1. ブラジルから来た少年
《ネタバレ》 ストーリーの構成要素が豊富です。再興を目論む元ナチス、世間から忘却された反ナチス活動家、同じ顔を持つ少年たち、父親を殺す謎、人体実験、当時としては新しかったクローニング、etc。それがら上手にサスペンスとして纏まっています。現代のサスペンスに比して映像的には地味だけど、それが却って上質を醸していました。 3~5%。ヒトラーのクローンにヒトラーと同じ生い立ちを与えた場合に、ヒトラーと同じ人格が形成されるパーセンテージです。2~30人に一人がヒトラーになるってことですね。なんとも大味な計画でした。徹底的にナチスを憎んでいるリーベルマンが少年を生かそうと思ったのは、そんな不明瞭な成功率を元に人を殺すことへ疑念です。さらに、たとえ少年にヒトラーの人格が宿ったとしても少年から未来を奪う正当性への懐疑だった思います。突飛とも云える設定の基底に人間性を感じさせる秀作です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-09-16 03:36:52)(良:2票) |
2. ファール・プレイ
《ネタバレ》 これは高校生になった頃に名画座で観ました。「スティング」と2本立てだったことを覚えています。作品総体の見応えは別にして、劇場内の笑い声に関していうと「スティング」を圧倒していました。周りの笑いに釣られてか、自分も大笑いしていたのを思い出します。30年ぶりの鑑賞でしたが、なかなか酷い脚本だと思いましたよ。辻褄が合わない行動がたくさんあるし、事件の発端となったフィルムの中味なんて最後は忘れ去られてます。それでも充分に楽しめる破壊力が本作にはあったんだと思います。ゴールディ・ホーンが、自分の状況を刑事たちに話すシーンがありますが、その説明の下手糞さが秀逸です。彼女じゃなかったら蹴っ飛ばします。バカっぽいけど一生懸命。それがキュートに映るのが、天性のコメディエンヌの証明であると改めて感心しました。ダドリー・ムーアがストーリーに全く関係の無いところで大活躍。シンフォニーの指揮者というオチも含めて劇場ではいちばん笑いを取っていましたね。その次が日本人老夫婦の「コジャック!」だったかな。サスペンスで始まってコメディで大団円という変な作品ですが、役者のキャラの立ち具合、ネジの弛んだ脚本、シーンごと変わるトーンなど、現代では出会えない珍品だと思います。 [映画館(字幕)] 7点(2012-03-22 22:14:57)(良:1票) |
3. フレンチ・コネクション
《ネタバレ》 40年前の作品なので、今となってはストーリー的には至って平板に思える。だけど、当時高い評価を得たことが頷ける力作でした。覚醒剤ルートを追及する刑事たちの執念が画面から強烈に放たれていました。特にジーン・ハックマンの泥臭いしつこさは特筆もので、車で電車を追いかけるシーンはかなり魅入ってしまった。それ以降の刑事モノに結構影響を与えているのではないかと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-02-15 17:41:23) |
4. ブラボー!若大将
《ネタバレ》 これはかなり新鮮でした。挫折を味わう若大将。シリーズ15作目にして初めてだと思います。まず、付き合っていたお嬢様(銀行頭取の娘)にフラれる。本人は結婚を前提にしていたつもりだったのに、相手にその気は無かった。次に上司とぶつかって会社を辞める。経営方針と噛み合わないことが原因で、主人公の態度はサラリーマンとしては威勢が良過ぎました。そして次の仕事はすぐには見つからない。彼が持っている矜持や鷹揚さが、必ずしも良い方向に転がって行かないシナリオは、これまでの幸運のツケを払っているような風情でした。新たに出会った女性(酒井和歌子)に「(実家の)すき焼屋の出前でも付き合ってくれる?」なんて聞く台詞が情けなくってかわいい。自分の方から女性に向かって素直に気持ちを告げるシーン自体が過去にほとんど無かったので、かなり弱っていることが察せられました。大学時代からの親友で妹の夫となっている江口(江原達怡)と大学の運動部(本作ではテニス)に顔を出して、昔を思い出して元気を取り戻すシーンは、シリーズをずっと見ている者として共感できました。なんとか仕事も女性関係も家族関係も落ちついて日を重ねると、次第に運が向いて来る。悪い時期があっても腐らずに。このシリーズとしては珍しく教訓らしきものを感じる作品でした。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2011-05-04 16:07:33) |
5. ブリキの太鼓
《ネタバレ》 ポーランドの近代史は不案内ですが、本作を観る限りは一次大戦でドイツの属国のような形で共闘し、二次大戦でもナチスに傾倒する人が多くいたようで、同じことを繰り返したんだと思います。つまり、その間のポーランドは成長していなかった。オスカルが成長を止めたのは大人たちの醜悪を嫌悪したからですが、同時にポーランドという国への揶揄ですね。成長しない国では、成長することに意味がない。二次大戦後、オスカルが再び成長を始めるのは、もういい加減に前に進まない訳にはいかない諦観が当時の国家状況に被っていたのでしょう。劇中、オスカルの大人びた子供の視線が捉える周囲の大人たちのだらしなさ。ナマものがナマナマしく描かれる生理的嫌悪感。牛の頭部に詰まったウナギが凄いインパクトです。それら気持ち悪いものすべてが、あの国をダメにしていた元凶だという壮大な皮肉映画と解釈しました。当時のポーランドから遠く離れた時間と場所に暮らす人が、気分を悪くしながら観ることに意義があるのかどうか…。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-01-10 01:25:21)(良:1票) |
6. フレンチ・コネクション2
《ネタバレ》 犯人逮捕という意味では中途半端に終わった1作目の補完を目的にしたような2作目ですが、監禁~クスリ漬けの時間が長くて退屈。自分が観た字幕版はフランス語が一切訳されていなかったので、ちょっとイライラもした。1作目同様にジーン・ハックマンは頑張ってますが、どうも執念が空回りしている感が否めない。ポパイってニックネームに合わせようと無理しているような印象でした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-02-15 17:50:24) |
7. ブルース・リー/死亡遊戯
ブルース・リーが生前に撮影を終えていたアクションシーンを公開したかったという言い訳は聞いてあげるけど、もう少し違う見せ方があったんじゃないか…。自分は彼のアクションに対する冒涜と受け取る。 [地上波(吹替)] 0点(2009-04-07 04:12:11) |