1. ワースト☆コンタクト
「極道恐怖大劇場/牛頭」が「史上初のヤクザ・ホラー」なら、こちらは「史上初の極道SF」という触れ込み(主演は共に哀川翔兄ィ)。しかし徹底した不条理ホラー・コメディ(しかも、しっかりと作り込んである)を通した「牛頭」と違い、こちらは全くSFっぽくない小さくまとまったコメディでした。個々のシチュエーションだけ見れば面白くなりそうなのに、何故か全体としては面白くならず、やってることはコント・レベルなのに、台詞が少し説教臭いのも気になる。それに、こんなストーリーであんな人を殺しちゃいけない。それこそ笑えませんよ。せめて最後位は、単なる関西のおっさんだった板尾創路が如何にもな宇宙人に変身する様なSF的見せ場も欲しかったです。そういうことで、中々の活躍を見せてくれた有坂来瞳嬢に、3点献上。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2007-02-09 00:02:34) |
2. ワンダフルデイズ
パッケージのヴィジュアルから「ほのぼのとした韓国アニメなのかなぁ」なんて想像してたんですけど、全く違い、どこかで観たことある様なお馴染みの環境系近未来SFでした。「模倣」自体は否定しませんけど(日本のアニメなんか模倣の模倣の模倣ですからネ)、美術なり、キャラクターなり、ストーリーなり、何がしかのオリジナリティは欲しい所です。しかも2Dと3Dの融合では「イノセンス」の足元にも及ばず、何の為にミニチュア・セットまで組んだのか解りません。何にも知らずに日本語版を観せられたら、10人が10人、出来の悪いジャパニメーションだと思うことでしょう、4点献上。 [CS・衛星(吹替)] 4点(2006-12-08 00:04:07) |
3. ワン・ツー・スリー/ラブハント作戦
文化や思想のギャップを笑い飛ばすコメディが結構好きなので、私は十二分に楽しめました(「ラブハント作戦」って副題は要らない)。現在、イスラム・ネタがタブー化してしまってることを考えると、この時代にベルリンを舞台にしてこんな話を作ってしまうんだから、当時は随分と大らかだったんですね。しかし共産圏やナチを笑いの種にするだけでなく、本作では資本主義とブルジョアもちゃんと餌食になってます。コカ・コーラがアメリカ資本“帝国”主義の権化として描かれ、そこの令嬢は思い切りパープリン(コカ・コーラは良く協力したなぁ…。今だったら差詰めマイクロソフトといった所か)。主人公は家庭を顧みないモーレツ企業戦士。コチコチの共産主義者であるオットーが、むしろマトモな好青年にも見えてきましたよ、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-10-18 00:00:51) |
4. 悪い男
《ネタバレ》 パトリス・ルコントをも軽く超えた「男性用」純愛ファンタジーの傑作。娼婦として男に抱かれれば抱かれる程、女にとって肉体は意味を成さなくなり、心の中では徐々に愛だけが純化されていく。そして以前の自分は海の中に消え、新たな自分が誕生する。そんな女をじっと眺めるだけの男にとっては、もはや言葉すら意味を成さない。男の愛も肉体や言葉を超越する苦しみの中で、徐々に純化していく。そして男は文字通り一度死に、この世に再生する。生まれ変わった二人には、金もセックスも言葉も要らない。二人でただ一緒にいるだけ。純粋なる愛を獲得した二人は今後、何ものにも悩まされることはない。このラスト・シーンは余りにも切なく、しかし余りにも幸福。物語の辻褄なんかどーでも良い、8点献上。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-10-08 00:02:58)(良:2票) |
5. ワールド・トレード・センター
あの日の混沌をマクロの視点で「再現」した「ユナイテッド93」に対し、こちらは世界貿易センター・ビルでの救助活動中に生き埋めとなった二人の警察官とその家族にフォーカスし、ミクロの視点で「ドラマ化」した災害映画になってます。オリバー・ストーン作品ながら政治的背景や主張を感じさせず、また、珍しく落ち着いた演出で、正統派映画に仕上がってました。唯、その所為で、題材が「9.11」である必然性は余り感じられませんでした。薄暗い中で身動きの取れない警官二人が励まし合うという、全く動きの無いシーンが映画の半分近くを占めますが、脚本や編集構成が巧みなので、最後まで感情移入して観ることが出来るでしょう。「炎のメモリアル」なんかとは比べものにならない完成度ではあります。そんな訳で、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-09-14 00:05:19) |
6. ワイルド・スピードX3/TOKYO DRIFT
(ちょっと長めにお邪魔します) アメリカにいられなくなったルーカス・ブラック(23歳)が来日し、学生服を着て通うのは、アメリカン・スクールではなく何と普通の都立高校。しかも、その公立高には当たり前に外国人生徒がうじゃうじゃいるので、生徒達は英会話もお手の物(しかし授業は日本語を貫いてるらしい。外国人生徒にも普通に「古文」を教えてたし…)。おまけに、そこの学食は懐石料理のビュッフェ? 流石インターナショナル・シティTOKYO。…と、突っ込み所は数々あれど、出来は日本向けに作られてるだけのことはありました。本国向けのジャパニーズ・テイストもそこそこで(日本のコギャルがムービー携帯を極当たり前に使用してる所なんか、アメリカのガキ共には結構なカルチャー・ショックなんじゃないかな)、日本の描写はそんなに悪くない。製作サイドの気の遣い様が良く判るのが、日本人役の日本語の台詞がちゃんと吹替えになってる所(いっそソニー千葉の日本語も吹替えで良かった。つーか、何で日本人を起用しないんだ?)。東京の街を舞台にした迫力あるチェイス・シーンの違和感も無い(クライマックスは峠のバトル)。日本で「頭文字D」を実写化してもこうは行かないでしょう。お話の方はもちろんスカスカですけど、私的には色々と楽しめたので満足感はシリーズ一です。あと、確かに「ワイルド・スピード」とは全く関係のないストーリー展開だったんですけど、あの人が日本に潜伏していたということで、辛うじてシリーズの繋がりは保ってましたネ、6点献上。 [試写会(字幕)] 6点(2006-09-14 00:04:55)(良:1票) |
7. わが家の犬は世界一
警察に押収された無許可の飼い犬を取り戻そうと東奔西走する父親を通して、現在の北京の実情をスケッチしたホームドラマ。北京では犬を飼うのに市当局へ届け出なければならず、その登録料は5千元だそうです。これは開放経済で比較的裕福になった都市部に於ける平均給与の約2ヶ月分。我が国に直せば50万円位のイメージでしょうか。こりゃおいそれと出せる金額じゃない。ま、ペット公害の蔓延する都市部では、エチケットやマナーに金を出せない貧乏人は犬を飼うなってことですね…。本作の父親は「仕事から帰っても出迎えてくれるのは犬だけだ」ということで、雑種の犬に異様な執念を見せますが、この辺は我が国でも共感するお父さんが多いんじゃないでしょうか。ほとんど「犬はかすがい」状態でした、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-09-01 00:05:17) |
8. 私は「うつ依存症」の女
雄弁なモノローグが逐一解説を加えてるにも関わらず(つまり、完全に自分を把握してる)、リジーは自分の感情をコントロール出来ない。躁と鬱を目まぐるしく繰り返し、周りの人間を傷つけ、そして自分を傷つける。自分で解っててもどうにもならない。親と和解したり、理解ある恋人が出来たからって直るもんじゃない。これは脳内の科学物質の分泌バランスを崩した、明らかな「身体の」病気。だから薬が効くのです。それに、優等生で芸術的才能がありエキセントリックな性格というのは、古から続くアーティストのキャラクター。エキセントリックだからこそ自己抑制が利かず、素晴らしい文章が書けるでしょう(正に天才と何とかは紙一重)。過去の偉大な芸術家達も、プロザックがあれば自殺せずに済んだかもしれません、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-08-07 00:24:43) |
9. 1.0【ワン・ポイント・オー】
確かにカフカ的。しかし私の連想したカフカは作家自体ではなく、映画「KAFKA/迷宮の悪夢」(さもなくば「裸のランチ」っぽいか?)。従ってこの雰囲気に新味はありません。その雰囲気も美術と言うより、単にロケ地に頼ってるだけに見えましたし…(ここはアイスランドなんでしょうか?)。また、テーマとして言いたいことは良く解るんですけど、精々SFショートショート程度のアイディアを無理矢理引き伸ばした感が否めず、作劇も中途半端なまま。それにしても、この手のインディーズ映画に付き物の「サンダンス映画祭で絶賛!」ってのは、何処まで信じられるんですかね? 4点献上。 [DVD(字幕)] 4点(2006-05-19 00:04:03) |
10. ワイルド・スピードX2
ノリは前作と全く変わらないし、登場人物のキャラクターが全体的に薄味になってましたけど、話自体はずっと真っ当なものになり(それでもツッコミ所は多々ありますが…)、私的には今回の方が良かったと思います(それにしても、現在のアメリカの小僧共のセックス・シンボルは、どの人種にとってもヒスパニック系とアジア系なんですかね?)。カーキチじゃない私が観ても、スタントとCGとサラウンド音響を組み合わせてド派手に演出されたストリート・レースは中々楽しいもんです。ところで、スパイク・リー・フォロワーっぽかったジョン・シングルトンも、最近はその路線を離れて頑張ってるみたいですけど、もう一つ「何か」がないと主演のポール・ウォーカーと共に、B級のまま埋もれてしまいそうですね。そういうことで、5点献上。 [地上波(字幕)] 5点(2006-05-19 00:02:34)(良:1票) |
11. 私が愛したギャングスター
出がらしの紅茶みたいに薄い映画です。まず邦題が酷い。この「私」ってのは一体どこの誰? もしかしてリンダ・フィオレンティーナのこと? でも彼女、ほとんど物語に関わってこないばかりか、劇中では「私達」の扱いなんですけど…。そしてストーリーが緩い。こういうのは「粋」とは言わないし、未だに学生運動時代を忘れられず、その延長で強盗になったなんて理屈は誰にも通用しない。犯罪自体も「華麗なテクニック」や「知能犯」と言うには程遠く、ケビン・スペイシーからはカリスマ性も感じられない。ところでコリン・ファレルって、この直後にブレイクしたんですねぇ…、4点献上。 [地上波(字幕)] 4点(2006-05-08 00:02:22) |
12. 私は死にたくない
冤罪が怖いと言うより、その冤罪をもたらす「心証」の恐ろしさを感じた。バーバラ・グレアムは終始一貫「悪女」を気取って、その姿勢を崩さない(少なくとも前半は)。たぶん性格と、一般社会への反感と、「自分はやっていない」という自信から来ているのだと思いますが、それが全て裏目へ出て、取り返しのつかない結末へと至る。彼女の直情的で軽率な言動自体にも非がありますが、「いかにもやってそう」と「やっている」では天と地ほどの差がある。これは現在でも変わらぬ問題です。それにしてもロバート・ワイズって人は、色んなジャンルの作品を残してたんですね、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-11-11 00:01:28) |
13. ワンダーランド
伝説のポルノ男優ジョン・ホームズが関わったとされる、1981年7月に起きた「ワンダーランド通り殺人事件」の顛末を描く実録映画。私はホームズの凋落を辿る一種の伝記モノを期待したんですけど、映画は既に彼が落ちぶれた後に関係した麻薬絡みの事件だけを扱っています。登場するのは社会の底辺で麻薬に溺れたお馴染みのチンピラばかりで、事件自体も正に「ありふれた事件」。真相がどうであろうと、そこから悲哀を感じることも出来ませんでした。意外にも演出はドキュメンタリー・タッチではなく、今風のカット割や合成、そして効果音等を駆使してありますが、脚本はもう少しミステリー色を強調しても良かったと思います。それにしても、キャリー・フィッシャーとリサ・クドローの老けっぷりが凄かったなぁ…、5点献上。 [DVD(字幕)] 5点(2005-11-02 00:02:51) |
14. ワイルド・スピード
《ネタバレ》 何とも能天気で無理矢理な話のくせに、ティーンエージャー向けにレイティングを気にして大人しくまとめてしまったカー・アクション映画。無理矢理その①トラック強盗の方法が無理矢理で、道理もへったくれも無い。無理矢理その②ストリート・レースの方法が無理矢理で、こんなことしてタダで済む訳ない。無理矢理その③潜入捜査自体が無理矢理で全く意味ない。無理矢理その④チャイニーズ・チーマーのやることが無理矢理であり得ない。無理矢理その⑤特に伏線も無く、いつの間にか強盗が無理矢理良い人みたいになってる。これは無理あるっしょ、3点献上。 [地上波(字幕)] 3点(2005-11-02 00:02:02) |
15. 忘れられぬ人々
この作品は老人映画であり、戦争映画であり、仁侠映画であり、今現在の社会問題を提起する社会派映画でもある。しかし、これらを巧みに融合させることには成功していません。だから私的には、中途半端なファンタジー映画という印象。大体、こんな荒唐無稽な話を、重々しく地味なシリアス・ドラマに仕立てようというセンスが理解できない。燻し銀の演技合戦や志は買いますが、この内容だったら戦争部分はすっぱりと削って、痛快なコンゲーム風に仕立てるか、任侠部分を削って告発系の社会派作品にした方が良かった。二兎を追う者は一兎をも得ずということで、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-09-03 00:07:17) |
16. 私が女になった日
モフセン・マフマルバフの絡んだキシュ島を舞台にしたオムニバスということで、もしかしたら「キシュ島の物語」のシリーズなのかもしれない。「ハッワ」は、「男女七歳にして席を同じうせず」という我が国の嘗ての封建思想を思い起こさせる、イラン女性が最初に通過する差別の儀礼を描く。「アフー」は、差別から逃れようとしながら、結局社会に絡め取られてしまう女性の姿を自転車レースに見立てて描く。真っ黒なチャドルに身を包んだ無数の女性レーサーが、一心不乱に美しい海岸線をひた走る姿は、とにかく異様で圧倒される。「フーラ」は、物質的豊かさに囲まれながらもイラン女性の抱える喪失感を一人の老女が代弁する。砂浜に並べられる家具調度品、そこに欠けているものこそ「家」なのです。という訳で、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-07-28 00:09:16)(良:1票) |
17. わたしのグランパ
殺人罪で服役してた祖父と、中学生の孫娘の交流という面白そうなモチーフで興味を引いたんですけど、実態は、観てて恥かしくなる位の少女向けファンタジー映画でした。雰囲気は「セーラー服と機関銃」か、筒井康隆らしく「NHK少年ドラマシリーズ」にかなり近いものがあります。確かに文太兄ィは渋くてカッコ良いんですけど、浮世離れした感じの演技は、最初から主人公の下に舞い降りた天使の役回り。クライマックスの誘拐・救出シーンも、石原さとみちゃんの空中浮遊シーン同様、もの凄~く緩~い仕上がり。これは健全な少年少女以外にはお薦めできませんね、4点献上。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2005-06-05 00:08:53) |
18. ワイルド・フラワーズ
安い設定をビデオ撮りした内輪ウケ系の寒い映画だとばかり思ってたので、これには不意打ちを食らった。面白い! モチーフそのものは目新しくないベタなスポ根ドラマの寄せ集めには違いないんですけど、登場人物それぞれのエピソードが融合し、ちゃんと一本の熱い物語を形作ってる。正々堂々と丁寧に作られてるのも良いし、ビデオ撮りを感じさせない質感のある映像も頑張ってる。プロが出演してるのでレスリング・シーンの迫力も充分。鑑賞後は、思わず女子プロレスを見に行きたくなりました。次回は予算をかけて、東京ドームでリターン・マッチして欲しいです、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-05-17 00:37:31) |
19. 嗤う伊右衛門
《ネタバレ》 「四谷怪談」と言えば民谷伊右衛門が悪役な訳で、「嗤う伊右衛門」とくれば、てっきり悪人がほくそ笑む話だと思ってました。私の想像とは正反対の内容でしたが、もちろん面白いとは思いませんでしたけど、難しいとも感じなかったし、退屈でもありませんでした。原作は未読なので本当の所は判りませんが、終盤の岩は幽霊、若しくは骸だったんじゃないですかね。やっぱり化けて出てこそのお岩さん。伊右衛門に狂おしいほど恋焦がれ、悔恨の中で狂い死にした岩。彼女の「恨めしや」は「こんなに好きにさせて恨めしい」ということだったんだと思います、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-05-17 00:36:37) |
20. WASABI
リュック・ベッソン映画なのでマトモじゃないことは百も承知ですけど、それにしたって、60年代のテレビ・ドラマか香港映画並のいい加減さ。フランス語バリバリの日本人、蚊帳の外の日本警察、政府の秘密捜査官(?)といった安い設定と、スシ、アキバ(劇中では何と新宿)、ゲーセンといった、オタク文化に憧れるフランスの若者が抱くまんまのイメージ。救いは広末涼子。演技でもルックスでもフランス人に負けてない。ジャン・レノの娘という無理矢理な設定を演じられる日本人は、日本狭しと言えど彼女だけでしょう。本来ならこれを機に、プッツン女優ではなく国際女優として羽ばたいて欲しかったけど、やっぱ香港女優みたいにアクションか語学に秀でてないと無理かな…(寂)。という訳で、ヒロスエの頑張りに+1点の4点献上。 [ビデオ(字幕)] 4点(2005-05-01 00:08:00) |