2001. 箱入り息子の恋
《ネタバレ》 何とこれ、ベースは完全に昭和のドラマです。それも「40年代以前」という限定付きです。いつからラブロマンスはイケメンとオモロイヤツだけのものになってしまったんだ。不細工やキモオタの純真の中にこそロマンスがある。そんな作り手の堂々とした制作態度が、脚本のご都合主義やラストのグシャグシャぶりも覆い隠すほどの力強さを見せています。吉野家の涙のシーンは、逆光の使い方や間の取り方も含めて、一般レベルで名シーンだと思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-12-02 01:24:46) |
2002. U Want Me 2 Kill Him ユー・ウォント・ミー・トゥ・キル・ヒム
《ネタバレ》 描写としてはアンフェアな箇所が何点かないわけではないし、ウェブ上のやりとり以外の部分のウェイトが著しく少ないのは、食い足りない印象をもたらすともいえる。しかし、どうしてもこれがやりたかったんだと言わんばかりの一点集中型の作り込みは、嫌いではない。 [DVD(字幕)] 6点(2016-12-01 02:19:24) |
2003. ジャージの二人
描写の一つ一つが、いちいち作為的で観念的。登場人物が動いているのではなく、動かされているだけ。ジャージを二人に着せたところで物語は終わっていました。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2016-12-01 02:11:29) |
2004. ポリス・ストーリー/レジェンド
《ネタバレ》 途中でやっとこさ「えっ、これって場所限定密室劇サスペンスをやろうとしてる?」ということに気づきました。その試み自体は悪くないし、回想シーンの多重視点描写もなかなか面白いのですが、全体としては何とも方向性がチグハグで。冒頭のジャッキー現場説得シーンとか、犯人の過去の体験回想とか、何の意味もなくて、むしろどう見ても邪魔です。ポリス・ストーリーの冠を外して、徹頭徹尾建物内で地道に話を展開させたら、ジャッキーもこの御年で新機軸!ということで美しく完成したんだろうけど、やはり慣れないことはやりにくいのか、そうはならなかったね。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-11-28 03:37:09) |
2005. スタア誕生(1954)
いや長かった・・・全般的に薄味で引き延ばし感がミエミエで、そのまんま焦点を絞って進めれば、45分くらいで終わっているでしょう。ジュディ・ガーランドのはかない栄光の姿を焼き付けた記録映画として見れば意味はありますが、だからといって物語としての面白さがあるわけではないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-11-25 03:35:12) |
2006. あなたへ
筋立ては悪くないはずなのに、脚本がとにかくどうしようもなくて、思ったことを全部喋らせないと気がすまないというか、しかもみんながみんな見たままを喋っているだけなのでどうにも底が浅いというか、とにかくどうしようもない。おかげで、佐藤浩市や大滝秀治ですらエンスト感満載ですし、ビートたけしのあんな凡庸な使い方なんて、よく本人が了承したものです。この監督と脚本家は、まず、登場人物に黙らせるということを覚えましょう。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2016-11-23 00:22:43) |
2007. 遊星からの物体X
《ネタバレ》 最初から最後まで、ずっと同じことをしているようにしか見えなかったのですが・・・ただ、ラストで明確な結論を出さずにあえて突き放し、しかも敵をやっつけてハッピーエンドでも何でもないという妙な雰囲気が、作品としてのインパクトを保っています。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2016-11-19 01:19:45) |
2008. 半落ち
《ネタバレ》 終盤入口くらいまでは、ちょいちょい出てくる説明台詞やありえない台詞に目をつぶれば、(原作に大きく助けられてはいるものの)何とか見られるレベルなのですが・・・ラスト30分の裁判シークエンスが、とにかくグチャグチャ。そもそもこの話の肝は、(警察官や検察官や弁護人や裁判官やマスコミといった)誰がどう頑張っても、本当の真相なんてものは誰の目にもふれることなく深く潜っていき、そのまま公になることはない、という点にあったはずなのに、あんな改変をしてしまっては、それまでの90分が前フリ以下にしかならないでしょう。結果、すべての登場人物は、存在の意味を失ってしまいました。あと、それとは別に、すでに指摘されていますが、すべてのシーンにおいて、照明のセンスが最悪です。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2016-11-16 01:25:27) |
2009. オペレーション・ワルキューレ<TVM>
トム・クルーズ版と比べるとやっぱりコンパクトというか、もっといえばダイジェスト版みたいな感じで、特に脇役にほとんど味がないのですが、それでも重要なポイントは押さえています。このように、意義ある歴史(と人物)を端的に提示した作品はもちろん価値がありますし、また何といってもドイツ語会話による再現度の高さは強みです。 [DVD(字幕)] 6点(2016-11-15 22:00:35) |
2010. ザ・ヤクザ(1974)
《ネタバレ》 タイトルにヤクザといっていながら、ヤクザは全然出てきませんでした。あと、最後の決戦(もどき)から後のグダグダぶりも結構ひどい。 [CS・衛星(字幕)] 2点(2016-11-15 21:58:44) |
2011. ボス その男シヴァージ
何というか、出演者の側もスタッフの側も、このテンションの高さ、いや高い低いというよりも爆発力のようなものは、いったいどこから出てくるのでしょうか。中身とほぼ関係ないただ歌って踊るだけのシーンのために巨大なセットと無数の小道具を用意し、至るところでとんでもない数のエキストラが炸裂し、間断なしというくらいにみんなが喋りまくり、カットはめまぐるしく次から次へと入れ替わる。そりゃ、これだけどこを切っても爆発エネルギーが噴出していれば、3時間ないと収まりはつかないでしょう、というもの。つまり、そういう作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-11 01:50:37) |
2012. ブラッド・ワーク
いちいち関係者ごとに状況や推理の過程を説明してくれる懇切丁寧な脚本に脱力。もっと黙って地道に捜査できないのでしょうか。観客はそれでもきちんと分かります。私的な部分でのヒロインや周辺人物とのやりとりも平凡極まりない。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-11-10 00:54:04) |
2013. リスボンに誘われて
《ネタバレ》 たった一冊の本だけが原動力となって、授業を抜け出した教師がそのままベルンからリスボンまで行ってしまうという、何とも素敵な謎から始まる導入部。その後も、各俳優陣の的確な演技と表現によって、物語は気品を失わず、一本の糸がどこまでも紡がれ、いつしか全体としての織物を完成させていく(その間、同一場面多視点ネタもちらほら)。その過去の探求が、自らを「退屈な人間」と卑下する主人公にも、微かな、しかし確実な変化をもたらす着地点に収斂する様式美。どこまでもじっくりと味わい深い作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-08 00:58:22)(良:2票) |
2014. 宇宙人ポール
《ネタバレ》 主人公二人に魅力がないのが何とも致命的。オタクが宇宙人とめぐり会ってそこから大冒険の活躍、というからには、宇宙人とも一体化できるほどのハイパーオタクぶりを期待するわけですが、この二人は言葉でオタクと説明されているだけで、実際の言動は伴っていません。一方で、脇役が揃ってからはストーリーはまあまあの動きを見せており、コミック店でのやりとりのおかしさ、タラとの再会、ラストに登場する大ボスなど、終盤にかけては盛り上がりを見せるのですが、中盤までの退屈さはカバーしきれませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-11-07 00:35:27) |
2015. ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン
《ネタバレ》 作中のニール・ショーンの台詞で、「単にYouTubeでアーネルを見つけたという話だけだったら、ここまで(の大成功のツアー)にはならなかった」という一言がありますが、この作品もまさにそのとおり。友人がアップした動画がたまたまメンバーの目にとまってスカウトされ、そのまま伝説のバンドのヴォーカルへ、という絵に描いたようなシンデレラサクセスも、あくまでも導入部にすぎません。カメラはその後も、ステージ、バックステージ、フィリピンの風景、ツアー中の何気ない光景などを地道に確実に積み重ね、その中で、一夜にしてスーパースターになってしまったアーネルの努力と苦悩を、そして周りの人達がそれをどう感じているかをあぶり出していきます。また、ジャーニーというバンドの歴史も短時間凝縮版ながらきちんとふれられており(90年代再結成以降も漏らしていないのも良い)、そこに新加入することの重みが伝わるようになっています。情報整理と編集と構築がきちんとされている、優れた音楽ドキュメンタリーです。●個人的にツボだったのは、ロス・ヴァロリー先生の渋い格好良さ、実はニール以上にバンド運営の中心っぽいジョナサン・ケインの静かな迫力、そして一瞬だけ登場するジェイソン・シェフとアン・ウィルソン。 [DVD(字幕)] 7点(2016-11-05 00:42:51) |
2016. イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
《ネタバレ》 エニグマを解読してめでたしめでたし、と思いきやそうではなくて、今度はその先に進んで、対策を立てれば解読に気づかれて、もっと大きな壁ができてしまう。また、解読した情報をどう扱うかによって、人の生死まで左右してしまう。その本質の問題に明確に踏み込んだところに、この作品の価値があります。また、戦後は不遇な扱いだった主人公の行く末まで、簡潔に凝縮しながらもきちんと押さえており、しかもそこで3本の時系列が収束する構成が、作品に立体性を与えています。●ベネディクトの演技は、興味対象以外には何の興味も持たないオタクぶりを的確に表現しており、充実しています。キーラ・ナイトレイは、お姫様系の顔立ちが災いして雰囲気から浮いており、ややミスキャスト気味。もっと地味な人にした方がよかったと思う。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2016-11-04 00:51:37) |
2017. マダムと泥棒
《ネタバレ》 前半の単純ながらも上品な心理戦は、これぞイギリスという感じで上々。実際の盗みの場面の手際や見せ方もなかなか。お婆ちゃん軍団大登場にはさらに大笑い。ただその後が、せっかくの心理の綾がなくなってしまって、単にお婆さんをどうするかという一点に絞られ、展開も単調になってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-11-02 20:51:36) |
2018. ヒット・パレード
歌や演奏をちりばめて華やかに賑やかに作ろうとした意図は分かりますが、それと脚本や演技がかみ合っていないので、勝手に盛り上がっているだけのように見えてしまうのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-10-31 01:33:32) |
2019. 借りぐらしのアリエッティ
《ネタバレ》 何と意外に良い内容だった。まず、主人公家族3人が、実はちっとも格好良くない日陰者の存在に一貫して立脚しているのが良い。そんな環境は簡単には覆せないし、実際に最後には次の住み家を探して出ていくことになるし、でもだからこそ、無力なりに何かをしようとする主人公の行動が輝いている(しかもそこで、すぐに結論が出たり、安易にスーパーウーマン的活躍をしたりしないのが良い)。また、人間には何てこともないちょっとした段差や距離が、小人視点ではそうではないという質感や構造感も的確に表現されている。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2016-10-29 00:35:54) |
2020. ある日、突然。
冴えない女の子が、レスビアンのカップルとめぐり会って、いきなり脅迫同然に同行を要求されて、そのまま旅に出る、という奇想天外で大いに興味を引く出だしなのだが、その後は淡々と旅の風景と目的地での行動が続くだけで、特段の盛り上がりは存在しない。全体的に、撮り方や美術関係も含めて、かなりの自主制作っぽさ、素人っぽさが漂っている。 [DVD(字幕)] 5点(2016-10-29 00:22:47) |