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プロフィール
コメント数 284
性別 男性
ホームページ http://ameblo.jp/wunderlich/
年齢 42歳
自己紹介 気になった映画をつまみ食い的に見ています。
うだうだと考えるのが趣味です。

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1.  鍵泥棒のメソッド
この映画に出てくるのは、みなどこかしらダメな人たちである。演技が下手な俳優、恋愛に計画性を必要とする真面目な仕事人、詰めのあまいヤクザ。善良なだけの人も、極悪なだけの人も出てこない。しかしこの映画には、散らばった事象が時間とともに集束し、一つの結末に至る過程の美しさが横溢している。完璧な人間はいなくとも、欠けた人間たちの織り成す物語は完璧でありうる。見事な人間賛歌ではないか! 個人的には、広末涼子演じる雑誌編集長が運転するプリウスの映画的存在感に感服した。プリウスは、あの静かなエンジン音のせいで、「すっ」とスクリーンに映りこんでくる。その静けさを、「あたたかな」、「こっそりと」などのイメージとリンクさせながら撮りきった作品を、僕はまだ他に知らない。整合性のなかに散漫さを入れ込むという、この監督さんの追い続けているテーマが結実した素晴らしい作品になっていると思う。
[映画館(邦画)] 8点(2013-02-09 18:10:15)
2.  SP 野望篇 《ネタバレ》 
岡田君の超絶技巧だけがクローズアップされていて、ひとつひとつのアクションは楽しめる。しかし、敵とのかけひきみたいな部分がないので、娯楽作としては消化不良。話が展開するだろう次回作に期待したい。
[映画館(邦画)] 6点(2011-02-01 23:18:22)
3.  アンストッパブル(2010)
『デジャヴ』と同じ主演デンゼル・ワシントン、監督トニー・スコットコンビの作品。監督お得意のたたみかける演出は健在。娯楽作としては水準をクリアした一本気な佳作であろう。『デジャヴ』に比べると脚本のひねりが弱いのが残念。見入ってしまってあっという間に見終わったのだが、後味の空虚さも想像以上であった。テンポの速い濃い演出と、演出に比べると素直すぎるショット割りによって、この映画はものすごく虚ろな味わいをたたえている。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-01 23:06:19)
4.  カフーを待ちわびて
設定は非常によくできていて、雰囲気も俳優陣も良い感じであるにもかかわらず、あともう少しなんか足りない気にさせる一作。鑑賞後の後味はいいのだけれど。
[DVD(邦画)] 6点(2010-06-22 21:48:02)
5.  ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE 《ネタバレ》 
個人的には、おぎさんの演じる忍者の言動に対して、ジャガー役要潤がふつうに噴き出しているシーンが相当笑えた。この映画は要潤とおぎさんなくしては成立しえない不思議なバランスに立っているという点で、非常に稀有な映画であって、もしかすると名作なのかもしれない。しかし、この満載なチープ感を映画館で見たとしたら、茫然としたのではないかとも思う。レンタルDVDで正解だったと本気で思わせてくれた久々の作品だった。家で、お笑いDVDの一種としてみるとなかなかな味わいを見せる。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-20 13:51:44)
6.  明日への遺言 《ネタバレ》 
大岡昇平の原作『ながい旅』の映画化。この映画も原作にならって、戦争裁判や歴史観の是非ではなく、岡田中将の高潔な人格を描こうとする。この点を取り違えてはならない。戦争裁判には様々な評価があり得るだろう。しかし、岡田中将の生きざまには、普遍的に心をうつところがある。これがほぼ遺作となった藤田まことの演技も味わい深い。見ていて、心がほぐされる一作であると思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-06-20 13:43:58)
7.  プリンセスと魔法のキス
久々にCGではないディズニーアニメ。伝統のミュージカル・ロマンチック・コメディー路線が復活。『カエルの王子様』をベースに、オリジナルストーリーが重ねられており、アイデア満載で気軽に楽しめる。惜しむらくは、『美女と野獣』や『アラジン』の頃のパンチ力のあるドリーミーな劇中歌がないところぐらいだろうか。見て損はない 
[映画館(字幕)] 7点(2010-03-31 15:43:56)
8.  スローターハウス5 《ネタバレ》 
この映画にはドレスデンの大空襲がでてくる。だから反戦映画と言われていたりするけど、その見方は十分ではない。主人公のビリーは、地球外生命体トラルファマドール星人に誘拐されてから、事象を四次元的にとらえるようになる。つまり、ビリーは、過去→現在→未来という区別なく、自分の人生の様々な瞬間を何度も行ったりきたりしながら浮遊しつづけているのだ。だからビリーは、自分が死ぬ瞬間やドレスデン大空襲に遭遇する瞬間も何度も体験して良く知っている。このように何度も空襲を体験するうちに、ビリーは『大空襲が起こらないようにすべきだ』という反戦のスタンスよりも、「So, it goes=物事はそういうものなのだ」という緩やかな全肯定のスタンスを取るようになっていく。トラルファマドール星人流のあいさつ、「こんにちは、さようなら」にもおなじスタンスが感じられる。時間軸を漂流する旅人となったビリーには、地上の悲惨な戦争ですら静かで小さな出来事なのだ。このビリーの感覚に共感できる人にとっては、この作品は忘れがたいものになるだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2010-03-31 15:27:16)
9.  シャーロック・ホームズ(2009) 《ネタバレ》 
日本のドラマ『TRICK』の主人公をホームズにしたような映画。一見摩訶不思議な魔術にみえたものが、実は科学技術によって実現されていたという謎解きパターンなので、「なるほど、そうだったのかー」という鑑賞後のすっきり感を期待すると肩透かしをくらいそうだ。主人公のホームズとワトソン、アイリーン・アドラーはそれなりに魅力的だけれど、『TRICK』のキャラクターの濃さやギャグに比べるとインパクトが弱い。結果的にあまり他の人には勧められないレベルの作品になっている。個人的にはワトソンの婚約者メアリーを演じた目つきの怪しい女優さんが『スパニッシュ・アパートメント』や『ロシアン・ドールズ』に出ていたことを思い出して、意外に楽しめた。
[映画館(字幕)] 6点(2010-03-31 15:08:08)
10.  容疑者Xの献身 《ネタバレ》 
おもしろい。堤真一の演技力に動揺した。しかし、一点だけ湯川博士に言いたいことがある。「この事件の真相を僕が明らかにしてもだれも幸せにならない」と福山雅治は言う。「それでいいんですか」と柴崎コウがたずねる。そこで湯川博士に聞いてみたい。起きた事実を明らかにするということは、科学的精神に基づけば当然の営みであろう。しかし、「実際に殺人を犯した人を、法律にのっとって裁かなければならない」という考え方は科学的精神に基づく言明であろうか。そうではないであろう。なぜなら、法律は科学的な根拠のもとに成り立つものではないからである。したがって、福山雅治演じる湯川博士が「本当の科学者」であるならば、「この事件の真相を理解した」時点で自己満足していればいいのであって、わざわざ関係者に真実を告げる必要などない。湯川博士の言葉は、「真実を明らかにすることでだれも幸せにならない」ではなくて、「僕は真実を知っている。それだけでいい」であるべきだったのではないか。その意味で、僕は湯川博士が本当には科学者ではないと思うのである。
[DVD(邦画)] 8点(2009-12-29 23:18:59)
11.  アフタースクール 《ネタバレ》 
ラストの大泉洋のセリフ「ぼくはなんにも変らないよ」にしびれた。「ぼくは、なんにもかわんないよ。」何かが変わりゆくものであることは、その何かが同時にどこか変わらないからこそいえることでもある。そういう見方で相手を見つめるとは、これはもう、ほとんど愛ではないだろうか。この映画は、その点をするどくとらえている、気がする。もちろんプロットもすばらしく、楽しめる。いい作品である。  
[映画館(邦画)] 8点(2009-12-28 23:34:17)
12.  クライマーズ・ハイ(2008)
堺雅人が、墜落事故現場から記事をおくる野心的な新聞記者を演じる。汗だくで泥まみれな堺雅人を見れる珍しい作品であり、それだけで価値がある。アシスタントとして出演している尾野真千子というキャスティングもうれしい。
[DVD(邦画)] 7点(2009-12-28 23:27:31)
13.  空中庭園 《ネタバレ》 
ソニンという女優の演技かどうか定かではないポイントのずれっぷりに驚嘆するための映画といってもいいかもしれない。全編通して重苦しく、見るのがつらい作品ではあるが、唯一の救いは、永作博美が演じる変な浮気相手が、あやしいユーモアを見せつけてくれるシーンにある。ビバ!永作博美!!
[DVD(邦画)] 6点(2009-12-28 23:22:17)
14.  ぐるりのこと。
愛を「お互いが分かりあうこと」だと思っている人にとっては、この映画の描く絆の形ほど分かりづらいことはないだろう。この作品は、「お互いが分かりあえる」という幻想によって愛を捏造するのではなく、「人間はお互いに分かりあうことなどできない」というありのままの事実にしっかりと気付いていながら、それでもなお、お互いを大切にするためにはどうするかというテーマを描いている。この着眼点の鋭さによって、この作品は、2008年の邦画の中ではぶっちぎりの傑作であるように僕には思えた。お互いを大切にするということは、二人でしかできないことをするのではなく、一人でもできることを二人でやることから開けてくるのではないか。この映画はそのように問いかける。そして僕はこの問いかけを出した精神に最大級の敬意を表する。ひょうひょうと、あるいは淡々と生きたいと願う人にとってこの作品は一つの答えを見せてくれるだろう。
[映画館(邦画)] 10点(2009-12-28 23:11:03)
15.  ラースと、その彼女 《ネタバレ》 
この作品は、人形を恋人と勘違いしている変な男の話だと思われているが、そうではない。ラースという心やさしい青年が、かけがえのない人の「死」をどのように受け入れるのかという物語なのである。ラースの母は、ラースを産んだときに亡くなっている。いわば、ラースはかけがえのない母を初めから失った状態で産まれてきたのだ。それは、大切な人を喪失するという体験ができないままに、失ってしまったということを意味する。ラースの兄夫婦に子供が授かり、やさしい義姉の出産が近づくことでラースに変調が訪れるのは、義姉が出産によって死んでしまうという恐ろしさゆえと考えられるだろう。だから、ラースは、人形であるビアンカの死を看取ることによって、たとえ義姉が出産ゆえに亡くなってしまうとしても、受け入れられる自信を得たのではないか。大切な人を愛するということは、その人をいつ失ってしまうだろうかという恐れと隣り合わせである。ラースの愛は、たとえ大切な人が死んでしまったとしても、ラース自身は歩き続けて行けるんだという自信に支えられている。この洞察はものすごく深い。
[映画館(字幕)] 9点(2009-08-10 15:54:24)(良:2票)
16.  インスタント沼
この映画のテーマは、ずばり「楽しむことの自由」である。僕ら人間は、出来合いの作られた「楽しさ」をお金を出して買うことが多い。でもその「楽しさ」は「消費」の一種でしかないし、みんなが楽しいといっていることをやってみたら、たぶん楽しいだろうという、ある意味確実性の高い、でも別の意味で凝り固まった世界観でしか成り立たない。この世界観では、「みえないものは存在せず、みえるものだけが存在する。」三木監督はどの作品でも、この「出来合い」の「楽しさ」に対して、別の形の「楽しさ」がちゃんとあるんだよと言っているように僕には思える。その「楽しさ」とは、「みえないものだって、存在する」というハチャメチャな世界観の延長線上に現れる。世界は、そのままで楽しくて、可能性に満ちているはずだ。世界を固めるか、柔らかくするかは、人間次第なのだ。すでに見えているものから何かを選ぶ自由は、まだ本当の自由ではない。本当の自由とは、世界をじーっと見つめることで、世界の新しい見え方に気付く事なのではないか。ゆえに、この映画をみて、「あーおもしろかった」、「つまんなかった」という感想を抱いているだけでは、この映画を本当に理解したことにはならないのだ。その意味で、この映画は、映画を超えたなの傑作である。
[映画館(邦画)] 9点(2009-08-10 15:37:10)(良:1票)
17.  ファイヤーフォックス
古い映画だが、スパイ+スカイアクションで二度おいしい作品である。逆に言うと、スパイ映画としても、スカイアクション映画としても中途半端なのかもしれないが、そういったジャンルにこだわらずに、ひとつのサスペンス映画とみれば、古い割に問題なく気楽に楽しめる佳作である。特に、戦闘機に給油する作戦のシーンなどに、アメリカのお気楽なユーモアが垣間見られて面白い。また、冷戦時代にアメリカがロシアをどのようなイメージで見ていたのかという歴史的な価値も有しているという、ある種貴重な作品でもある。
[DVD(字幕)] 8点(2009-08-10 15:09:50)
18.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》 
この映画で、ボンドはあらゆる感情を押し殺した虚ろな姿で描かれている。表情をまったくかえずに女とキスし、悲しみの表情をまったくみせずに死んだ友を、ゴミ箱に捨てるという仕方で悼む。同様に、アクションやストーリーの点でも、この映画は徹底的に虚ろだ。観客にシーンを味わう余裕を与えないほどに切迫感をもって重ねられるカット。したがって、この作品をみた観客は、虚ろなボンドに共感するには忙しすぎるカット割りのせいで、あらゆる感情移入が中途半端になったまま、非常に煮え切らない鑑賞感を抱くことになるだろう。事実、この作品は一つのスパイものとしてみれば非常に煮え切らない作品だ。しかし、もしこの作品が、ボンドの虚ろさを描くのに、一つ一つのシーンではなく、作品全体を用いようとしたのであれば、このなんともいえない中途半端な鑑賞感は、この作品の狙い通りだったことになる。また、歴代のボンドのなかで、突出してクールなダニエル・クレイグの持ち味を生かすという点では、この作品は007ものとしては、ひそかに記念すべき一作になっているのかもしれない。
[映画館(字幕)] 7点(2009-02-14 19:30:28)
19.  マイ・ブルーベリー・ナイツ 《ネタバレ》 
全体として焦点が分散しているため、緊張感に欠けた印象が残る。しかし、ラストのキスシーンの美しさは一見に値する。ナタリー・ポートマンには底知れない存在感があるし、レイチェル・ワイズは痛みと美しさが同居したキャラクターを見事に演じている。ノラ・ジョーンズの演技については、普通の人っぽさが出ていて良かったと思う。とくに、カフェのカウンターで寝ているときににジュード・ロウにキスされるが、その時のかすかな微笑みの表情は、味わい深いものだった。まずまず。
[DVD(字幕)] 7点(2009-01-17 12:30:52)
20.  めがね
めだったストーリーもなく、経歴も謎な登場人物たちが、なんてことのない会話をし、かき氷を食べ、海をながめる。人によってはシンプルすぎて退屈に感じられるかもしれない。しかし、その表面上のゆったり感とは裏腹に、この映画はradicalな一面を持っている。人づきあいに疲れて南の島まで逃げてきた主人公タエコだが、民宿ハマダでは、毎朝定時に起こされ、食事時も一人になることはできない。はじめは一人になりたくてしょうがなかったのだが、他人にまったく干渉しないハマダの関係者と一緒にいることが段々心地よくなってくる。本を捨て、予定を捨てて、目の前の世界とただ向き合うというとても個人的な営みは、目的もなければ、制限もない。だから、世界と向き合うことは、自分以外の人と一緒にやっていても苦にならないのである。人と向き合うのではなく、世界と接することを誰かと一緒にやる、そういうゆるやかな共同の形をこの映画は描いている。この作品は、世界の魅力を伝えるのに映画という手段がとても優れていることを改めて僕に教えてくれた。
[DVD(字幕)] 8点(2009-01-14 11:25:27)(良:1票)
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