1. ラ・ラ・ランド
《ネタバレ》 スクリーンから溢れ出す心躍る映像と音楽の洪水、この感動はもはや理屈じゃ語れないだろう。本当に、映画館で映画を観る悦びに満ち溢れている。ミュージカルシーンのダンス一つ取っても、飛んだり跳ねたり、頭のてっぺんから指先つま先まで、そのリズミカルな動きは、観客たちが一緒に心弾むように完璧に計算されている。これこそミュージカル映画だ。シェルブールの雨傘や往年の名画はもちろん、目をこらせば、(500)日のサマー、ファビュラスベイカーボーイズ、ミッドナイトインパリなど近年に監督が愛した映画たちへの想いも見逃せない。これは二つの類希な才能が、人生のほんの一時の間だけ並走し、支え合い、ぶつかり合い、愛し合い、高め合い、その結果、愛よりはお互いの "才能" にとって最良の選択をした話、と思っている。この結末は、男が女の幸せを第一に考えたように見えるが、真実は自分が幸せボケによって "感性" を失うことを何よりも恐れたから、と思う。間違いなく一つ言えるのは、何も結婚して幸せになることだけが愛ではない、ということだ。かつてジャック・ドゥミは言われた。映画はおとぎ話だと。終わらないおとぎ話はない。そして、覚めない夢は、ない。映画が終幕し、まさに夢から覚めたようにふらふらと暗い夜道を一人帰路に着く。現実に戻されると、映画の二人にとっても、そして自らにとっても夢のような時間であったと改めて思う。また明日から平凡な日々が待っている。でも映画を愛した人には、いつかきっと夢の続きが待っていることを信じよう。 [映画館(字幕)] 9点(2017-03-03 00:03:35)(良:3票) |
2. LION/ライオン 〜25年目のただいま〜
《ネタバレ》 この展開で一体どこでライオンが登場するのか? と首をかしげながら観ていたら、、これはうまい、そしてすごい。原題の何という巧妙な仕掛けに拍手。また、実話ベースなので結末はわかっていましたが、その想像を上回る大きな感動が待っていました。実の家族との再会の場面の美しさと言ったら! (泣いたな~) 苦難においても生きようとする強い意志、産みの親も育ての親も関係ない大きな母親の愛、毎度お約束のように奇跡を呼んだのはやはり人間の "こころ" でした。でも過剰なテクノロジーの進化を否定的に描いた映画も多い昨今に、今回の話は人間の心と「Google Earth」というテクノロジーの進化が仲良く手を取り合って奇跡を起こした素晴らしい事例ではないでしょうか? 神様がサルーに与えたその試練はあまりにも過酷で、25年という年月は気が遠くなるほど長く、インドとオーストラリアの距離は果てしなく遠い。でも多くの出会いと成長と、何より25年もの間、きっと何も知らない彼の心の中に確かに兄は生き続けていました。なんだろう、初めから何か見えざる手によって「今はまだ兄の死を知るべきではない」と意図的にはるか遠くへと導かれたような、とてもとても数奇な彼の人生でした。 [映画館(字幕)] 8点(2017-04-16 02:25:43)(良:1票) |
3. LIFE!(2013)
《ネタバレ》 ウォルター・ミティという人生。 会社組織における日の目を見ない裏方でありながら、その地道な誠実さと功績が大きなサプライズをもって讃えられる物語。 しかし残念ながら、肝心の彼の日頃の仕事ぶりがあまり見えてこない。この映画が「仕事」の讃歌でもあるのなら、彼の地道な手作業をもっと丹念に誇らしく描写するべきだったと思う。 (ヒゲと格闘する妄想が冗長すぎるので、そこを削ってでも) もう一つ、リアルの人生が劇的に変わっていく展開は面白いのだが、サメと火山噴火は突発的な偶然だからともかく、ヒマラヤ登山はどうだろう? あそこは、一介のサラリーマンが思いつきで簡単に行けるような場所ではないでしょう。完璧な準備をして、できるだけパーティーを組み、酸素が薄いので何日も前に入ってテント生活をしつつ空気に慣れながら段階的に登る、など相当の支度をしなければ命を落とす危険が伴う。彼が登山の熟練者である根拠、それを部屋のフォトグラフなりで事前に示す描写は必要だったのでは? しかし理想を言えばキリがないが、彼やこの映画が信条とするもの、それはまちがいなく私自身が心のどこかで夢に見ていること。 だから、最後の「LIFE」誌の表紙が私に与えた驚きと感動は言葉にならない。 →2020/6/26 全面書き直し。 [映画館(字幕)] 8点(2014-03-20 18:37:26) |
4. ラブ・アゲイン
《ネタバレ》 いや~笑った、笑った。S・カレルとR・ゴズリングの掛け合いが本当に面白いです。会うなりダサい靴をはぎ取って投げ捨てたシーンなんか、腹を抱えて笑ってしまった。K・ベーコンやM・トメイといった大ベテランがこんなん役(笑)で出演しているのも映画ファンには嬉しいし、関係者全員集合!するお庭の場面などはうまい脚本だな~と唸らされました。そう言えば、R・ゴズリングとE・ストーンは最近の「ラ・ラ・ランド」でも共演していましたね。「ラ・ラ・ランド」鑑賞後に本作を観ると、二人の幸せそうな姿を観るだけで切なくなってきます。本作のあっと驚く人間関係のマジックしかり、時に映画同士も不思議な関係を魅せて、映画ファンを楽しませてくれます。 [DVD(字幕)] 7点(2017-09-17 19:00:33)(良:1票) |
5. ライフ・オン・ザ・ロングボード 2ndステージ
主演は吉沢悠さんと言いまして、「孤高のメス 」や「種まく旅人~みのりの茶~」など、脇役ながらイケメンな熱血漢ぶりが印象に残っておりました。なので心に誓って、馬場ふみかさんのビキニ姿に食指が動いたわけではありません。(これホント、何も知らずに観始めてそのナイスバディに目を剥いた私です) ストーリーの設定は「ライフ・オン・ザ・ロングボード」(2005年) の続編ということですが、、前作を観ていない方でも楽しめる内容となっています。そのストーリーはなんてことない感じですが、(スミマセン!) 本作最大の見どころは、やはり「サーフィン」の躍動感。サーファーたち、ライディングと波しぶき、、空撮や望遠レンズを縦横無尽に駆使して撮らえたその映像は大迫力でございました。あと、日焼けした肉体美の吉沢悠さんが本当に「一流サーファー」に見える、この説得力も大きいでしょう。(実際、趣味としてされているようです) パドリング → 波待ち → テイクオフ は吉沢さんご本人によるもので、ライディングはスタント (プロサーファー) も使いつつうまく編集していて、ここでもやはり撮影 (カメラワーク) の力が素晴らしい。 撮影部隊こそ、本作のMVPと言えるかもしれません。 [インターネット(邦画)] 6点(2022-02-11 17:36:41) |