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プロフィール
コメント数 3881
性別 男性
年齢 53歳

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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  女必殺拳 危機一発
最近はとてもチャーミングなお嬢さんが実は長年、カラテをやってたりしたとかで、その素晴らしい身体能力を女優としてアクション映画の中で披露してくれたりして。いやはや、いい時代になったものです。 それもこれも、志穂美悦ちゃんがパイオニアとして先鞭をつけてくれたからこそ。みんな、悦ちゃんに憧れてアクション女優を目指したんだろうね。 と言いたいところだけど、まあ、そんなワケ、ないですわな。女必殺拳の頃と現在との間には、大きな空白の期間が。志穂美悦子に続くアクション女優はなぜ現れなかったのか・・・。 当然と言えば当然な気もしますね~、こんな妖怪映画みたいな作品しか作られないんじゃあ、ねえ。 こういう作品を安心して楽しむには、ある程度の距離感が必要ですね。だから、今こそ楽しむべき映画!なのです。 今回も敵の一味として、面倒くさいヤツが大量に登場します。コケオドシ感、満載、なのですが、これらのややこしくて面倒くさい妖怪じみた連中だけではなく、なななんと倉田保昭兄さんまでが、敵の一味? という展開。最終的にどうなるかは、見てのお楽しみ? 志穂美悦ちゃんのアクションは、今見ると微妙なところもありますが、それでも前作よりパワーアップしてるんじゃなかろうか。激しく、そしてキレがいい。 さらには、そのアクションを支える、カメラの躍動感。破綻寸前といって良いほどアングルを振り回し、それでも何とか、アクションがカメラに収まっている、そのギリギリな感じが、スリリングかつ迫力満点です。 もう、お腹いっぱい。
[インターネット(邦画)] 7点(2022-05-16 22:37:01)(良:1票)
2.  女必殺拳 《ネタバレ》 
さすがは志穂美悦ちゃん、カット割りで誤魔化すことなく、一連の流れるような動きで格闘アクションを見せつけてくれます。多少、単調なところもありますが、まあ、千葉チャンも大体こんなもんでしょ。構えのポーズもちょっとヘンですが、いやいや千葉チャンだって。 単調さを補うのが、敵のキャラの多彩さ。ほぼ怪人。ほぼ妖怪。多彩なキャラが多彩過ぎる武器を手に、次々に襲ってきて、次々にアッサリ斃されていきます(笑)。 死に方もバラエティに富んでいて、脳天に剣を刺されるヤツ、内蔵をはみ出させるヤツ、剣山に串刺しになるヤツ、面白いように血を噴き出させるヤツ。秀逸なのは、首をねじ切られて180°回った状態のまま、後ろ向き(前向き?)に歩いていくヤツ。 戦いの舞台が突然、崖の上に切り替わったりするのも、いいじゃないですか、夢があって。 燃えよドラゴンのパクリ感をあちこちに感じさせる作品ではありますが、逆に言えばその高いハードルに挑戦した悦ちゃん、なかなかお見事でした。 しかし、あの、吊り橋から転落するシーン。最近、私も視力に自信が無くなってきているのですが、見間違えでなければ、あれはもしやダミー人形。いや、どう見てもダミー人形。後の映画で真田サンに無謀極まりない飛び降りスタントをやらせてたのに比べると、千葉チャン、悦ちゃんにはちょっと甘いんじゃないの~。 いえいえ、真田サンがやり過ぎなだけです。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-10-17 08:03:05)(笑:1票)
3.  女ガンマン・皆殺しのメロディ
「女ガンマン」なんてのがいかにも、企画モノ、っぽい感じがしちゃうのですが、コレ、なかなかの作品です。ちゃんと起承転結になってます。あるいは、交響曲の4楽章構成。 主人公の女性が、自分を襲い・夫を殺害し・家を焼いて去って行ったポンコツ悪党三兄弟への復讐を誓う、と言うオハナシ。凄腕ガンマンへの弟子入りを希望するも何度も断られる、その過程がいい。ある瞬間に、転機が起こる、その流れがいい。 ようやく射撃を教えてもらえることになっても、映画はそこから、銃を入手するための旅へとエピソードを移す。海岸で子供たちと戯れたりする、平和な日々。もう復讐なんて忘れてしまってもいいんじゃないか、という気がしてきて、だからこそ、「それでもやはり復讐しなければ」という主人公の意志が、一種の宿命のようなものを感じさせ、見てて、やるせない気持ちにさせられます。 いずれにしても、彼らの元にある日、三兄弟とは別の悪党一味が現れて、平穏が破られます。 ここでの銃撃戦が、映画中盤の見所です。なかなかの迫力。こんな連中と戦った後で、今更あのポンコツ三兄弟と戦っても、盛り上がらんよなあ、と言う気がしてくるのも事実ですが。 しかしそこは我らがボーグナイン。強敵として彼女の前に立ち塞がります(ジャック・イーラムなどは予想通り戦力外)。終盤の刑務所跡での対決の場面では、影を使って間接的に人物の動きを見せるなど、心憎い演出もあったりして。 意外に正統派の作品、という印象です。企画モノだなんて、とんでもない。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-05-18 22:39:59)(良:1票)
4.  黄金の犬
所持するマイクロフィルムのために悪徳政治家の手先に追われる男一匹と、家から遠く離れた北海道で飼い主からはぐれた犬一匹との、逃避行。 単に可愛いはぐれ犬を夏八木勲が拾った、みたいな感じになっちゃってるのがちょっと弱い気がして、彼が犬に惹かれたことの動機付けがもう少しあってもよさそうだけど。ただ結果的に、犬が彼を鼓舞することになる、というエピソードは準備されてませす。 彼らを狙う狂犬のような男が地井武男。主人公の犬よりも獣っぽい役どころ、確かに地井さん、目付きは鋭いのですが、顔立ちが整ってて、狂気までは感じさせず、迫力不足に思えます。こういうのは安っぽい映画ほど得意なところで、メイクで顔に傷痕のひとつでも描き込んで、迫力を補うもんです。 そして事件の真相に迫る型破りな刑事が、鶴田浩二。すぐに手錠を持ち出したりして破天荒さをアピールしますが、これこそ「人の良さそうな眼鏡のオジサン」にしか見えない悲しさ。もう少し落ち着いたキャラに変更してもよかったのでは。 で、それらの登場人物たちが日本各地を転々とする、その割には、妙に易々と互いに出会っちゃう。これを安易に「ご都合主義」とは言いたくないけど、でも、ここまで簡単に出会えちゃうと、スケール感を損なってる気がして(地井さん、アナタのことですよ!)。 しかし、銃撃戦あり、カーアクションあり、海上保安庁の協力あり、犬とアザラシの死闘(?)あり、そういった点での見せ場は多く盛り込まれて、映画を盛り上げます。銃で撃たれりゃ噴き出す血ノリの量も通常の2、3倍。森田健作など、どこからそんなに湧き出るのか、という血の量に、仕込まれた火薬の煙がまるで湯気を上げているようで、まさにこれぞ熱血漢。 あと、サービスとして、一番星桃次郎とおぼしき人物まで特別出演。チョイ役なので実現しなかったけど、もしも彼が島田陽子に出会ってたら、また例によって彼女の周りにお星サマがキラキラきらめいていたんだろうか。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-04-10 13:25:20)
5.  女番長 野良猫ロック
アッコさんがいくら実生活で強いからと言って、アクションスターになれるかというと、そうは問屋が卸さない。だけど、持ち前の長身にダイナミックな歌声、やや素人じみた演技なんかも独特の味を出していて、梶芽衣子軍団とは一線を画した存在感を放ってます。 さらにはところ構わず繰り広げられる、バイクとクルマのチェイス。ミニミニ大作戦(オリジナルの方)を彷彿させますが、追われてるのがミニミニならぬデカデカのアッコさん、というところに、妙味を感じます(勿論代役のスタントだろうけど)。 全編にわたって繰り広げられる、サイケ調の世界。何やら昨今、80年代がイケてる、みたいな言われ方もするけれど、いやいや、本当にアブなかったのは70年代、だと思うんですけどね。
[インターネット(邦画)] 6点(2021-03-27 22:28:22)
6.  オレゴン魂
『勇気ある追跡』の続編というのか、それとも変奏曲とでもいいますか。また3人で「追跡」をやるのですが、今回はずいぶん勝手が違ってます。前回ジョン・ウェインと同行したのが少女だったのに対し、今回はキャサリン・ヘプバーン演じるオバチャン。前回は3人の間にある種の緊張感があったけど、今回はこのオバチャンに圧倒されて、ジョン・ウェインもたじたじ(もう一人の同行者である先住民の少年は、とてつもなく素直なので、正直、存在感ありません、ハイ)。このオバチャン、敬虔なクリスチャンのはずなのにアッサリ敵を射殺してみせたり、クライマックスでは敵にウソついて不意打ちしたり、まーやりたい放題、まさに独断場。 ジョン・ウェインも、もうしょうがないなーとばかり、最初から折れ気味で、二人の間に緊張感が無いことは、二人の姿を横並びで収めた画面の多さにも表れています。 という、なんともいえないおおらかさ。ガトリング砲ぶっぱなしたり、ニトロが爆発したり、人も結構バンバン死ぬんですが、基調はあくまでコミカルです。もうこの二人、結婚しちゃえばいいのにねえ、と思ってたら、ラストは西部劇らしく別れとなるのですが、ここでは去っていくのがキャサリン・ヘプバーンであって、ジョン・ウェインが「見送る側」なんですねえ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2019-01-21 21:28:10)
7.  男の出発 《ネタバレ》 
Associate Producerとしてクレジットに名を連ねているのが、ジェリー・ブラッカイマー。かつてはディック・リチャーズ監督とともに、こういうシブい作品に関わってた訳ですな。 カウボーイに憧れる少年が、牛追いの仲間入りをして旅に出る、というオハナシですが、この牛追いのオッサン連中が見事なまでにアクが強く、キタナくって、「この少年もやがてはこういうオッサンに成長するのか」とか「このオッサンたちもかつてはこんな初々しい少年だったのか」とか、そういうことはまったく想像できない(笑)。もう、別の生き物です。 という西部劇で、72年の作品ということもあり、流血の描写や激しい銃撃戦の描写などには、かつての古き良き日のウェスタン映画とは違った印象を受けるものの、それでも懐かしい詩情のようなものは確かに感じられて、西部劇とニューシネマが魅力的に融合した作品となっています。 オッサンたちの中で、いつも半人前だった少年、その彼が見せた決断が、終盤のひとつの流れを作るのだけど、結局彼自身は何もなしえないという虚しさ。このあたりは、もはや失われてしまった古き良き西部劇に対する郷愁でもあり諦念でもあるのかな、と。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2017-03-12 10:08:26)
8.  狼よさらば
どんなバカ映画のアホ役でも、役者さんが一生懸命に演じていて、頭が下がる思いがするのですが(笑)、いやいや変態チンピラ役だってあなどるべからず、こういう役でも一生懸命にこなしていれば、いずれはハエ人間になって巨大宇宙船を撃退するチャンスを手にする可能性だってあるワケですな。 そりゃまあ、こんな映画の主演をやっちゃったせいで、その後もこんなシリーズに出続けるハメになるスターもいるんでしょうけど。 というワケで、バラバラな邦題でお馴染みの、Death Wishシリーズ第1作。ブロンソンがエリートビジネスマンってのが、何でやねん、という感じなんですが、第1作なんだから仕方がない(という納得の仕方でよいのかどうかわからない)。妻と娘を暴漢に襲われたブロンソンが、世のすべての悪党どもを制裁すべく、銃を手に立ち上がる。フツーのオジサンがだんだんおかしくなっていく過程がちゃんと描かれていて、そういう点はまだマトモなんです第1作だから。 葬儀の場面では雪景色、狙った撮影なのかそれともたまたま撮影時に雪が積もっちゃったのか、いずれにせよ悪くないです。 ただ、まあ、何というか、ブロンソンひとりの活躍で犯罪が激減し、市民も彼に勇気を得て犯罪撃退に立ち上がり好循環、という実に乱暴で楽天的なこのオハナシ。褒められたもんではなく、やはり苦笑しながらひとり楽しむ作品かと。 映画そっちのけといった感じでさまざまな音楽を提供してるハンコックが、本作の珍品感を高めていて、影のMVPですね。
[CS・衛星(吹替)] 6点(2016-05-01 09:39:38)
9.  狼の挽歌
いつもにも増してバカボンパパ似のブロンソン、なのにシブい、シブ過ぎるハードボイルド。彼が演じる主人公は寡黙な殺し屋。そりゃまあイタリア語のセリフをブロンソンがペラペラまくしたてても変なので、寡黙にもなろうってもんですが、まず冒頭からこれといったセリフもないままカーチェイスに突入。何が何やら、ですけれども、もちろん説明など不要。彼はまさに、そういう日常を生きる人間なのだから。やがて彼はある陰謀に巻き込まれていくのだけど、彼は決然と立ち向かい、そして刹那的に行動する。結局のところ、男ってのは、人を殺すときも、オネーチャンとエッチするときも、いつだって孤独なのだ、ということですね。モリコーネのノリのいい音楽が印象的ながら、あえて音楽を入れない静寂の中の、エレベーターのクライマックスが、さらに印象的。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2014-09-03 23:27:32)
10.  男はつらいよ 寅次郎子守唄 《ネタバレ》 
コメディならではの強引さが楽しい作品です。まず博の労災事故、ここで早くも看護師さんであるマドンナが登場して物語の布石を打つ。え、強引どころか、計算された脚本やんか、ってか。しかし、寅さんが帰宅し、老後の備えの話題となると、まるで会話を事前に予期し構想を練っていたかのように、壮大かつ軽薄な計画をスラスラ披露する寅さん、当然喧嘩となりとらやを飛び出すが、老後の備えと称していた通帳を捨て台詞と共にさくらに渡すと、それは実はさくら名義の通帳だったというオチ。喧嘩してカッコよく飛び出すところまで全て事前に織込み済みだったとしか思えない寅さんの全言動、コメディたるもの、このくらい強引でなくっては。そこから一転、侘しい港町でアンパンを買う寅さんの姿、風情があっていい感じ。しかし強引さは手綱を緩めず、知りあった甲斐性無しの男に赤ちゃんを押しつけられる展開。この後、登場人物の誰一人、警察に届けるべきという発想を持たないのが大変よろしい。この赤ちゃんが寅さんとマドンナを結びつける存在であり、一方とらやの面々はこれを阻止しようとムダな足掻きをする訳ですが。マドンナも強引にとらやに出入りするようになり、最初っから、寅さんにホレさせておいて後で別の男に走る算段だったとしか思えない。このシリーズのマドンナとして、これだけ自分の義務(?)に忠実なヒトも珍しいのでは。寅さんもこれに応え、いつにもまして軽薄で無責任な言動の数々を披露。当然にして最終的にマドンナは他のムサい男を強引にも選択。失恋したと知った瞬間に旅支度をする寅さんも、それを大して止めもしないとらやの面々も、素晴らしいほどに要領が良く、こういうストレートさも本作を実にサバけたものにしています。例の赤ちゃん、最後まで物語をかき回す役として存在してくれればいいのに、残念ながら作品の途中で退場してしまう。こうして物語を「整理」してしまうのが、本シリーズの限界かとも思う反面、最後に「遠い空の下で元気にしてるよ」と顔を見せてくれるのが、本シリーズの優しさか、とも。ところで、コーラスに参加した後のさくら、丸めた紙を持ってますが、楽譜ですかね。丸めちゃってるってことは、もう参加する気ないんですかね。喫茶店で丸めた紙を窓際に押し込んでましたが、このまま置いて行く気なんでしょうね。と思ったらその後のシーンでもまだ持ってましたね。意外に続ける気なんですね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2014-02-22 04:20:35)(笑:1票)
11.  男はつらいよ 私の寅さん
「カントクぅ、渥美さんばかりロケ連れてってもらってズルいですよ~」ととらやの面々が直訴した訳でもないのでしょうが、前半はとらやの皆さん、楽しい九州ロケ。おばちゃんは健忘症、かつて湯の山温泉に行ったことも忘れて「箱根より西に行くのは初めて」ですと(まあこれは東京人らしい定番のセリフ、ということで)。でまあ、結局は、寅さんが留守番でせっかくの旅行も落ち着かない、という展開になるのですが、どっちみちロケ自体は楽しかったに違いない(笑)。という訳で、前半がいつもと違う路線なら、後半もまた変化球で(前半と後半にどういう関連があるのか、マドンナとの出会いが大ゲンカから始まる、という趣向。しかし、あああっという間にマドンナと仲良くなってフツーの路線に戻ってしまうのはコレ、どうしたもんだか。人生においてゲージュツとは欠くべからざるもの、そして寅さんの恋愛もまたそういうものの一環なんだとか。それは結構だけど、ゲージュツの怖さや残酷さも忘れてはならないのであって、このマドンナは、ちと「優し過ぎる」んじゃないだろうか。ゲージュツの優しい一面ばかりを描き過ぎなんじゃ、ないだろうか。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2014-01-20 22:39:38)(笑:1票)
12.  男はつらいよ フーテンの寅
シリーズ中、山田洋次以外の監督がメガホンをとった2作品のうちの一本である、第3作。やはり雰囲気も異なります。長廻しもあれば、ごく短いカットの応酬もあり、特に江戸川べりでのさくらとの別れの場面の抒情性は、長いシリーズ中でもかなり異色のシーンですね。で、立ち去る寅さんは、駅に向う通勤者たちとは逆方向に歩いて行くのだけれど、一体どこに向ってるの?? 後半の舞台は湯の山温泉。ここでもまた、寅さんは例のごとくテキトーでいい加減なのだけれど、それでも、最後には実にいいトコロを見せる。そして見事に仁義を切って見せ、根なし草として生きる男の意地と孤独を、我々に見せつける。単なる失恋コメディに収まらず、寅さんの生き様をしっかり描いてみせた点、監督を交代しただけの価値ある異色かつ出色の作品となりました。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-12-31 11:55:58)(良:2票)
13.  男はつらいよ 奮闘篇
冒頭、集団就職の若者たちに「親を恨むなよ」「葛飾柴又のとらやに行けば皆暖かく迎えてくれるから」などと語りかける寅さん。とりあえず、「自分も同じ汽車に乗る予定だったのに調子に乗って見送る側になってしまった」というオチがつくのだけど、その後本編でさらなるオチが待っていて、とらやでは不在の自分を皆バカにしているし(といっても実は寅さんを暖かく迎える相談をしていたのに、というスレ違い)、寅さん自身、生みの親である蝶々さんを恨みまくってるし。という訳で、口で言うようには世の中、なかなかうまくいかないもの。とりあえず、前半は蝶々ワールドが展開していきます。お陰で後半のマドンナとの絡みがやや食い足りないか。で、今回のマドンナと寅さんの恋についてですが、エーと、その、コメントしづらい面があり、ノーコメントということで(笑)。しかしまあ、昨今、弱者切り捨て型の社会などと言われ、切り捨てた挙句にその帰結として発生する生活保護の増加と、それに対する中傷もまた増加するという悪循環、それに対し、障がい者の就職支援という、サポート型社会の姿を寅さんを通じて描くってのは、なかなか時代を先取りしているのではないでしょうか(世相を後追いする山田洋次監督には珍しい??)。さてさて、「似合いのカップル」ってのは、変に似合っていると、周りは心配になる。ましてや、似合ってないともなると……。物語自体は誰もが予想する展開となるのだけれど、それでもやっぱり、息子を想う親心、蝶々節が再び炸裂し、物語の流れに楔を打つ。そんでもってラストのさくらの旅路が良い。ここはもう少し長く観たかった、かも。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-12-04 23:50:01)(良:2票)
14.  オデッサ・ファイル
ごめん、乱読してた頃に読んだとは言え、驚く程記憶から飛んでしまってる、フォーサイスの原作。勢いで書いた「ジャッカルの日」の面白さ、特に後半の、ターゲットに迫り来るジャッカルと、加速度的に拡がる捜査網と息詰まる追跡劇は、映画も大いに楽しめたとは言え、興奮度では小説が数段上。と言う訳で期待して読んだこの第2作「オデッサ・ファイル」、某大な取材に基づく労作みたいだけど、肝心のストーリーが、地味といか行き当たりばったりと言うか(ということを本をパラパラめくって思い出す。ごめん、やっぱり内容を殆ど憶えていない事も確認される)。このたび、映画は初めて観ました。ははは、何だか小説よりなお若干、地味ですなあ。などと、小説の中身を殆ど忘れていた自分が言うのもナンですが。主人公のキャラクター自体が特徴が乏しくて地味。そんな主人公が、なぜこんな危険に飛び込むのかもピンと来なければ、なぜこうも危険な任務をスイスイこなすのかもピンと来ない。巨悪に挑む割にはユルい展開にも思えてしまって。なお、前者の「動機」については、最後にある真相が明かされ、小説として読む場合にはそういう「思わぬ真相」も仕掛けとして楽しめたりするけれど、映画でコレをそのままラストでやられると、ちょっとガクッときてしまう。何しろ、そこまで映画を通じて行ってきた「描写」を、「言葉」によって再度意味づけしようってんだから…。すみません、小説版はイマイチ、映画版はバカ正直で小説の欠点を補う工夫が無い。というのが私の感想です。 大御所が担当する音楽も、スバラシイまでにヘンテコでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-04-06 15:17:56)(良:1票)
15.  オーメン(1976) 《ネタバレ》 
子供の頃の3大オカルト映画と言えば、エクソシスト、サスぺリア、そしてこのオーメン。ビビリだった私でもさすがに中学高校ともなってくると、何とかこれらの作品も観られるようになって、一種の達成感のようなものを感じたりもした訳ですが。しかしエクソシストの執拗さ、サスぺリアのワケ判らなさと比べると、この『オーメン』、ずいぶんとっつきやすい。そりゃま、ショック描写はピカイチですけどね(後のリーサル・ウェポン2なんかにも繋がっていきますが)。タイトルが「オーメン」すなわち“前兆”であるまさにその通り、なーんか最初から怪しさ満点で、順を追って惨劇が要領良く提示されていく感じ、その段取り良さが、恐怖映画としてはもうひとつ、なんですね。「おや何だろう?」と思わせて「うわ、そう来たか」みたいな意外性が乏しくって、あまりゾッとさせる部分が少ないのです。ホラ、ダミアンが三輪車でクルクル回っているシーンのワケの判らなさ、そしていきなり惨劇に繋がる意外性と納得感、あれは良いですよね、好きなんです。ああいうヤな感じがもっと本作にあれば良いんですけどね。全体的にはストレートな描き方で、怪しい人と怪しくない人がはっきりしていて、残酷な割に陰湿な感じがせず、まあ、かつての私のような怖がりの方にもとっつきやすい作品ではあると思います、ハイ。そう、例えば、母親をあくまでダミアンの味方として描く方法もあったはず、そして“母親と息子の密着した関係”から阻害される父親の孤独、ってな描き方があったはず。だけど、そういうヒネリも無いしね。「悪との対峙」の構図が、要するに単純なんですね。ただ、ラストは秀逸です。何ゆえ、ダミアンの味方をし続ける父親の目の前でカメラマンはドハデに殺害されたのか? わざわざ父親にダミアンの殺害を決心させるようなことを? ラストで大統領に手をつながれるダミアンの姿、ここで、ありとあらゆることが計画的であったことが分かる仕掛け、この辺りに関しては本作の名声、ダテじゃないと思います。あと、音楽。ゴールドスミス御大がオスカー受賞した作品ですが……確かに悪くないですが……でも、御大のベストワークとは思わないけどなあ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-17 23:49:05)
16.  黄金の7人・1+6/エロチカ大作戦
“黄金の7人”じゃなくって、“黄金の3玉”ですね。朴訥とした性豪兄さんのトホホな活躍が地味に描かれ、まあ一応はエロい内容なんだけども、エロいシーンでエロく描くんじゃなくて、エロなメタファーをひたすら連発する。それがどうにもくだらなくて。そのまったくハジケていないギャグの数々に、多分ここで笑わないと他に笑うところ無いんだろう、などと(酒井くにお・とおるの名言みたいなことを)思いつつ、でもなかなかよく出来た映画で、つまるところ、どうしてこんなクダラナイ映画をこんなに一生懸命作れるんだろうか、と。これが性のもつパワーなのか、と。別に感心もしていませんが、ちょっとしみじみ(笑)。あ、いくらクダラナイと言ってもこれだけ連発されると、最後の望遠鏡が下向くシーンでは根負けして笑っちゃいました、あはは……はは。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2012-11-04 07:56:20)
17.  大いなる決闘 《ネタバレ》 
これは珍作、どこまで真剣なのやら、とにかくヘンテコな西部劇。血が吹き出る描写やスローモーションの多用など、シビアでヘビーな作品を目指している、らしい、のだけど、これがいかにも「なんちゃってペキンパー」な感じで、とってつけた感じが拭えない。脱獄囚ジェームズ・コバーンが、仲間を引き連れ、元保安官チャールトン・ヘストンへの復讐を企む。そして両者の対決へ。という訳ですが。コバーンの悪役ぶりが光る一方で、主人公であるはずのヘストンの影がどうも薄い、というか、グダグダとセリフが多い割に性格付けが薄く、つかみどころがない。ヘストンについて行く助っ人の若造に至っては、どこの馬の骨なんだかさっぱり分からない感じ(大物俳優である父親にあまりに似ているので、その点だけは印象が強いけど)。娘が悪漢ども襲われているのを見て逆上する元保安官に対し、「これはワナだ」と元保安官が飛び出すのを引き留める助っ人の若造。引き留めるのはいいけど、そんなタコ殴りにせんでもいいでしょう。保安官も娘の心配はどこへやら、急に冷静になって若造のことを誉めたりしてるしなあ。で、何をトチ狂ったか、草むらへの放火というよくわからん手段にて、保安官たちの反撃が開始される。いや、炎の中の対決がクライマックスなら、それはそれで良いのだけど、やがて鎮火してしまい、勝負は翌日に持ち越されちゃう。銃撃戦、ヘストンが拳銃を連射し、敵の一人が「6発撃ち尽くしたぞ」とわざわざ判り易くつぶやいた上で飛び出すと、ヘストンは澄ました顔でもう1丁の拳銃を取り出し射殺する。ま、テンポが良いことは否定しませんが(笑)。そしてついにコバーンとヘストンの対決! わざわざヘストンが事前に解説していたセリフ通りの結末に、納得いくような、いかないような。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2012-10-02 23:51:55)
18.  狼よ落日を斬れ
三隅研次監督最後の劇場作品は、なぜか松竹、なぜか自ら脚本を手掛け、なぜか2時間半を超える歴史大作。なぜか風雲篇・激情篇・怒濤篇と銘打たれ、しかもなぜか風雲篇と激情篇は一緒になっているので実は2部構成。という摩訶不思議な作品。混乱ぶりがうかがわれ、内容もイマイチまとまりがありません、ってまあ、そのまとまりの無さこそが大作としての風格でもある……のですかねえ。舞台は幕末、主人公は“ワイルドスギどん”こと杉虎之助(高橋桃太郎侍英樹)、浪人で典型的な剣豪タイプ。で、彼の視点で描かれていくのかと思いきや、物語はあっちこっちに彷徨い、1時間くらい観ていてようやく判明するのは、これは実は、立場こそ違えど互いに理解しあう、4人の若者たちの物語であったのだな、と。剣豪スギどんの他には、新撰組・沖田総司(西郷星のフラメンコ輝彦)、見廻組・伊庭八郎(コンドーです正臣。アレ、伊庭八郎って見廻組でしたっけ?)、そして薩摩藩・中村“人斬り”半次郎のちに桐野利秋(緒方拳、言えばエーっと何だろう)。これだけのメンツ集めりゃそりゃ4人のキャラも立ちまくり、お陰で結構、暑苦しいんですけどね。高橋英樹のいちいち堂に入った剣の構えと苦み走った表情。人体の不思議展もビックリの、人間カラ竹割り真っ二つ切断がスゴい。豪快さそのものとも言うべき半次郎を演じ切った緒方拳もスゴい。西郷輝彦だって近藤正臣だって、そこそこスゴいです(笑)。ただ、ようやく邂逅し意気投合した4人の姿を、その後うまく収束させることなく、何だか時代だけが過ぎて行ってしまうような展開が、どうも物足りません、うまくまとまらず、そこが大作の風格と言えば……しつこいっての。少なくとも、大げさなタイトルといい(何が狼で何が落日なのやら)、さらに大げさな○○篇というサブタイトルといい、内容に全く即してないしなあ。魅力的な題材が、魅力的に撮られてはいるんだけど、こう仕上がるハズではなかった、みたいな感じで、アンバランスな面があまりにも多い、不思議な作品でありました。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2012-07-28 10:38:12)
19.  オスロ国際空港/ダブル・ハイジャック
片やテロリストに大使館が占拠され、片や飛行機がハイジャックされ、という、一粒で2度おいしい映画、と行きたいところですが、うーんコレ、どうなんでしょうね。いや、ハイジャックされた飛行機が、タイヤから煙を上げながら走るシーンなんか、すごくカッチョよいし、対テロの様々な作戦行動の描かれ方も、派手さは無いけどなかなか鋭い、とは思うのですが・・・全体的に若干、ヌルくないですかね。しかもそのヌルさが、こんなヌルいオチの布石だったのでは、ちょっと・・・。とは言え、なかなか楽しめましたです、はい。
[DVD(字幕)] 7点(2010-09-02 22:25:24)
20.  オリエント急行殺人事件(1974)
原作については、誰でも(?)読んでる有名な推理小説だし、作品の背景となっている実際の誘拐事件についても、どこにでも書いているので、改めてここに書く必要もないでしょうけど。原作小説における、この誘拐事件の位置づけは、事件に対する憤りなのか、単にトリックにケチをつけられないためのエクスキューズなのか、それはともかく、作品にいくぶんサワヤカな印象を与えているのは事実だと思いますが・・・いやあ、こうして映像化してみると、サワヤカどころか、変態的・猟奇的ですね(笑)。それにしても、「雪で立ち往生した列車内」という限られた舞台に、有名俳優をぎっしり押し込んで(外は寒そうだけど中は暑苦しい?)、ゴージャスな映画になってます。カメラも腕の見せ所、尋問のために次々に現れるスターどもをバッサバッサと料理する。当然、「そのうちの一人は、尋問すべてをワンショットで撮ってやろう」なんぞという発想にもなる訳ですが、一体どの俳優がその餌食となるのか。うーむ、イングリッド・バーグマンと来ましたか。そして、その一人ひとりの尋問の後、恒例の、“容疑者集めて犯人指摘”となる訳ですが、これがまた、スターそろい踏み、映像にするとなかなかに見栄えがするものでして、結構盛り上がるのでした。あとこの映画、リチャード・ロドニー・ベネットの音楽が良くって、変に構えたようなメインテーマのワルツとは対照的に、緊張感のある音楽で映画をビシッとシメています。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-08-10 06:44:24)(良:1票)
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