221. ダーティハリー3
《ネタバレ》 2よりもさらに作りは大味なのだが、「とにかくキレて悪をぶっ放す」という線で統一しているのは、2よりもむしろ1に忠実な作りを感じさせる。犯人団がわざわざ逃げ場のないアルカトラスに立てこもるのはどうやってもありえないが、実は一番凄いのは、無邪気に登場する女性相棒刑事も最後は容赦なく殺していること。大抵の映画なら、このパターンは、何だかんだあって最後はいい雰囲気の名コンビになります、なんだけど、ハリーの鉄則(相棒は必ず不幸な目に遭う)の前には女だろうが関係ねえぜ、という制作者の不敵な態度が垣間見えて、この一貫性が作品を救っています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-05-01 00:32:28) |
222. ダーティハリー2
ダーティハリー以上にダーティな敵方のおかげで、ハリーの立ち位置が全然はっきりしない。それに加えて、ここぞというところからの終盤の20分のダラダラぶりが、見た後の印象を大きく損ねています。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2016-04-26 01:15:13) |
223. ペーパー・ムーン
《ネタバレ》 テータムもライアンもいいが、私が印象的だったのはカメラワーク。逃亡Uターンの360度回転2連発にはびっくりしたし、ここぞというところでアップからの引きや鏡の駆使といった小技をちりばめているのもポイントが高いし、向こうへ逃げていったライアンが戻ってくるのを手前から全部撮ったショットにもどきっとした。決めとなるべき部分で、俳優の表情の変化をきっちり撮りきっているのもポイントが高い。残念なのは、トリクシーを追い出すシークエンスで、手が込みすぎてテンポが落ちていること。あそこはもっとあっさり切り上げてよかったと思う。●(追記)今頃になって気づいたんだけど、主人公の名前は"Moses Pray"(モーゼの祈り)、やっていることは聖書の売りつけ詐欺。そして、素朴に聖書を信じる人ほど引っかかる詐欺の手口になっている。もうこれは、直球ど真ん中というくらいのアンチクライスト作品です。でも、そんな彼だからこそ傷ついた少女を救うことができたし、最後に2人を結びつけるのは、紙でできた作り物の月。「張りぼてでも、中身がなくても、素朴に人を愛する心があれば、人は救えるんだよ」というメッセージを感じます。筋肉男とのレスリングに立ち向かい、マフィアにボコボコにされるモーゼが、私には、汚れたキリストのように見えます。 [DVD(字幕)] 7点(2016-03-23 00:01:38) |
224. 華麗なるギャツビー(1974)
いろいろな登場人物を配置しているはずなのに、1人として個性的・魅力的な人物が見当たらない。肝心のギャツビー自体が、何か突出したところがあるわけでもなければ存在感で見せきるわけでもなく、その辺にいるような人でしかないのです。その描写の凡庸さに、逆にびっくりしました。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2016-03-08 00:08:02) |
225. あゝ野麦峠
《ネタバレ》 いろんなところで、山本薩夫監督らしからぬ情緒過多な演出が目立っているのだが、それを救っているのは、冒頭の雪中行列の強烈なショットであるとか、工場の手作業を終始丁寧に撮り尽くす気遣いであるなど、大事なところで妥協を許していない真剣さなのです。盆踊りのシーンなんかも、つなぎのシークエンスにしては異様に気合が入っていて、見ていて気持ちが良いのです。 [DVD(邦画)] 6点(2016-03-04 01:40:04)(良:1票) |
226. 死刑台のメロディ
《ネタバレ》 この事件をきちんと記録化して後世に残したという功績だけで、低い点はつけられない。最後、ヴァンゼッティのサッコに対する「君が正しかった」という一言の重みなど、制作者の対象に対する真摯な姿勢も十分に伝わってくる。●ただし、どうしても気になるのが・・・まず、一審の弁護人が、いろいろ下手くそなこと。それと、最初は2被告人だけの事件だったのが、どうやって全米を巻き込む運動に伝わっていったのか、そのステップとプロセスにあまり踏み込まれていないこと。 [DVD(字幕)] 6点(2016-02-22 01:55:58) |
227. 小さな唇
《ネタバレ》 筋の上での余計な寄り道は一切なし、台詞も最小限にして必要十分。だからこそ、主人公の純な想いが奇跡のように凝縮されている。また、エロティックな描写はここぞというところにポイントを絞っているからこそ、かえって生々しさがあるし、強い官能性を感じさせる。 [DVD(字幕)] 7点(2016-02-21 02:11:36) |
228. だれのものでもないチェレ
《ネタバレ》 「お前の持ち物はその体だけ。この家にお前のものは何も存在しない」という女主人の台詞を、そのまんま、その通りに具現化する制作姿勢。全体を通じて、余計な装飾や脱線は一切なし、チェレはほとんど何もできず、ただ素直に母を待ち焦がれ、救済を願い続けるだけ。そのあまりにも強力な表現の中核が、ハンガリーのさまざまな自然風景と奇跡のように結びついて強烈極まりない映像を提示し、物語はチェレを救い出す燔祭の炎となって結実する。 [DVD(字幕)] 7点(2016-02-14 23:33:31) |
229. 鉄輪
《ネタバレ》 まあ、何というか、乙羽信子がひたすら90分、浮気夫とその愛人を延々と呪い続けるという作品。過去と現在の二重構造なので、恨みの深さも二重、という趣向と思われる。しかしそれ以外の物語上の要素はほぼゼロであり、フラワー・メグの魅力的な肢体の大盤振る舞いがなかったら、一体どういうことになっていたんだろう。 [DVD(邦画)] 4点(2016-02-09 00:27:55) |
230. 父/パードレ・パドローネ
風景のインパクトとか、含蓄のありそうな台詞とか、シーンごとのいい感じのタメとか、個別に切り取ると魅力的な箇所はいくつもあるのですが・・・全体を通す芯とか筋がないので、優秀な切り絵をたくさん見ている感じでした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2016-01-24 01:58:11) |
231. エクソシスト
《ネタバレ》 何か、全般的にえらくのんびりしているというか、当事者たち(少女除く)にも危機感なさそうというか、そんな雰囲気を感じてしまったのですが・・・前置きの長さにも、ちょっとびっくりしました。 [DVD(字幕)] 5点(2016-01-16 02:08:40) |
232. 十九歳の地図
何というか、ひたすら前衛的というか、無秩序というか・・・主人公自体が無軌道に行動してしまうことと、描写そのものが無軌道になってしまうこととは、意味が全然違います。 [DVD(邦画)] 4点(2016-01-12 00:25:46) |
233. 地の群れ
《ネタバレ》 ここまでの人の心のどろどろした内容を具現化しようとした創造意欲には凄いものがあるし、1つの事件をきっかけに世界が集約していく終盤の迫力もなかなか。示唆深い割に容赦がないラストも印象深い。しかし、それに比べて前半は著しく未整理だし、主人公の過去のエピソードなんかも、あまり効果的に機能していないんだよな。 [DVD(邦画)] 5点(2016-01-11 00:37:26) |
234. 友情(1975)
《ネタバレ》 笠岡の宿まではホノボノ系世代間交流ものの雰囲気で進行しておいて、そこからのトリッキーさとドラマチックさが凄い。風来坊的な主人公に妻や子がいるというその一言がもたらす意外性、島へ渡るタイミングをずらすだけで発生する心理の綾と、それらが集積する実家でのドラマ。大半は太陽の下でニコニコしている渥美清が、「その一瞬」だけは暗色に照らされるインパクト。寅さん以外の方向性から渥美さんの魅力を引き出したという点においても、貴重な作品です。 [DVD(邦画)] 7点(2016-01-01 01:20:48)(良:1票) |
235. レッド・バロン(1971)
《ネタバレ》 戦闘機隊の優美な飛行の撮り方については、背景の絵も含めてこだわり十分であり、しかも途中からは機体が華麗な極彩色になっていくという美味しい展開つき。なんだけど、地上に降りてからの部分は途端に物足りなくなっており、ここをもっと発展させたら地上も空中も両方引き立つのに・・・と思わせる箇所が多かった。 [DVD(字幕)] 5点(2015-12-27 01:06:32) |
236. 華麗なるヒコーキ野郎
《ネタバレ》 これでもかというくらいの徹底した飛行映像には感服したが、内容的な部分ではそれ以外に特に何もないような…。ただし、命に関わるほどの嫌がらせをした相手といきなり仲良くなったりとか、スーザン・サランドンをいきなり消し去ったりとか、いきなり撮影スタントの世界に突入したりとか、今日の脚本基準ではあまり考えられない無茶ぶりはびっくりした。 [DVD(字幕)] 5点(2015-12-08 01:37:47) |
237. ダイナマイトどんどん
《ネタバレ》 ヤクザに野球で決着をつけさせるという無茶な設定を、大真面目に真剣に映像化している時点で、もう低い点はつけられません。脇役の多い宮下順子さんも、この作品ではいい感じに目立っていますね。終盤がやや間延びしたのが残念。全体として、120分くらいに収まる内容だと思う。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2015-12-05 01:32:00) |
238. 仁義なき戦い 頂上作戦
《ネタバレ》 ドンパチワーワーが再三繰り広げられる割に、作品全体に妙に陰鬱なやりきれない空気が漂っているという雰囲気は、さらに加速している。普通の作品だったら絶対にどこかで制裁が下るであろう山守も打本も、さしたる展開上のお咎めなし。主役のはずの広能は後半ほとんど出番なし。そして最後は吹きすさぶ寒風の中の2人の虚しい会話。前作で各登場人物がひりひりするつばぜり合いを展開した後の、本作は壮大な崩壊の物語ですね。 [DVD(邦画)] 6点(2015-12-04 02:22:09) |
239. ブラック・ライダー(1972)
《ネタバレ》 南北戦争を描いた映画は数あれど、「その後」の旧奴隷の西部移住を描いた作品は珍しいんじゃないのかな。で、主人公は道案内&仲介役なのですが、地主組からは、「奴隷使わないと経営やっていけねーんだよ、余計なことしやがって」と命をつけ狙われる。そのあたりのやりとりもなかなかスリリングなのですが、さらにネイティブ・アメリカンの勢力が絡んできて三つ巴の様相を呈するに至って、さらにスリルを増していくわけなのです。ただ、背景はいろいろ重いものの、アクションやストーリー展開にも気を配っていて、ところどころ笑わせる場面もあったりして、単純にエンターテインメントとして楽しめます。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2015-11-25 01:14:35) |
240. キャバレー(1972)
登場人物のやりとりはチマチマしていて、歌はストーリーと一体化しているわけでもなくて、どこが良いのか、実は見ていてもそんなに分からなかったのですが・・・。 [DVD(字幕)] 3点(2015-10-17 00:16:08) |