1. オープン・ユア・アイズ
《ネタバレ》 マルホランドドライブみたいな内容なのに、映画学校の生徒が作ったみたいな素人くささばかりが気になってしまった。主役の色男は圧倒的な美男子であることが求められる役所なのに凄みがなく、真顔でも口角が若干上がっている口元のせいか呑気でアーパーなお兄ちゃんに見える。彼に何の苦悩も狂気も感じないのは、悪夢をテーマにしたシリアスなこの物語に於いていかにもまずい。雰囲気作りのための重要アイテムであるスケキヨ風マスクはドンキで買ったパーティグッズのような安さ。ヒロインはカメムシみたいな干瓢みたいな顔の女性で、これはもうどこが魅力的なのかさっぱりわからない。脇役のヌリアの方が数段格上の女優と感じた。配役、演技、演出、美術、カメラ、脚本と全てがテレビドラマクラスのお手軽な作り。泣かせるはずの流れなのにラストの主人公の落下シーンは真下から狙うという、ど直球の撮り方でふざけてるみたいに見える。どことなくトータルリコールを思わせるストーリーなので、監督はバーホーベンのギャク風味を真似たのかな? なんて考えが頭をよぎる。 [DVD(字幕)] 2点(2021-06-28 08:19:12)(笑:1票) |
2. オブリビオン(2013)
《ネタバレ》 なんだこれ?いい話風の雰囲気だけでぬるぬる進む気持ち悪い演出に意識が混濁したせいか話がよくわからん。分かったところで展開するのはマトリクス、トータル・リコール、ソラリス、2001年、アウターリミッツ等々どこかで見たようなイメージのサンプリングだけ。オリジナリティゼロ。ストーリーテリングのセンスも全く感じられない。なんて志が低いんだ!センスのかけらも感じられないSF的ガジェット類も「アバター」みたいなダサさでイタいものばかり。なんだよあの昭和のラブホみたいなスケベ風呂。ドローンって、SF作品にあって既に時代遅れっぽくないか?特攻礼賛のお安〜い感動にもゲンナリ。メイキングを見たら地の果てみたいな所でロケしたりCGかと思ったプロップが実物だったりと、あさっての方向に異様な努力が成されているようなのだが全くと言って良いほど効果を上げていない。そんなことばかりに力を入れて仕事したような気になるなよ!もっとSFと脚本と演出の勉強してくれ! [ブルーレイ(字幕)] 1点(2017-08-21 09:56:45) |
3. オペラ座/血の喝采
《ネタバレ》 物語的には興味を持続させる中心がなく推進力に欠ける。よって激しく中だるみしたりもするのだが、時々あっとおどろくような芸術的シーンが立ち現れるのでそのヌルさを責める気が失せてしまう。ずっと閉塞空間で進んでいた舞台が最後に雄大な自然に切り替わるので普通にカタルシスもある。そして音楽に対して監督はセルジオ・レオーネ並に鋭い見識をみせる。劇中の音楽は3種類。オープニングにも使われる生音のオペラ。ショックシーンに使われるハードロック。そしてほのぼのシーンの女性スキャット。オープニングのオペラはカラス(鳥ですよ=マリア・カラスじゃありませんよ)のどアップと鳴き声がかぶることにより極端に不穏な空気が漂い実に素晴らしい。ハードロックは「もう逃げられない」と歌っていてヒロインがいたぶられるシーンと犯人逮捕の両方のシーンにかけてあるのが見事。座布団1枚!そして苦痛の全てから解放されたラストシーンとエンドクレジットは女性スキャット。それまでの残虐行為はなんだったの?というくらい最後はいい話風の雰囲気でエンディングを迎える異化効果に驚愕!「手段のためには目的を選ばない」という諺があるが(いや、ない)まるでダリオ氏のためにあるような言葉だ。 [DVD(字幕)] 7点(2016-08-22 13:10:51) |
4. オデッセイ(2015)
意外にもエレガントな仕上がりで狙いは判るが若干退屈した。何か実感の伴わない夢の中の出来事のような印象。主人公は始めから人格者であって、あのすさまじい経験によって特に成長するわけでもない。よってラストの講義のシーンにぐっとくるものがない。あそこが蛇足に見えてしまうのは失策ではないか。但しクールな科学啓蒙映画として観るとそのベタつかなさが小気味よいとも言える。よって作品自体はそこそこ評価できる。それにしても劇中の楽曲に訳詞を付けていないのはまったくどうかしている。サウンドより歌詞が重要な本作の場合は著作権料を払ってでも付けるべきだ。更に、邦題を「オデッセイ」にした愚かさ・傲慢さにはほとほとあきれた。これを提案した者も許可した者もちょっと足りないのではないか。国内での無神経な処理二点、しなければいけないことをしないこと・すべきでないことをしていることが折角の力作をぶち壊しにしている。日本版関係各位の猛省を望む。 [ブルーレイ(字幕)] 3点(2016-06-21 16:46:45)(良:3票) |
5. おばあちゃんの家
つらい……寂しい……苦しい……悲しい…………怒濤の苦しみ成分に対し、救われる部分があまりに少ないんだよお。にしても「あばれ牛だぁ~!!」ってリアルによくあることなのか? [DVD(字幕)] 5点(2012-11-22 11:12:14) |
6. オレンジカウンティ
《ネタバレ》 これは拾い物でした。劇中、作家志望の主人公(高校生)が「オレンジカウンティ」というこの映画と同じタイトルの小説を書きます。で、それがそのまま映画化されたのがこの作品、ともいえるような構造になっています。こういう形式って何ていうのでしょう。入れ子構造でいいのかな?他にネバーエンディングストーリー、デストラップなんかがそうですね。そして、その小説を主人公憧れの作家が評論するのですが、「結末が弱い」「結末を探しなさい」と言われてしまいます。そうなんです。実際この映画、結末が弱いんです。あまりにもベタで月並みでありがちで、まるで高校生が考えたストーリーみたい。というわけで映画はみごとに自己完結していてちょっと驚いてしまいました。こんな手があったんですね~。このメタな感じは初めて味わうもので妙な快感がありました。ちりばめられたギャグの数々は大胆で意外性のあるものばかり。ドタバタもラリ公の描き方も的を射ていて実に楽しい。そこらへんが冴えまくっているので、終わりがやけに投げやりで予定調和的なのがむしろ意外なくらいです。とりあえず終わらせただけに見えますが、確かに青春物に “これだ” なんていう結末は必要無いような気がします。監督はたいへんな策士とお見受けしました。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-23 00:22:07)(良:1票) |
7. ALWAYS 三丁目の夕日
原作のベタなノリはあの絵柄だから許されるものであって実写でやられると嘘くささばかりが気になって見られたものではない。CGの書き割りは情報量、イマジネーション共に乏しく、こんな貧乏くさい風景を見て懐かしがっている暇があったら昔の映画なりNHKアーカイブスでも見た方がなんぼかマシだ。作り手の意識は「商売商売、こうしちゃえば観客は大泣きだぞ」か「オレも泣きながら作っているのだよ」のどちらかだと思うが、前者でこの出来なら人をバカにしているし後者なら心底気持ち悪い。金を取って人を泣かせようってんだからキャプラやオー・ヘンリー並の策を示して欲しいものだ。原作好きの仲間との上映会(4人全員初見)で半ばから座がどんどんシラけてしまい最悪でした。 [DVD(邦画)] 0点(2007-05-16 22:22:08)(良:7票) |
8. オーソン・ウェルズのフェイク
初公開時、渋谷パルコかどっかの上にあった劇場で観ました。手品が趣味の監督の人となりとタイトルから「これはだましにかかってくるんだろうな」と多少は用心していたのですがみごとにひっかかりました。最近見返してみてネタが割れていても充分楽しめることに驚きを感じました。単なる贋作にまつわるドキュメントでもなく、いわゆるミステリーというくくりにもあてはめられないけれど登場人物も作品のスタイルも内容も、また映画そのものの存在自体もとてもミステリアスというメタな作品。このように他に類例がなく、しかもちゃんと面白い作品を創造するというのは実はとてつもなく偉大なことであって作り手の頭とセンスの良さは尋常ではないと感じました。まるで手品のような作品なので、ミスディレクションに翻弄されることに快感をおぼえる私には最高のご馳走です。手品のタネを知ってくだらないと腹を立てるタイプの人にはまずお勧めできませんが。 [映画館(字幕)] 10点(2004-09-26 19:35:29) |