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コメント数 814
性別 女性

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1.  ビョークの「ネズの木」~グリム童話より
普通に映画を楽しみたい、という方には全く向かない作品。だからお勧めはしない。私のように「寂寥感」に積極的に浸りたいと思うような人間は少数派だと思うので。私の場合、グリム童話的な残酷さやアイルランドの荒涼とした原風景、それらが醸し出す何とも言えない寂寥感に触れたい、という構えで観たので、期待通りの作品だった。ここまで「寂寥感」だけで出来た映画もない。寒々しく、暗く、寂然として、残酷で、排他的な、閉じた世界。
7点(2004-07-05 18:24:38)
2.  秘密と嘘 《ネタバレ》 
あのラストの大暴露大会…。あれがキモだったんだろうけれど、あれで作品自体が急速に安くなった気がする。何とも必死で滑稽な感じが妙にリアルではあるんだけれど、全くの他人(しかも結構痛い系の人)に、「私はこんなに苦労したの、こんなものを抱えて来たの、ずっと辛かったの、ああ、人生って何て残酷なの!」と延々とグチを語られているようで、何だかな~、という感じでした。誰だって苦労はしてるんだよ。あの母親に関してはいちいちげんなりです。あの娘さんが実に気の毒です。
5点(2004-06-26 18:43:11)
3.  ヒューマンネイチュア
人間の駄目でいやらしい部分を上手いこと描いてくれてるので、観てて何だかヘコみます。人間はあほです。シンプルにあほです。この作品は皮肉満載で「通」っぽい雰囲気だけれど、基本的には人のあほさを直球で描いた作品だと思います。人間はとどのつまりは知恵を付けたお猿さんよ、ということか。ちなみに不可能姉妹(仮名)の姉が絶賛してました。
4点(2004-03-19 15:03:15)
4.  ひまわり(1970)
こういう名作に関してアンチな感想を書くのは気が引けるのだけれど、名作だろうが何だろうが自分には合わないよ、という映画はある。誰だってそういうことはあるだろうと思います。私にとってこの作品がその1つです。【プチみかん♪】さんに全面賛同。
4点(2004-03-15 17:45:51)
5.  ピクニックatハンギング・ロック
説明しにくいのだけれど、何だかとても美しく残酷で怖い。ただ少女達が神隠しに遭う、それだけの話なのだけれど、私にとっては非常にドラマチックで味わい深い物語だった。“女の子がただひたすらに若く美しい”、それだけで残酷なんです。神隠しに合う少女達は皆、嘘みたいに美しく神秘的。少女達が節々で放つ言葉が、ゾクッとする響きを持ってじわじわと心に染み込む。そして誰が主役なのかも分からず、視点が定まらず、たまらないほどの不安感に駆られる。全編を包む不安定感と緊張に翻弄される、ノスタルジックな残酷メルヘン。個人的には「ヴァージン・スーサイズ」と「乙女の祈り」を足して2で割ったような雰囲気だな、と思った。静かで幻想的で残酷で底なしに怖く、神がかり的に美しい映画。
9点(2004-03-13 17:54:17)
6.  ヒマラヤ杉に降る雪
思いっきり日本人でありながら、アメリカ英語のネイティブの発音を完璧に会得した工藤夕貴は本当に凄い。でも思うに、工藤夕貴や鈴木杏が出ていなくても私がこの作品を観ていたか、というのは疑問。そんな、日本人でも取り立てて語り継ぐこともない日系移民の話にアメリカ人が興味を持つとは思えず、これをハリウッドが映画化したというのはかなりの驚き。最初から商業目的ではなかったとしか思えない。文芸大作を狙ったのかな。
4点(2004-02-19 17:40:31)
7.  陽のあたる教室 《ネタバレ》 
この作品に自分が感銘を受けなかった理由を考えてみた。悪い話ではないし、過度な泣かせ描写に走っている訳でもない点は好感ものだけれど、私はどうもラストシーンに違和感を感じてしまった。何か釈然としないような。思うにそれは、リチャード・ドレイファス演じる教師が、ラストであそこまで生徒達に支持される理由が分からなかったからだ。“彼が多くの生徒の厚い信頼を得た”ということに説得力を持たせる程には、それに至るまでのエピソードがあまりにも少なかったような気がする(特定の生徒だけじゃなかったですか?)。悪くはないけど、個人的にはちょっと薄味で消化不良というような印象を受けた。
4点(2004-02-11 23:12:41)(良:1票)
8.  ピーター・グリーナウェイ 81/2の女たち
最初に観たグリーナウェイ作品がこれだったので、ケチが付いた。もっと他に作品があっただろうに、何でこれだったのだろう…。しかも勘でDVDを買ってしまったので(よくやるが、大概失敗はしない。これは例外)、やり切れない気持ちは尚更だ。雑誌で観た作中のシーンの写真の、豚の横で踊り狂う遊女姿の真野きりなの姿に「こ、これは…」と目を奪われた私は、思わず注文してしまった。このタイトルは、もちろんフェリーニの「81/2」から来ている。あの作品で提示された女性像に対する1つのアンチな女性像を描いているのだけれど、個人的には全編失笑の嵐だった。呆れながらも、ほうほうの体で何とか最後まで観切った。間違った日本描写も満載ですよ。日本からは真野きりなが出演しています。歌舞伎中毒の狂女の役で(笑)。この作品で唯一観るべきは、彼女の異質な美しさだけです(監督も彼女の美を絶賛している)。個人的には年に一度あるかないかのはずれ映画。いろんな人に警告したい映画。ある意味貴重。
2点(2004-02-11 14:16:48)
9.  評決のとき 《ネタバレ》 
問題自体の重さに対し、法廷劇を見せる手腕が付いて行っていないと思う。人種差別の根深さを問題提起するという意味では成功しているかも知れないけれど、ストーリーがどうしてもご都合主義で破綻が多過ぎるような気がする。裁判の評決の決定打になった一言、あれで、ああ、こりゃ駄目だ、と思いました。人種差別を糾弾する手段も結局、人種差別。分かりゃしませんよ、あの白人の陪審員たちは。本質的にテーマが昇華されませんでした。私は1mmのカタルシスも感じなかった。色んな意味で、やり切れない気持ちだけが残った。
5点(2004-02-04 21:15:15)
10.  ひなぎく 《ネタバレ》 
この作品はとても不思議で、全く何のメッセージ性も考えず「ただただ可愛い!」ということに酔うだけでもいいし、隅の隅まで深読みし、穿った考え方をするのもいい。60年代のファッションやインテリアのデザインと色彩感覚は素晴らしく素敵だし、2人の女の子はとてもコケティッシュでキュート。それに加え、映像のコラージュ、唐突な光学処理、確固とした筋のないブツ切れのストーリーなどは、それだけ見ても前衛的で衝撃的。とにかく脱帽しても足りない程のハイセンス!究極の女の子映画!…それで完結してても充分だけれど、この作品の時代背景と辿った道を少しでも考えたなら、やっぱり何かがありそうだ。冒頭のシーンの忙しく画一的な動きをし続ける歯車はおそらく、当時のチェコの共産主義情勢の比喩であり、唐突に映る日光浴をする彼女達2人の自由な姿と対比させられる。彼女達はおそらく資本主義の象徴であり、作中に登場する、狭いトイレで小金を稼ぐのに必死で、彼女達の来訪を喜ぶ女性や、彼女達の姿が見えない自転車の黒服の花屋達などは、まさに資本主義に憧れる者や共産主義体制下で「自由」という概念すら見えない者の象徴だろう。しかし、ラスト付近ではそのパラドックスが起こる。美しく丁寧に料理された政党の為のご馳走を踏み付け、蹴散らす彼女達の姿。物言わぬ者を問答無用に潰す姿には、資本主義の暴走や戦争の姿を見る。そしてそうした者へもたらされる運命。因果応報のラストと、爆撃を背に、画面に打たれる監督のあのメッセージ。これを撮った後、監督のヴェラ・ヒティロヴァは7年間の活動停止を余儀なくされた。やっぱりこの作品は只者ではない。
10点(2004-02-04 17:09:05)(良:1票)
11.  HERO(2002)
中国の色彩というのはともすればエグくなってしまう程に鮮美だが、どこか抑制が効いている。残酷なまでの鮮烈さを悠久の大地の砂の色で中和し、目に痛くないぎりぎりの色彩を放っている。とにかく美しい。凄い映像スケールだった。考えてみたら、日本人が石オノを持って獣を追いかけ回していた頃に、中国ではすでに幾つかの国が栄枯盛衰を繰り返していた訳だから、それはそれは恐ろしい国ですよ(笑)。そういう「悠久の精神性」を描かせたら中国に及ぶ国はどう考えたって存在しない。こういう奥行きのある映像もいっぱいいっぱいじゃなく、軽々と表現してしまう。この「英雄たち」の物語ですら歴史の一端、歴史の藻屑なのだ、と言い切ってしまう。そして「大局を見て己を捨てる」、そういう歴史の塵芥の姿に英雄を見る。それは東洋思想の極限の形で、西洋主導の現代的な英雄像に対する強烈なアンチテーゼだ。目立つこと名声を得ること歴史に名を残すことが英雄の条件ではない、そう私も常々思っているので、この作品のメッセージ性には素直に賛同したい。ストーリーに関しては、何度もの繰り返しがくどい、という見方が大半だけれど、私はこれで構わないと思う。きっと中国という国には、何度歴史を繰り返しても余りある程の時間とキャパシティーがあるのでしょう。
9点(2004-01-31 12:06:10)(良:1票)
12.  日蔭のふたり 《ネタバレ》 
伏線とまでは行かずとも、あの子は何かしそうだという予感めいたものはあった。それでもやはり、例のあのシーンでは本当に血の気が引いた。時代性だとか運命だとか何だとか…厭ですね…何とも。そんな悪意のない試練ほど残酷なものはない。悲しみや怒りの持って行き場がどこにもないのだから。人は根本的に矮小で、脆弱で、抗えないまま運命に呑まれてしまう。誰も悪くないのに、みんな不幸だ。本当に、何でだろう。
8点(2004-01-22 20:25:38)
13.  100万回のウィンク
やたらとドリュー主演のラブコメ映画が量産されていた時期で、これもその一環だったかな。ストーリーなんてどうでもいいし、脚本なんかズタボロなんだけれど、彼女も映画自体の雰囲気も可愛かったので良しとします。こういう馬鹿馬鹿しい可愛らしさ、結構好き。
6点(2004-01-17 12:51:35)
14.  PiCNiC(1994) 《ネタバレ》 
岩井俊二のイメージが私の中で固まった一作。よく、彼は雰囲気だけの監督だと揶揄されるし、私もそれを否定する気も正直ないのだけれど、雰囲気を出すこと、それも1つの才能だと思う。彼ほど独特の浮遊感と絶望感、寂寥感のある空気を作り出せる日本人監督はいない。とにかく世界観に浸りたい映画。錯覚だとしても、世界の終わりがそこにはある。たった1時間弱のフィルムの中に集約されて。自己が終わったときに、世界はある意味終わる。世界の終わりの疑似体験。ちなみに途中で1人死ぬのは、撮影途中にラブラブになったCHARAと浅野忠信を2人きりにする為に、監督が途中で脚本変更したから。
8点(2004-01-04 21:11:41)(良:1票)
15.  美女と野獣(1991)
この作品や「アラジン」等、90年代前半のディズニー作品は好き(最近、微妙におかしくなって来てないか?ディズニーは)。分かりやすい懇切丁寧な映画作りをしているので観易いです。粗のない良質のディズニーアニメを安心して観たい時に。
7点(2004-01-03 16:05:46)
16.  昼下りの情事 《ネタバレ》 
何ていじらしい。いいラストシーンだなあ。それにしても、彼はすごいプレイボーイのくせに、あの娘が男慣れしてないことくらい本当に見抜けないものなの?と思ったり。まあ、男性は意外とそういうことに鈍感だったりするし。あと私はあの後オードリーが幸せになったかどうかは考えないようにしている(笑)。この映画はあのラストシーンで完結しているのです。ええ、完結しているのです。
8点(2003-12-30 19:16:53)
17.  日の名残り 《ネタバレ》 
原作の小説も読んだ。作者は日系人。それに関係あるのかないのか、この作品で描かれるイギリスの執事は日本の侍とどこか似ている。自分の属するものに対する忠誠心と禁欲的なまでの自縛精神。ともすれば時代錯誤になりそうな物語だが、魅せる。人生においてたった1度の恋、そしてその決着。自らの美学で自身を縛しそれを貫くその様、そのストイックな人生哲学はただひたすらに見事。
8点(2003-12-26 21:21:45)(良:2票)
18.  羊たちの沈黙
初めて見たのは12、3歳の頃。レンタルビデオで。もちろんこの作品を観るにはあまりにも子供で、展開に付いて行けず、事件の流れも上手く理解出来ず、レクター博士とクラリスとの間に流れる微妙な空気を感じ取ることもなかった。ただ、何とも言えない空恐ろしさを感じたのを憶えている。ストーリーというよりも、この作品自体が持つ力に。この作品は多分、私が映画という表現手段がいかに隠し技を持っているかを、そうとは知らずに初めて感じた映画ではないかと思う。それまで子供の観るような映画ばかり観ていた私は、「この映画は何だか違う、他のサスペンス映画とも決定的に違う」とカルチャーショックに似たものを感じたことを憶えている。この映画はそういう意味で私にとって特別。ただその後ビデオを買って何度も観過ぎて、今ではものごっつ飽きてしまったのですが。
9点(2003-12-21 19:46:12)
19.  ピストルオペラ
「極彩色のフィルム・ノワール」。この形容に尽きる。ただ、その世界観にハマれるかどうかは微妙。万人受けは決してしないけれど、この麻薬風味の映像世界にハマってしまう熱烈なファンや支持者もいるだろうと思う。
5点(2003-12-17 20:16:29)
20.  ピンク・フラミンゴ
近所のレンタルビデオ店にこの作品が置いてあったのだけれど、どこかの誰かがいたずらしてたんですよ。このビデオのパッケージに、「家族で楽しめる映画です」と書いたシールを貼ってやがったんですよ!(笑)。知らないでマジで一家団欒で観る人たちがいたらどうするんだ!と思いました(笑)。面白いので剥がしてやらなかったけどね。ぬふ。本当にこの映画は俗悪で良いです。俗悪の極みです。逆に、ここまで俗悪を極めたら清々しいような気すらします。何か、やりたいことは全部やっちゃえと思って素直にやってみちゃった、という、無垢な好奇心すら感じます。ああ、私もこの映画に毒されてしまいました(笑)。タレントの千秋もこの映画大好きなんだって。
9点(2003-12-15 20:52:54)(笑:3票)
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