1. ALWAYS 続・三丁目の夕日
《ネタバレ》 前作では描ききれなかった銭湯などの描写や、映画や若者のファッションなど当時の流行のナビゲートに取り組んでおり、それをつなぐストーリーが、お前それ羽田空港出したかっただけやろ!!と思わずツッコミたくなるような、ただでさえベタであった前作以上に強引で予定調和的になってしまっていることがたまに苦笑を誘い、まとまり自体は前作のほうが良かった印象ではある。しかしあえて三種の神器に感動する家族、長嶋の真似をする子供や、テレビに集まり力道山に熱狂する民衆といったある意味ではステレオタイプとも言える昭和人感を映像化し、語り草から体感的なモノへと昇華させたのが前作の魅力であるのは間違いなく、進行していく時代とそこに生きる臨場感はそのままに、前作の続き、昭和人として、日本国民としての「人生の続き」を体験できるまさしく続編映画になっているという点では期待を裏切らない。特に昭和人情の描写という点は前作よりも強化されており、「純文学なんて」と引いて見ていたが、思いがけずそれに感動してしまった3丁目の人々のような体験をまさに自分がしてしまうようなストーリーに仕上がっていて、茶川が自信を滲ませながらも「これまでで一番の駄作かもしれない」と言った小説が人々の心の琴線に触れたように、確かにストーリー的には駄作であるのかもしれないが、なぜかそのストーリーは(日本人の)心の琴線に触れノスタルジーを想起する。なんとも騙されたような気分にもさせられるが、こういうのが名作というものなのであろう。 [DVD(邦画)] 9点(2012-01-17 08:32:20)(良:2票) |
2. ALWAYS 三丁目の夕日
戦後のどん底から再び先進国へ、日々豊になる生活と、あらゆる可能性に満ちたある意味アメリカよりも「自由の国」であったあの時代の風景と空気を、東京の下町の庶民の生活を通して再現。庶民としての視点に自分が置かれるというのが最大の魅力で、家にテレビが到着するのを共に心待ちにし、冷蔵庫、洗濯機と生活レベルが向上していくのを共に体験、そして完成していく東京タワーを見ながら、劇的に成長していく国と共に伸びていく可能性を感じる。あえて三種の神器に感動する家族、長嶋の真似をする子供や、テレビに集まり力道山に熱狂する民衆といったある意味ではステレオタイプとも言える昭和感を時系列的に映像化してしまったことで、その昭和感は語り草から体感的なモノへと昇華されている。それにより実現した空気感、すなわち進行していく時代とそこに生きる臨場感は、実写の記録映像では逆に表現できない映画ならではのもので、そこにこの映画の存在価値がある。一方で当たり前のように街を行きかう都電、躍動感と重量感に満ち溢れる姿で鉄橋を渡る東北本線C62晩年の雄姿、東北人の郷愁の場として隆盛を極めていた当時の上野駅の賑わい(建物は現在と変わらないところが余計に感慨深い)を日本映画史に残る渾身のVFXで見事に再現し、発展で「過去のもの」となる対象への懐古まで想起する。これほどまでに画面が切り替わる度にワクワクさせられた映画はかつてなかった。戦後、昭和、高度成長期という「空気感」を表現するためベタベタな昭和人情的ストーリーがついているが、そのベタベタの古い日本的価値観の集大成のようなストーリーがまたほほ笑ましい。アメリカ的価値観の集大成であるアルマゲドンがアメリカ人を扇情させたように、この映画は日本人のノスタルジーをとことん扇情する。日本人でよかったとまで思わされる。これほど郷愁に満ち溢れる気分になったのは初めてである。どれほどストーリーがベタで臭かったとしてもこれは傑作と言わざるをえない。 [DVD(邦画)] 10点(2012-01-17 07:07:28)(良:2票) |
3. オープン・ウォーター
《ネタバレ》 シチュエーションだけで後は創作って何が実話が元だっていう話だが、実話が映画化されたってことは生還するに違いないという印象を視聴者に与えるためだとしたらまあアリ。「興行の神様」スピルバーグが撮ったのがエンターテイメントなジョーズだとすると対極にあるリアリティ追求作品がこれ。確かに現実の状況だとしたらそりゃ海中もはっきりは見えんし、スリルのあるBGMもならんし、都合いいタイミングでサメに襲われたり救われたりするイベントも起こらないし、海上でラブラブもせんだろう。普通は波の音の中に何事もなく漂い続け・・・カップルならああいう喧嘩をするよなあw。作り上げられたホラーに飽き飽きしてきた人にはお勧めのスリラー。7点だが、こんなTVを含め使い古された題材ながらジョーズの2番煎じには終わらないオリジナリティで+1点。あ、もちろん作品としてはジョーズのほうが一枚も二枚も上手ですよ。 [DVD(字幕)] 8点(2011-06-06 23:52:40) |
4. オー・ブラザー!
カントリー版「トップガン」。ありがちな大恐慌時代のクライムロードムービーだが、センスのあるサウンドトラックで飽きさせない。「これは名作!」という類ではないが、たとえストーリーは忘れても映像や音楽は印象に残る作品である。 [DVD(字幕)] 7点(2011-06-02 17:39:20) |
5. 男と女の不都合な真実
下ネタ系ラブコメの傑作。メリーに首ったけを見て以来この手のジャンルは好きで、しかしキャメロン・ディアスやジム・キャリー辺りの安定してる俳優の作品以外はことごとくB級が多いのもこのジャンル。いや~久々にいいのきました。ラブアクチュアリーを横綱、メリーと恋するための3つのルールを大関で別格としても、ベガスの恋に勝つルール、クリスティーナの好きなコトやガールネクストドア辺りと並ぶ三役だねコレは。まあ横綱以外は俺が勝手に贔屓してるだけの八百長だから万人にはお勧めできんけど。1つ言えるのはこのジャンルが好きな人にはかなりお勧めの1本 [地上波(字幕)] 7点(2011-05-27 18:25:49)(良:1票) |
6. おくりびと
綺麗に仕上げようとしすぎているいかにもな日本映画だが、そこらに溢れるただのお涙頂戴日本映画として埋もれなかったのは、感動ストーリーとか綺麗なストーリーとかどうでもよくなるくらいのスピリチュアルなメッセージを発信してしまっているからだ。意図的であろうとなかろうと儀式として理解している日本人ですら感じさせられるもので、宗教も文化も違うアカデミー会員はわけもわからず揺さぶられてしまっただろう。関係者ですら予想しなかったアカデミー賞受賞は、結局投票者がいくらクオリティを考えても、結局エモーションには勝てなかったということだろう。見る「価値」のある映画 [DVD(邦画)] 9点(2009-06-25 02:09:14) |
7. 俺は、君のためにこそ死ににいく
別に自分は石原慎太郎の考えに否定的なわけではないが、戦争美化とかそんなのはどうでもいいんですよ。石原慎太郎の言っていることが全て史実だと仮定してもいいです。だからといって映画のストーリーを左翼への反論にする必要があるのか。大体、左翼以外の人間なら「常識」としているようなことまでいちいち主張せんで欲しい。そんなこといちいち反論しなくても誰も左翼の言うことなんぞ信じちゃおらんから!!いや、描くのはいいけど「主張」はいらん。いちいち鼻について全く楽しめなかった。しかも主張したいイデオロギーを盛り込みすぎてストーリー破綻してますよ芥川賞作家さん。映画なんだから少しは面白くしてください [DVD(邦画)] 4点(2008-03-31 07:17:14) |
8. 奥さまは魔女(2005)
ノーラ・エフロンのラブコメディはこの都会的な明るさと軽さが好きだ。決して細部まで作りこまれた作品ではないがテンポの良い演出が爽快。出演陣も楽しんでいるのがわかる。シャーリー・マクレーン最近頑張ってるね [DVD(字幕)] 7点(2006-05-15 16:01:57) |
9. 俺たちニュースキャスター
いくらなんでもはちゃけすぎじゃあ…昔の映画ならこれでもいいけど。いかにも「笑ってください」という作り、それ自体は悪くないがこれだけ面白くないと痛々しい。 [DVD(字幕)] 3点(2006-05-01 17:25:22) |
10. オーシャンズ12
なんて幼稚なストーリー、こういうの「名探偵コナン」で見たことあるぞ。アホらしすぎてこれじゃあどうしようもない [DVD(字幕)] 3点(2005-12-05 22:26:32) |
11. オーシャンズ11
ミッション The Job。無名俳優だけで作られた映画なら絶賛されてただろうなあ。よくもまあこれだけ集めたという豪華キャスト、肩透かしだったというのも納得はできる。確かに迫力ゼロ、緊張感ゼロ、絶体絶命の危機ゼロ、それ以前に危機感ゼロと内容は薄い。それでも十分に面白かったので高得点はつける。この肩透かし感はスティングに通じる物がある。あれほどの名作じゃないけどね。「カジノ」を見た直後なのでどうにも全体的に登場人物がチャラチャラしすぎている感は否めないが、たまにはドンパチの無いクライム映画も良い。 [DVD(字幕)] 8点(2005-11-25 07:41:59) |