61. マグノリア
《ネタバレ》 「愛したいのに、そのはけ口がない」沢山の登場人物が織り成すこの重厚な群像劇のなかで、ある一人の人物が発するこの言葉が、この深淵でありながらなお猥雑なエネルギーに満ちているこの作品をまさに象徴している。みんな愛したいし愛されたい。でも人間だからみんないつまで経っても心はいつだって擦れ違い。もがき苦しむそんな人間社会に、最後、唐突に降り注ぐ蛙の大雨。もちろん、旧約聖書中の出エジプト記からの引用だろうけど、そんなことどうでもよくなるくらいに滑稽な出来事にただ笑うしかない登場人物たち、というこの映画の纏め方は見事としか言いようがない。「確かにいま人生は辛いかも知れないけど、頑張って生きていこう。だって、明日蛙が降ってくるかも知れないじゃん」という気持ちになれる、良い映画です。 [DVD(字幕)] 9点(2013-04-29 22:45:19) |
62. マシニスト
《ネタバレ》 もう気持ち悪すぎて駄目!!クリスチャン・ベールのあの話題の激痩せは確かに目を見張るものがあるけれど、そんな彼の努力を無にするかのような奇をてらっただけの中身のない脚本と雰囲気ゴリ押しの演出がもう観てられない。そんな世界に、あの生理的に無理な痩せ細ったベールの身体……。もう、観れば観るほど不愉快になる作品でありました。 [DVD(字幕)] 4点(2013-04-26 13:40:51) |
63. マルホランド・ドライブ
《ネタバレ》 ずっと自分とは合わないと思っていたデビット・リンチ監督。でも、この作品だけはかなり嵌まった。それまで雰囲気ごり押しの思わせ振り映像だと思っていたものが、この作品では見事に全てが意味を得ている。当然、1回観終わったときは意味も分からず「なんだか知らんが凄いものを観たかも」と興奮で胸が震えたことを今でも覚えている。そして2回目いろいろと予備知識を仕入れて観れば、ナオミ・ワッツの体当たりの熱演も相俟って、とても切ない少女の願望と挫折が難解な映像とストーリーの間に垣間見えてまた胸が打ち震えた。そして、いつかもし3回目観たとき、今度はどんな発見をさせてくれるのだろうと思えるリンチ監督の奇跡の傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2013-04-21 18:57:29) |
64. マリー・アントワネット(2006)
《ネタバレ》 女の子が大好きそうな、お姫様やら沢山のドレスやら大量の靴やら美味しそうなスイーツやらをキュートに描いたオシャレな映画。スピーディーな展開やセンス溢れる映像やら音楽とかは確かに観てられるけど、まぁそれだけって感じかな。特に心に残るものもないよ。 [DVD(字幕)] 6点(2013-04-20 18:24:00) |
65. マンイーター
《ネタバレ》 いかにも低予算で作られたB級モンスターパニックムービー。舞台もほとんど変わらず肝心の人喰いワニも全景を現すのは後半の10分程度だけ。確かに、限られた予算で頑張って面白い映画を撮ろうという姿勢は好感が持てるんだけど、それならそれでもっとアイデアで勝負して欲しかったなー。あまりにも新味のない地味な作品に仕上がっていてちょっと残念でした。 [DVD(字幕)] 5点(2013-04-12 12:05:38) |
66. マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙
《ネタバレ》 いまだ賛否の分かれているイギリス初の女性首相の伝記映画。なのだけど彼女がまだご存命ということで制作陣が萎縮してしまったのか、テーマの搾りきれていないなんとも散漫な映画となってしまった。男性中心社会でのし上がっていくまさに〝鉄の女〟のパワフルな女性の姿を描きたかったのか、それとも年老いて認知症を患った孤独な女性の〝もののあはれ〟的哀愁を描きたかったのか、それともそんなパワフルな女性を影で支え続けた夫との〝ラブストーリー〟を描きたかったのか。どれもこれもが中途半端で残念な作品。それでもストレスなく観れたということと、やはりメリル・ストリープの演技が素晴らしかったので6点。 [DVD(字幕)] 6点(2013-04-10 12:09:12) |
67. マシンガン・プリーチャー
《ネタバレ》 あの『チョコレート』という超社会派映画を撮った監督の新作が、ジェラルド・バトラーを主演に迎えなんだか馬鹿っぽいアクション映画(パッケージとかも見る限り)みたいだけど何故?という疑問を感じながら鑑賞したのだけど、これが良い意味で期待を裏切ってくれた良作。キリスト教に限らず、宗教的信念から始まる人道的行動の限界と危うさと胡散臭さをちゃんと客観的に見せてくれました。いつまでも続く戦場で、200人、300人の子供たちを救ったからといって結局、本質的にはなにも変わらないし、そのせいで犠牲にされる彼の周りの家族や友人たちはどうなるの? そして彼の行動はあと一線を越えれば残虐な敵となんら変わらない。それでもこんな男が居ました、あなたはどう思いますか。そう観客に問い掛けてくるような深い作品だった。 [DVD(字幕)] 7点(2013-01-13 12:04:55) |
68. マネーボール
《ネタバレ》 スポーツ界の内幕にも、メジャーリーグにも、さらには野球にも全く興味もなく、ただブラット・ピットとフィリップ・シーモア・ホフマン見たさだけで鑑賞。面白くなかったらすぐに観るのを止めようと思っていたのだけど、手堅くテンポよく創られていて、ちゃんと最後まで面白く観れた。ただ、あまりにも優等生な感じに撮られていて、最初観るときに想像したとおりの、全く予想外という展開もなく印象的なキャラクターもいないので、野球に興味のない自分としてはすぐに忘れてしまいそうな映画でもあった。野球好きな人にはお薦めです(当たり前か)。 [DVD(字幕)] 6点(2012-12-08 21:40:21)(良:1票) |
69. マイ・プライベート・アイダホ
《ネタバレ》 いかにもインディペンデントな静かな映画。二人の若い男の、友情や葛藤を穏やかで綺麗な映像のなかに描き出すという狙いは分かるのだけれど、個人的には苦手な映画だった。思えば、ここからガス・ヴァン・サントという映像作家と出合ったのだけど、やはりその後の映画を観ても「やっぱり自分とは合わないなぁ」と思いながらも、何故か観てしまうという、不思議な監督だ。ともあれ、若く美しい二人の俳優を観ているだけで充分に絵になる。 [DVD(字幕)] 6点(2012-06-08 21:37:51) |