1. ペイチェック 消された記憶
はっきり言って、ジョン・ウー、映画撮るの上手くなりましたね。ある意味彼独特のいい加減さというか、雑な作り方が全く気にならなくなったし、今回はむしろ非常に洗練された非常にマトモなハリウッド娯楽作品でした。ぶっ飛んでもぶっ飛んでも全然迫力なかった爆薬系のアクションシーンがちゃんと派手になってましたし、もともとの彼のファンからは相当ブーイング出そうな気がしましたけど。あいかわらず毒にも薬にもならないベン・アフレックですが、彼は決してバカじゃないので人脈作りに励んでいるのだと思います。(またはマット・デイモンの「ボーン・アイデンティティ」に対抗してるつもりなんでしょうか。)シノプシスも破綻してなかったし、ちゃんと謎解きの段取りもサスペンスフルになっている。途中、ひっくり返ったはずのユマ・サーマンが1箇所だけテレポーテーションで立ち上がってましたけど、ジョン・ウーでこのぐらいなら上出来かと思います。非常に安心して最後まで楽しむことのできる、いかにもハリウッド的な普通の作品ですが、私のような一般観客がハリウッド映画に期待するものは十分満たしていると思います。ポール・ジアマッティのアクションシーンとか、意外に扱いの大きかったジョー・モートンのFBI捜査官とか、脇役陣もなかなか美味しかったです。ひまつぶしにはぴったりの作品。「テキサス・チェンソー」とハシゴした私にとっては、まさに地獄にホトケ。 (ただし人間の記憶を物理的な装置で消し去るほどの技術があるなら、3Dモニターぐらいさっさと開発しろ。とかツッコミたくはなる。) 8点(2004-03-21 01:20:06) |
2. ペテン師とサギ師/だまされてリビエラ
安心して笑い続けられるコメディって意外と少ないのだが、この作品は珍しくきちんと最後まで笑い続けられるコメディ。マイケル・ケインという人は実に幅広く何でもやる人だが、コメディアンとしても全然イケてることを証明した。実はどらえもんに頼んでマイケル・ケインをあと20人ぐらい出してもらえば、同年代の男優は全員失業してもおかしくないほどの実力をこの人は持っていると思う。彼に比べればもう一つ当たりハズレの大きいスティーブ・マーティンもここでは水を得た魚状態で非常に活き活きとしています。それにしてもやっぱりマイケル・ケインって凄すぎる。 9点(2004-01-11 12:17:15) |
3. ベリー・バッド・ウェディング
これ実はかなり好きなんです。でもゲラゲラ笑いながら、「あーっ、自分ってなんてイヤな奴。」と自省するだけの良識はありました。腹黒いのもここまで来ればご立派、と突き抜け方を評価してあげたい。動物愛護の観点から「メリーに首ったけ」を批判しておきながら、じゃあ人間は愛護しなくていいのか?みたいな自戒を誘われる映画なんだけど、弄ばれてるのが人間の死体だったら許せるのは何故なんだろう。たぶん個人的にキャメロン・ディアズにこのぐらいの狂気を期待しているところにうまくハマッたんだろうと思う。何しろ人が死んでるのに自分の結婚式の成功だけに血道を上げちゃってますからね。クリスチャン・スレイターは「ヘザース」のやり直しをしてる感じで別にどうでもいいけど。非常に観る人を選ぶ映画だと思いますが、腹黒くて性格悪くて自虐的な笑いが大好き、とはっきり自覚のある方には力強くお勧めできる作品です。人としての良心のあり方を問われる作品だと思います。(私にはそういうものはないです。) 8点(2004-01-03 19:42:38) |
4. ベートーベン2
あくまでも前作の続編としての期待度には充分応えているんじゃないかと。前作にそれなりにコーフンして、「もっとベートーベンの活躍が見たいぞ」と思った人には楽しめる映画じゃないかと思います。そうでない人はわざわざ見ないと思うので、この点です。私はそれなりに楽しかったですが、単品としてこれをどうのとはあんまり思いません・・・ 7点(2004-01-01 12:33:36) |
5. ベスト・フレンズ・ウェディング
あんなスタイルの良い料理研究家がおるかい。個人的にキャメロン・ディアズのイヤミな個性が鼻についてしまったためこの作品はパス。ラストも敢えて安直路線を避けようとしたのが裏目に出て失敗。この程度のフツーのコメディに私はフツーの安直なハッピーエンドを期待する。だいたいキャメロン・ディアズを可愛いと思えない人間にこの映画見せてもムダでしょう。ジュリア・ロバーツはこのへんから元のコメディ路線に戻って来てくれて嬉しかったけど、だからこそもうちょっとバカバカしくても良かった気がする。結局何が言いたかったんだかよくわからなかった。 6点(2003-12-30 12:28:35) |
6. ペイ・フォワード/可能の王国
《ネタバレ》 あのラストさえなかったら、素直に受け入れてしまってたかも知れないぐらいのスゴイ善意のかたまり映画だったんだけど。あそこまでデキすぎの「ちょっといい話」でたたみ掛けて来たんだから、イヤらしいぐらいデキすぎの話でどこが悪かったんだろう?と無駄に深く考えさせられてしまった。どうもあの不幸のかたまり顔のせいで、「ハーレイ・ジョエル・オスメントに不幸を!」とハリウッドが企んでいるような気がする。幸せになることが許されない顔ってあるんですよね。結果的に良かったんだか悪かったんだかわからなくなってしまったし、ヘンに人生の不条理なんかを訴えるより「みんなで幸せになろう♪」って問答無用に逃げ切っちゃった方がバカバカしくて良かったんでは。人生観にまでたどり着くには中盤までが弱かったのかも。それにしても幸せのねずみ講、いつになったら私のところまで来てくれるんでしょう。ずーっと楽しみに待っているんですが。 6点(2003-12-28 13:12:20) |
7. ベン・ハー(1959)
たまたま「十戒」のレビューを書いてて思い出したんだけど、やっぱり娯楽性ではこちらの方がはるかにポイントが高い。それなりに長いんだけど、「十戒」に比べればあそこまで長くは感じないし。あちらの場合は既に旧約聖書についてある程度の知識があることを前提に描かれているという意味で、素人にはいまいち物語がどっちを向いているのかわかりづらい面があるが、こちらは特に予備知識を要求しないというか、あ~この子が苦労して偉大な人になっていくのね、と特に難しく考えなくてもストーリーについて行ける気楽さはある。私の場合、ほとんど宗教映画だと思わずに単なる苦労話だと思って観ていたら、最後の方でキリストが登場したのでかなりぶったまげてしまった。関係ないけどちょっと前までこの映画にはジュリアーノ・ジェンマが出ている!というのが必ず話題になってたものだけど、すでにジェンマを知ってる人と出会うことの方が難しくなってしまった。寂しい。 8点(2003-12-18 01:37:09) |
8. ペーパー・ムーン
記念撮影用に作られた張りぼての月と、見せかけの誠実さで聖書サギを繰り返すモーゼの張りぼての人生、一見父と娘に見えるんだけど実際のところは赤の他人かも知れない張りぼての親子。タイトルにもなった「ペーパー・ムーン」の比喩するところが実に上手いな、と思わされた作品。主人公アディは詐欺師のモーゼも手玉に取るほど並外れた頭の回転の持ち主で、たぶんコレは本当の親子なんだろうなぁと思わされるが、最後までこれははっきりしない。美人ではないし愛嬌があるわけでもない、大人びたアディのふてくされた演技に史上最年少のオスカーは納得モノ。残念ながら親娘ともども、一瞬の輝きで終わる過去の人になってしまったが、才能ってそれだけじゃ輝き続けることができないんだよな、という一つのお手本にはなったと思う。でもこの映画のテイタム・オニールはやっぱり上手い。当代きっての色男で実際にも女グセの悪かったモーゼ役のライアン・オニールも、この役が一番のハマり役。このタイミングで敢えてモノクロで勝負して来たピーター・ボグダノビッチの目のつけどころもスゴイと思う。古臭い画面づくりが、独特のノスタルジックな雰囲気を作り出すことに成功している。カラーで撮ったらタダのファミリー映画になっちゃってましたね。 9点(2003-12-06 12:50:17) |
9. ベイブ
こういう作品にこそオスカーを獲ってもらいたいものだとつくづく考えさせられてしまった1作。お子様向けの映画、などと侮っていると返り討ちを食らうハメになる。非常に小気味良いテンポで快調な展開、そしてハリウッド映画お約束の「頑張れ」エール満載の元気が出る映画。だから何なんだと言われればそれまでだが、この映画が必要とされるくらい疲れ切った大人にこそ観てもらいたい。 8点(2003-11-22 23:09:58) |