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1.  男はつらいよ 寅次郎と殿様 《ネタバレ》 
真野響子さんは歴代のマドンナの中でも3本の指に入るくらい好きな女優さんで、しかし、このシリーズの世界とは合わない気がしてたし、このタイトルだったらほとんど主役はアラカンだろうと予想していたのです。ところが、真野さんの持ち味を実に巧く引き出しているのに驚きました。何より、「夫が早世してそれに対する思慕の念を抱きつつ、新しい人生も朧気に考えているヒロイン」に、真野さんは実に的確にフィットしているのです。だから、「その後再婚した場合」を語る寅の「アリア」にも味わいが出ています。フラれるシーンは久々にすかっとした感じの(?)王道描写(このときのぎりぎりのところでその場を収めるさくらは、まさに神)。●考えてみると、この作品では寅さんはそれほどマドンナにのめり込んでいません。が、殿様からの例の手紙で、「あれ、俺って結婚できちゃう?しかもこんな美人と?しかも殿様のお墨付きありで?」と舞い上がってしまうわけです。ここでドキドキ感炸裂です(それにしてもこの手紙が読まれた後、なぜか一斉にどんより落ち込むとらやのメンバーのリアクションは、最高に笑える。いや喜べよ)。しかしその後で分かるのは、むしろ本当にフラれるのは殿様だったということです。そこが切なさと奥の深さを増幅しています。●というわけで、真野さんがヒロインである映画は貴重なので、点数もオマケ。あと、谷よしのさんが台詞多めなのも、ちょっと嬉しい。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2020-08-18 02:26:17)
2.  男はつらいよ 噂の寅次郎 《ネタバレ》 
大原麗子という人は、絶品の美貌と同時に程良い庶民性があり、そして人生の影のようなものも表現できて(しかもそれがとらやの中で浮いていない)、つまりこのシリーズのマドンナとしては完璧な適役なのです。そして、麗子様のキュンとするような声であんなことやこんなことを言われると、見ている方まで一緒になってどきどきしてしまうわけですが、それだけに最後の切なさ、そしてあっさり旅立ってしまう寅次郎の宿命が際立っています。●改めて見てみると、この作品は、マドンナの魅力を引き出すために脚本も集中している。冒頭恒例のとらや騒動(今回は起こっていること自体はハッピーなのも良し)から、まだ大物化する前のピン子のスパイシーなアクセント(実は麗子さんより年下だったとは・・・)、そして博父との出会いと同道というドラマが、まるで一筆で流れるように描かれて、ここぞというタイミングで満を持してマドンナ登場。以後は怒濤のマドンナ一本筋。その中でキラキラした湖面のように交錯するマドンナの光と影(離婚しそうな状態とした後という設定をフルに生かしている)。シリーズを代表する傑作だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-08-27 01:33:08)
3.  狼たちの午後 《ネタバレ》 
もっともらしく強盗に突入していながら、開始数分後には早くも1人が自発的に脱落するという衝撃の展開。人質側にもどことなく「何やってるの、この人たち?」というリアクションが漂っているのが、何とも言えない。そのままなら、とっとと小金だけ奪って逃げ去るか、とっとと警察に制圧されるかのどっちかなはずが、膨れ上がったマスコミや群衆が作用することによって、犯人も、被害者も、警察も、全部の歯車が徐々に狂い出す。誰も予測していなかった方向でありながら、必然性を持って展開する手腕が見事。●その中でも、細かい演出の芸がいろいろあって、例えば、守衛のおじさんを解放した後に女性人質と一緒に外へ出るとき、鍵を開けるのにもたつくパチーノに対し、人質女性が「こうするのよ」みたいに動作で教える、さりげない一瞬。いろんな変化がちょっとした技で象徴的に表現されている。●ほとんどの舞台は、決して広くはない銀行店舗内と、その外のわずかな範囲なのに、それを感じさせず、しかも、登場人物の表情や行動や周囲の光景まで的確に切り取ったカメラの腕も特筆すべき。
[DVD(字幕)] 8点(2011-09-17 03:00:17)
4.  オリエント急行殺人事件(1974) 《ネタバレ》 
これだけとてつもない原作なんだから、あとはしかるべき俳優を配置して、急行の内部をしっかり再現して、それをきっちりと撮れば、存分に楽しめる作品が出来上がるわけです。しかし、単なる原作頼みではなく、多岐にわたる登場人物を上手く整理して、全員を必然性のある存在にしています。犯行再現シーンの迫力はいうまでもありませんが、それ以外でも、冒頭で1人1人列車に乗っていくシーンなんかでも、タネを知ってみていると緊張します。ただし、最後はやっぱり原作通りの主犯のスピーチが見たかったなあ。●後で考えると、この作品は、「お客さんに楽しんでもらうこと」を徹底するために、巧妙に原作をいじっているのです。冒頭に誘拐事件をずばり提示して(しかも台詞もナレーションもなし!)後の展開を分かりやすくし、閂がどうのとか細かいトリックは潔く削除。殺害場面は、原作ではものの数行なんだけど、台詞を追加してしっかり時間をとる。最後はキーパーソン2人が立ち上がって、もろにカーテンコール。そうそう、乗車・尋問・犯行・ネタ割り・ラストで順番をいろいろ操作しているのも、オールスターキャストの強みを生かした周到な緻密さが窺えます。というわけで1点プラス。
[DVD(字幕)] 8点(2011-01-24 00:08:15)
5.  おもいでの夏 《ネタバレ》 
最初の方では、主演二人のあまりの演技の下手さにコケそうになりましたが、終わってみれば大事なところをきちんとまとめた好作品でした。特に、クライマックスのラブシーンでは、もっと二人のそれまで抑えていた感情爆発!みたいになるのかと予想していましたが、意外に淡々とした、むしろ事務的なような(!)雰囲気で、しかもそれが追憶の切なさを増幅しているというのが見事でした。それから、薬局のシーンの、どんなサスペンス映画もアクション映画もかなわない手に汗握るスリリングな7分間も忘れがたい(笑)。映画館でのエロスマイルも、アホ青春モード全開でいい感じです。綺麗さっぱりと切り上げるラストや、背景の余計な説明なしなどの点も含めて、当たり前のことを正面からきちんと撮った作品はやはり好印象です。
[DVD(字幕)] 8点(2007-06-01 03:39:28)
6.  男はつらいよ 寅次郎頑張れ! 《ネタバレ》 
マドンナの登場がやたら遅く、初期作品の作り方に戻ったような感じ。ただ、藤村志保さんという典型的和風美人はこの作品世界との適合度は高いと思っていたので、これは何とももったいない。一方で、若者二人の恋愛譚は、中村雅俊と大竹しのぶという人材の力も加わり、制作側にとっても、当初の想定以上に話が広がり、異様に出来が良くなってしまったのではないだろうか。とりわけ大竹しのぶは、弱冠20歳にして、とらやの面々をコントロールするほどの求心力を発揮している(実家から戻ったシーンの存在感!)。サブゲストとしてはこれまでも桜田淳子や檀ふみという強力な例があったが、作中における磁場力はそれ以上だ。それと、もっぱらコーチを受ける立場だった青年が、最後に一言で場の色を塗り替える逆転の構図。●それと忘れてはいけないのは、パチンコ屋の杉山とく子さんではないでしょうか。最初は相互反発そのものだった寅さんとワット君が、ここで邂逅し、共鳴する。その変化の媒介を、ごく自然に(それも笑わせながら)行って、シーンの価値を高めているのです。これこそが役者の演技ですし、このシリーズは随所でこういう人たちに支えられています。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-08-27 00:45:08)
7.  男はつらいよ 寅次郎夢枕 《ネタバレ》 
お千代と助教授の初対面以降、寅さんは瞬時にシフトチェンジして仲介役(引っかき回し役?)を務めるようになる。なるほど、中期以降に出てくるキューピッド系の話の源流はここにあったのか、と思いつつ、ラストはもちろんこの2人がくっついてハッピーエンドなんだろうな、と予想する。ところがまさかの逆プロポーズという剛速球が飛び出して、ここでのドラマの重さは、それまでの割とマイルドだった雰囲気との落差が大きすぎなのです。追い打ちでラストのとらやの談笑場面、もうここでのお千代の静かなるアクション(そして1人だけ笑っていないさくら)の突き抜け度は圧倒的です。そんなわけで、終盤入口までとその後の10分では、まるで別の作品のようでした。●マドンナ関係以外では、せっかく正反対の寅と助教授を掛け合わせていながら、そこにギャップや変化の表現があまりないのが惜しい。それと、とらや場面も、笑いが少ない(おいちゃんの電話場面は例外ですが)割には気まずく沈黙するシーンが多く、ちょっと暗い感じ。●このシリーズではサブゲストにもこだわりがあることが多々ありますが、前半部分、わずか数分間の登場の田中絹代のインパクトも強力。ところで、この奥様の役は、別にビッグネームを当てなくても成り立ちます。そこにあえて絹代さんを持ってきたというのは、絹代さんこそが山田監督自身のマドンナだった、のかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-06-13 00:32:17)(良:1票)
8.  男はつらいよ 望郷篇 《ネタバレ》 
これはもう完全に「さくらの物語」ですね。最初に寅に説教をかまし、寅が就職活動(?)をするとなれば本人以上に真剣に悩み、それなのに寅から理不尽に逆上されてもそれに怒るでもなく、最後に旅立つ寅を一人で見送る。後のさくらの立ち位置がここで完成されています。第1作のラストと並んで、これがあったからこそ後の長期シリーズ化につながった、ともいえるかもしれません。●長山藍子姉は出番遅いんだけど、あのミニスカワンピと浴衣の可愛さですべて許す。●それとびっくりしたのは杉山とく子小母さんの、まるでとらやの一員であるかのような作品世界へのはまりっぷり。と思ったらテレビ版ではおばちゃん役だったんだそうで、そりゃそうだ。●ラストにマドンナがとらや(の関係者)を訪れる、という王道パターンも、ここで確立されています。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2020-05-04 01:22:46)
9.  男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け 《ネタバレ》 
前半の宇野重吉とのかけ合い、渥美さんの芝居が生き生きしているし、寅さんとしても新たなフィールドを開拓している。会話をしているだけでコメディが成立している。これで手応えを感じた山田監督が、その後のアラカン(第19作)とか仁左衛門(第29作)の登場を考案したんだろうな、と想像するのも楽しい。●その重吉さんは7万円のエピソードで役割終了かと思ったら、そのまま龍野まで引っ張っていき、それがぼたんとの出会いに絡んでくる展開。この構成も意外に斬新かも。ぼたんが柴又へ来てからは、生々しい金の問題とかが出てきて割と重たい雰囲気なんだけど、それがぼたんの涙一発で全部裏返るインパクト。●そしてやっぱりこの作品の大いなる価値は、岡田嘉子さんを引っ張り出して、その演技を映像に保存したことでしょう。あの激動の人生を送ってきた岡田さんに男性側から「僕は君の人生に責任がある」などということを言わせ、切り返しに岡田さんから、人生における後悔とは、という台詞を言わせるなど、山田監督ははっきりいって鬼です。そして、第10作の田中絹代さんと並んで、この人こそが監督にとってのマドンナだったのかな、ということも考えてしまいます。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-09-03 21:56:10)(良:1票)
10.  男はつらいよ 寅次郎相合い傘 《ネタバレ》 
前回登場作でもそうだったけど、リリーとの関係は、やっぱり恋愛関係じゃないんだな。ほかの人には分からない、放浪人としての感覚と感性が、言葉にはしなくても2人の間では共鳴しているし、そのことを無意識に2人とも分かっている。その視座が明確に設定されているからこそ、新たな切なさがこみ上げるし、演出もさらに突っ込んだ先を行っている。●相合い傘のくだりはもちろん名シーンなのですが、その前フリとして実に効果的なのが、雨の中戻ってきた寅次郎を何事もなかったかのように迎えるさくら、そして寅次郎の(迎えに行きたいという)内心を知ったときの、さくらの何とも言えない微笑みの表情。●そしてクライマックスの「幻の結婚承諾」シーン、ここでの浅丘ルリ子の演技は何度見ても凄い。「いいわよ」のときには、ずっと押し隠していたであろう少女のような純真さがふわっと現れている。しかし次の瞬間、さくら達が大喜びしている横では、すでに「何であんなことを言ってしまったんだろう」という強烈な後悔がにじみ出ている。そして寅が帰宅した時点では、膝を抱えて、まるでそれまでの感情の吐露を壁に塗り隠そうとするかのような無表情さ。●一瞬だけ登場する、デビュー直後の若き日の早乙女愛ちゃんも忘れてはいけません。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2016-08-26 02:39:42)(良:1票)
11.  オデッサ・ファイル 《ネタバレ》 
何気なく通り過ぎる1台の救急車から、次々に起こる展開を経てラストまで持って行く手際はかなりのもの。特に、印刷工場での無音対決のスリルは素晴らしい。ただし、主人公は随所で、詰めの甘さというか、脳天気というか、驚くほどのノーガードぶりをいかんなく発揮しており、「君、よく最後まで生きてたよな?」という気がしないでもない。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-06-07 20:54:52)(笑:1票)
12.  おさな妻 《ネタバレ》 
とにかく、関根恵子のあの可憐ないでたちと理知的な美貌を見たら、そばに置いて2人でルンルン気分であんなことやこんなことをしたいというのは誰でも考えてしまうわけで、その妄想をそのまんま具現化したこの作品は、映画としてはまったく正しい。しかも、新克利の旦那が、適度にオッサンなんだけど家庭的で理性的でもあるというのが、奇跡的に作品を下品に落とすことなく上手く作用している。それに、「これから僕が口にすることで、僕は君を失うかもしれない」とか、「目は、見るためだけではなく、閉じるためにもあるんだよ」とか、いいところでいい一言を決めてくれるではないの。新婚初夜の気まずさとか困惑感、それらを乗り越えたところでの感動というところを目をそらさずに堂々と讃美しているという点も特筆されるべき。
[DVD(邦画)] 7点(2012-03-26 02:04:14)(良:2票)
13.  男はつらいよ 寅次郎春の夢 《ネタバレ》 
まず最初に、このタイトル、時期が全然違いませんか?で、内容ですが、香川京子が意外なほど輝いてません。このシリーズには合うかと思っていたのですが・・・。ヒロインとしての造形も、12作目の岸恵子あたりの使い回しっぽい感じ。しかししかし、横から出てきて全部を吹き飛ばすのは、遂に登場、さくら絡みの恋愛沙汰(!!)なのです。博と結婚して以降、ひたすら愚兄の色恋を影からひっそりと見守り続けてきたさくらに対して炸裂するあの一言、これによって作品世界の全体が揺らぐほどの衝撃があるのです。それを受けて変化するその後の倍賞千恵子の芝居も絶妙ですし、また、その引取として、明け方のごみごみした上野駅脇での別れのシーンが効果的に機能しています。寅さん、一晩中面倒見てあげたんだね。でもマイコー、あのお守りをもらっちゃったら、君の恋愛も一生成就しないと思うけど。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-09-24 02:00:41)
14.  男はつらいよ 寅次郎純情詩集 《ネタバレ》 
京マチ子がマドンナというのが想像もつかなかったのですが、年上お姉さんへの憧れ路線と、そう来ましたか。しかもこのシリーズにはまさか来ると思わなかった難病死別展開と、割とやりたい放題な脚本で、位置づけとしては意外とアナーキーな一作かも。●京マチ子と檀ふみの演技の相性は非常に良く、作品世界での存在感もあって、レギュラーメンバーが安心して「支えの演技」に徹している。それを後押ししているのが、浦辺粂子大婆様の偉大なピン刺し力。ただ、最後の再会は、ない方がよかったと思います。●ところで最後の柴又駅で寅が語る、マドンナと一緒に花屋をするという空想話。実はこれは必ずしも荒唐無稽なでまかせではなく、実際に寅は、第3作では温泉旅館で、第5作では節ちゃんの豆腐屋で、楽しそうに働いています。つまり、もしどこかで運命が少し動いていれば、寅は風来坊を止めて、堅気として働く一生になっていたかもしれないのです。この駅でのやりとりには、その辺まで含めた主人公造形の周到さと深さを感じます。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-08-09 01:21:19)
15.  男はつらいよ 葛飾立志篇 《ネタバレ》 
樫山文枝さんがマドンナというのは、かなり期待したんですよねー。ほかの作品でいえば長山藍子さんとか大原麗子さんと一緒で、こういう庶民派美人こそが、このシリーズには相応しいと思っていたのです。ただ、設定が大学のインテリ助手になっちゃってて、そうなると、樫山さんの魅力というか本領もやや減少です。大体、この設定だったら、寅さんがそれまでやったことのないような勉学に本当にのめり込んでしまう、というところにコメディがあるはずなんだけど、寅さんがそんなことするわけないしね(したがって、ネタの活用不足感が残ってしまいます)。とはいえ、最後に大学教授と結びつけなかったのは、奥行きと余韻を残しています。樫山さんの映画出演作は貴重なので+1点。あと、桜田淳子も意外に作品世界にはまっていて、もう少し見たかった(この人、ドリフのコントでもきちんと絡む能力もあったりして、コメディに親和性が高いんですよね)。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-08-03 00:08:52)
16.  男はつらいよ 寅次郎恋やつれ 《ネタバレ》 
「柴又慕情」での吉永小百合はただぎこちないだけで、マドンナとしても上手く機能しているとはいい難かったので、あまり期待していなかったのですが、意外にもきちんとした内容でした。今回は恋愛沙汰はスパイス程度で、主眼は宮口精二との親子関係の再生ですね(ただ、バランスをとるために、高田敏江のあの冒頭強烈カウンターを入れたのでしょう)。収束部分の、思わず「浴衣綺麗だね」と口走ってしまう寅、そして花火の隙にまた旅立ってしまう寅もいい感じ(あの「階段の下に置かれているサンダル」のショットの美しさ!)。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-07-05 02:28:06)
17.  男はつらいよ フーテンの寅 《ネタバレ》 
このシリーズの場合、お約束の恋愛沙汰以外にも突然名シーンをぶち込んでくることがあるのですが、この作品ではやはり、テキ屋の大先輩とのあのくだりでしょう。今から考えると、こんな決定的カードをこんな初期作品から切っていたのかと思いますが、当時はここまで長期シリーズとなるとは誰も思ってなかったのかもしれません。●新珠三千代が登場したときには、てっきりどこかで、寅が一席ぶっていた「酒の徳利を置いたら絶妙なタイミングで人肌温の次の徳利が出てくる」とかのアクションが出てくる(そして寅が「本当にそんなことあるのか?」と焦る)みたいなシーンがあるものと想像していたのですが。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2020-04-21 00:43:47)(良:1票)
18.  男はつらいよ 奮闘篇 《ネタバレ》 
単に美人に惚れてその後で振られるという王道パターンとは少し異なる、密かに奥の深い作品。この作品での寅さんのスタートは明確に「保護者愛」なんだけど(沼津駅の別れのシーンは名シーンだ)、相手が本当に自分の懐に飛び込んできて、いろいろとその世話を焼いているうちに、いわば行動の側が内心を形作るような感じで、いつの間にか結婚生活計画まで立てるようになってしまう。この自然な推移が味わい深い。あと、田中邦衛が最初から最後まで「爽やかないい人」というのも、意外と貴重だったりして。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2016-08-15 01:32:47)
19.  男はつらいよ 純情篇 《ネタバレ》 
最初に見たときは、若尾文子のマドンナの存在がどうも浅くて物足りなかったのですが、再見してもそれは変わりませんでした(笑)。よって、寅さんの恋の病というのも、あまり説得力はありません。ただ、若尾さんが問題というよりも、この作品はサブエピソード部分の出来が良すぎて、マドンナの出る幕が狭められてるのですよね。冒頭の宮本&森繁の強力なドラマとか、博の退職騒動の盛り上がりとか(もしかして、「寅さん相手に服を脱ごうとした女性」というのは、シリーズ中絹代が唯一なのでは?そして、宮本さんの驚きの視線を受けた切り返しの寅さんの「険しい悲しみ」の表情も凄い)。●シリーズの歴史という観点から見ると、(1)源ちゃんが本作から帝釈天に居着いている、(2)柴又駅での見送りシーンが初登場、という点でも重要な作品です。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-07-27 13:01:22)
20.  男はつらいよ 寅次郎忘れな草 《ネタバレ》 
そんなに恋愛方面にのめり込んだ作りにはなっていなくて、むしろ放浪者同士の心のふれ合いや交錯というのがテーマだったんですね。だから、あっさりリリーが消えてしまう展開の切れ味が光っています。もっとも、だからこそ、鮨屋での再会のシーンはいらなかったんですが。●内容的には、この時点では「異形のキャラ」とさえいえるリリーを、制作側がまだ使いこなせていない印象も受けますが、だからこそ、後の寅のある意味生涯の支えとすらなるリリーを発掘した意義は大きいといえますし、この作品があったからこそさらにシリーズの長期化が決定づけられたともいえます。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-06-16 00:47:43)(良:1票)
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