1. 母なる証明
《ネタバレ》 ■冤罪はらしの骨格だけ追うと大したことはないように思うかもしれない。けど、細部までキチンと見てみるとこれは相当重い作品である。というより解釈が相当難しい作品である。以下思ったことを時系列的に ■とりあえず最後まで名前の出てこない「母」。彼女は「母」としてしか作品中で規定されていない。すなわち、自分個人としての価値が規定されず、ただ「トジュンの母」としてしか生きていないことが示されている。 ■母親とトジュンは近親相姦を思わせるような関係にある(夜の裸で寝るシーンなど)。警察でも「女と寝たことはあるか」「母親」と答える。トジュンの立ち小便を母親は必死に繕う。 ■衝撃の告白。トジュンは一度母親に殺されそうになっている。農薬を飲まされて無理心中させられそうになった。そのために今のような知能に障害を負っている。そしてそれを思い出した。母親は息子に忘れるための針を指そうとする。息子は「今度は母さんは針で殺そうとした」と叫ぶ。この辺は相当意味深。 ■携帯電話を見せられて、トジュンは目撃者のおじいさんをきちんと指摘する。なぜ???自分が犯人であることがわかってしまうかもしれないのに。もしかして、母親におじいさんを殺させようとたくらんだ???自分を殺そうとした母親に復讐? ■おじいさんの家。母が針を刺そうとする二度目。針は間違いなく何かを暗示してる。そしてその後実際にお爺さんは殺される。 ■トジュン釈放。しかし母は迎えにいかない。なぜか火事現場に立ち寄ろうと言い出すトジュン。深い意味はあるのか? ■家に帰るトジュン。母親に「なぜ死体を高く上げたんだろう」と聞く。自分が犯人なのに。そして恐らく自分が犯人だと母親が分かっているのを知ってるのに。この意味は?しかも「早く助けを呼ぶため」というえらく合理的な理由。 ■冤罪の息子を見に行って泣きだす母。ここにおいては、もはや「トジュンの母」ではなく一人の「普遍的な母」であるのではないか。 ■最後に針の箱を渡すトジュン。「忘れちゃだめじゃないか」というのはどこまで知ってのセリフなのか。 ■そして最後に針を刺して踊る母。針は忘れるためのもの。しかし彼女が忘れたのは、ただ息子が殺人したとかそういうのではなく、「自分が母であること」それ自体ではなかろうか。。。 [DVD(字幕)] 9点(2010-06-02 01:56:15)(良:2票) |
2. パリ、テキサス
《ネタバレ》 何だかわからないけど、いい映画。 あのまったりした流れで2時間半飽きなかったから、なかなかのものでしょ。 うまく言い表せないけど、人生というものを感じさせられた。 あと、画がきれいでした。 [DVD(字幕)] 9点(2008-09-18 19:18:48) |
3. バック・トゥ・ザ・フューチャー
《ネタバレ》 これぞエンターテイメントな映画。細かいタイムパラドックスとか気にならない。 大統領レーガンとか、再放送(rerunだったかな)を知らないとか、アメリカ文化史をもっと知ってればもっと楽しめるんだろうなあ。 [地上波(吹替)] 9点(2007-01-09 18:01:20)(良:1票) |
4. パニック・フライト
《ネタバレ》 ここのサイトで見つけて鑑賞。うん、確かに面白い。「フライトプラン」なんかとは比べ物にならないほど面白い。ロケットランチャーは無理しすぎだし、女の人が地上ではめちゃくちゃな強さを発揮しているが、テンポの良さでいける。 [DVD(吹替)] 9点(2006-12-18 19:46:37) |
5. 橋(1959年/ベルンハルト・ヴィッキ監督)
《ネタバレ》 派手な戦闘シーンは全くない。「勇敢にたたかってカッコよく死ぬ」のと対極にあるような、どうしようもない死に方ばかりしていく。しかし実際にはそういう死の方が多いのであろう。 ■前半はやや退屈。子供たちに感情移入させるためにはある程度は必要なのは分かるが、わりとダレる。妙な色恋沙汰とかは趣旨に沿わない気がする。 ■後半は一転して戦場に放り込まれる。お話の中でしか知らない「勇敢にたたかう物語」から一気に現実に引き戻され、戦場にあるのは無様な死か無様な生でしかないことを思い知らされる。「戦争は遊びじゃない」という一喝がすべてであろう。 [DVD(字幕)] 8点(2013-11-16 23:34:02) |
6. パワープレイ
《ネタバレ》 やっとDVD化したのにAmazonにすらDVDが置かれていないので、そういうDVDを特別に扱っているお店で購入し鑑賞。なるほど、これは隠れた名作。 ■基本的には軍事クーデターであり、それが淡々と進んでいくのだが、前半の計画部分、そして後半で一気に動き出す部分の静と動がピリッとしていて、緊迫感がずっと維持されている。早朝に戦車で街を制圧していくところは、クーデターはこうやって行われるのかあ、というリアリティを感じさせられた。 ■100分余りとコンパクトだが、ラストの展開まで含め、戦争もの、政治ものの傑作だと思う。 [DVD(字幕)] 8点(2013-02-27 00:01:57) |
7. パピヨン(1973)
《ネタバレ》 ■ずしんと重い映画。大半の脱獄ものはなんだかんだで囚人役の主人公が元気そうなのだが、本作はマックィーンがすばらしくやつれている。あそこまで体がぼろぼろになって、あくまでも逃げようとする執念がすごい。あそこまで独房をきちんと描いた作品はそうはないだろう。 ■ただ、逃げ出すところは本作の描きたいところではないのだろうが、あまりにもあっさりと逃げられすぎでしょう。ちょっと欄干の下を這って進めば出られたり。あの島には監視すらいないし。逃げてからのシーンの方がはるかに長い。 ■それと、マックィーンは無実の罪で投獄されたのかも知れんが、逃げる途中で人(追手)を殺していたような・・・・・・ ■だが、まさかシスターに裏切られるとは。ショック。油断大敵。 [DVD(字幕)] 8点(2010-02-22 00:32:03) |
8. バンク・ジョブ
《ネタバレ》 これが実話だというのが驚きだ。銀行強盗がさまざまなスキャンダル品を持って行ってしまい、それによって狙われるとは・・・ 駅での駆け引きの絶妙なところとか、パトカーで銀行を探すところとか、細かなところに手に汗握るような仕掛けがあって面白い。地味だけどいい作品。 [DVD(字幕)] 8点(2009-07-21 11:02:20)(良:1票) |
9. バンテージ・ポイント
《ネタバレ》 とりあえず見ている間はのめりこめたのでこの点数。 見せ方のワザはもう「運命じゃない人」とかで慣れてるから、目新しくはないんだけど、まあテンポの良さのみで逃げ切ってる。 もうちょいひねりを加えられる場所は十分にあるし、見せ方をもっとよくできたとは思うけどね。 最後があまりに都合よすぎるし、あんなにテロリストいっぱいいてあんなに準備されてて、で、あんなやり方・・・って思うけど。 [DVD(字幕)] 8点(2008-11-27 17:40:24) |
10. 背信の日々
《ネタバレ》 う~む、単純な流れではあるのだが、決して一筋縄ではいかない映画。 流れ自体は「フェイク」+恋愛、なのだが、その絶対に成就しない恋愛というのが悲しくも美しい。 人種ものでもある。 日常では非常にいい人が、人種の問題でだけは悪魔に変わってしまう。 この現実は、ある意味でどこのホラーにも勝てない恐怖がある。 そして、そうした差別主義者を追うはずの人々も、逆にそうした人々への差別感情で埋もれてしまう。 ラストの一瞬希望を持たせられる画と、しかしそれは叶わないんだろうなぁということを暗示させるような悲しくつめたそうな眼のカットはとどめとして印象に残る。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-09-06 23:38:10) |
11. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 腕がなくなっているシーンで、心臓が止まるかと思った。あそこまで直接的に描くなよ、と言いたくなる。 ドキドキはさせてくれたし、刑務所のところは先が読めない。けどラストはあっさりまとめすぎた気がする。 [DVD(吹替)] 8点(2006-12-18 19:01:55) |
12. パラレルライフ
《ネタバレ》 なるほどねー、そんなに期待しないで見たら予想以上に楽しめた。最初は「パラレルライフの謎を解く」のかと思っていたけど、そういうことではなく、そこはSFを認めた上で、そのフィールドでどう戦うかという映画なのね。まあ結果は最初から分かっているんだけど。 ■そうやって考えた上で、「では犯人は誰か」って考えれば確かにわりと簡単に行きつけるのかもしれないけど、そこが主眼だとはあまり思ってなかったので最後の最後まで引っかけられていた。サスペンスっぽいけど「SFサスペンス」として見ることを薦める作品 [DVD(字幕)] 7点(2011-09-08 23:27:23) |
13. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
《ネタバレ》 ブラックユーモアってゲラゲラともクスクスとも笑うものとは違う気はするけど、なんか肌に合わなかった。笑ったのはコーラのシーンぐらい。これならシリアスな「未知への飛行」の方が断然いい。 ■セラーズの三役はお見事としか言いようがない。が、この作品で一人三役である必要性ってあったのかなぁ [DVD(字幕)] 7点(2010-08-31 02:26:23) |
14. パニック・イン・スタジアム
《ネタバレ》 まさに今日の無差別殺人を表しているかのような映画。 「何の理由もなく」人を撃ち殺していく犯人。そして慌てふためく人々。まさに今日を表しているかのようだった。 しかし試合に熱狂しているとああも周りの事態に気付かないものなのかと思うと恐ろしい。横で人が撃たれていようとも、SWATが宙づりになっていようとも、熱狂している観客は誰も気づかない。 そしてラストの観客の大パニックはまさに『よくとったな』という映像。出口に殺到する群衆はまさに怪物である。 ただ、序盤から中盤にかけてがやたらと冗長で飽きる。 人間ドラマもわりと不要な気がした。80分ぐらいにコンパクトにまとめられる内容が引き伸ばされた感じ。そこだけ難なり。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-09-08 16:45:13) |
15. パルプ・フィクション
《ネタバレ》 スラングが分からないとこの映画のおもしろさは分からないだろう。ちゃんとスクリーンプレイが出版されているのがうれしい。ストーリーはあってないようなもの。タイトルの「パルプフィクション」ってのもそういうことだしね。 [DVD(吹替)] 7点(2006-12-19 10:11:54) |
16. バーディ
《ネタバレ》 戦争の後遺症と青年期の絆とを交互に描き出す秀作。展開や描写の不足を感じる面もあるが、ラストの展開がおおと思わせる。 ■ラストについては、要するに「バーディにおける正常/アルにおける一喜一憂」という対比を明確に打ち出しているわけで、つまり「バーディが変だとか異常だとか言って勝手に騒いだり心配したりしているけど、バーディにとっては常に普通なのであって、バーディの以上云々を言う側の心の問題なんだよ」ということを示しているのかな、と解釈した。 ■確かに、「空を飛びたい」という純朴な心を、大人は理性とか常識とかの名で押しつぶしているのかもしれない。純朴に生きていくには、社会はあまりにもつらい。「あいつにかける言葉はない」とバーディが言うのもそういうことかもしれない。 [DVD(字幕)] 6点(2011-04-16 01:39:23) |
17. パッチ・アダムス
《ネタバレ》 既存の常識にとらわれず、あくまでも夢を追いかけ続けるという姿勢には素直に感動できるのだが、明らかにやりすぎ、悪乗りしすぎ、の面がある。下ネタも度を超えればただひんしゅくでしかない(特に最後)。 それと、一つ一つの流れが細切れで、全体としてつながっていないように見える。最初の自殺癖、パッチの成績が優秀である点、作った病院の運営、唐突な殺人、すべてが突然で、全体としての脈絡がつながっていない。伝記という物はこうなってしまうものなのか?もっとうまく描けたはず。最後も卒業が目的みたいになっているし。卒業できなくとも努力して、の方がいい(実話だからしょうがないが)。 [DVD(字幕)] 6点(2007-10-16 15:33:43) |
18. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
《ネタバレ》 極めてありきたりな大衆向け娯楽作品といえばよいだろうか。 大味で派手な戦闘は、はっきり言ってごちゃごちゃしてて見にくい。 ストーリーもあったもんじゃない。凡庸すぎる。 キャストは豪華だし、音楽は決まってるけど、あとは・・・ まあ見ている間は楽しめるけど、後には何も残らない典型的な作品。そういう作品にしてももうちょっと上手にできたはず。 [地上波(吹替)] 6点(2007-07-05 22:55:10) |
19. バニシングIN60”
《ネタバレ》 いいねえ。こういう超単純カーチェイスってのも。 ホント、ノースタントでただただ走り回ってるだけだけど、それが面白い。 エレノアかっこいい。主役だ。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-11 21:24:57) |
20. ハムナプトラ/失われた砂漠の都
《ネタバレ》 標準的なエンターテイメント。深みはない。 [地上波(吹替)] 6点(2006-12-27 18:44:16) |