181. 赤い影
キャサリン・ヘプバーンがとても魅力的だった「旅情」、 近年では豪華な2大スターの競演となった「ツーリスト」・・・。 などなど様々な映画の舞台となってきた水の都ベニス。 船と人が行き交い恋が芽生える街、ベニス。 しかし本作には全くそんな空気はありません。 作品を支配する、寒々しくどこかよどんだ空気。曇天の空模様。 運河の水も他の作品と比較するとどこかよどんで見えます。 娘の死から始まり、ベニスに来てからも漂う死の予兆。 そして垣間見えてくるごく近い未来。作品全体にいや~な空気が漂う。 微妙に品があり、どの映画とも違う独特の空気がありますが、 ゾクゾクッと背筋が寒くなるようなものがもうちょっとあってもよかったですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-04-17 23:30:46) |
182. ロビンとマリアン
何度も映画になったロビン・フッドの物語ですが、本作はこれらロビン・フッドの冒険活劇のその後の物語といった感じで、 どちらかと言えば活劇よりもロビンと修道院の院長になっていたマリアンとのロマンスに軸足が置かれています。 典型的な賛否が分かれるラストですが、 そこまでのショーン・コネリーと、久しぶりに映画に復帰したオードリー、2人の落ち着きのある大人の演技がいいですね。 脇を固める助演陣もなかなか渋い顔触れが揃っています。 作品の雰囲気を絶妙に作り上げるジョン・バリーの音楽もいつも通り素晴らしい。 「暗くなるまで待って」以来、約10年ぶりに復帰のオードリーはやはりお年は感じますが、 それもショーン・コネリーのシブい魅力とうまく相まっていました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-04-05 15:56:11) |
183. 軍用列車
主演ブロンソンとゴールドスミスの音楽がひたすらシブい。 ベン・ジョンソン、チャールズ・ダーニング、リチャード・クレンナ・・・ いかにも70年代という感じのちょっと渋めの豪華キャストもまた良し。 作品の大半が列車の中で展開されるミステリ・サスペンスタッチの異色西部劇。 特に前半から中盤、動く列車内で起こった殺人事件に姿を消す軍用列車の乗客はいずこへ? というミステリーはかなり地味な展開が続きます。その割には結構人が死にます。 医学の知識もあり、列車の操縦も出来て、しかも強い謎の男ブロンソンの存在感にかなり助けられています。 しかし動く列車を舞台にしたサスペンスの定番、列車の屋根での格闘はなかなかの迫力。 男だらけの映画の中で紅一点、ブロンソン映画と言えばこの人、ジル・アイアランド。 途中ほとんど登場しない時間帯もあり、必要だったかな?とも思うのですが、 ジルもまた、ブロンソン映画には欠かせない重要なピースの1つということかな。 ブロンソンがちょっと渋めですが大活躍する映画なので、ブロンソン好きにとってはそれなりに楽しめる作品です。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-12-08 21:03:43) |
184. 狼の挽歌
《ネタバレ》 迫力満点のカーアクションから作品がスタートしますが、その後はひたすら寡黙なブロンソンが渋い。 フランスでもイタリアでも、ヨーロッパ映画のブロンソンは本当にシブくてカッコいい。 テリー・サバラスとの競演もたまらない。 ブロンソン映画の共演者と言えばこの人、ジル・アイアランドが美しい。 寡黙な殺しのプロフェッショナル、そんなブロンソンの持つイメージの1つが固まりつつあった頃。 展望エレベーターのラストの静かなる決着が哀しい余韻を残します。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-09-08 20:12:26) |
185. 刑事コロンボ/ハッサン・サラーの反逆<TVM>
《ネタバレ》 警部が犯人に目星をつける。 その犯人への捜査への障害が多ければ多いほど、このシリーズは面白い。 本作の犯人は外交官特権をちらつかせる、アラブのお金持ち某国の超エリート。 上層部の政治的配慮に捜査の妨害と、さすがに警部も思い通りに事が運びません。 ラストはまさかまさか、警部、犯人を逃がしちゃうんですか…?と思ったのも束の間、 一旦犯人を安全地帯に逃がしたフリをしつつ、鮮やかな逆転劇。 アラブ某国のエリートが、厳しい判決が予想される自国で裁かれるのを恐れ、 警部の言いなりになりアメリカで裁かれることを望むラストは痛快。 それにしても警部、いつの間に国王閣下を抱き込んでいたのでしょうか…? [DVD(字幕)] 6点(2014-07-17 20:47:06) |
186. 真昼の死闘
一風変わったテイストの面白さがある西部劇でした。 イーストウッドとシャーリー・マクレーン、2人っきりの時間が長いのですが、この時間帯が意外に面白いんです。 ちょっとユーモラスなシャーリーの言動。 西部劇の代表的な移動手段と言えば馬ですが、馬より1回りも2回りも小柄なロバに、「早く走りなさい!」と言うようにロバのお尻をペンペンしながら乗るシャーリーが可愛らしくもあります。 途中は2人を必要以上に親密にさせすぎず、少し距離感のある2人の関係が時にコミカルですが、程よい緊張感も持続させています。 ラストもおめかししてロバに乗るシャーリーが可愛らしかったですね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-05-06 22:15:17) |
187. 夜の訪問者
フランス映画ですが、あまりフランス映画には見えず、作品のテイストはむしろアメリカ映画という感じです。 ブロンソン好きでもない限り、まず手を出さない映画かもしれませんが、ブロンソン好きにとっては、最高にシブくてタフなブロンソンが堪能できる作品です。 終盤にブロンソンと妻子を切り離したことによるサスペンスはなかなかの面白さです。 終盤のカーアクションも見所の1つですが、ブロンソンのあの運転の後部座席で悠然と居眠りしている先生が本作の登場人物の中で実は一番の大物だったりして。 相変わらずブロンソンとご共演のジル・アイアランド。ブロンソンと仲睦まじい役も多いですが、本作はちょっと微妙な役どころでしたね。 [DVD(字幕)] 6点(2014-04-17 22:20:55) |
188. アルフレード アルフレード
イタリアの巨匠ピエトロ・ジェルミの遺作。遺作もジェルミらしく結婚と離婚をテーマにした艶笑喜劇です。 主演は何故かダスティン・ホフマン。アメリカ人の役ではなく、タイトル通りアルフレードというイタリア人の男を演じています。この役、もうちょっと若ければマルチェロ・マストロヤンニが演じても面白い映画になったでしょうね。ですが、ちょっと頼りなくて考え込みすぎる男をコミカルに演じるホフマンが見事にイタリアン・コメディの主役を張っています。まあ、彼の声が違うのは仕方が無いところですね。 多分作品の半分くらいはホフマン演じるアルフレードのつぶやき。ちょっとこれが多いんですが、多くのシーンで流れる軽快な音楽がいいし、ホフマンの演技は流石といったところ。ステファニア・サンドレッリの怪演も見どころです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-04-21 20:24:00) |
189. ダーティハリー3
第1作と比較すると、第2作では娯楽色が濃くなり、第3作、つまり本作では中盤あたりまではついにコメディタッチに。「泣けるぜ・・・。」の度に何故かちょっとだけクスリとしてしまう。 本作の相棒は新米女性刑事。演じた女優さんの刑事らしさのある面構えがいいし、なかなかの好演でした。必死にハリーについていくその姿は微笑ましくもあります。この2人のやりとりも時にコメディタッチになり、まさかダーティハリーを見てクスリとさせてもらうことになるとは思いもしませんでしたが、全5作を通しても印象に残るハリーの相棒役だったと思います。 過去2作と比較すると犯人側の描き方が弱く、ラストも無理やりの度合いが高いのですが、本シリーズはイーストウッドのいつものダーティハリーぶりを見ることさえ出来れば、それだけで満足だったりもするのです。 [DVD(字幕)] 6点(2012-12-05 21:39:38)(良:1票) |
190. ダーティハリー2
《ネタバレ》 本作のハリーの敵は、法に代わり悪に死の裁きを下す、例えるなら必殺仕事人のような連中です。警察の捜査や法の抜け穴をかいくぐり、のさばる悪を許せないという点では両者の思いは同じではある。 しかし裏の稼業に手を染めてしまった敵と、あくまでも警察官として市民の安全を守るハリーとの違いは明白で対立の構図も分かりやすい。前作以上にアクションシーンや派手な撃ち合いといった見所を随所に挿入し、前作とは違うアプローチでしっかり前作同様ハリー・キャラハン=イーストウッドのカッコよさを際立たせています。 もう一人、仕事人の黒幕も出てきますが、彼の正体がちょっと分かりやすすぎたかな・・・。 [DVD(字幕)] 6点(2012-12-03 22:43:57)(良:1票) |
191. 刑事コロンボ/死者の身代金<TVM>
第1作「殺人処方箋」でも、カミさんの話や親戚の話なんかで犯人をイライラさせ心理戦を展開する、シリーズの基礎がある程度出来ていましたが、この第2作ではさらに警部のキャラクターが固まってきましたね。 第1作ではコートを脱いだスーツ姿も多かった警部ですが、本作では室内だろうが飛行機の中だろうがずっと例のコートを着たまんま。そして明らかにユーモラスな警部の言動も増えてきました。 お話の方は、警部と犯人が絡み出すまでにちょっと時間がかかりすぎたのが惜しいところです。前半に捜査の主導権を握っていたFBIが邪魔していたような気がします。しかし、それでも警部と犯人が本格的に絡み出して以降の2人の心理戦はなかなかの見応えがありました。 警部のユーモラスな言動といえば、本作のラストは素晴らしい!アタッシュケースにも、警部の手にも大金が。でも、3ドル50が払えない警部・・・。店員のお姉さん、意味不明だったでしょうね。 [DVD(吹替)] 6点(2012-11-23 23:25:32) |
192. 刑事コロンボ/指輪の爪あと<TVM>
71年の作品。初期の作品ですが、本作の警部初登場シーンは既にお馴染みの光景となっています。例の愛車を運転して犯行現場に向かう途中に白バイに捕まる。免許の更新期限もギリギリ。もうこの頃にはお馴染みのパターンが固まっていたんですね。 被害者の夫が「運よく犯人のクルマが故障して良かったもんだ」と言うのにに対し、警部の少年時代にやった悪戯の告白と「私は運なんて信じないんですよ」という台詞。鮮やかな警部の仕掛けとユーモアを同時に見せる事件解決のラストが印象に残る一編でした。 [DVD(吹替)] 6点(2012-10-08 20:17:36) |
193. 刑事コロンボ/闘牛士の栄光<TVM>
邦題の通り闘牛士の栄光、これが殺人の動機だった訳ですね。哀しき英雄の末路でした。 いつもの警部vs犯人の攻防戦とは別の見所というか、シリーズのファンにとってはお楽しみがたくさんある作品でした。まず、警部登場のシーン。警部の運転を見ていて、いつかやっちゃうんだろうなあ、とは思っていたのですが、ついにやっちゃいましたね。しかも全く英語が通じない異国の地であたふたする警部。コロンボ警部のいい味が出まくりです。 そして警部がメキシコで有名人になっているとは思いもしませんでした。その有名になった事件は「歌声の消えた海」ですね。 既に皆さん触れられてますが、“仕事の虫”のことをメキシコでは“まぬけ”って言うんですね。僕は怠け者なので単純にいい国だなあ・・・。って思っちゃいました。 [DVD(吹替)] 6点(2012-09-14 20:27:14) |
194. セイヴ・ザ・タイガー
名優ジャック・レモンがアカデミー主演男優賞に輝きながらも日本未公開に終わったことで有名な作品。 本作にはコメディで見せる陽気なジャック・レモンの姿はありません。「チャイナ・シンドローム」や「ミッシング」といったシリアスな社会派サスペンスにおいても陽気なレモンの姿はありませんが、何かと闘う男の姿、キリッと引き締まった表情のレモンが印象に残る。 しかし本作には人生に疲れ経営する会社の資金繰りにも行き詰まり、一線を越えてしまう哀しき男の姿があるのみですが、レモンが見応えある哀愁漂う静かな熱演を見せる。 放火の顛末も一切描かれず、かつては自身も熱中した野球に興じる少年達をフェンス越しに見つめるレモンの姿で作品は終わります。フェンス一枚を隔てて、台詞にもあるように、夢も希望も失ってしまった男と、これからの人生、どんな可能性だってある少年達の対比が哀しいラストでした。 [DVD(字幕)] 6点(2012-07-23 00:16:05) |
195. 刑事コロンボ/二枚のドガの絵<TVM>
本シリーズの見所は幾つもありますが、そのうちの1つ、お茶目でユーモラスな警部の姿を見せる笑いドコロは本作にはありません。 作品ごとに色んなタイプの犯人が登場しますが、本作のように卑劣な犯人が登場する作品では警部は犯人に対し対決姿勢を強くする。 本作は犯人に「私はあんたが犯人だと思っている」という台詞で宣戦布告することは無いですが、かなり早い段階で犯人に対して実質的に宣戦布告しています。 そこからの警部vs犯人の心理戦はもっと面白い作品があると思いますが、ラスト、幕切れの鮮やかさはシリーズ屈指の作品。 本作は今回初めて見ましたが、本作の見所の1つはキム・ハンターさん。お猿さんメイクじゃない彼女を見るのは久しぶり。 思わぬ大物からお久しぶりです!という方まで色々ですが、ゲストスターは毎回、僕にとっての本シリーズの楽しみの1つとなっています。 [DVD(吹替)] 6点(2012-07-02 20:22:31) |
196. 刑事コロンボ/ホリスター将軍のコレクション<TVM>
《ネタバレ》 犯行を全く関係者でも何でもない第三者に目撃される。殺された被害者の関係者や親族も誰も登場しない。警部の唯一の頼りは目撃者の女性。しかしその女性は犯人である将軍の計略により取り込まれてしまう。 手掛かりも頼れる人物も無い。さあ、警部どうする?というところですが、今回は将軍の犯行はともかく証拠隠滅のお粗末さに助けられましたかね。警部vs犯人の心理戦としては物足りないですが、目撃者の女性が間に入るという、いつものシリーズ作品とは一風変わった展開は面白かったです。 それにしても将軍役がエディ・アルバートだったとは・・・。エディ・アルバートと言えば思い浮かぶのは「ローマの休日」ですね。時に思わぬ人が犯人役で登場するところも本シリーズのお楽しみの一つなのかもしれません。 [DVD(吹替)] 6点(2012-06-13 21:21:58) |
197. おかしなレディ・キラー
それぞれの事情で人生に切羽詰っている2人の男と、そんな2人に振り回される1人の女の可笑しな人間模様。 結果オーライだったものの、2人の男がやろうとしていることは結構タチが悪いのですが、ドジで頭が悪く失敗するのがミエミエなので何か憎めない。それに合わせるかのように作品のムードも至ってお気楽なユルユルのコメディ。 ビシッとキメたウォーレン・ベイティと、これ以上無いダサさのジャック・ニコルソンの掛け合いも、2人に振り回されるストッカード・チャニングの弾けぶりもなかなか楽しい。 ストッカードが気持ち良く2人を懲らしめてくれるようなオチが欲しかったですが、ラストが決まらなかったのがちょっと惜しいところです。 [DVD(字幕)] 6点(2012-05-24 21:27:57) |
198. 狼は天使の匂い
色々と謎に思える部分も多いストーリーですが、アジトの中での人間関係の見せ方が意外に面白く、一風変わった人間模様を見せる。地味な作品ですが、主演トランティニャンと、晩年のロバート・ライアンのシブい魅力が印象に残るフレンチ・ノワールです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-04-07 22:07:30) |
199. ビッグ・ガン
マフィアなど悪の組織から足を洗おうとするが上手くいかず・・・という男のドラマは映画としてはかなりよく見られる話であり、アラン・ドロン自身も「暗黒街のふたり」でも犯罪組織から足を洗おうともがき苦しむ男を演じています。本作は組織から足を洗おうとした結果妻子を失い、アラン・ドロンが復讐に燃える男を演じるという作品ですが、アラン・ドロンはやはり何かから追われる男の役が本当によく似合うし、感情を爆発させず心の内に秘めた何かを感じさせてくれる佇まいがまたいい。この復讐劇の結末、つまりドロン演じる男の運命はこれしかないというところに行き着きますが、基本的に何をやっても絵になる人であり、それは本作のラストもまた然り、なのです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-02-04 15:35:54) |
200. 戒厳令(1972)
南米のとある国におけるアメリカ人誘拐、その裏には・・・。という筋書きはコスタ=ガヴラスの作品では「ミッシング」を思い出す。しかしこちらは誘拐犯と誘拐された者との会話、政府や議会などの見解や主張が繰り返され、冒頭はどういう組織の何が目的の行動なのか分かりづらいですが、これらを通してアメリカの他国の政治への介入や、体制の問題点を浮かび上がらせていく。原題の意味は分かりませんが、戒厳令が敷かれた動乱の街の描写などはあまり登場せず、勿論エンターテイメント性もありません。長く感じる作品ではありますが、作品を覆う緊張感、力強さには特有のものを感じます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-12-25 22:21:54) |