221. ブレーキ・ダウン
それほど期待して見始めた訳ではなかったけど、 短めの尺よし、テンポよしでぐいぐい引き込まれる面白さがある作品でした。 見渡す限り砂漠の真ん中のハイウェイでクルマどうしのトラブル。 スピルバーグの出世作「激突!」を思わせる作品の始まり。 しかし、ある事情で妻が蒸発。辻褄が合わない出会った人間の証言。 テンポよく展開を変えながら不条理サスペンスとしてよく出来た作品となっているし、 前半は妻の蒸発をめぐるミステリ・サスペンス、後半はアクション映画としての見せ場も十分です。 トレーラーと犯人は崖下へ。命拾いして放心状態のラストもまた、「激突!」のラストを思い出します。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-15 19:43:08) |
222. 新幹線大爆破(1975)
《ネタバレ》 作品のベースにある、一定速度を下回ると爆発するという設定。 「スピード」などと同じく疾走する車内を舞台にしたノンストップ・アクションサスペンス。 序盤のスリリングな浜松駅通過前後など、見どころも十分です。 警察側の動きには常に???が付いて回るのはこの手の映画のお約束なのか。 特に、最初の現金受け渡しのくだりで、トレーニング中の柔道部諸君に「お~い!爆破犯を捕まえてくれ~!」 これには思わず笑ってしまいました。 ↓の方も書かれていますが、金の受け渡しをめぐる警察と犯人グループ(ほぼ健さん1人ですが)との駆け引きは、 グリコ森永事件を思い出させるものがありました。高速道路とその下の一般道とか、喫茶店とか・・・。 昭和の匂いを漂わせる名優たちの熱き競演は見応え十分の作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-05-13 20:05:02) |
223. リミッツ・オブ・コントロール
極端に台詞が少ない主人公の男が歩くスペインのどこかの街の路地の風景。 意識的に多用されたと思われる落書きのある壁。 空やプールの水の青、遠くに見える山の緑、美術館の白い壁、エレベーターの壁の赤。 特急列車の車中での流れゆく車窓の風景・・・。 それら寡黙な主人公の背景にある風景の1つ1つが、まるでアートのような味わいがあります。 「スペイン語は話せるか?」「いや」 そして現れた人物はごく短時間、問わず語りをしては去っていく。 「オーソン・ウェルズの「上海から来た女」は見た?ー訳の分からない映画・・・。」 これは現れたある女が残した言葉。では、本作は? 本作も僕にとっては訳の分からない映画ではあったけど、それでも全然構わなかった。 ジム・ジャームッシュとクリストファー・ドイルの世界にゆったりと浸ることが出来た、いい時間だった。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-08 18:47:10)(良:1票) |
224. 夜を楽しく
ドリス・デイとロック・ハドソン演じる2人の恋の駆け引き。 50年代、まだカラーとモノクロ映画が混在する時代にあって、 カラフルなドリス・デイの衣装や室内装飾などカラフルな作品の世界観が楽しく、 全ての事情を察知したハドソンと、そうではないドリス・デイという関係性も楽しい。 また、産婦人科をめぐる本筋から少しそれた笑いドコロの挿入も気が利いています。 2人が演じる人物像にはあまり魅力は感じませんが、 この頃のハリウッド・ラブコメらしい無邪気な空気がいいです。 ヒッチコックの「裏窓」の家政婦役が印象的だったセルマ・リッター。 出番は少ないですが、本作でも彼女らしい存在感を発揮しています。 [DVD(字幕)] 6点(2020-05-06 15:39:22) |
225. トレジャー・ハンターズ
「俺たちはもう30歳だ。バカやるには最後のチャンスだぞ!」 30歳、3人の男のスタンド・バイ・ミー。楽しい映画でした。 少年時代、森の中に秘密基地でいつもつるんでいた4人組。 その内の1人が若くして亡くなり、その葬儀で久々に再会した3人が宝探しの冒険の旅に出る。 こうした基本設定からも「スタンド・バイ・ミー」を思い出すものがあります。 山の中で地図も携帯も無くし、食料も何も無く、完全に遭難者状態の3人組。 その上、本当にヤバい無法者に執拗に付け狙われ身に危険が迫っている。 それでも、何の悲壮感も無く作品には常にあっけらかんとした空気が流れており、 アメリカン・コメディならではの明るさがある作品です。 カルチャー・クラブの〝do you really want to hurt me"の使い方や、 無法者2人組の2頭の番犬に付けられた名前がレーナードとスキナードとか、 年代などはバラバラですが、挿入される音楽小ネタも楽しかったりします。 作品のテンポも良し、冒頭から結末までひたすら無邪気な3人組の冒険が楽しい作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-05-05 20:00:43) |
226. 超巨大ハリケーン カテゴリー5<TVM>
最強クラスのハリケーンが町を襲うという作品にしては、ハリケーン描写はかなり限られていて、 TV用の作品で予算的に限られていたのかもしれませんが、パニックものとしてはショボいです。 それよりもハリケーンで危険に晒された家族のドラマという色合いが濃く、 2005年のハリケーン・カトリーナで身内を失った、家族それぞれの心にあるトラウマという作品の根底にあるものは良かった。 しかし家族の会話やもめ事の時間が長く、家族が延々と電話で話す時間帯が流れを止めてしまっていたり 避難の途中で助けを求めて入った家で、じいちゃんが銃で撃たれてしまうくだりは必要だったのかという部分もあります。 大好きなバート・レイノルズが出ているので見ましたが、最晩年の作品だけにさすがに年を取っていた。 それでも、反抗期の孫に向かって「こんな時にこそ、男の真価が問われるんだ。」という台詞は タフで男臭い役を数多く演じてきた彼らしい一言でありました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-04-30 18:33:39) |
227. スティーブ・マーティンの Sgt.ビルコ/史上最狂のギャンブル大作戦
スティーヴ・マーティンとダン・エイクロイドの二大コメディアンがタッグを組んだ作品。 それなりに笑わせてくれるので、彼らのファンならまず楽しんでもらえる作品です。 ユルユルの軍隊を舞台にしたバカコメディで、これもアメリカンコメディの得意とするところ。 ストーリーはスティーヴ・マーティンとマイケル・ケインが姑息なバトルを繰り広げた傑作コメディ 「ペテン師とサギ師だまされてリビエラ」をちょっとだけ思い出させるようなところもあり、 マーティンと、彼の部隊にやって来た過去に因縁のある上官とのバトルが見どころの1つになっています。 マーティン得意の顔芸や、全身を使ったおかしなムーヴといった独特のマーティン芸があまり無かったのがちょっと残念。 [DVD(字幕)] 6点(2020-04-28 17:11:31) |
228. ストレンジャー・ザン・パラダイス
ジャームッシュ初期の作品ですが、変わることの無い彼らしいテンポと空気がある作品です。 1つ1つの台詞が短い。そして微妙な沈黙という間が繰り返される。 行間と隙間だらけの作品ですが、その行間を読み取らなければならないという小難しさも無い。 その微妙な間、行間に漂う空気に独特の可笑しさがあるジャームッシュ流コメディ。 例えば、ウィリーがエヴァにジョークを披露する。そのジョーク自体は別に面白くも無い、短いシーン。 しかし、ジョークを披露するウィリーとそれを聞くエヴァ、そこに流れる微妙な空気の可笑しさがいい。 些細なきっかけで3人がそれぞれの思いとは裏腹にバラバラになってしまう、あっけないラストも印象的。 同じく3人組がそれぞれの意思をもって別れ行く次作「ダウン・バイ・ロー」とはまた異なる余韻を残します。 [DVD(字幕)] 8点(2020-04-26 13:53:54) |
229. もしお許し願えれば女について話しましょう
イタリアの名匠エットーレ・スコラの監督デビュー作。 スコラが初期から後期まで、マストロヤンニと並んで好んで起用したヴィットリオ・ガスマンが主演。 9つのエピソードからなり、ガスマン演じる9人の男がそれぞれのエピソードで1人の女と絡んでいく。 10分あるかないかの軽いショートコント的なエピソードも多く、 時間はあっという間に過ぎていく感覚で、後のスコラ監督作のような味わいや深みは無い。 それでも、猟銃をかかえて不穏な空気も漂う第1話を除くと 陽気な典型的イタリア男を主人公にした、陽気な典型的イタリアンコメディとなっています。 [DVD(字幕)] 5点(2020-04-25 12:35:31) |
230. 大砂塵
巨匠ニコラス・レイ作、異色のウエスタンです。 冒頭から、30分以上は時間がかけられたか。作品は酒場から全く出ようとしない。 下の酒場にいる男たちに対し一歩も引かない、2階から彼らを見下ろす酒場の女主人。 これがなかなかの迫力。演じるジョーン・クロフォードが男前すぎる。 そして1人の男、ガンではなくギターを持った西部の渡り鳥。 クロフォードと対立するもう1人の女、マーセデス・マッケンブリッジが憎悪の火花を散らす。 このハードなテンションが緩まず、ラストまで見る者を引き付ける力強さがある西部開拓の地の人間ドラマ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-04-24 17:53:51) |
231. ゲティ家の身代金
見応えのあるサスペンスドラマでしたが、本作はキャスティングも素晴らしかった。 当初はクリストファー・プラマーではなくケビン・スペイシー、 ミシェル・ウィリアムズではなくナタリー・ポートマンという構想で動き出したそうですが、 名優プラマーの存在が作品に重厚感をもたらせたし、 鑑賞後にゲティ氏の写真を見たが、驚くほど本人によく似ていました。 また、息子を誘拐された母の苦悩、母の強さを演じたミシェルもまた素晴らしかった。 世界一の大富豪の家族の内紛のドラマとしても、 誘拐事件の攻防をめぐるサスペンスとしても見応えのある作品でした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-04-23 16:46:01) |
232. イタリア式離婚狂想曲
《ネタバレ》 カトリックの教えのもと、離婚が厳しく制限されていた当時のイタリア。 これもイタリア映画お得意の艶笑喜劇に含められる作品だと思いますが、 没落貴族を主人公に、名誉のための殺人、こうまでしなければ離婚は許されないものかと、 コメディの形で時代を皮肉る秀作です。 何といっても全編を通じコソコソと妄想と陰謀を膨らませていく名優マストロヤンニが素晴らしい。 やっていることはサスペンス的ですが、この人特有の憎めない感が絶妙。 それにしても、こんなにまんまとこの男の思い通り事を運ばせていいのか?と思える終盤の展開ですが、 そんな彼もひょっとしたら・・・?と思わせる足と足を絡めるラストカットもまた皮肉が効いています。 [DVD(字幕)] 8点(2020-04-20 12:10:08) |
233. ターミネーター:ニュー・フェイト
《ネタバレ》 あの「ターミネーター」第1作以降、繰り返し製作され続けてきた本シリーズですが、 本作はT1、T2の正当な続編と銘打たれていただけに、冒頭のジョン・コナーの扱いには驚かされました。 その「続編」としての評価はさておき、本作単体としては十分に楽しめた作品です。 生身の人間が傷つき、愛する人の命が奪われながらも勇気を振り絞り 不死身のターミネーターと戦う、スピード感のある追いつ追われつの接近戦の連続は、 Jキャメロンが復帰し原点回帰するかのように「ターミネーター」本来の面白さも十分です。 リンダ・ハミルトンのサラ・コナーもまた復帰し、本作の新たなキャラであるダニーは 第2のサラ・コナーとでも言うような、サラと重なるキャラ設定となっていますが、 もう1つの新たなアイデアであるマッケンジー・デイヴィス演じる「強化人間」グレース。 本作における彼女の存在感はすごく大きなものがあったと思います。 時は流れカールおじさんとなってしまっていたT‐800ですが、 T2のラストのグーサインを思わせる、「ジョンのために」と自らの意思で運命を選ぶ最後の姿が印象的です。 [DVD(字幕)] 7点(2020-04-16 16:07:10) |
234. バタフライはフリー
天真爛漫を絵にかいたようなゴールディと、目が見えない青年。 アパートの隣同士になった2人の恋を描く優しさのあるラブコメ。 舞台劇の映画化の典型的な作品で、作品のほとんどの時間がアパートの1室の中で過ぎていく。 冒頭から2人の会話劇が延々と続く。男の方は目が見えない設定なので動きもかなり少ない。 けれど、見ていて飽きがこない。ゴールディの存在感は本当に大きく、彼女のキュートな魅力炸裂なのは勿論のこと、 お相手の青年を演じたエドワード・アルバートの自然体の演技、透明感のある存在も光る。 そこに途中から現れる青年の母、アイリーン・へッカートがストーリーに深みを与える。 しばらくは3人の時間となり、その後ゴールディが席を外し、母と息子の時間。 そしてゴールディと母親が2人になる時間と、3人のキャラを立たせる構成も巧み。 ラストの2人の姿は微笑ましくも、これからどんなことが2人に待っているのだろう。 でもいいじゃないか。まだ2人は若いんだから。おじさんにはそう思えるラストの2人の姿なのでした。 [DVD(字幕)] 8点(2020-04-13 16:51:03) |
235. ゲット・アライブ
アルゼンチン・スペイン合作のコメディタッチのアクションサスペンス。 90分程度で作品のテンポも良く、暇つぶしにはちょうどいい作品です。 ユダヤ教の教えが下地にあったり、その面白さを全部理解できたのかは分かりませんが、 詐欺師チーム対ギャングの組織の抗争と、それとは対極にある教会の人々の対比が面白い。 何でこんな映画にあのドパルデューが?と思いましたが、 冷酷なギャングのボスを演じるドパルデューはさすがに1ランク上の凄みを見せ作品を引き締めています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2020-04-05 01:01:07) |
236. ミート・ザ・ペアレンツ
僕はデ・ニーロもスティラーも好きですが、特に本作はスティラーが好きななるきっかけになった作品です。 デ・ニーロの得意技、何とも言えない作り笑いの裏に見え隠れする凄み。ある意味サスペンスです。 元CIA要員であるそんな義父を演じるデ・ニーロと互角に渡り合っています。 本当に笑えない状況の連続なんですが、可笑しい。2人の掛け合いが素晴らしい。 婚約者の実家に招かれ、冒頭に聞かされた溺愛する猫のトイレのエピソード。 その後のディナーの際に聞かされた亡き母の骨壺。そしてスティラーが開けたシャンパンのコルクが・・・! 2人が噛み合わないことを印象付けるこの辺りの前半の流れもお見事。 笑えない状況下のコメディとして非常によくできた作品です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2020-03-29 15:15:11) |
237. ミート・ザ・ペアレンツ2
ベン・スティラーの両親役に大物2人を揃え、前作よりドタバタ的要素も強化され、 格段にパワーアップした続編ですが、前作の方が面白かったと思う。 前作では元CIA要員の気難しい義父に何とか気に入られようと悪戦苦闘したスティラー。 本作ではまるで正反対のライフスタイルで生きてきたそれぞれの両親(特に父親同士)の間を 何とか取り持とうと今回もスティラーが悪戦苦闘します。 ただ、今回はデ・ニーロ演じる花嫁の父の心情にもよりスポットがあてられており、 前作よりもデ・ニーロの重要性が増しているという続編となっています。 一方でブッ飛んだスティラーの父親を演じたダスティン・ホフマンは空回り気味。 前作から少し時は流れデ・ニーロは初孫にデレデレのじいじになっていましたが、 初孫が初めて覚えた言葉が「ア~ス・ホ~ル」まあ、これはショックですわな。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-03-29 15:12:27) |
238. ブリット
サンフランシスコの坂道を駆け巡るカーアクションが話題になった作品。 イーストウッドも「ダーティハリー」シリーズの中でもやったし、 後の作品にも影響を与えたと思われるこのカーアクションは60年代という時代を考えると見応え十分。 しかしそれだけではなく、ある事件の証人の保護をめぐり、 マックイーン演じる刑事が政界や警察上層部からの横やりにも負けずに奮闘する ハードボイルド・サスペンスとしてもまた、見応え十分の作品になっています。 やはりマックイーンには何かとたたかう、こういう寡黙な男の役がよく似合います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-03-29 15:10:02) |
239. カーリー・スー
本作の後も「ホーム・アローン」や「ベートーベン」といったシリーズものなど、 多くのファミリー映画の脚本や製作で活躍したジョン・ヒューズですが、本作は彼の監督としての最後の作品です。 本作もかわいい子どもが活躍するジョン・ヒューズ印のハートフル・コメディです。 サタデーナイト・ライブ系などのコメディアンを好んで起用したジョン・ヒューズですが、 本作もジム・ベルーシが主演。しかし本作のジム・ベールシ、ちょっとカッコいいです。 この手の映画は筋書きが読めてしまっても全然OKだし、話は単純で一向に構わないのですが、 美人のエリート弁護士がなぜにこの男にあそこまで急激に惹かれていったのか。 この美人のエリート弁護士の大ピンチをカーリーと一緒に救うとか、 こういう映画だし単純なことで構わないので何かそのきっかけが挿入されていると良かったんですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-03-06 20:51:23) |
240. ファイティング・ダディ 怒りの除雪車
《ネタバレ》 本作と同じ監督のセルフリメイクであるアメリカ映画「スノー・ロワイヤル」を先に見ました。 当然ではあるのですが、ストーリーは同じです。印象的な十字架の使い方とか細かい部分も同じです。 「スノー・ロワイヤル」でファイティングダディを演じたのは最強オヤジ、リーアム・ニーソン。 同じような年恰好で、これほどに強いオヤジ役が北欧にいるのか?と思っていたら、 そうだ、北欧にはステラン・スカルスガルドがいたじゃないか。 顔のいかつさもガタイも、全くひけを取らないファイティングダディぶりです。 リーアムは模範市民で雪国の除雪作業員のおじさんには全く見えなかったけど、 ステランの方が田舎町の労働者のおじさんに見えるいい意味での普通っぽさがあるのも良かった。 途中から参戦するギャングのボス役にドイツの名優、ブルーノ・ガンツの登場にはビックリでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-03-01 22:37:39) |