181. 小さな唇
《ネタバレ》 筋の上での余計な寄り道は一切なし、台詞も最小限にして必要十分。だからこそ、主人公の純な想いが奇跡のように凝縮されている。また、エロティックな描写はここぞというところにポイントを絞っているからこそ、かえって生々しさがあるし、強い官能性を感じさせる。 [DVD(字幕)] 7点(2016-02-21 02:11:19) |
182. 鉄輪
《ネタバレ》 まあ、何というか、乙羽信子がひたすら90分、浮気夫とその愛人を延々と呪い続けるという作品。過去と現在の二重構造なので、恨みの深さも二重、という趣向と思われる。しかしそれ以外の物語上の要素はほぼゼロであり、フラワー・メグの魅力的な肢体の大盤振る舞いがなかったら、一体どういうことになっていたんだろう。 [DVD(邦画)] 4点(2016-02-09 00:27:55) |
183. 父/パードレ・パドローネ
風景のインパクトとか、含蓄のありそうな台詞とか、シーンごとのいい感じのタメとか、個別に切り取ると魅力的な箇所はいくつもあるのですが・・・全体を通す芯とか筋がないので、優秀な切り絵をたくさん見ている感じでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-01-24 01:58:11) |
184. エクソシスト
《ネタバレ》 何か、全般的にえらくのんびりしているというか、当事者たち(少女除く)にも危機感なさそうというか、そんな雰囲気を感じてしまったのですが・・・前置きの長さにも、ちょっとびっくりしました。 [DVD(字幕)] 5点(2016-01-16 02:08:40) |
185. 十九歳の地図
何というか、ひたすら前衛的というか、無秩序というか・・・主人公自体が無軌道に行動してしまうことと、描写そのものが無軌道になってしまうこととは、意味が全然違います。 [DVD(邦画)] 4点(2016-01-12 00:25:46) |
186. 地の群れ
《ネタバレ》 ここまでの人の心のどろどろした内容を具現化しようとした創造意欲には凄いものがあるし、1つの事件をきっかけに世界が集約していく終盤の迫力もなかなか。示唆深い割に容赦がないラストも印象深い。しかし、それに比べて前半は著しく未整理だし、主人公の過去のエピソードなんかも、あまり効果的に機能していないんだよな。 [DVD(邦画)] 5点(2016-01-11 00:37:26) |
187. 友情(1975)
《ネタバレ》 笠岡の宿まではホノボノ系世代間交流ものの雰囲気で進行しておいて、そこからのトリッキーさとドラマチックさが凄い。風来坊的な主人公に妻や子がいるというその一言がもたらす意外性、島へ渡るタイミングをずらすだけで発生する心理の綾と、それらが集積する実家でのドラマ。大半は太陽の下でニコニコしている渥美清が、「その一瞬」だけは暗色に照らされるインパクト。寅さん以外の方向性から渥美さんの魅力を引き出したという点においても、貴重な作品です。 [DVD(邦画)] 7点(2016-01-01 01:20:48)(良:1票) |
188. だれのものでもないチェレ
《ネタバレ》 「お前の持ち物はその体だけ。この家にお前のものは何も存在しない」という女主人の台詞を、そのまんま、その通りに具現化する制作姿勢。全体を通じて、余計な装飾や脱線は一切なし、チェレはほとんど何もできず、ただ素直に母を待ち焦がれ、救済を願い続けるだけ。そのあまりにも強力な表現の中核が、ハンガリーのさまざまな自然風景と奇跡のように結びついて強烈極まりない映像を提示し、物語はチェレを救い出す燔祭の炎となって結実する。 [DVD(字幕)] 7点(2015-12-28 22:41:21) |
189. レッド・バロン(1971)
《ネタバレ》 戦闘機隊の優美な飛行の撮り方については、背景の絵も含めてこだわり十分であり、しかも途中からは機体が華麗な極彩色になっていくという美味しい展開つき。なんだけど、地上に降りてからの部分は途端に物足りなくなっており、ここをもっと発展させたら地上も空中も両方引き立つのに・・・と思わせる箇所が多かった。 [DVD(字幕)] 5点(2015-12-27 01:06:32) |
190. ダイナマイトどんどん
《ネタバレ》 ヤクザに野球で決着をつけさせるという無茶な設定を、大真面目に真剣に映像化している時点で、もう低い点はつけられません。脇役の多い宮下順子さんも、この作品ではいい感じに目立っていますね。終盤がやや間延びしたのが残念。全体として、120分くらいに収まる内容だと思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-12-05 01:32:00) |
191. 仁義なき戦い 頂上作戦
《ネタバレ》 ドンパチワーワーが再三繰り広げられる割に、作品全体に妙に陰鬱なやりきれない空気が漂っているという雰囲気は、さらに加速している。普通の作品だったら絶対にどこかで制裁が下るであろう山守も打本も、さしたる展開上のお咎めなし。主役のはずの広能は後半ほとんど出番なし。そして最後は吹きすさぶ寒風の中の2人の虚しい会話。前作で各登場人物がひりひりするつばぜり合いを展開した後の、本作は壮大な崩壊の物語ですね。 [DVD(邦画)] 6点(2015-12-04 02:22:09) |
192. 仁義なき戦い 代理戦争
《ネタバレ》 ドンパチとか肉弾戦もないことはないんだけど、本作で重要視されているのは「人事」と「儀式」。そこをしつこいくらい押さえているのが、逆に作品にリアリティをもたらしている。その中でも、喫茶店での密談のシーンが白眉(最初画面の端でうろちょろしていた渡瀬が、いつの間にかいなくなり、最後にすっと現れる美しさ、というオマケつき)。各登場人物の表と裏の行動が積み重なり、ここで爆発するだろう、というぎりぎりのところで、誰かの「顔」とか「仲立ち」で断念させられるくだりが再三登場するのも、かえって生々しい。 [映画館(邦画)] 7点(2015-11-30 02:39:00) |
193. ブラック・ライダー(1972)
《ネタバレ》 南北戦争を描いた映画は数あれど、「その後」の旧奴隷の西部移住を描いた作品は珍しいんじゃないのかな。で、主人公は道案内&仲介役なのですが、地主組からは、「奴隷使わないと経営やっていけねーんだよ、余計なことしやがって」と命をつけ狙われる。そのあたりのやりとりもなかなかスリリングなのですが、さらにネイティブ・アメリカンの勢力が絡んできて三つ巴の様相を呈するに至って、さらにスリルを増していくわけなのです。ただ、背景はいろいろ重いものの、アクションやストーリー展開にも気を配っていて、ところどころ笑わせる場面もあったりして、単純にエンターテインメントとして楽しめます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-25 01:14:35) |
194. 白い肌の異常な夜
《ネタバレ》 学校内の主要な登場人物に主人公が次々にモテまくる都合の良い展開が楽しい。イーストウッドのハードボイルドぶりとやってることの品性下劣さとが微妙に整合していないのも楽しい。女性同士のドロドロネチネチはもう少しいろいろあるのかと思っていましたが、あくまでも主眼は主人公の徹底したアホさですね。それが舞台設定の閉塞性によってなぜか一応完結しているという、不思議な作品。 [DVD(字幕)] 7点(2015-11-18 03:03:00) |
195. キャバレー(1972)
登場人物のやりとりはチマチマしていて、歌はストーリーと一体化しているわけでもなくて、どこが良いのか、実は見ていてもそんなに分からなかったのですが・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2015-10-17 00:16:08) |
196. 真田幸村の謀略
せっかくの十勇士という美味しいネタを使っていながら、全然生かされてないんですね。それぞれの勇士の個性なり特技なりという要素が掘り込まれていないので、いざ勢揃いという局面になっても、ちっともぞくぞくしない。しかもその後も、活躍らしい活躍をするわけでもなく。むしろ、描写という点においては、家康の方がはるかに主役っぽい扱いでした。役者陣の演技も何かみんなつまらなそうで、脚本や演出における熱の低さみたいなものを物語っています。 [DVD(邦画)] 5点(2015-10-12 01:02:09) |
197. 赤穂城断絶
《ネタバレ》 こういう王道話で、こういう豪華キャストなのですから、次から次へと登場する役者の皆様を眺めているだけで十分楽しめるわけなのです。ただ、深作監督はやっぱり好き放題に自由な人物造形をさせた方が本領を発揮するのであり、忠臣蔵のようなキャラクターもストーリーもかっちり固定している対象は、演出にもどかしさを感じますね。吉良邸の図面なんかの内偵パートでは、「潜入した浪士が吉良側の手に落ちて、さんざん拷問に遭わされるが、口を割ることなく絶命し、遺体は報復として衆目に晒され、それを目撃した赤穂浪士が憤激し、さらに復讐の意志を固める」みたいなことをやりたかったんじゃないでしょうか、本当は。それと、処分決定後の四十七士切腹のシークエンスを延々とつないでいるのは、忠臣蔵が単なる美談ではないという制作側の強い表現の意地を感じますね。 [DVD(邦画)] 6点(2015-10-07 01:49:35)(良:1票) |
198. 名探偵再登場
せっかく美女軍団をこれほど揃えておきながら、全然使いこなせてないんだよなあ・・・。何とももったいない。謎の設定も解決もその場限りで流れているだけなので、緊張感がまるでないのです。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-09-22 00:11:08) |
199. 小さな巨人
《ネタバレ》 とにかく、細切れのエピソードをひたすら最後まで都合よく積み重ねているだけなのですが、終わってみたら何となくまとまっている気がするのが不思議。主人公が最後までうだうだしていて、何かがあっても別に立ち向かうわけではないという設定で通しているのが(序盤で主人公は銃撃が得意であることが描かれながら、その能力を使う場面は最後まで登場しない)、作品に一貫性を与えている。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2015-09-14 23:26:52) |
200. 名探偵登場
ものすごく凝ったことをしようとしているのは分かるのですが、いくら名探偵(のパロディ)を集めても、肝心の個性の描き分けができておらず、みんな同じような芝居をしているので、設定の意味がないのです。勢揃いモノはなかなか難しいですね。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-09-13 00:00:34) |