1. 男たちの大和 YAMATO
《ネタバレ》 監修のクレジットに、悪名高い故瀬島龍三氏の名前がありますが、彼は必要だったのでしょうか。大和の関係者はどう思うでしょうね?さて、難点はいろいろある。人物紹介と状況説明をテロップとナレーションに頼るのはいかがなものか。照明技術が古い。50年代のハリウッドみたい。冒頭のフリゲート艦は必要だったのか。海自が無理やり押し込んだっぽい。大和のスペックと戦闘シーンの説明が不足。沈没があっけない。松山よ、何故蒼井を押し倒さない?一茂のスタンスが謎。意外と元気な反町の最期が謎。ラストがオーバーアクト。脚本も監督の担当だが、明らかに練り込み不足。脚本家がいないのか。その他にもいろいろあるが、まあ邦画としては頑張った方でしょう。最初から最後まで涙腺がうるみっぱなしでした。これは原作の力か。戦闘シーンは血飛沫使いすぎだが、凄い迫力で、CGもあまり違和感がなかった。コンセプトは「タイタニック」+「プライベート・ライアン」といったところか。BHDのレビューで私が書いたとおりになった。しかし角川と東映が総力を挙げても、やっぱりハリウッドには叶わないのか。そういう意味でも、実に大和的な作品である。 [DVD(邦画)] 7点(2009-05-11 01:55:07) |
2. 狼よさらば
《ネタバレ》 「殺してしまったあ」とか言って身悶えていた割には、相手にしっかりパンパンと止めを刺し、挙句の果てに最後はあのポーズ。おまけに実行犯は野放し。さすがブロンソン。実にいい加減というか、豪快というか、フツーはもっとおかしくなったり、暴走して止められないとか、殺ってくうちに楽しくなっちゃって、最後に返り討ちに遭うとか、そういう展開にするものだが、彼の場合はもう淡淡と仕事をこなすだけで、正義感でやってるんだか、憂さ晴らしなんだか、趣味なんだかよくわからないというのが恐ろしい。よって共感もできないし、正義とは何かとか、殺人とは何かとか、最初からそういう方向にさえ行かないというのが凄い。とはいえ西部で銃に目覚め、自警団としてヒーローに祭り上げられるというプロットは、アメリカならではである。この点で、しっかりアメリカの社会や歴史、伝統文化の本質を描いていることが、本作を単なるB級作品とは、一線を画したものにしているのだ。しかしこの後の暴走ぶりを考えると、やっぱり何も考えてないんだろうな。 [地上波(吹替)] 8点(2008-08-10 23:19:34)(笑:1票) (良:1票) |
3. 大いなる陰謀
《ネタバレ》 現在のアメリカが抱えるジレンマや分裂状態を、ここまで凝縮してわかりやすくコンパクトに仕上げた脚本はお見事。原題のエピソードだが、かつて我が国の軍隊も同じようなことを言われたことがある。「末端の兵士たちは優秀だが、指揮官がダメだ」と。この辺は現代でもあまり変わっていないのだろう。わが国でも十分通用するテーマだ。しかし三人の大学生のような優秀な連中ならともかく、偏った連中や凡庸な愚民ども(もちろん私も含めて)が下手に政治づいたりしても、またあさっての方向にいってしまうので、難しいところではある。まあ本作をわざわざ観たいと思うような人なら、そんな心配はないのでしょう。その存在を感じさせないのが最も理想的な政治と言ったのは誰であったか。狂気すら漂うトムの演技は圧巻。レッドフォードは男性ホルモン不足なのか、おばちゃんみたいだ。メリルはまあいつも通り。「第二次大戦は五年で終わった」というセリフがあったが、当時は従軍記者たちが最前線から命がけで記事を配信していたのだ。これも「特殊部隊は足が速い」云々というセリフの通り、アフガンの雪山に特殊部隊のヘリボーンでは、確かに取材もできないだろう。現地で何が起きているのか、結局のところ誰にもわからないというのが恐ろしい。 [映画館(字幕)] 9点(2008-07-07 00:57:38) |
4. オーシャンズ12
《ネタバレ》 相変わらず映像と音楽のセンスのよさはピカ一。前作はあれでも結構シリアスな雰囲気であったが、今回は悪ノリが激しい。ヴァンサン・カッセルには最高に笑わせて頂きました。見た目も行動ももろに「ルパン三世」という感じだが、もしかして意識しているのだろうか?それにしても評判悪いな。個人的には結構好きなのに。確かに気になる点はいくつもある。まずストーリーの細部がわかりにくい。ジュリアの老けっぷりには驚かされる。ゼタ子の父親の登場も、唐突というか何と言うか。ジュリアが本人を演じるのも、「シベ超」レベルの禁じ手だ。しかし元々この監督はストーリーや人間ドラマより空気感重視なので、不親切なのはいつものことだし、今回はさらに監督とキャストのおふざけを、そのまま作品にしたような感じなので、名優たちの和気藹々とした軽いノリと、スマートでクールな雰囲気が楽しめれば、それでよろしいんじゃないでしょうか。真面目にやればいいってものでもないしね。 [DVD(字幕)] 7点(2006-09-23 22:38:22)(良:1票) |
5. オーシャンズ11
《ネタバレ》 映像と音楽のセンスのよさはピカ一。セリフも決まっている。スマート過ぎて少々物足りないくらいだ。淡々とした演出で、仕掛けも控え目、これだけのスターを揃えた割に、全体の印象はあまりにも地味だ。クライムアクションであれば、もう少しスリルが欲しかった。計画がすんなりと成功しすぎでは?それともこの鮮やかさ、完璧さに唸るべきなのか?それにしても女のために命を賭けるクルーニー様はカッコ良い。しびれる。要はバランスの問題か?この映画と彼らの計画のクライマックスは明らかに、金庫を破るシーンでもなければ、逃走するシーンでもない。アンディがジュリアを捨てるシーンだ。つまり本作は、添え物的にラブストーリーを絡ませたクライムアクションではなく、あくまでクルーニー様のラブストーリーなのである。そして公私混同と理解しつつ、そのクルーニー様のわがままに付き合う仲間たちの姿には、心温まるものがある。「Heat」のデ・ニーロのような、冷徹なプロとは対極の存在だが、どちらも男の生き様を見せつけてくれる。ルパンだって、いつも最後は不二子ちゃんに騙される。しかしそれをとやかく言う者はいない。 8点(2004-05-18 03:14:14)(良:1票) |