぞれ重厚で、中でもエセル・バリモアの立ち往生ならぬ座り往生は迫力満点。惜しむらくはエヴァ・ガードナー。華のある美しさなのですが、台詞回しに感じる薄さがキャストの中で浮いていました。賭博依存症を描いた傑作です。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-19 00:54:33)(良:1票) |
10. 女相続人
《ネタバレ》 父親はキャサリンを愛おしく思っていないのではないか? モリスはキャサリンを愛していないのではないか? 曖昧で確信が持てずモヤモヤが募ってゆく。顕になった二人の本心に居たたまれない思いが。なので再び訪れたモリスの言い草に「どのツラさげて会いにきた!」「ペラペラ喋るんじゃない! 嘘つき男が!」怒りでクラクラする。なのでキャサリンの「・・・・・三度目はこの家に入れない」には溜飲が下がった。傷ついた心を憎悪で癒やしてゆくかのような静かな面持ちが印象深い。オリヴィア・デ・ハヴィランドのオスカー受賞納得の名演。ミリアム・ホプキンスの立ち位置がよく分からなかったのが少し残念。 [DVD(字幕)] 7点(2020-09-13 04:40:04) |
11. 踊る海賊
セラフィンは鬱陶しいキャラだけど、演ずるジーン・ケリーのアクロバティックなダンスには魅了されました。凄い! 初体験のジュディ・ガーランド。美しい容姿に歌って踊れる華のある存在感に見惚れます。 本作のリプレイタイムとなった絶品の「道化師になろう」 もっと二人のダンスシーンが観たかったなぁ。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-28 17:21:18)(良:1票) |
12. 愚かなり我が心
硬派、骨太のマーク・ロブソンの見応えあるメロドラマ。エロイーズは確かに愚かな女性。しかし、ウォルトとの在りし日のロマンスにウットリさせられました。屈折しておらず善良な好青年役のジェームズ・メイソン(そんな役があるのか?)を思い起こさせるダナ・アンドリュースの魅力に尽きます。そしてエロイーズの父親を演じたロバート・キースも彼に劣らず絶品で、この男性二人の一言一句は胸に染み入るものでした。原作者サリンジャーは本作に激怒し、以降自作の映画化を一切認めなかったのだとか。私は満足出来たので原作を読みたいとは思いません。映画よりも主題歌が大ヒットしたそうですが、それほどでもといったところです。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-29 01:23:48) |
13. 王将(1948)
《ネタバレ》 妻との別れの場面が関根に祝いを述べた場である事を考えると感慨がかき消されてしまいました。あっさり名人位を譲った心境も頷けないもので消化不良な作品でした。 [DVD(邦画)] 6点(2014-08-23 20:54:08) |
14. 落ちた偶像
妻の性悪さは描かれているものの、愛人の人となりが描かれておらず、不倫モノとして感ずるものがありません。また、どうせ分からないのだからと子供の前で不倫に及び口止めし嘘をつかせる男の不用意さと、やたらと覗き見し盗み聞きするこましゃくれた子供に、嘘が事態を悪化させてゆく展開を経ての結末に至るまでサスペンスモノとしてのハラハラ感も感じません。ただただ、イライラするばかりで期待が大きかっただけにガッカリです。邦題の意味も理解できません。 [DVD(字幕)] 3点(2008-01-18 00:08:15) |
15. 黄金(1948)
《ネタバレ》 ハワード爺さんは酸いも甘いも知り尽くしているのでしょう。器の大きさが違います。ラストの高笑いは「降り出しに戻っても、生きていればいいんだよ」と言っているように感じます。茫然自失のカーティンがつられて笑い出したのには思わず頷いてしまいました。ハワードのように年を重ねた、上司、先輩、師匠が居てくれれば心強い事この上なしです。大金の誘惑に狂ってしまったドブスはハワードに言わせると正直者だからそうなったという事ですが、自分は大金に変わってしまう人間と大金にも変わらない人間の違いは人に対する優しさがある、なしの違いに思います。手に汗握る展開、三人の名演技。見応えのある作品でした。 8点(2004-12-05 12:45:59) |