2461. 地獄(1979)
《ネタバレ》 全体に終始漂う不協和音的雰囲気と、登場人物全員の救いようのないどろどろっぷりが、見る側を常にぐいぐいと先に引っ張っていく。大体、最後は全員が本当に地獄で再会って、そういう製作発想を持つこと自体が凄いが、それを実際に映像作品として完成させてしまう執念も凄い(加藤嘉まで悪人役っていうのは、珍しいのでは?)。その妄執ぶり(ほめ言葉)が、セットの安っぽさも特撮のチャチさもすべて吹き飛ばす。それにしても、原田美枝子は21歳でこの設定負けしない演技をしているというのも驚き。 [DVD(邦画)] 7点(2012-04-02 02:51:28) |
2462. 歩いても 歩いても
《ネタバレ》 いかにも家族の日常生活をそのまま飾らずに描きましたという作為的な匂いがぷんぷんしていて、終盤くらいまで醒めて見ていたのです。が、ラストに何も結論を出さずに閉めて、その後いきなり後日談に行く展開が逆にトリッキーで、そこだけは見入ってしまいました。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-04-01 23:53:01) |
2463. インベージョン
《ネタバレ》 変なゾンビとかモンスターが登場しないところには好感が持てますが、それならば、もっと一般生活を基調とした何気ない違和感に基づく恐怖を前面に出してほしいところでした。危機の起こり方や解決のし方がその辺のパニックものと変わらないので、結局、出てくるのが人間の形をしているだけで、やっていることはゾンビと同じという気がします。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2012-03-29 23:55:33) |
2464. 瀬戸内少年野球団
《ネタバレ》 野球のシーンはごく一部というのは別によいのだが、それに向けた、あるいはそれを通じた子どもたちの成長がまったく見えないのが難点。神社で正夫と初めて対面し、その後先生にそれを伝えるあたりの下りにはスリリングなドラマがあるが、それ以外は、みんながそれぞれ流れに任せているようにしか見えなかった。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-03-27 00:55:14) |
2465. おさな妻
《ネタバレ》 とにかく、関根恵子のあの可憐ないでたちと理知的な美貌を見たら、そばに置いて2人でルンルン気分であんなことやこんなことをしたいというのは誰でも考えてしまうわけで、その妄想をそのまんま具現化したこの作品は、映画としてはまったく正しい。しかも、新克利の旦那が、適度にオッサンなんだけど家庭的で理性的でもあるというのが、奇跡的に作品を下品に落とすことなく上手く作用している。それに、「これから僕が口にすることで、僕は君を失うかもしれない」とか、「目は、見るためだけではなく、閉じるためにもあるんだよ」とか、いいところでいい一言を決めてくれるではないの。新婚初夜の気まずさとか困惑感、それらを乗り越えたところでの感動というところを目をそらさずに堂々と讃美しているという点も特筆されるべき。 [DVD(邦画)] 7点(2012-03-26 02:04:14)(良:2票) |
2466. 霧の子午線
《ネタバレ》 この脚本はちょっとひどすぎです。最初から最後まで、ほとんど全部が、説明台詞か、「そんな場面で人はそんな言葉は口にしません」のどちらかです。ひょっとしたら、この脚本は、説明台詞だけで一本書けるかどうかの実験作だったのではないか?と思ってしまうほどです。しかも、吉永小百合はともかく、岩下志麻にまでそんな脚本に基づいて演技をさせていることに腹が立つ。登場人物のほとんどを途中で全部放り出している展開にも唖然。 [DVD(邦画)] 1点(2012-03-26 00:08:02) |
2467. 黒部の太陽
《ネタバレ》 冒頭の登山風景こそその状況の厳しさに息を飲むが、その後は、三船か石原が誰かと喋っている状況を映すか、工事現場で工事をしている光景を映すかの繰り返しで、どこの工事が、誰にとって、どのような意味があるのかということが表現されていない(ナレーションでいくつかの解説はあるが、それを台詞や演技で表現してほしかった)。また、巧者揃いの役者をこれだけ揃えていながら、ほとんど使いこなせていない気がするのだが。エキストラの雑な使い方も目についた。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2012-03-25 02:28:45) |
2468. 戦場の黙示録
《ネタバレ》 戦場に赴きながらも、主人公たちはほとんど活躍しない。逆に、いつ攻撃されるか分からない不安にさらされ、忍耐と我慢の日々を送る。また、ときには妙に緩んだ雰囲気が漂い、それがかえってリアリティを高めている。つまり、私が知っている限りでは、「炎の戦線エル・アラメイン」あたりに近い。チェコからこのような形での参戦があったという点で勉強にもなる映画。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-03-25 01:56:12) |
2469. 記憶の中の僕たちへ
設定からして、時空を超えた切なさ満載ラブロマンスを期待していたのですが・・・何か描写は中途半端で似たようなシーンが積み重なっているだけだし、その中でも意味なくアホなシーンがでてきたりで、期待はずれでした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2012-03-25 01:39:22) |
2470. ザスーラ
ジュマンジが凄かったのは、次々迫ってくる危機が、あくまでも日常生活の延長線上に存在するものだったという点で、だからありえない世界のはずなのに変にリアリティがあったし、大人が見ても背筋がぞくっとするような地味な恐怖感があった。この作品は、ジュマンジの騒々しい賑やかな部分だけを捉まえて上澄みだけをなぞったものにすぎず、危機のための危機があるだけ。最後まではらはらしながら見ることはできましたが、中身は乏しいです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2012-03-24 01:18:28) |
2471. 新・高校生ブルース
《ネタバレ》 「新」がついているかいないかだけで、これほど全然別の作品だったんですね。やたら陰鬱な雰囲気に満ちていた前作とは違い、はっきり言ってものすごいお馬鹿コメディです。大体、冒頭のガールハント(死語)で妄想ヌードがちらつく下りから、馬鹿すぎて笑いが止まりません。しかし、作品全体を「いかにして脱童貞を果たすか」に執念を燃やす3人組視点から一貫させているため、妙に一本の筋が通っています。そんな中でも、3人それぞれにきちんと筋書を用意したり、単なる場つなぎと見せかけた早苗ちゃん(夜の店で働いていた子)にもその後の歩みまで配慮したりと、そこはかとなく暖かい眼差しが感じられるのが心地いいのです。 [DVD(邦画)] 7点(2012-03-23 02:05:15) |
2472. 家族(1970)
《ネタバレ》 ただ順番に日本列島の南から北まで順々に撮っていったといえばいえるのだが、しかし、無用な情緒的描写を排することによって、それぞれの光景を鮮烈に浮かび上がらせることに成功している。いろいろなロケ地の映像も今となっては貴重といえるが、実は、一番強烈だったのは、東京の公園で笠智衆が孫を叱るシーン。いつも飄々としているイメージの笠さんがこれほど重圧感に満ちた存在を見せつけたのって、ほかには記憶がない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-03-23 00:16:55) |
2473. 墨攻
各国合作の悪いところが全部出てしまった感じ。登場人物をどういう人として描きたいのか、その思想やメッセージが何もないまま、戦闘シーンだけを手間暇かけて作ったものだから、巨大なハリボテだけが完成してしまっている。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2012-03-22 23:26:26) |
2474. コーヒー&シガレッツ
《ネタバレ》 ここまでコンセプトを徹底していると、逆に潔い。モノクロにしたのも正解。コーヒーはもう少し美味しそうに撮ってほしかった。際立っているのはやっぱりケイト・ブランシェット。これだけ条件が限定された中で自分の芝居をし切っているのが凄い。 [映画館(字幕)] 6点(2012-03-19 01:31:55) |
2475. ハーヴェイ
こういうファンタジックな内容なのだったら、もっと落ち着いてじっくりとした作りを想像するわけなのですが・・・やたらみんな騒々しく、台詞回しも目まぐるしいのが、何とも違和感がありました。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-03-18 23:06:50) |
2476. 第十七捕虜収容所
《ネタバレ》 緊迫感がありそうでなさそうな中途半端な雰囲気が、何とも居心地悪い。なので、話の結論が出た後も、カタルシスが希薄になっている。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-03-16 23:04:43) |
2477. 高校生ブルース
《ネタバレ》 最初の方こそ、いかにも昭和40年代なほのぼの青春ドラマという趣で始まるのですが、中盤以降のドロドロ具合というか暗黒度合が何とも・・・。単純明快なだけに、描写に原始的な破壊力があります。しかしそんな中でも常に凛とした存在感を貫き通している関根恵子はやはり凄い。 [DVD(邦画)] 6点(2012-03-15 00:52:04) |
2478. グラン・プリ(1966)
《ネタバレ》 映像と音響の迫力は認めますが、ひたすら走っているシーンと、誰かと誰かがぼそぼそ喋っているシーンを延々と交互に入れられても・・・尺ももっと短くできたのではないでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-03-14 02:08:50) |
2479. 人生はビギナーズ
《ネタバレ》 事前の予想に反して、父親は作品の冒頭数分で亡くなってしまう。あとは、その後の自分の生活と、父親の言動の回想(さらには、自分の幼少時の回想)が重なり合ってくるという仕掛け。ただ、そうであればなおさら、その父親の存在を自分がどのように乗り越えたのか、という点が重要になると思うが、その辺はあまり明確ではない。女性と無事つきあえるようになりました、というだけでは、物語の着地点としては弱すぎる。 [映画館(字幕)] 5点(2012-03-12 04:13:44) |
2480. グランド・ホテル
この時代にこの作品設定という発想の斬新さと洗練度には驚くが、内容的には予定されたストーリーが粛々と進んでいくだけという平坦さは否めない。キャラクターのふれ合いはあっても、ぶつかり合いがないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-03-09 04:08:01) |