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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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1.  花嫁人形 《ネタバレ》 
これはとても楽しいファンタジー映画。 まるで絵本のよう、紙芝居のよう、お遊戯のような、どこかとても懐かしい気持ちにさせられてしまう作品なのです。 太陽や月の表情、雲や動物の造形、人形に扮した女優のアクションなどなど、どれをとっても楽しくそして暖かみが感じられ、ファンタジーの世界を彩るのにどれも皆一役買っていると言えるでしょう。 特に自分にとっては馬のキャラクターが大好きで、よっこらせといった感じで腰を上げ、最後の方になると「もう疲れた」などと言ったりして会話をしたりと、本物の馬を使うよりも“らしさ”が出ていたように感じました。 オープニングでジオラマを作る段階から物語に入っていったのが奏功しており、それによって背景のチープな印象を180度転換させ、かえって味わいのある雰囲気に仕上げていたところに非常に好感が持て、駆け出しの映画監督の作る作品としてお手本となるような、コスパ(?)に優れた良作と言えると思います。★通算500レビュー★
[映画館(字幕)] 8点(2015-03-22 23:20:13)
2.  バグダッドの盗賊(1924) 《ネタバレ》 
ストーリーに込み入った所がないので、頭を空にして観ることが出来る痛快冒険活劇と言えるでしょう。 空飛ぶ絨毯や怪獣とのバトルなどファンタジーの要素満載で、非常に楽しめる作品だと思います。 ダグラスが冒険に出たプロットで、海底で導かれるように岩の隙間に入ってみると豪華絢爛な部屋に綺麗な女性がいたという場面ですが、澤登翠さんの活弁によると竜宮城にたとえられておられましたが、日本の浦島太郎の物語に類似した話が外国にも存在するという事なのでしょうか。興味深い所であります。
[映画館(吹替)] 8点(2014-12-30 00:06:50)
3.  パンドラ 《ネタバレ》 
もう、お話がロマンティックすぎてどう書いていいのかわからず、新規登録してから時間だけが過ぎ去っていってしまった・・・というのは冗談。 ドラマはドラマなのですが凄くファンタジーな要素が満載な、とっても素敵なストーリーです。 主演女優の名前はパンドラ。決して名前負けしていないことは観ればおわかりで、自身に惚れた男に対し「何を犠牲にするかで愛の深さがわかる」と、愛車を崖から落とすよう迫ることができるのも、もちろん彼女の美貌があるからこそ言えた台詞ですし、夜更けの海岸で裸になって、泳いで船まで辿り着くなり帆を身に纏って男の前に参上・・・って、こちらもまた“水も滴るイイ女”を地で行く美しさを堪能できます。 対する男も男で、肖像画をダメにされると「怒りという感情はとうの昔に置いてきた」と、こちらも負けず劣らずのロマンティックな台詞で応戦したりと、何か今までに経験したことがないようなとっても神秘的な雰囲気が感じられます。 また、車のタイムアタックや闘牛のシーンもスリル満点で非常に見応えがありますし、ナイフで刺されて殺されるシーンや、船の帆が上がるシーンのような夢か現かを煙に巻く表現も、こちらもまた何ともミステリアスな印象があり、あらゆる場面においてぐいぐい引き込まれるような感覚を受けました。 そして忘れてはならないのが、ただでさえ素敵な物語を一層引き立てるジャック・カーディフのカメラ。 宵の場面の月明かりや明け方の赤みがかった光で照らされる海面のきらめきは言うまでもなく綺麗ですし、どのショットにおいても、時間の経過とともに色合いが少しずつ変化していく映像がとても魅惑的で、彼の色彩の世界は本作でも健在と言っていいでしょう。 邦題がやや物足りない気がしますが、このストーリーだけに、下手にいじって壊してしまうのも怖かったのではないかと容易に想像ができ、原題の「フライング・ダッチマン」は、今までてっきりクライフの事とばかり思っていましたが、それよりも前に元ネタがあり、ご本家に触れることができて嬉しかったです。
[映画館(字幕)] 8点(2014-02-15 16:46:49)
4.  蜂の旅人
普段は、登場人物に感情移入なんて滅多になかったのですが、ドップリと見入ってしまっている自分にビックリ! ・・・・・時々、生きていていやになる事がある。 自分は結婚もしてないし、子供を作ったこともない。人並みの幸せって、まだのような気がする。冗談抜きで死にたくなることってたまにあるけど、このままじゃ自分の人生終わらすことって出来ない。まだやり残した事があるうちは、まだまだ頑張ろうって思う。 しかし、普通に結婚して子供も二人くらい作って自分の家庭というものを築き、子供が自立できるくらい成長したら、その時の自分ってどうなんだろうって思う。人生のノルマを達成した瞬間、孤独感や虚脱感に襲われ生きるのが無意味に感じるようになるだろうって思う。命を絶つことに対する恐怖なんてなくなってしまうのではないかと感じることが、最近よくある。 この映画の主人公スピロは、知恵遅れの末娘を嫁に出し、周囲の意に介すことなく退職し、家庭とも決別し、蜂と共に放浪の旅に出る。スピロの心にあるのは一種の充実感と虚脱感だったのだろうと思う。 家族を捨て、導かれるように旅に出るスピロはただただ格好良い。今の自分にとって、彼は自分の理想ですらあるかもしれない。 アンゲロプロスの映画を観たのは、他に「旅芸人の記録」があり、そちらは将来の自身の成長を期待して敢えて低評価に抑えましたが、こちらは今の自分の境遇を考慮して若干甘めの採点。もし、ハッピーな日常を送っているときに観たならばたぶん4点とか5点くらいの評価にしかならないと思う。観た時の境遇によって評価は変わるものなんだなと、改めて実感。
[映画館(字幕)] 8点(2008-03-19 00:40:26)
5.  パリところどころ 《ネタバレ》 
6編全て良かったが、しいて挙げるとすれば、「サン=ドニ」・「北駅」・「モンパルナスとルヴァロワ」の3つ。 「サン=ドニ」(ジャン=ダニエル・ポレ)【8点】。 見るからにいじめられっ子風の男とちょっと我が強そうな娼婦との一幕。 特に意味もないのに執拗なほどに肖像画を映したり、女の脚を手前にして男を映すところや、男の品のない食べ方を撮り続けるカメラワークが非常に興味深い。 また、字幕についてだが、「そろそろ“やる”?」とか“する?”とか、「“”」で括られて出てくるからそれが妙に笑えて面白かった。ここは、音声のみで見るより楽しめると思う。最後のオチも上手く落としていて好感触。ホテルで停電って・・・まずありえないでしょ(笑)。 「北駅」(ジャン・ルーシュ)【8点】。 超絶的な長回しが素晴らしい。 車でぶつけられそうになった男との会話がオシャレでいいし、その後で自殺をしてしまうというのもちょっと可哀想だけど、映画のストーリーとしては面白い展開だと思う。 長回し=意欲的と捉えられることが多いけど、そういったチャレンジ精神が感じられる作品は自然と好きになってしまうことが多く、もちろんこれも好き。 「モンパルナスとルヴァロワ」(ジャン=リュック・ゴダール)【9点】。 ストーリー的にはこれが一番好き。 実は二つの手紙は入れ違いではなかったというオチは、かなりツボ。綺麗にストーリーが成り立っていて、いかにもフィクションっぽいところがすご~くイイ。 この主人公の女はしょーもない女だけど、ちょっととぼけた感じとか、独特の雰囲気が出ててまさに適役。 他にも「サン=ジェルマン=デ=プレ」【7点】の二人の男との恋愛模様も、ありえなさそうなストーリーだけど上手くまとまっているし、「エトワール広場」【7点】も、ロケ撮影の開放感が何とも気持ちが良いし、ストーリーもしっかりオチがついていて良い。「ラ=ミュエット」【8点】は、いたずらをしてしまう様子を描いたり、耳栓をつけたら音がなくなるといった演出が変にリアルで、生々しいラストもちょっと怖くて、これも完成度が高い。 要するにどれを観ても面白い。 6話の平均点数は7.83。よって8点。
[映画館(字幕)] 8点(2007-08-26 01:16:53)
6.  反撥 《ネタバレ》 
スクリーンで見たので、オープニングのカトリーヌ・ドヌーヴの目のアップが超ド迫力で、あのワンショットに完全に圧倒されました。 60年代の他のカトリーヌ・ドヌーヴの作品を観てから本作を観ると、他の作品での彼女が演じる役柄との間にとんでもなく大きなギャップがあるのに驚かされます。 本作のドヌーヴは目つきからして違う。内に秘めた狂気が伝わってくるようで怖い。演技ではなく本当に精神が蝕まれているかのようです。釘を打ちつけるときの手の震え、ペンを持ってガラスに文字を書いているときのあの目つきは鳥肌が立ちます。 それと、この映画はカメラの動かし方がとても魅力的。カメラがゆっくりと動いて部屋の中で起こっている状況を長回しで映し出す場面が幾度となく出てきましたが、これがまた何ともいえない独特の狂気の世界を表現していると思うのです。また、ウサギの料理やジャガイモが腐敗していく様が時間が経過するごとに映し出されたりするのもいい味出してますね。終盤近くでの、管理人が部屋に入ってきてドヌーヴの体を求めるシーンがありましたが、普通こんなシーンでは他の映画だと、管理人と剃刀のアップを交互に映したりするものですが、この映画では画面の隅の方に剃刀をちらつかせるという方法でスリルを高めていたのが非常に個性的で斬新な印象を受けます。この監督のフィルモグラフィーを見てみると、やっぱりサスペンスが多い。どうりで撮り方が上手いわけです。
[映画館(字幕)] 8点(2005-03-05 22:42:20)(良:1票)
7.  花咲ける騎士道(1952) 《ネタバレ》 
BS2で鑑賞。オープニングのナレーションからしてコメディの香りがプンプンしてきます(「その昔、フランスという国があった」←この時点でもう既にコメディ)。1回しか見てないので細かい部分は憶えてないのですが、フランスが製作したとは思えないくらいのフランスを茶化したナレーションや(確か、レースの鎧がナンタラカンタラで、フランスならではの華麗なナントカさばきがどうのこうの・・・ってやつ)、いかにもコメディチックとも言うべきアクションシーンなど、序盤からかなり飛ばしてきます。 前半の注目ポイントはやはり死刑台に上がるシーンでしょう。足元の台が外されるギリギリの瞬間まで本物のジェラール・フィリップが首かせをつけられていて、しかもあの台がものすご~~く不安定な台だったので、もうハラハラドキドキしてしまいました(^_^;)A   後半の注目ポイントは、助太刀に来た3人目の男(名前忘れたけど、ちょっと太った髭のオヤジ)でしょう(笑)。修道院でのバトルも見どころではありますが、それよりもアドリーヌの後を追いかけるために馬に飛び乗るシーンで、3人目の太っちょオヤジが馬に飛び乗るシーンは爆笑モノの超必見シーンです!馬が一瞬フラついたのであのシーンには笑わしてもらいました。 その後のジェラール・フィリップの追走シーンも“白馬の王子様”って感じで格好良かったし、再びアドリーヌがさらわれた後に都合よく地下道に出くわしその地下道が敵の参謀本部に通じていて、しかもファンファンたちが穴から出ても気づかずに会議を続けているという二重三重のありえないシチュエーションも非常に古典的かつ大胆なギャグだったので、十分に楽しませてもらいました。最後のシーンでアドリーヌが何故か勝手にルイ15世の養女になっていたのがよくわからなかったところですが、まぁいいや。※ 〔'04.12.22追記〕再びビデオで鑑賞したのですが、BS2で観た時とだいぶセリフが違ってました。BS2で観た時は“正直男”とか“ホラ吹き男”など、それぞれのキャラにも役名がついていたのですが、ビデオで観てみるとそれがなくちょっと物足りなさを感じました。しかし、ただのアクションコメディ映画と思いきや現代でも言われている“夢を叶えたいという強い意思を持つ者のみが夢を叶えることができる”という教訓のようなものが込められているところもこの映画のテーマとして良かったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2004-12-07 21:05:32)(良:1票)
8.  バニー・レークは行方不明 《ネタバレ》 
サスペンスとは何かという私見は他の映画にレビューしたので置いておいて、この映画においては作品後半までは主人公兄妹の怪演やアフリカ帰りの大家、保育所の老女などの脇役の存在により本格ミステリーの体でいながらも、人形の修理店からの一連のプロットでこちらも非常に良質なサスペンスに様変わりするストーリー構成に唸らされました。 前半のミステリーについては、バニーを保育所に預けるシーンや渡英シーンを提示しておらず、観ている側としては警察が疑うのと同様、そもそも本当にバニーは実在するのかという疑念を抱かずにストーリーを追うことは難しく感じましたし、幼少期のアンの架空の友達ごっこのエピソードや、アンとスティーブンがあたかも夫婦であるかのような親密さも謎めいた様相を感じさせ、上述した脇役たちの存在を含め凄く引き込まれる感覚で観れたと思います。 後半の人形店のシーンで、何で室内の照明を付けずに手持ちのライトを持たせるのか一瞬不思議に思いましたが、何てことのない小道具をストーリー進展のキーアイテムに変換するテクニックや、本性を現したスティーブンの顔を抉るようなカメラのズームインなど、小説では決して表現され得ない演出はまさに絶品のひと言。 その後、冒頭で出てきた屋敷に戻ったシーンでは特に庭の遊具で遊ぶシーンが印象的で、「You cheated.(君はズルをしたね)」で心理的な不安感を煽り、極めつけのブランコのシーンでの「higher! higher!(もっと高く!)」は、観終わってしばらくしても耳に残っていたほどですし、カメラを激しく揺れ動かすショットも非常に扇情的なラストとして強烈に脳裏に焼き付く印象的なシーンでした。 ただ一つ気になったのが、オープニングで紙を破って剥がしながらクレジットを見せる演出なのですが、これが謎。玉にキズ。 (突っ込むのも野暮ですが)結局、劇中に紙を破るシーンが一度も出てこなかったのが勿体なく、これが伏線として機能していれば最高だったのにと考えてしまい、上手く利用できなかったのかor他のタイプのオープニングに出来なかったのかなどと難癖を付けたくなってしまいました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-25 23:51:15)(良:1票)
9.  パリ、テキサス 《ネタバレ》 
この映画を観た後、テキサスの中に本当にパリという地名があるのか調べてしまいましたが、やっぱりありました。しかもエッフェル塔も建っていたりして。 さて、映画。 基本、ロードムービーは大好き。 あてもなく放浪する旅も良いし、この映画みたいに自分の親が愛を育んだ場所を訪ねたり肉親を探しに出たりという目的を持った旅もそれはそれで良い。銀行の前で張り込むのとか、すごく楽しそうだし。 オープニングのトラヴィスの登場シーンはかなり謎。なんかミステリアスな感じがするのと同時に、如何にもという作り話っぽい雰囲気も感じられてしまいます。 おまけに、トラヴィスの妻役のナスターシャ・キンスキーがマジックミラー越しに会話する店で働いているというのもちょっと都合が良すぎるんですが、そうでなければストーリーが繋がらないし、ラストの母子再会の感動もなかっただろうと思うので素直に受け止めることにします。 ラストは、トラヴィスは一体どこへ行ってしまったのだろう。 ハッピーエンドで終わってくれると思いきや、最後はいろいろと考えさせられる幕の引き方でした。
[映画館(字幕)] 7点(2017-01-09 02:34:13)
10.  八甲田山 《ネタバレ》 
八甲田山という映画がある事は以前から知っていましたが、シベリア遠征のための訓練の話だとは知りませんでした。 確かに苛酷であるのは容易に見てとれるのですが、訓練の話となるとどうしても面白さを割り引かざるを得ないという気がしてきます。 映画の序盤で、これから過酷な地に向かうという事もあり、その前フリがあらゆる場面にちりばめて出てくるのが映画を盛り上げるのに生きていたように思えました(若干演出過剰気味ですが)。 まず、トップの人間から困難な任務であることを聞かされたり、麓の村民からも無理だと諭されたり、また、神田大尉の奥さんに食事を日程分よりも多く入れておいてくれという台詞からは彼が内に秘めている悪い予感が的中することを暗示させていたりして、入山前から並々ならぬ緊張感を漂わせていて実に面白いです。 更に、山田少佐が村民に対し案内は要らんと拒否する一連のシークエンスの間、神田大尉の背中を映し続けるカメラが彼の受ける絶望感や悲壮感を静かに炙り出していて、ここが自分にとってこの映画の中で一番好きなシーンです。 映画のほとんどが雪の中での過酷な状況である中でも、ひときわ群を抜くのが雪崩のシーン。人工的に作り出したのだとしても、ここは本当に命懸けであっただろうし、更には、物語の中で夜を越す場面ではテントも張らずにただ雪洞を掘ってそこで立って寝るだけというのが、昔の人は凄いなぁとこの映画で一番驚かされたところです。
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-15 22:02:23)(良:2票)
11.  遥かなる青い海 《ネタバレ》 
ストーリーの冒頭にタナイ少年が治療を受けるシーンがあり、最後に核実験の犠牲になるというストーリー構成となっていますが、自分の解釈としては彼はそこで亡くなったのではなく、かろうじて生き延びて保護された(最初のシーンに戻る)、と捉えました。 ですので、ストーリー構成をあのように時間軸を逆にする必要は感じられず、基地を脱出して再び自由な海へ旅立って行く、という終わり方で問題なかったように感じられました。 主人公のタナイ少年はポリネシアの言葉しか知らず、出会った人々と言葉を交わすことなく交流していましたが、これが必然的に映像のみで表現することにつながり、まるでサイレント映画のような作品に仕上がっていたことが良かったと思いました。 心情表現も、少年の言葉で「喉が渇いた」とか「痛い」とかを言うことはせず、皮膚に水分が行き渡っていない状態を映像で見せるにとどめたり、うめき声を上げる程度に抑えていましたし、恐怖心を体を丸めることで体現していたり、島でいろいろと助けてもらい感謝の意を表す際もポリネシアの言葉を使う事すらなかったところを見ると、徹底した言葉の排除を窺い知ることができると思います。 勿論、魚を獲って「獲ったど~!」とか言われたら白けること間違いなしですし(笑)、女に向かって「愛している」などとのたまおうものなら失笑どころか怒りすら沸き起こってくるかもわかりません。 また、この映画の大部分を占める海のシーンがとても良く撮られており、タナイ少年が銛を持って海の中を泳ぐシーンや鮫を後ろから至近距離で捉えるカメラも良い仕事をしており、海の上のショットにおいても、鮫と格闘するシーンなどは、両者が同一画面に収められたショットはほとんど見られなかったにもかかわらず格闘時のスリルや切迫感などがしっかりと表現されていて、カット割りなどの編集作業でも良さを感じることができると思います。 同時に、言葉で表現する場面がない分、少年の心情を抉り出そうとするクローズアップが多く見られたのも、教科書通りの正しい用い方で、これまた良い仕事をしているように感じました。 音楽についても、エンニオ・モリコーネの名前がオープニングでクレジットされているので、意識して耳を傾けてしまいそうになりますが、物語や映像よりも前に出ることはせず、程良い塩梅で心に沁み入る感じです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-03-29 11:48:48)
12.  白鳥の死 《ネタバレ》 
描かれているテーマがとても良く、教訓じみた話にする意図があるのかわかりませんが、ちょっと心に刺さってくるものがありました。 一番目を引いたのが人物描写で、特に子供の描き方に卓越したものを感じたのですが、同世代の子供同士の会話や親子のやりとりのシーンでは、女の子特有の少し大人びた感じで描いている一方で、地下に走って逃げたシーンではただのネズミに怖がる場面もあったりと、一面的でない見方で描いていたように思え、また、噂が広まった先で(噂が広まっていく時の描写が良い)手紙を書いて本人に送りつけるという全く意味のない馬鹿げた行為をする大人がいるのに対し、真実を正直に打ち明ける子供という対比も印象的に感じました。 真実を知って最初は怒った先生も、最後にはちゃんと良識ある大人としてエンディングを迎えるというのがとても感動的で、それまで主人公のローズから「母さん」と慕われていた女性があっさりバレエを辞めて結婚してしまった事もあってか、何か子供の時の道徳の授業で感じた感覚が舞い戻ってくるような思いがしました。 また、古いフィルムだったのでよく見えない個所があったものの、地下に逃げ込むシーンの暗闇の雰囲気や奈落の底を駆け抜けるローズを捉える横移動のカメラ、そして子供の目線を意識した低い位置からのショットなど、撮影に関しても良い出来栄えであったと思いました。
[映画館(字幕)] 7点(2014-01-27 23:02:49)
13.  巴里の女性 《ネタバレ》 
久々に観てみて大正解。6点→7点にアップです。 光と影だけで電車の到着を表現したと、評論家もそのアイディアを絶賛するほどの例のシーンですが、現代の映画しか見ない人にとっては、“たかが光”と、目もくれないでしょうが、それは感性が鈍っている証拠でしょう。 また、冒頭でマリーの父親が階段を登るシーンですが、壁に映る影を異様に大きく見せることにより、これだけで怖い人物が上がってくるということが、影を見ただけで解ってしまう。 今の世の中、電車を画面に出さずして電車が到着したことを表現し、階段を上がってくる人間の顔を見せずしてどんな人なのかを描くことができる映画監督が一体どれだけいるでしょうか。 他にも、チャップリンの優れた映像作家としての仕事だけでなく、人間に対する鋭い視点というものも見て取れたような気がします。 それは、マリーがマッサージをしてもらっているときに、その隣で女性たちが色々と噂話をしているときのエステティシャンの軽蔑の表情を何度も何度も執拗に映していたところや、窓の外にネックレスを投げ、それを通りかかった男に持っていかれて慌ててネックレスを取り返しに行って戻ってきたときのピエールの笑い方もどことなく不気味な感じもします。 また「最後にもう一度だけ会いたい」と、好きな相手に渡した手紙を他の男に見せてしまうというのは、差し出した男にとっては相当な屈辱に違いありません。 母親と息子の関係もしっかりと描かれていますし、どんな境遇のどんな人間に対する描写も、ぬかりなく良く描かれているなぁと感じました。
[映画館(字幕)] 7点(2005-05-09 01:01:20)
14.  ハウルの動く城 《ネタバレ》 
オープニングのお城の動く画に度肝を抜かれ、そのまま持っていかれたって感じですね。私にとって、あの動く城はネコバスに匹敵する驚き・感動があります。 この映画は、動く城の挙動の方に注目してしまいそうですが、むしろ主人公ソフィーの方に焦点を合わせて見るべきだと思います。ソフィーがお城の掃除をし、城の住人達と仲良くなり、母親役として貢献し、その過程でハウルに恋心を抱くわけですが、その時その時でソフィーの心情によって外見が若返えり、生き生きとしてくるところに本作のアイデンティティーがあります。なので、この映画はある程度お年を召した方が見ると、とても勇気付けられる印象深い作品に映るのではないでしょうか。観る前まではお城の構造や美術面の方に期待を向けてしまっていたので、テレビCMなどで流れていた主題歌を聞いたときはちょっと違和感があったのですが、ソフィーをメインにこの物語を追っていくとラストで流れる主題歌が非常にマッチしてることがわかり、倍賞千恵子の歌声が非常に心に染みわたってきて思わずじーんときてしまいました。 また、ソフィーと千尋を置き換えて考えると、主人公の成長を描いたという見方をすれば前作とも似ていなくもないような気がします。 確かに皆さんの仰る通り、登場人物たちのそれぞれの行動の理由(特に後半)や心情の描写が描ききれていなかったようにも思えますが、それを差し引いても素直に良かったと言える作品だったと思います。DVDの販売を最低でも1年以上は空けるらしいので、是非もう一度観に行ってみようと思います。ところで、ハウルの人物像は(キムタクがハウルを演じたというよりも)ハウルをキムタクのキャラに似せて作ったのではないかと思いました。
[映画館(邦画)] 7点(2004-12-02 13:59:31)
15.  8人の女たち 《ネタバレ》 
「スイミング・プール」が良かったので、観てみることにしました。 自分は、“●●が出てるから・・・”といった理由で映画を見ることはない為、この映画が豪華キャストの競演であることは知らずにこの映画に入り込んだのですが(けど、カトリーヌ・ドヌーヴの大物ぶりはすぐにわかった)、なかなかどうして良く出来たキャスティングではありませんか。 全体を通じてミュージカル仕立てであるところが豪華な衣装やセット(ピンクの小銃もオシャレ!)、そして、なんと言ってもこの安っぽい(←誉め言葉)ストーリーに非常に合っていると思います。しかも、みんな歌が大変お上手ときた。 肝腎のストーリーはというと、これも自分にとってはとても楽しんで見れるストーリーで、真面目に見るといい加減に作ったサスペンスのようにも見えてしまいそうですが、そもそもサスペンスをミュージカル調で作る事自体観客に真剣に謎解きをさせる事を拒否しているわけなので、メインの殺人劇の方は多少の安っぽさがあった方がかえっていいのでは、と思います。 最後の締め方も実にうまく、みんなで手を取り合って“FIN”の文字が出た時は本当にミュージカルを観ているようでした。 DVDの特典映像にあるポスター集も、全てにおいてフランスならではのセンスの良さが出ていて思わず見とれてしまい、しかも、そのポスター集の後ろで流れるBGMも綺麗だったのがまた良かったです。
[DVD(字幕)] 7点(2004-08-30 18:07:58)
16.  ハリーの災難 《ネタバレ》 
全体でコメディ映画として成り立っていて、さらに細かな部分でも笑いを誘うところが多々あったので楽しんで見れたと思います。こういう穏やかなほのぼのとした笑いもなかなかいいですね。ワイル船長の、船の中で石の柱に頭をぶつけた男の話や、ミス・グレイヴリーのためにハリーを再び掘り起こすシーンで木陰で休んでいたのがワイル船長だったのがウケた。アーニーもとてもかわいかったし。マーロウの服が芸術家らしくないところがやや減点。恋愛シーンと絵の値段交渉のところがちょっとクサい感じがしてあまり好きではなかったけど、後から考えるとこの物語にとてもマッチしているような気がするのでよしとしましょう。あと、紅葉って外国にもあったのね。日本だけのものかと思ってた・・・ 
7点(2004-06-25 16:53:46)
17.  パリは燃えているか 《ネタバレ》 
映画の鑑賞前は必ず監督やキャストなどの情報はある程度頭に入れて臨むのですが、ズラリと並んだ豪華キャストの面々に、どんだけ人間ドラマ熱いんだと、期待してしまいましたが、この映画に関してはそこは期待すべきではない作品のようです。 自宅のテレビでの鑑賞なので時計も見ながらでしたが、ジャン=ポール・ベルモンドが登場するまで50分も待たされましたからね(笑)。 監督のルネ・クレマンがフランス人という事もあり、起用したキャストのほとんどがフランス人俳優で、また言うまでもなく、フランス側の視点でカメラを回していたのが特徴的です。 ドイツ兵に「美しい街だ」と言わせたり、市街戦でもドイツ軍を迎え撃つシーンが多かったりするなど、終盤にかけては言わずもがな。 また、昔の記録映像を織り交ぜながら語る手法は、映画のストーリーが史実に基づいたものだという事を表現していて、リアルに迫った説得力のある語り口として捉えることができると思います。 映画中盤辺り、ピエール・バネックはアメリカ軍へ、ベルモンドはフランス軍へそれぞれ掛け合い、ナチスドイツを退けようという動きが高まってきたところでインターミッションが入る構成も良く出来ているなという印象です。 ドイツ軍司令官のゲルト・フレーベ扮するコルティッツ将軍が上からのミッションに徹することができず、軍が人を統率することの難しさも描かれていて、映画を観終わった今、ウクライナに侵攻しているロシア軍もいろいろと上手くいかないことが多いのではとか考えを巡らせてみたりもしました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2022-10-14 02:41:38)
18.  パリ警視J 《ネタバレ》 
ダーティーハリーは観たことがない自分でも、何となくアメリカンな雰囲気は感じられたと思います。 のっけからダッシュで追いかけるベルモンド扮するジーパン刑事。50になってもまだまだ現役で相変わらずカッコエエ~。 すぐさま麻薬密売船をヘリで追跡し飛び乗るアクションなど序盤から結構飛ばしてるなーという印象で、その後もやる事なす事全部が破天荒でニヤニヤしながら観てしまいました。 カーチェイスでは戦車さながらの装甲車で、よくあんな重い車でスピード出せるなと思っていると、最後には相手の車に突っ込んでクラッシュ!という荒技で仕留めてしまう・・・って、警察がその場で殺しちゃイカンでしょ(笑) カウンターのレストランに入って、ニコニコ顔で隣でステーキを注文するベルモンド。 俺もベルモンドと食事してみたいなぁ~とか思っていると、いきなり乱闘シーンに突入!しかもベルモンドの先制攻撃だ!! 俺もイヤな奴がグラスを持った瞬間にあれと同じことやってみたいとか、机の上の書類を横に払い捨てて好きな仕事だけをやりたいとか思いましたが、ヒロイン役がややビミョーだったので憧れ半分に留めることにします(笑)
[映画館(字幕)] 6点(2022-10-03 14:01:47)
19.  バシュフル盆地のブロンド美人 《ネタバレ》 
「盆地」というタイトルからして、平原でじゃじゃ馬を乗り回してドンパチやるシーンを想像していましたが、観てみると意外とスケールが小さく拍子抜けしてしまった気がします。 ストーリー全体では、結構テキトーな感じが見受けられ、過程や動機が見えにくい部分があったり、トントン拍子で事が進み過ぎる所があったりと、物語に関しては少々軽い所が見えてしまい、あまり深く印象に残るものはなかったように思いました。 冒頭、射撃を教える爺さんから画面が切り替わると撃っていたのはなんと可愛らしい小さな女の子というオープニングと、インディアンの真似をした二人組を教室に残して彼らをビビらすシーンの二つが一番好きシーンです。
[映画館(字幕)] 6点(2014-01-07 21:41:44)
20.  8 1/2 《ネタバレ》 
冒頭の人間凧の映像の格好良さから、早くもテンションが上がってきたのですが、ストーリー全体を通して見てみると、自分の理解が及ばないところが多々あり、それが非常に残念、というか、悔しい。 けども、主人公の苦悩は十分に伝わってきて、その描き方が面白いと思いました。 自分の考えを理解してもらえない、周りの人間を信頼できないとかは、何か共感できてしまったり・・・少なくとも、嫌いではないですこの映画。 ただ、現実と幻想の境界を把握しきれないままだったので、再度機会があれば是非とも観てみたいと思いました。 
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-25 00:32:50)(良:1票)
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