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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2598
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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201.  それでもボクはやってない
日本の司法制度の根本的で深刻な「問題」。そしてその弊害は、決してテレビ報道の中だけではなく、普通に生きている市民全般に対し、突如としてふりかかるということをこの映画は物語る。  徹底したリアリティをもって描かれる「実情」は、怒りと愚かさを覚えると同時に、映画としての力強さに溢れている。 極力映画的な演出を廃し、「現実」を淡々と描き連ねることで、逆に興味を引き付けひとつの娯楽性をも生み出していると思う。150分という長尺でありながらその長さをほとんど感じさせなかった。  タイトルの通り、主人公は最初から最後まで「ボクはやってない」と訴え続ける。この映画がすごいのは、単に冤罪に陥りかけている主人公の奮闘を描いているのではなく、その主人公を含んだ群像が愚かしい司法制度の間で様々に葛藤する様を徹底して俯瞰的に描いていることだ。そのことが、実情を実情としてありありと映し出すことに成功した要因だと思う。  若くしてすでに日本映画界におけるバイプレーヤーの地位を確立している加瀬亮の初単独主演映画ということも、昔から彼の存在感を認識していた僕にとっては感慨深かった。この映画の主役は彼以外には考えられないだろう、というくらいに適役だったと思う。  この映画を観た事による認識が、少しでもこの国の社会の是正に繋がればと思う。
[映画館(邦画)] 8点(2007-02-10 21:38:18)
202.  マリー・アントワネット(2006)
「マリー・アントワネット」というタイトルが示すように、もちろんこの映画はマリー・アントワネットという実在のフランス王妃の半生を描いた作品である。 が、いかにもな史劇的な色合いはこの映画世界にはまったくない。フランス史に明るくない者、マリー・アントワネットという人物自体をよく知らない者にとっては、結局どういう状況でどういう人生を送った人物なのかということが、最終的によく分からない映画かもしれない。歴史的な掘り下げや、人物関係の説明がほとんどないのだから当然だろう。  そもそもソフィア・コッポラという女流監督が描きたかったのは、フランス史の中のマリー・アントワネットではなく、ただその時代に生きたマリー・アントワネットという一人の女性そのものの、文字通り“等身大”の姿だったのだろう。 だからこそ、映画の大半は、豪華で煌びやかで、ある意味滑稽な宮廷社会の中で、時に奔放に、時に繊細に、一日一日の生活を送り、妻となり、母となり、王妃となる一人の女性のそのままの姿を延々と描いたのだと思う。 そこに具体的なドラマ性はほとんどない。なのに、最終的には彼女の生き様が、その哀愁が、心に染み渡ってきた。不思議だ。何気なく描き連ねた人間描写の中に、実に巧みにキャラクターの本質が浮かび上がってくる。  この繊細な人間描写こそ若くして巨匠のDNAを確実に受け継ぐソフィア・コッポラという監督の“チカラ”だと思う。 等身大の“女性”としてのマリー・アントワネットを、人間としてとてもキュートに表現してみせたキルスティン・ダンストも素晴らしかった。  「史劇」を「青春」として描くことを貫き、完成させてみせたとてもユニークで、良い映画だったと思う。 
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-29 23:54:16)(笑:1票) (良:1票)
203.  ラッキーナンバー7 《ネタバレ》 
クエンティン・タランティーノ、ガイ・リッチーらの映画から端を発し流行りはじめてもはや久しい“クライムアクション”というジャンル。多くの場合、「犯罪」を軸にした群像が互いを騙し合い、駆け引きながらせめぎあうことでストーリー展開のイレギュラー性を楽しむ娯楽映画であることが多い。 ただ、最近はあまりにも量産され過ぎて新鮮味は薄れ、すでにB級映画の定番ジャンルとなりつつあることも否めない。  が、この映画は少々侮れなかった。 まず目を引いたのは、映画の中の何気ない小物やインテリアのセンスの良さとこだわり感。椅子や自動車、電話や壁紙に至るまで細かなこだわりが画面に広がる。こういう画づくりのこだわりは、1シーンごとに価値を持たせ見ていて飽きが来ない。 映像的なこだわりに裏づけされるように、ストーリーの展開にも工夫がめぐらされている。 冒頭、衝撃的でミステリアスな暗殺シーンの連続で観ている者にインパクトを与えたかと思えば、主人公の登場と立ち振る舞いはライトに描かれ、一転して違うテンションのストーリー軸に引き込んでいく。 そしてクライマックス、物語の核心へ迫る時には、一気に悲哀と哀愁を漂わせる。そのテンションの転換の仕方が実に無理がなく、巧い。  良かったのは、ジョシュ・ハートネットである。なぜブルース・ウィリスがセカンドネームなのか疑問に思っていたが、映画を観れば彼がこの映画の主人公であることは納得。実に適役だったと思う。 その甘いマスクで一気スターダムにのし上がったのはいいものの、中々これという作品がなかったジョシュ・ハートネットだが、一昨年の「シン・シティ」に続き中々良かった。正統的な二枚目よりも、こういう一クセも二クセもある役柄が合っている。  昨年は欧米の娯楽映画をほとんど観なかった(というか当たりが皆無だった)が、今年はある種の原点回帰でハリウッド映画もよく観たいと思う。幸先は良い。  ※ネタバレ いや、原題の表記は気にはなっていたんだけどね。
[映画館(字幕)] 8点(2007-01-14 00:32:14)(良:1票)
204.  虹の女神 Rainbow Song
淡い光の中で、様々な人間たちがそれぞれの思いをありのままに繰り広げる。 こういう映画は、僕自身が映画を見始め、映画を志した頃に好んでよく見たタイプの映画で、好きだし、弱い。 加えて主人公たちも、映画を撮り、フィルムを遺すのだから、もう個人的には“オテアゲ”状態である。  だが、とても良い映画だったと思う。  とても近くにいた人の大切な想いを、その人が遠く離れてしまってからようやく気付く。いや、ほんとうはとっくに気付いていたのかもしれない。でも、近いからこそ、無意識に気付かないふりをしてしまっていた。 プロットとすればよくあるタイプではある。でも、やわらかい光に溢れた映像美の中に、時にシニカルに、時におかしさを含めながら、切なく描き出す。そういうキレイ事だけで留まらない映画の表現的な巧さが光っている。  ヒロインの上野樹里や、その盲目の妹を演じる蒼井優が、当然の如く巧くて、本来もっと主人公として際立つべき市原隼人が(若い二人の女優に)食われすぎている感はあるが、不器用で切ない人間模様を瑞々しさと安定感をもって表現されていたと思う。  この映画は、美しい光に溢れ、“虹の女神”なんていかにもキレイなタイトルがついてはいるが、主人公たちも含め登場する人間たちは、決して“完璧”なんかではない。 優柔不断だし、屈折しているし、虚栄的だったり、臆病者だったりする。 でも、そういうことが人間として当然だし、だからこそ垣間見えてくる“輝き”とその“美しさ”というものをこの映画は認め、映し出す。 失わずに済むものなら、それにこしたことはない。しかし、必ずしもそういうわけにはいかないのが、人間というもの。 そういった人間の根本的な部分での、「儚さ」と「美しさ」を描く作品だった。 
[映画館(邦画)] 8点(2006-11-05 17:50:48)
205.  サマータイムマシン・ブルース
SF」と聞いて個人的に真っ先にイメージされるものは“タイムマシン”であり“タイムトラベル=時間移動”だったりする。 ストーリーの要素としてとても好きなものだし、故にありとあらゆる“タイムマシンもの”を見てきた。 そもそもが、「空想」の範疇を出ない素材なので、その捉え方や描き方には限界はないハズだが、このところの“タイムマシンもの”にはマンネリ化がつきまとうことも事実。そんな中において、ちょっと新しい“タイムマシンもの”が生み出されたと思う。  タイムマシンとしての概念的な新しさは決して求めず、ある意味ベタベタな設定の中で、「おかしさ」のみを追求した結果、まったく新しいストーリー展開が広がったと思う。 「SF研究会」の大学生グループがタイムマシンを手に入れたにも関わらず、ひたすらに壊れたクーラーのリモコンを巡る騒動のみに終始する様が面白い。 学生たちの、ノリの暑苦しさと悪ふざけぶりが、おかしさに拍車をかけ、本広監督らしい小道具の隅々までに気を配る演出が冴える。  登場キャラクターたちのノリの軽さと若々しさは最後まで徹底されるが、だからこそ垣間見える力強さや、切なさは、まさに夏のブルースを掲げるにふさわしい。
[DVD(邦画)] 8点(2006-10-28 12:43:42)
206.  かもめ食堂
くたびれた日々の中の週末、長い秋の夜、とても良い映画を観ることができた。  ほんとうの“やさしさ”とか“やすらぎ”というものは、潔いつよさの上に存在するものだと思った。 フィンランドという国に、そこでさりげなく構える小さな食堂に、そしてこの映画の主人公にそういうことを感じた。 自分が在る場所と存在を見極め、認めるからこそ、有意義でゆったりとした時間が流れるのだと思う。  そのゆったりとした時間が流れる日々の中で、交わされる言葉、たわいもない出来事、少し変わった人々、差し出されるコーヒー、並ぶテーブルと椅子、シナモンロール、食器、おにぎり……そのすべてがいとおしく感じる。  何が起こるというわけではない。食べる姿が大好きな日本人女性が、遠い北欧のフィンランドで小さな和食の食堂を開き、そこに人が集まってくる様子を描き連ねているだけである。 でも、そこに映し出される「幸福感」は、とても大きい。 そういう空気が流れるところでは、もはや言葉が通じないだとか、文化が違うなんてことは、あまり関係なくて、その共有すべき空気の中で、ただただ自然に存在できるのだと思う。  主人公の店主を演じる小林聡美がさすがにスバラシイ。強い潔さと深いやさしさに溢れたその存在感は、舞台となる“かもめ食堂”そのままであり、この映画そのものと言っていい。 特にラストカットのワンフレーズなど、中々あれほど自然に表現できるものではない。  ふと思う。 遠い遠いフィンランドという国へ行きたい。 ヘルシンキという街へ行きたい。 かもめ食堂へ行きたい。
[DVD(邦画)] 8点(2006-10-15 02:53:22)
207.  好きだ、
どこまでも内気で繊細な二人の男女が、17年の歳月を経て各々の想いを紡ぎだしていく。  下手を打てば、なんともまどろっこしくて、「うだうだやってんじゃねーよ」と言いたくなるかもしれない物語である。が、独特の空気感を持った長回しと、登場人物のキャラクターそのままに映像の中に息づく役者たちの表現力で、ただただすっぽりと包み込まれる。  劇的に何かがどうなるという映画ではない。言葉で説明してしまえば、至極単純なものになるだろう。 でも、映像から伝わってくる“想い”には、奥ゆかしさがある。  どんなときも、「想い」を想いのまま伝えることができれば、それにこしたことはない。でも、人間なかなかそういうわけにもいかない。そして、そういうことを経るからこそ、深まる「想い」もある。  一音一音を確かめるようなギターの音色に乗せて、そういう人間の、ある部分において愚かで、ある部分において幸福な微妙な感情を、冷たく吹き抜ける風のように繊細に描く映画だった。
[DVD(邦画)] 8点(2006-10-09 09:10:39)(良:1票)
208.  スーパーマン リターンズ
おおよそ20年の沈黙を経て、ついに“スーパーヒーロー”の祖とも言える男が還ってきた。 その名は「スーパーマン」。 その工夫も変哲もないストレートすぎるほどのネーミングを堂々と掲げられるヒーローは、やはりこの男しかいなかった。 弾丸よりも早く飛び、大陸さえも持ち上げる、圧倒的な“ザ・パワー”。強引なまでの存在感のみで人々を魅了できるヒーローが“スーパーマン”以外にいるだろうか。  そう問答無用に褒めちぎれるほどに、20年ぶり(劇中では5年ぶりという設定)の帰還を果たした“新”スーパーマンは素晴らしかったと思う。  故クリストファー・リーブは、スーパーマンになるために生まれてきたと言っていい俳優だった。「彼なしにスーパーマンは有り得ない」というのは、とても真っ当な正論だったと思う。 しかし、新スーパーマンを演じきったブランドン・ラウスという新人俳優は、その高すぎるハードルを見事に越えて見せたと思う。 それはクリストファー・リーブのスーパーマンを越えたという意味ではなく、ラウスもリーブと同様、“スーパーマンになるために生まれてきた俳優”だということだ。いや、彼の場合は“スーパーマンを復活させるために”と言い換えるべきかもしれない。  まるで作られたようなスタイルとルックス、コミックヒーローの“根源”であるキャラクターに成るためのその重要な要素を、この新人俳優も見事に兼ね備えている。少しクラシカルな美貌も、新聞記者が仮の姿という原作コミックが生まれた当時の時代背景にふさわしい。  冒頭、早速ピンチに陥ったヒロインを助けるために、沈黙を破ったヒーローがロケットよりも早く飛び立っていく。 途端、言葉にならない高揚感に包まれた。それは“ヒーローの帰還”という圧倒的な希望を無意識レベルに感じた瞬間だった。シンプルだけれどとても大きなその感情を、理屈なしに抱かすそのキャラクターの存在は、もう絶対的ですらある。  近年のアメコミブームは、数多くのスーパーヒーローを登場&復活させてきた。 それは、もしかするとただ一人のヒーローの復活を望むムーヴメントであったのではないかとすら思う。 そしてようやく、最も愛され、最も待ち望まれたスーパーヒーローの帰還に成功したのだと。 
[映画館(字幕)] 8点(2006-09-02 00:46:55)
209.  嫌われ松子の一生
「不幸」。とにかく「不幸」。映画の90%以上は、松子という“運命”に嫌われ続けた女の「不幸話」である。独特の美しいビジュアルと、特異でユーモラスな演出に彩られてはいるが、時に胸クソが悪くなるほどに、この物語は“不幸せ”に溢れている。あとほんの少しアプローチが間違っていれば、「大嫌い」な映画になっていたかもしれない。だが、ラストの描写では涙がにじんだ。 松子がどうしてこんなにも「不幸」であると同時に、「美しく」見えるのか。それは彼女が誰よりも、小さな小さな「幸せ」を望み続けたからだと思う。 主人公の女の「不幸」と、それを彩るミュージカル。そして、主演女優と鬼才監督の確執。映画のテンションとテーマ性はまるで違うが、この映画は日本版「ダンサー・イン・ザ・ダーク」だ。 これほどまでに、美しさを携えて、「不幸」に汚れられる女優は中谷美紀しかいない。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のビョークと同様に、彼女が途中降板しなかったことが、最大の「幸福」かもしれない。
[映画館(字幕)] 8点(2006-05-29 19:07:15)
210.  グッドナイト&グッドラック
正直、「赤狩り」というアメリカ史上に残る“事件”について明るくないので、いまひとつ詳細を理解しきれなかった部分はあるが、権力による紛れもない“弾圧”に対する力強い“ジャーナリスト魂”に奮える。 「言葉の強さ」なんて言いふらされたことかもしれないが、あらためて、人間にもたらされた最大の武器は、剣でも銃でも爆弾でもなく、“発言の勇気”なんだと思った。 世界に対し自由を謳うアメリカという大国の実情は、闇と愚かさに溢れている。だがそれでも、この国が世界中から愛される理由は、どんなに闇にまみれても、いつの時代もエド・マローのような人間が力強く存在するからだと思う。
[映画館(字幕)] 8点(2006-05-27 00:37:55)(良:2票)
211.  ソウ2
いや良いですね。言いえて妙だけれど、ある意味“真っ当”に入り組んだサスペンスホラーだと思う。ヒットした前作を経て、巧みに(そして痛々しく…)ストーリーを噛み合わせた続編として仕上がり、「SAW」という映画を結末付けている。 なかなか二作続けて最後の最後で「やられた」と観ている者に思わせる映画はない。主謀者のキャラクター性など完璧に“粗”がないというわけではないが、もうこういう映画になってくると、良い意味で“表面的”なストーリーの驚きこそすべてだと思う。 パート1も含めて、全編通してどこまでも痛々しく、最後まで騙し通したこの作品の完成度は高い。 ただこれ以上は「無理」が出てくるので、できればもう続編はつくらない方がベターだと思う。が、たぶん慢性的に「ネタ不足」の映画界は、それを許さないだろうね。
[DVD(字幕)] 8点(2006-04-06 23:59:56)(良:1票)
212.  ジャーヘッド
戦場現地の奥地で王国を築いたり、悲痛な戦場の惨劇の中で“生死”に対する感覚が麻痺しまっていくというような、仰々しいことだけが“戦争の狂気”ではないということを、この映画は雄弁に語る。 言うならば、「戦争」そのものが「狂気」であり、そこにそれ以外のものは無いのではないか?だからこそ、誰も死ななくても、誰も殺さなくても、“狂気”は生まれ、そこにいる者たちを急速に蝕んでいく。 ライトなテンポで敢えて感情的にならずに、主人公たちの心情の起伏を描き出すあたりに、サム・メンデスの流石の演出力が冴える。 テーマ性としては、映画によって散々描かれてきているもののようにも見えるが、「戦争」という「狂気」の“普遍性”とでも言うべき“何気なさ”を描いたこの映画は、非常に独特だと思う。
[映画館(字幕)] 8点(2006-02-16 23:53:08)(良:1票)
213.  THE 有頂天ホテル
今でこそ数々の映像作品にその活躍の場が広い三谷幸喜だが、やはりホームは舞台劇。ステージ上で展開されるような限られた空間を生かし描いた喜劇にこそ、彼の「笑い」に対する創造性が生かされることはもはや周知の事実であろう。そう一般に言う「グランドホテル形式」こそ三谷幸喜の独壇場なわけだ。ならば、その言葉自体を生んだ名作「グランドホテル」そのものをパロディ化した今作はが面白くないわけがない。 盛りに盛られた三谷流の“笑い”の伏線の数々に、問答無用に“豪華”なキャスト陣がそれぞれ絡み合い、爆笑を通り越してもはや「見事」と言うほか無い。 年越しを目前にして、様々なタイプの人間たちが集い、それぞれの悩みや葛藤を解消していく。笑いと同時に、素晴らしいドラマ性も含んだ映画世界は、愛すべき幸福に溢れていると思う。 ただ残念なのは、この年の瀬を描いた映画が、年明けの二週間後に公開となったこと。やはり、数日でも年末を含んで公開して欲しかったと思う。そして、リアルな年の瀬、もしくは正月に観たかった。
[映画館(字幕)] 8点(2006-01-17 00:23:17)
214.  dot the i ドット・ジ・アイ 《ネタバレ》 
スリラーなのか、ラブストーリーなのか、序盤から中盤に至るまでなかなか作品の“真意”というかテンション自体が掴みきれない。もしかしたら、ものすごく中途半端な駄作なのではと思ってしまうほどに。しかし、まさにその掴みきれない曖昧さこそが、この映画の意図するものだったわけで。完璧に納得のいく設定だとまでは言えないけど、この作品が試みたアイデアと映画の展開性は、挑戦的だし小気味いい。 「演技」の借りは「演技」で返すという、ラストの顛末も映画のテンションにふさわしく小憎らしさがあって良し。
[DVD(字幕)] 8点(2006-01-12 02:21:58)
215.  コーヒー&シガレッツ
自分が、コーヒーと煙草を好んでいないことが悔しくなる映画だ。苦々しい口当たりを表すような各シチュエーションの会話と、だからこそこみ上げてくる奥深い味わいがモノトーンの映像世界に溢れる。 シニカルなうわべだけのどうでもいいような会話が、なぜにこうも深みをもってくるか。たぶん、それがコーヒーと煙草の魅力なのだろう。 ケイト・ブランシェットの自演&一人二役をはじめ、ビル・マーレーのヌけた演技と出演者たちの存在感が、独特な世界観に拍車をかける。 コーヒー&煙草同様、まさに空いた時間に、何気なく、リラックスしてみるための作品だ。
[DVD(字幕)] 8点(2005-12-28 12:54:41)
216.  チーム★アメリカ ワールドポリス
去年公開されるや否や、報道番組でも取り上げられる程に、ダイレクトで遠慮がない国際情勢批判(=アメリカ批判)や実在実名の国家、俳優を名指しで中傷したことが話題になった“人形劇映画”。  どんなものかと思ったが、スゴイ。本当に「限度」というものを、この映画のつくり手達は知らないのだろう。  とにかく、これでもかと繰り広げられる、自国批判、国際情勢批判、人権侵害を無視したブラックジョーク、人形にヤラセ放題の下ネタ・お下劣ネタのオンパレード。 それを、物凄くクオリティの高いパペット操作と精巧なミニチュアで完璧に描き出すのだから、尚更に(当事者にとっては)始末が悪い。  よくもまあ、これほどまでにあらゆる種類の人々を、あからさまに敵にまわすような映画が作れるなと、その大胆すぎる姿勢に感心してしまう。  そして、この完全なる「問題作」を公然と製作し、わりと(実際は知らないが)弊害なく、世界へと公開させてしまう、アメリカという国は、その“病的”な部分も含めて、やはり「強大である」と言わざるを得ないのではないか?  それにしても。こんなにも何もかもが可笑しくて滑稽極まりないのに、これほどまでに「笑えない」映画も初めてだ。 (実際は、終始笑いっぱなしなのだけれど……)
[DVD(字幕)] 8点(2005-12-21 01:10:04)
217.  男たちの大和 YAMATO
あえて言うが、この映画には、映画表現としての語り口の巧さだとか、映像的な巧みさ、小気味いい展開の妙など、表現としての工夫は何も無い。冒頭から繰り広げれるあまりに無骨な映画世界に一瞬“嫌な”予感がしたことは正直否めない。そして、その無骨さは、全編通して一貫される(戦艦大和上での圧倒的な戦闘シーンは別にして)。 しかし、涙が溢れ、止まらない。もはやあまりに普遍的な描写に、問答無用で涙がこみ上げる。そうして、次第に、「ああ、この映画には、表現としての工夫なんて必要ないんだ」ということを考える。 もちろん、ここに、映画的な巧さが加われば、それこそ物凄い映画になるのかもしれない。でもおそらく、この映画に携わった人々は、あえてそういうことに目を向けなかったのだと思う。それよりも、たとえくどかろうと、“事実”を明確に伝えることに力を注いだのではないか。 正直なところ、この映画の題材を聞いた時、時代に対して「古い」という印象がよぎった。戦後60年という時代を迎え、多くの人の中で、この国が経験した「戦争」という事実が確実に風化してきている。この映画は、そういう人たち、そういう時代に対する警鐘なのだ。 そして、この映画は無骨で語り口は非常に古臭いけど、描かれるテーマは今まで多くの戦争映画で描かれてきたものとは、確実に一線を画す。この作品は、日本が経験した「戦争」とそこに生き死んだ人たちを、美化も卑下もしていない。事実としての戦争を指してひとつの価値観で描くことはとても傲慢なことだ。この映画は、ただただ真摯に“そこ”で生きて死んでいった人たちを描き、生き続けることの意味、語り続けることの意義を、どこまでもまっすぐに訴える。
[映画館(字幕)] 8点(2005-12-20 00:51:05)
218.  バッドサンタ
12月に入るのを待って満を持して手持ちのDVDを観た。「ゴースト・ワールド」のテリー・ツワイゴフ×コーエン兄弟×ビリー・ボブ・ソーントン、この組み合わせだからこそ成立するブラックなクリスマス映画☆☆☆どこまでも下品で、どもまでも破滅的なのに、しっかりと「心温まる」映画なのが、スゴイ。 やはり、僕はビリー・ボブ・ソーントンを推したい。とことんまでグダグダでクタクタの文字通りの“バッドサンタ”を見事に体現し、そのくせ、たまらなくセクシー。彼のその希有な存在感がなければ、この映画はこれほどまでの完成度を見なかったであろう。
[DVD(字幕)] 8点(2005-12-03 03:05:27)
219.  ソウ 《ネタバレ》 
とにかく、痛々しすぎる密室における緊張感は一見の価値はある(と言うか痛々し過ぎて2度、3度と見ようとは思わない)。全編に張り巡らされた伏線と、“密室”という設定を存分に生かしたアイデアも見事だったと思う。 終盤、クライマックスにおいて、それまでの雰囲気を無視してやけにバタバタとし始めて、正直「なんだよこの終わり方は~(lll ̄■ ̄;llllllΣ)」と思いかけたところで、真の結末を見せる顛末には、まんまと衝撃を受けた。ああいう終わり方は、この種類の映画にふさわしく、この「SAW」という映画の結末に合致していると思う。すなわち、“SAW”とは、重要な小道具であるノコギリを示すと同時に、「見ていた」という要素をあらわすものなのではないか。 ただしかし、犯人の正体を筆頭に色々と腑に落ちない点も多い。冷静に考えると強引すぎるようにも思う。それが描かれなかった「謎」なのかは疑問だが、良い意味でも、悪い意味でも、全然眼中になかった続編「SAW2」に対する好奇心は膨らんだことは確かだ。
[DVD(字幕)] 8点(2005-10-29 21:40:58)(良:2票)
220.  ライフ・アクアティック
新進の映画作家が生み出す奇妙で愛らしい世界観と人物像に魅了される。ストーリーは極めて破綻気味で、定石など端から期待してはいけない。そんなものはこの映画にはナンセンスそのものだ。 ハチャメチャなストーリーなのに、この映画が破綻せず、しっかりと成り立っているのは、この監督の確かな創造性と、ビル・マーレーをはじめする集結した俳優たちの高い能力との融合故であろう。 可笑しく、感動的な、大人のためのアドベンチャー映画だ。素晴らしい。 
[DVD(字幕)] 8点(2005-09-26 18:02:29)
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