1. 魔女の宅急便(2014)
《ネタバレ》 この映画とアニメ版を見てよく分かったのは宮崎駿の構成力と演出の上手さ、そして清水崇の表現手法の確かさと上手さかな。正直、アニメ版を見ていたあたしとしては、二番煎じ的になるんじゃないかと思ってました。ところが開けて見ればちゃんと実写としての良さや表現手法が生かされていて、アニメとは違うものになっているんだよね。例えば、キキが箒で飛べなくなる場面というのは、アニメではその要因を少しぼかしているのだけど、実写では要因を少しずつ積み重ねて見せて分かりやすくしていたりする。多分、この辺が監督の個性であり、演出のしかたなんだね。それと、この物語そのものが日本で実写で作ると無国籍感が出しにくいと思っていたのだけど、この映画ではちゃんとそれを受け止めて、違和感を消すことに成功しているんだよね。だからあたしは非常に気持ち良く見ることが出来ました。但し気になる点も幾つか残るのは事実。例えばオープニングでアニメ版と同じ用な見せ方をするのだけど、これははっきり言って要らないと思います。それを見せちゃうというのは宮崎駿へのオマージュの意味があるのかもしれない。でもそれって結局アニメ版をひきずっているっていう風に見えてしまうし、それは見ている側からすると失望に感じてしまうかもしれない。それと技術が上がっているとはいえ、やっぱりCGはまだまだって感じがします。 [映画館(邦画)] 8点(2014-03-30 00:29:29) |
2. 漫才ギャング
やりたい事を全部やってみたら、結果的にあまり面白いものになっていなかったという感じがします。品川祐は非常に才能があるのかも知れないけど、雛壇芸人の域を出ないというのはこういう所にあるのかもしれませんね。 とにかく、物語が本筋からずれることが多くて、結構映画的に時間は長いけど、多分、30分くらいは要らない気がします。漫才とか結構面白い部分もあるのだけど、そういうところばかりが目立つ割には、あまり下積みみたいな部分が見えてこない。だから、賞レースも物凄く順調に駆け上がっていくし、そうした意味での芸人の良い所しか見えてこないというのが、物凄く薄っぺら感を助長してしまっている気がします。エンターテイメントとしては観られるけど、それだけであって、もうちっとばかり物語を推敲していればもっと面白いと思うのですけどね。 [映画館(邦画)] 5点(2011-05-06 15:28:04) |
3. 毎日かあさん
《ネタバレ》 これ、ネタ的に「毎日かあさん」というよりは、西原が以前自分のサイトでやっていた「日々日記」をネタにしたような感覚が強いですね。西原漫画の魅力って壮絶であろう自分や家族、その周辺の人々の生き様を軽く受け流して描く所にある訳で、「毎日かあさん」に至っては、これまでの西原漫画以上に軽く、明るく受け流して描いている筈なのですが、この映画に関して言えば、そうした受け流しをかなり深刻に受け止めて作っているという風に感じました。でも、それって「毎日かあさん」かと言うと、あたしにはちょっと違う気がするんですよ。 物語の主題の置き方の問題かもしれませんが、やたらとCMで感動という部分に力を入れるのは間違っているんじゃないでしょうかね。どうしても鴨志田氏のアルコール依存症と死に重きを置いて見に行っている人が多いと思うのだけど、この映画は、本来はそうした映画では無いと思う訳です。その意味では映画自体は鴨志田氏の描写はさらっと流してくれてはいましたが、もっと軽くても良かったのかな、とも思います。 小泉今日子の西原役というのは、実に本人っぽく無くて、実はそれが「毎日かあさん」の西原っぽくて良かったと思います。逆に永瀬正敏の演ずる鴨志田って物凄く迫真の演技ではあるのだけど、「毎日かあさん」での鴨ちゃんという感じがしないので、これが映画として成功しているのかというと、実に難しい所です。この映画と「酔いが~」に関しては両方見ると立体的に見えるのではと「酔いが~」の方のレビューで書いたのですが、原作の主題を考えると、それは間違いであったと思います。その意味でもこの映画の後半はあまりにも鴨ちゃんに話が寄り過ぎるのは、違うと思うし、エンドロールでの鴨志田氏の撮った戦場写真を使うのもやっぱり違う気がしました。別にこの映画は鴨ちゃんの映画では無いからね。永瀬自身の撮った写真はギリギリセーフかな。でも、こういった写真は「酔いがさめたら、うちへ帰ろう」で使われる方がいい気がするんですよね。 ここ数年で西原漫画の映画化が多くされている中では、この映画こそ、家族で明るく笑いながら観る映画で良かったと思うのだけど、そうした雰囲気は最初だけで、後半の重さを見てしまうと、ちょっと余計な力が入っちゃったかな?という気がしないでもありません。 [映画館(邦画)] 6点(2011-02-06 09:40:56) |
4. マクロスプラス MOVIE EDITION
渡辺信一郎のかなり独特なマクロス作品。そもそもマクロスシリーズでありながら、完全に独自の方向性を打ち出しているので、この辺に違和感を感じる人は多いでしょうね。あたしも異質だとは思いましたが、この異質感こそがこの映画の面白さだと思います。 [DVD(邦画)] 7点(2010-12-05 10:12:35) |
5. マッケンジー脱出作戦
ドイツ軍版「大脱走」という感じでみたのだけど、うーん、面白くはあるけど。かなり映画全体が雑に見える部分が多いんですよね。 [DVD(吹替)] 6点(2010-11-25 12:50:15) |
6. マザーウォーター
《ネタバレ》 何がやりたいのか良く判らない。水に係る仕事の人々が互いに交流するだけで、淡々と話が進むだけで、なにか起きる訳でもない。「かもめ食道」のスタッフを集めて、同じ様なものを作りたかったのだろうけど、そもそもの脚本が全然ダメだったんだろうね。日本の映画が間を大事にするのは良く判るのだけど、間が長過ぎる部分も沢山あるよね。脚本と演出はお世辞にも良いとは言えないけど、唯一の救いは小林聡美ともたいまさこ掛け合いかな。長いこと共演している経験もあるのだろうけど、ポプラをはさんでの二人のやり取りは面白かったですね。 [映画館(邦画)] 4点(2010-11-19 03:12:01) |
7. マイケル・ムーアの恐るべき真実 アホでマヌケなアメリカ白人
日本ではこういう笑いはあまり浸透しないんだな。やっている事はかなりインテリジェンスが高いのだけど日本では日常レベルでの笑い以上を出せる人があまり居ないからね。だからなかなかこういうのは日本ではウケない。面白いんだけどね。 [DVD(字幕)] 8点(2010-11-15 12:37:22) |
8. 魔法使いの弟子
ブラッカイマーの製作だと、作品的に派手になるのは当然なのだけど、それが良い作品になるか悪い作品になるかは本当に微妙ですね。これは比較的あたりの部類なのかもしれないけど、派手さばっかりという感じも多いですね。主人公はイケメンでは無いけど、何か、売れる前のトム・ハンクスを髣髴させる表情を見せたりして、かなり個性的な役で人気になるかもしれないね。 [映画館(字幕)] 4点(2010-09-06 12:19:31) |
9. マーダーボール
あたしがウィルチェアーラグビーを知ったのはシドニーのパラリンピックからで、実は日本でも多くはないが、競技人口があるという事で実際に観に行った事もある。どうしてもあたしら健常者は普通の目で見られない事が多いのだが、この映画で彼等の姿を見ていると、あたし達の目線がいかに蔑みの目線になっているかという事に気付かせてくれるかもしれない。ドキュメンタリーという事もあって、決して飾られた姿を見せる訳では無く、ありのままを見せてくれている事に感動があると思う。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2008-08-08 09:51:02) |
10. マジェスティック(2001)
あたしは、これ好きですよ。 ジム・キャリーがここまで真っ当な役というのも正直面白かったです。 赤狩りとか、国に殉じた兵士に対してのくだりはあざといと思われるかもしれないけど、そうでもしなけりゃ、公開当時のあのタイミングだったからこそ、メッセージ色が色濃く出たんじゃないかと思います。 この監督って全体を黄色みの掛かった色合いで出してるように思うのだけど、この辺は彼の特徴なのかな?それとも、年代に併せたノスタルジックな雰囲気を出したいためか?次作で是非現代劇で見せて欲しいですね。 [DVD(吹替)] 8点(2006-06-08 12:38:15) |
11. マイ・ビッグ・ファット・ウェディング
これって別にギリシャに限った事ではないなぁ、と楽しみつつ見てました。別にスペインでもイタリアでも成立するのだと思うけど、敢えてギリシャなのがまた滑稽に見えるんだろうね。でも、日本だって名古屋の嫁入りとかあたしの住んでいるとこみたいな田舎に感覚が似ているんじゃないかな。(笑)そう思うと余計に楽しかったですね。まぁ、表現としてちょっとばかり行き過ぎている感がしないでもないけど、これは映画なんだからOKでしょう。主演の女優はこれがまた演技が物凄く上手いなぁと思いました。凄く自然に見えて不自然な雰囲気を出したり、その逆を見せたりとこの辺の上手さは舞台出身者に多い気がすると思って調べてみたら、「セカンド・シティ」に所属してたっていうじゃないですか。なんとなく納得でした。大当たりする映画じゃないですけど、コメディとしてもちゃんと誰が見ても判る作りをしてあって、良質な映画だと思いますね。 8点(2003-08-05 19:41:19)(良:1票) |
12. マルタイの女
なんかこれで伊丹の映画が最後というのが残念で仕方ない。なんやかんや言われながらも、伊丹の「女」シリーズはどれも発想、映像、脚本、撮り方など斬新で良かったものが多かったと思っている。伊丹の映画を見て驚きだったのは、演技派の俳優が実に多いことだ。彼の徹底した”映画の中のリアリズム”というのが良く現われていたし、意外に見えるタレントの起用が実はその意外性こそがリアルに映るという事を見せた人だった。そういう点で、この映画では伊集院光、ラッキー池田、なんてタレントが実に良い演技をしているのが面白い 9点(2002-07-06 15:17:28) |
13. 街の灯(1931)
チャップリンって人は実に人の感情を捉えたり世の中の風刺が上手い人だと感じたのがこの映画だったと思う。彼の演じる山高帽でよれよれのズボンとボロの革靴、ちょび鬚の姿は世俗を冷静に受けとめる気高さがあって、実は本当の貴人というのはこういう人を言うのかな、なんて思ってしまう。どの映画でもそうなのだが、強者に敢然と立ち向かい、弱者には優しく手を差し伸べると言う姿勢を主人公が常に貫いているからこそ滑稽であり、時には涙し、人を幸福にさせているのではないだろうか。 10点(2002-07-06 15:04:22) |
14. まあだだよ
実はあたしはこの映画が黒澤のカラー作品としては「どですかでん」と肩を並べる傑作だと思ってる。内田百 10点(2002-06-19 18:15:30) |
15. 魔界転生(1981)
島原の乱って言うとどうしてもキリシタンや農民が善玉になり易い所を敢えて天草四郎を悪霊にする事で、見事に悪玉に仕上げた点で先ず原作者の功績は大きかったと思います。映像面ではとにかく当時の邦画としては表現、演出、映像のいずれも綺麗な印象が残ってます。当時人気物だった沢田研二の起用や話題になったキス・シーンも巧みでした。 8点(2002-01-07 18:29:15) |
16. マッド・シティ
うーん、難しいなぁ。題材は悪くなかったと思うんですよ。でも話の展開の仕方が急ぎすぎているのかだらだらしているのか、テンポが悪いと言う感じがありました。撮り方の問題なのかなぁ。ああいう場合、ネゴシエーターが出てくる筈なんだけど、ダスティン・ホフマンが代理と言う事なのかな。それにしては見事な検閲ぶりを発揮していましたが・・・ 6点(2001-09-25 12:59:02) |
17. マッドマックス サンダードーム
やっぱりティナ・ターナーがなぁ、悪役に徹してないんだよ。あれで裏切られたと思った人がどれだけいることか。このシリーズはやはり1番最初のが1番いい。 5点(2001-09-18 18:56:02) |
18. マルコムX
あたしは、キング牧師は知ってても、マルコムXは知らなかったってくちなんだけども、根底にある人種差別をこの映画は正しく映画で表現してたと思うよ。メッセージ色が濃いのはテーマがテーマだけに仕方ないんじゃないでしょうか。あたしはマルコムXの半生をこの映画で体現できたのかな、と考えてます。もちろん、現実の世界を見たわけでないし、記録映画でもなく、エンターテイメントの映画として脚色された部分はあるかもしれないが、それで見た人が何かを感じ取ってくれれば監督としては成功したんだと思う。 8点(2001-09-18 18:50:59) |
19. マン・オン・ザ・ムーン
ジム・キャリーの演技力は凄い。彼自身カウフマンに影響受けたらしいが、最初から最後までカウフマンの芸をここまで鋭く見せるとは思いませんでした。また、映画の冒頭でエンドロール流してみせるなんて実にカウフマンのやりそうな事だし、カウフマンを知らない人でもこの"芸"で引き込む魅力があります。最後の方の心霊治療のシーンは少しあざとい気がしましたが、この一瞬がカウフマンの心情を覗かせるジム・キャリーの鋭い演技と私は感じています。 8点(2001-08-22 19:34:33) |
20. マッドマックス2
全作の続きの筈なんだけど、世界観がガラッと変わってしまい、何が何だか訳がわかりませんでした。面白かったけど。前作に比べると派手さはあるけど、残酷な表現が表に出すぎて、前の様な心理的な恐怖感が無かったのが残念です。 6点(2001-08-22 19:21:22) |