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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  晩春 《ネタバレ》 
「東京物語」と並んで名作と言われている小津安二郎監督の映画だが、今回、ようやく見た。前半はやや冗長に感じる部分があるものの、思っていたよりも見やすく、ほとんどだれることなく見ることができたし、見ていてだんだん引き込まれてしまった。父親を心配するあまり結婚を拒む娘と、娘の結婚を願う父親。この二人の描写が秀逸でとても見ごたえのあるものになっている。笠智衆演じる父の再婚話を知った原節子演じる娘が二人で能を見に行った帰りに父に見せる態度など、娘の描き方はややストレートなのに対して、父親のほうは何を考えているのか分からない描き方で、ちょっと鈍感な感じがするのだが、ラストに至ってこの父親の複雑な心境が痛いほどに伝わってくるような構成が見事で、娘を送り出した後に姪との会話で「きっと遊びに来てくれるね。」などと言っている時点で既にこの父親の寂しさはじゅうぶんに伝わってくるが、なんといってもラストシーン、小津監督は最初この映画のラストシーンで父親が泣くというふうに設定していたのを、演じる笠智衆の注文で項垂れるというふうに変えたというが、このラストシーンが素晴らしく、娘を嫁がせ、一人になった父親の悲しみがよくこちらに伝わってくるまさに名シーンだ。(このシーンで父親が泣いてしまうと、映画の印象が少し変わってしまうかもしれない。)ほかにも父と娘が結婚や幸せについて語り合う夜のシーンも見ていてつい感動してしまう名シーンだろう。劇中で交わされる言葉の面白さや、コメディリリーフ的存在の杉村春子(姪の結婚相手の呼び方について話すシーンや財布を拾うシーンは面白すぎ。)など笑えるシーンが多いのも小津監督らしく、安心して見ていられる。実は今まで敷居が高くて敬遠していた映画だったのだが、まさにこれぞ名作と呼ぶにふさわしい映画で、素直に見て良かったと思える映画だった。本作を敬遠していたおかげで同じように嫁いでいく娘を描いた小津監督の映画はほとんど見ていないのだが、また小津監督のこういう映画を見てみてみたいと思った。そうそう娘の結婚相手が一度も直接画面に登場せず、登場人物たちの会話から想像してみるのだが、ゲーリー・クーパーに似ていて名前が熊五郎・・・。いったいどんな男なのだろう。ちょっと気になる。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2013-11-06 01:13:12)
22.  ハリーの災難 《ネタバレ》 
アルフレッド・ヒッチコック監督と言えばサスペンス一筋で有名な監督だが、この映画は森の中で発見された一体の死体をめぐる騒動を描いていて、緊迫感などはなく、実にほのぼのとしたタッチのブラックなコメディーに仕上がっている。死体を発見したら普通は驚くと思うのにこの映画の登場人物たちはすごくあっけらかんとしていて終始明るい雰囲気なのがいいし、みんないい味を出している。死体が登場人物たちの都合によって何度も埋められたり掘り返される展開は、死体に思わず同情しながらも実にブラックで、思わず笑わされてしまった。シャーリー・マクレーンのデビュー作とのことだが、なんともコケティッシュなかわいい風貌で魅力的。でもだからこそこんな若い美人が死体を前にしてもあっけらかんとしているのがある意味すごく、そのギャップも笑えたりする。でも、彼女がほとんど初対面の男といきなり結婚するというのはコメディーといえどちょっとやりすぎな感じがしいないでもない。舞台が秋の村なのだが、紅葉の映像も印象に残る。サラリと軽く作られたような映画ではあるし、傑作とも言い難いのだが、出来はよく、あまり見ていないのだが、サスペンスだけではないヒッチコック監督の幅の広さを感じることができる。個人的にちょっと疲れぎみでちょうど軽めのコメディーを見たいと思っていたところだったので、何も考えずに見て、楽しめる本作のような映画はちょうどいい。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-01-29 19:33:39)(良:1票)
23.  拝啓天皇陛下様 《ネタバレ》 
渥美清演じるヤマショウこと山田正助の物語を戦友・棟田(長門裕之)の視点から描いているが、軍隊というと普通は「人間の条件」でも描かれたような地獄のような日々を誰もが想像すると思うのにこのヤマショウという男は、三度の飯が食えて風呂にも入らせてもらえる天国のようなところだという。これだけで今まで相当につらい人生を送ってきたということが想像できるし、天皇陛下を一目見て親しみを感じ、いざ除隊というときになって覚えたての字で「ハイケイテンノウヘイカサマ」と天皇に軍隊に残してもらえるように手紙を書くシーンなどは思わずヤマショウに感情移入して泣けてくるし、棟田との友情も実によく、ヤマショウにとっても棟田にとってもお互いがかけがえのない存在であるというのが見ていてよく分かるし、とくにヤマショウにとって棟田という存在がどれだけ大きいかというのが見ていてものすごく伝わってくる。この二人の友情がきちんと描かれているからこそ、深みがあるものになっているし、名作と呼ばれるに相応しい映画になったのではないかと思う。渥美清の演技は寅さんとはまた違った魅力を発揮しており、渥美清という俳優が寅さんだけの役者ではないことを改めて感じられたし、まだ渥美清の「男はつらいよ」シリーズ以外の主演作を見るのが三本目だが、これは渥美清の「男はつらいよ」シリーズ以外でのいちばんのハマリ役だと思うし、「男はつらいよ」シリーズ以外での渥美清の代表作というのも異議など全くない。西村晃や加藤嘉といった面々も素晴らしかった。戦争を扱っているが、野村芳太郎監督はそれを前面に押し出すことなく、ヤマショウという一人の純朴で心優しい孤独な男を通して人間というものを見事に描ききっている。間違いなく日本映画の歴史に残る名作だ。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-08-13 16:12:22)(良:1票)
24.  阪急電車 片道15分の奇跡 《ネタバレ》 
ローカル電車を舞台にそれに乗り合わせた乗客たちの群像劇。思ったより面白かったが、やはり出来としては平凡で、上映時間もやや長いか。西宮に住んでいる妹が「始まってすぐに泣いた」と言っていたが、確かにときどきほろっとくるエピソードはあるものの、感動というまでには至らない。ミサ(戸田恵梨香)と伊藤さん(南果歩)のシーンとか印象には残るし、脚本的にも頑張っているのだが、もうひと押し足らない感じである。中谷美紀は「ケイゾク」や「嫌われ松子の一生」での独特な演技が印象に残っている女優であるが、柴田や松子のキャラが強烈すぎるためか、役としてあまり印象に残らない。逆に宮本信子は品のある白髪の老人役を演じていて、伊丹十三監督の映画での彼女とは違う味のある演技を見せていて印象的だった。ラストシーンの翔子(中谷美紀)とミサの意気投合シーンは唐突に感じるが、できればこの二人のツーショットは「spec」で柴田と当麻として見てみたい。やっぱり無理かな。
[DVD(邦画)] 6点(2012-02-24 23:17:31)(良:1票)
25.  破戒(1962) 《ネタバレ》 
「炎上」、「ぼんち」に続いて市川崑監督が市川雷蔵を主演に起用し、被差別部落問題を描いた社会派映画。雷蔵は「炎上」でもコンプレックスを抱える主人公を熱演していたが、この映画でも自身が部落の出身であることに苦悩する主人公の小学校教師を演じており、「炎上」同様に雷蔵は時代劇スターとしてではない演技派俳優としてのうまさを発揮していて、初めて見た雷蔵の出演作が「炎上」だったせいかこういう苦悩する若者という役柄は雷蔵にとって現代劇でも時代劇でもはまり役だと思う。映画としても力作で、前年市川監督がテレビドラマでやっていながらもう一度映画でやりたいと思うほど原作に惚れ込んでいたというのがよく分かる。雷蔵演じる主人公 丑松が教え子たちに自分の出自を告白するシーンはとくに演出も演技もかなり力が入っており、思わず丑松に感情移入して感動してしまった。長門裕之演じる丑松の同僚教師もいいし、モノクロ画面をフルに生かした宮川一夫のカメラも美しく見事。しかし、いい映画であることは確かなのだが、ちょっと全体的に力みすぎていてあまりにも重苦しく好きな映画かと言われればちょっと微妙というのが正直なところ。丑松が尊敬する自らも部落出身である部落民解放運動家の猪子を演じる三國連太郎は実際に養父が被差別部落出身であることを公表しており、だからかもしれないが、この猪子という登場人物にはものすごいリアリティーと説得力が感じられる。
[DVD(邦画)] 7点(2011-12-22 13:48:40)
26.  パコと魔法の絵本
見る前の予想よりは面白かったし、ストーリー自体はそんなに悪くないと思うのだが、「下妻物語」や「嫌われ松子の一生」と比べるとどうしても落ちる感じがする。前の2本では予告編では一見、CGなど見た目の派手さが売りの映画に見えて、実際はドラマとしてのみごたえがそれ以上にある映画になっていたが、本作はCGを多用した中島哲也監督の絵作りのうまさは相変わらずだが、ドラマとしての作り込みが弱いので本当にCGだけが見どころの映画に見えてしまい、失敗作のように思えてしまう。前の2本が良かったのはちゃんと登場人物(主人公)に感情移入できるような脚本になっていたからだと思うのだが、この映画ではときおりグッと来るような場面はあるが、登場人物にイマイチ感情移入できず、見ている側(自分)はひたすら傍観者状態。(「嫌われ松子の一生」で序盤から川尻松子に感情移入してたのとは正反対。)演じている俳優陣は楽しそうに演じていて演技も安心して見ていられるが、メイクが凄すぎるせいか、竜ヶ崎桃子は深田恭子でなければ、川尻松子は中谷美紀でなければというような絶対この役はこの人でなければというのが無く、その上、俳優の個性というものが死んでる(全員とは言わないが。)気がして、なんか勿体無く、それが登場人物への感情移入を妨げる要因になっているのではないか。「下妻物語」なんかは出演者全員がはまり役で、それぞれの個性をよく活かしていただけにこのあたりは残念。ラストもなにか強引に感じる。中島監督はこの映画を息抜きのつもりで作ったのかもしれないが、この監督にはもっと中身で勝負する映画を作ってもらいたい。
[DVD(邦画)] 6点(2010-08-26 14:00:27)(良:4票)
27.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 
航空業界の舞台裏を描いた矢口史靖監督の映画。今回は「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」のような青春映画からは趣を変えて、伊丹十三監督の映画のようなハウツーものとなっている。飛行機に乗ったことがない自分にはあまりピンとこないのではないかという不安もあったが、最後まで楽しくそして興味深く見ることが出来た。でも、これまでの矢口監督の映画のような突き抜けた勢いがあまり感じられなかったのはちょっと残念だし、後半の展開は元々パニック映画として構想していた名残なんだろうけど、あれによって軽い雰囲気だった映画がいきなり少し緊迫した雰囲気に変わってしまうので少々戸惑ったのも事実で「ハッピーフライト」というタイトルでいくなら最後は無事目的地であるホノルルに到着してエンド、というのが望ましかった気がする。そうしなかったのはやはり矢口監督の中に「パニック映画が撮りたい」というのがあったからなのではと感ぐってしまうのだが。機長を演じる時任三郎が冷静に見えてなんか笑える。「ホノルルへいけ」とクレームをつける乗客に対し、すごく説得力のある言葉で対応するチーフパーサー(寺島しのぶ)がカッコよかった。まあいろいろと言いたいことはある映画だが、楽しめたから少し甘めに7点。矢口監督は最近の若手監督の中ではけっこう好きなのでこれからも手がけた映画は見ていきたいと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-22 14:08:11)
28.  (ハル)(1996) 《ネタバレ》 
森田芳光監督の映画を初めて見たのは「家族ゲーム」で、その次が「模倣犯」。以降、森田監督の映画を見る際には「家族ゲーム」を超えるような傑作ではないかもしれないが、「模倣犯」を超えるような駄作でもないだろうという感じであまり期待していない。本作「(ハル)」は、パソコン通信を通して知り合った男女の恋愛ものだが、セリフを抑え、パソコン画面上のメールを直接字幕として映画の画面上に表示し、登場人物たちのメールでのやりとりを映画を見ている者に「読ませる」ことで展開していく構成はかなり実験的。その分、映画としては非常に淡々としていて静かである。ひょっとしたらこの淡々とした雰囲気に退屈するのではと思って心配だったが、互いに惹かれあっていく(ハル)と(ほし)に見ていくうちに徐々に感情移入していく自分がいた。確かに今見るとやや時代を感じる部分が多いのだが、森田監督の映画の中では佳作の部類に入るのではと思う。これが初主演となった(ほし)役の深津絵里、「踊る大捜査線」以外の出演作をあまり見ていないので恩田すみれの印象が強く、ちゃきちゃきした男勝りなイメージがあるのだが、この映画では寡黙な女性を演じていて、すみれとは全く印象は異なるのだが、はっきり言って深津絵里の魅力をこんなに感じられる作品を今まで見たことがあるだろうかと思うくらいにすごく魅力的だった。(ハル)役の内野聖陽も「黒い家」での異様にオドオドした主人公とは違ってとても誠実な印象で良かった。二人が初めてお互いの姿を確認する新幹線のシーンも印象的だったが、やはり二人が初めて出会うラストシーンの余韻の残し方が素晴らしく、今まで見た森田監督の映画の中では後味もよく最高のラストシーンだと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2010-06-01 19:00:42)(良:3票)
29.  白昼堂々 《ネタバレ》 
「男はつらいよ」シリーズ以外の渥美清の主演作を見るのは実はこれが初めて。共演者が倍賞千恵子、佐藤蛾次郎、それに田中邦衛に藤岡琢也と、「男はつらいよ」シリーズのレギュラーやゲストで出てる役者が多い。渥美清と倍賞千恵子に寅さんとさくらというイメージが強すぎるゆえか、この二人が殴り合うシーンや、恋仲になって契約結婚しちゃうという展開には微妙な違和感を感じてしまう。(渥美清は結婚する役を見るのも初めてだったが、その相手が倍賞千恵子というのがなんとも。)渥美清とフランキー堺という二大喜劇スター(そういえばこの二人、同じ年に亡くなってるんだなあ。)の共演は見る前かなり楽しみだったのだが、一緒のシーンが一度もなかったのは残念。映画としては傑作とまではいかないものの娯楽喜劇映画としてはじゅうぶん楽しめる出来で、サスペンス映画のイメージが強い野村芳太郎監督のサスペンス以外のジャンルでの職人ぶりがうかがい知れるプログラムピクチャーの一本となっていて、クライマックスのデパート売上金強奪作戦の部分の見せ場もよく心得ていて全体としてはとても面白かったものの、やはり渥美清とフランキー堺が一緒に出てるシーンがないことへの物足りなさと、渥美清と倍賞千恵子が結婚して夫婦になるという展開に最後まで違和感が消えなかったので惜しいけど1点マイナスの6点。
[DVD(邦画)] 6点(2010-02-25 13:05:35)
30.  ハナ肇の一発大冒険 《ネタバレ》 
肉屋の主人がふとしたことからダイヤモンドをめぐる騒動に巻き込まれ、ヒロインと大冒険を繰り広げるというストーリーで、カーチェイスや銃撃、殺人、山岳遭難ありとこれだけ書くと本格的なアクション・アドベンチャー映画のようだが、山田洋次監督のハナ肇主演によるコメディー映画である。これと同じプロットを深作欣二監督あたりが手がけていればもっと泥臭い映画になったところを山田監督の演出はそれを避け、実にからっとしたコメディーに仕上げており、軽い気持ちで何も考えずに楽しめた。ヒロイン役は倍賞千恵子。山田監督とハナ肇のコンビ作で倍賞千恵子がヒロインを演じる作品はかなり久しぶりに見た気がするが、二人とも息のあったコンビネーションを見せていて楽しい。ハナ肇演じる主人公は「社長」と周囲から呼ばれているのだが、「男はつらいよ」シリーズを先に見てるからヒロインが主人公を「社長さん」と呼ぶとタコ社長(太宰久雄)の顔が思い浮かんでしまう。主人公たちと知り合った男が旅に加わるという展開は「幸福の黄色いハンカチ」を彷彿とさせているが、動かなくなった車を二人で後ろから押してるシーンなんかあったりしてますます「幸福の黄色いハンカチ」を思い出して久しぶりにまた見たくなったなあ。ラストの倍賞美津子の使い方が面白い。そういえば姉妹で同じ画面に出て共演してるのを見たことがないのだが、「男はつらいよ」でマドンナを演じる倍賞美津子を見てみたかった気もする。
[DVD(邦画)] 7点(2010-02-17 19:54:53)(良:1票)
31.  春の雪
三島由紀夫原作の映画の主役が妻夫木聡と竹内結子(テレビ初放送時の「タイタニック」吹き替えコンビ)ってちょっとどうなんと思いながら全く期待せずに見たが、映像が美しく、いかにも大正時代の貴族社会という雰囲気がよく出ていたと思う。岩代太郎の音楽も良い。主演の妻夫木聡は「ウォーターボーイズ」とかで爽やかな印象が強いのだが、なかなか頑張っていて予想よりはよかったと思う。が、一方の竹内結子は頑張ってはいるのだが、なんか違うような気がして似合わない感じがする。映像の美しさは先ほど書いたとおりなのだが、ストーリーにあまり深みがなく、主人公二人に感情移入が出来ないのが難で、原作(未読)が4部作の1編ということもあってかただ出てきただけというような人物がいたり、輪廻転生について話すシーンなどの伏線が投げっぱなしの印象なのもちょっとなあ。それにこういう高尚な映画の主題歌が宇多田ヒカルというのも違和感がある。(普通にインストゥルメンタルが良かった。)それでも、大楠道代(安田道代)、岸田今日子、そして若尾文子という増村保造監督の映画で印象に残る演技を見せた三人が出ている(これは企画に藤井浩明が名を連ねているせいもあるかも。)のが自分にとって最大の見どころ(若尾文子、大楠道代(安田道代)に加えて山本圭も出ているので山本薩夫監督の「氷点」も思い出される。)で、中でもこれが久々の映画出演となった若尾文子はやっぱり年をとっていても品があって美しく、独特のオーラを放っていて存在感があり、いい年の取り方をしているなと感じさせてくれたのが嬉しい。ところで晩年の市川雷蔵が清顕を演じたがっていたそうだが、もしも、雷蔵と若尾文子のコンビで映画化されていたらどんな感じの映画になっただろうか。
[DVD(邦画)] 5点(2009-12-30 14:18:41)
32.  配達されない三通の手紙
野村芳太郎監督によるサスペンス映画。「危険な女たち」と同様に外国文学の映画化作品で、印象としてはそれほど深みもなく分かりやすい2時間ドラマ的な映画で、はっきり言って凡作なのだが、期待していなかったからか思ったよりは面白かったかな。(物足りなさもだいぶ感じるけど。)出演者も豪華でそれぞれの役者の演技を見ているだけで安心して見ていられる映画なのだが、中でも、終盤の栗原小巻の演技はかなりのインパクトで印象に残り、この女優のうまさを感じさせる。神崎愛がフルートを吹くシーンはなにかストーリーと絡むのかと思っていたが、たいして意味もなく、ただのサービスカットだったみたいで無くてもよさげに思う。彼女と一緒に手紙の謎を追う日系人のキャラクターもいかにもという感じだった。松坂慶子はうまいんだけど、今年既に何本か出演作を見てるせいかこういう役柄というのはちょっと違和感を感じる。その母親を演じる北林谷栄を見ていてつい「となりのトトロ」で声を演じていたカンタのばーちゃんを思い出してしまった。
[DVD(邦画)] 5点(2009-07-21 13:50:05)
33.  同胞
山田洋次監督の「家族」、「故郷」に続く三部作の最終作ともいわれている作品。前の二本では一つの家族が新天地を目指して旅立っていく物語だったが、本作では趣を変え、田舎の青年団が統一劇場の公演を成功させるまでを描いたドキュメンタリータッチの作品となっている。最初は淡々とした展開にやや退屈に感じていたが、いつの間にか引き込まれ、公演開催のために奮闘する若者たちの情熱が徐々にこちらに伝わってきて、彼らに感情移入せずにはいられなくなり、見終わってとても感動した。山田監督らしい暖かい視線がどの人物にも注がれていて、見ていて優しい気持ちになれる。それにやはり、こういう映画こそ山田監督の映画の醍醐味だと改めて思うことの出来る映画で、下にも書かれている方がいらっしゃるが本当にこの時期の山田監督の映画は外れの方が少なく、いちばん監督として脂の乗った時期で、これも傑作だと思う。出演している役者たちもみんなよく、特に会長を演じる寺尾聡が素晴らしい。そしてこの映画の主題歌としてもクレジットされている劇中劇ミュージカルのテーマ曲「ふるさと」もかなりの名曲だと思う。 
[DVD(邦画)] 8点(2009-01-13 23:56:10)(良:1票)
34.  バッテリー
少年野球を題材にした作品で、子役たちもいい(特に主人公の弟役の笑顔が最高。)のだが、もともと岡山に住んでいる設定の子をはじめとして方言がポジティブすぎで、中学生なのに一人称ワシだったり、なんか話し方が年寄り臭すぎでどうも若々しさというものが感じられず、また顧問の先生が生徒に話しかける際も方言であるなどということは絶対になくかなりの違和感を感じた。このおかげで(まあ、狙ったのかもしれないが。)相当に田舎臭い映画になってしまっているのが地元の人間としてひいてしまう。また、思ったとおりドラマが浅く、母親との関係などじっくりと描くべきところがあっさりとしていたり、その他いろんなエピソードを詰め込みすぎていて長い原作(未読)を無理矢理2時間におさめようとした感がある。終盤重体になった弟が瀕死の状態で兄に話しかけるシーンはいかにもここで泣けという感じで冷めてしまったし、ラストの母親の応援シーンは皆さん書かれているとおりやりすぎだと思う。見ていなかったが、これだと今年NHKで放送されていた連続ドラマの方がよさそうだ。
[DVD(邦画)] 3点(2008-09-27 12:56:19)(良:1票)
35.  氾濫
別に悪くはない映画だが、増村保造監督の映画としては「巨人と玩具」のような圧倒的なテンポの良さが感じられず、「妻は告白する」や「清作の妻」のようなインパクトのある作品でもないのでなんだか普通すぎて物足りない。また若尾文子も可愛いのだが、「青空娘」や「妻は告白する」と比べてあまり魅力を感じられず正直言って残念。ただ、ドロドロした人間関係や男たちのダメさ、いい加減さを描いているところに若干の増村監督らしさを感じることはできるので増村作品としては発展途上の映画という感じもする。船越英二が沢村貞子に対して「確かに三度ほど女房を変えたけど、僕はその都度真剣だった。」とか言っててなんか怪しいと思ったらやっぱり女たらしな男の役。この俳優は「黒い十人の女」とかでもそうだけど、こういうダメな男の役とかやるとハマるなあ。
[DVD(邦画)] 6点(2008-09-22 19:25:18)
36.  裸の島(1960) 《ネタバレ》 
セリフらしいセリフはないが、効果音や風景としての人の声は多少は入っているため、完全なサイレント映画ではなく「沈黙劇」と言ったほうが正しいかもしれない。(どこがどう違うのか、と聞かれれば困ってしまうのだが。)孤島に暮らす一つの家族の生活を淡々と描いた内容なので確かに見様によってはかなり退屈な作品かもしれないが、とても見ごたえのある作品だと思った。この作品は新藤監督以下、スタッフ・キャスト十数人が島に泊まりこんで毎日、毎日この映画で描かれているような農作業を実際に主役二人にさせていたというのを昔聞いた事があるが、やはりそういう演出法がこの作品のリアルさを生んでおり、主人公夫婦を演じる乙羽信子と殿山泰司の演技も俳優の演技というよりは本当の農民という感じですごくリアルだった。ただそうは言っても二人ともほかの映画との掛け持ちもあったであろう中でこのリアルさを出せるのはすごいと思う。ラスト、死んでしまったわが子を思い泣く妻を夫が黙って見ているシーンはそんな二人の演技がもっとも光っていてすごく感動的だった。林光による音楽もとてもよく見終わっていつまでも耳に残る名曲だと思う。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-08-29 20:52:04)(良:1票)
37.  花のお江戸の無責任
黒澤明監督や本多猪四郎監督、谷口千吉監督が師事していた山本嘉次郎監督による植木等主演の時代劇コメディー。ほかのクレージーの面々ももちろん出演していてそれなりに楽しめるものの、古澤憲吾監督や坪島孝監督が手がけるクレージー映画と比べるとちょっと勢い不足の感があった。有島一郎演じる青山播磨のキャラクターが強烈。
[DVD(邦画)] 6点(2008-02-05 02:35:42)
38.  ハウス/HOUSE(1977)
山口百恵主演の「泥だらけの純情」の同時上映作品として公開された大林宣彦監督のデビュー作で中学生の原案をもとに作られたB級ホラー映画。普通、映画監督のデビュー作というのはまだ作風や映像のスタイルなど何も確立していない場合が多いと思うのだが、デビュー作とは思えないような異様に凝った映像や少女たちを主役にしているなど、既にこの頃から大林監督独特の世界観が確立されちゃってる感じがしてとても楽しい映画だった。主人公の家の表札が「木枯」(父親を演じているのは笹沢左保。)だったり、監督一家がチラリと出ていたり、無声映画風のシーンがあったり、ラーメン屋に寅さんがいたり(松竹に許可はたぶんとってあるんだろなあ。)と遊び心も満載。
[DVD(邦画)] 9点(2007-10-22 02:41:30)(良:1票)
39.  ハワイの若大将
シリーズ第4作。今回から海外ロケがシリーズの一つの目玉になり、今回の舞台は常夏の島ハワイ。この前に見た「アルプスの若大将」では舞台が雪景色の中だったのでその対比が面白い。ハワイで青大将が世話になってる古屋老人の家の表札がいかにも日本的な表札(しかも、漢字で書いてる。)なのが笑える。レギュラーメンバーでは青大将のどじぶり(このシリーズをずっと見ていると田中邦衛のイメージ変わってしまいそうな気がする。)や田能久のメンバーとのやりとりなどがシリーズも見るの3本目になると安心して見ていられるようになった。(江口役がイデ隊員に代わってるのはそれだけにちょっと残念だけど。)なんかこのシリーズを全て見たくなったような気分だ。ちなみに本作公開当時の同時上映の映画は「マタンゴ」だったんだとか。うーん、同じ南の島が舞台でも受ける印象は全く逆というすごい二本立てだなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2007-09-16 15:39:10)
40.  花のお江戸の釣りバカ日誌 《ネタバレ》 
舞台を幕末に移したシリーズ通算第12作。浪人である浜ちゃんと庄内藩主であるスーさんが出会うところからやっているので前半は1作目を江戸時代に舞台を移し変えたセルフリメーク作品みたい。でも浜ちゃんを独身男という設定にすることで完全にそうなるのを避けている脚本は長いシリーズにしては冒険だが、新鮮で面白かった。時代考証的におかしなところがあるのもこのシリーズならば許せる。しかし仕官が叶って庄内藩士となった浜ちゃんの上司が谷啓でなく、中村梅雀だったのはかなり違和感を感じた。ところで庄内といえばこのシリーズの脚本を書いている山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」の舞台となった場所で愛着でもあるのかなと思ってみたり。いつかその山田監督による演出の「釣りバカ」を見てみたいと思ってるのだけど無理だろうなあ。
[ビデオ(邦画)] 5点(2006-11-15 02:58:34)
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