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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3870
性別 男性
年齢 53歳

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241.  バファロー大隊
主人公は、黒人を中心に構成された騎兵隊の中尉。部下の黒人軍曹が強姦・殺人の容疑をかけられ、中尉自身が彼を逮捕するが、軍法会議では彼の弁護を買って出る。という訳で、西部劇ですが、法廷ミステリーでもあります。いや、この“法廷ミステリー”というのはあくまで形式上のことであって、やはりこれは“西部劇”なんでしょう、強固な意志たちと、その意志に挟まれ苦闘する主人公の姿を描いた作品なのだから。法廷での証言から過去が徐々に明らかにされていく形式、法廷での証拠のやりとり、意外な結末などは、いかにもミステリーらしい構成ではあります。しかし、証言から始まる回想シーンは、真相究明という点から見ればしばしば脱線もするし、証言者の主観に止まらず客観的な描写(証言者が実際には見ていない場面の描写)もあり、言ってみればこれらの証言で描かれているのは、謎ときゲームのための単なる手がかり、というよりもむしろ、登場人物たちの人物像、彼らの意志そのもの、とも言えるでしょう。信じるべき部下の軍曹、しかし主人公を容易には受け付けない強固な意志。軍曹の無実を信じ主人公を批難する、主人公の恋人の意志。時に人種差別をむき出しにする検察側の攻撃。そしてこれらに挟まれつつ、最後まで真相究明にもがき続ける主人公の姿こそが、本作の大きな魅力となっています(要するに、主人公がイマイチ頼りないから、盛り上がるんですな)。頑固者で強敵と思われていた判事が、意外にもグダグダになり、ユーモアをふりまいて物語の下支えをしているのも見逃せません。ラストはいささか唐突ですが、このあたりはミステリーとしてのサービス、ということで。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-11-04 10:02:04)
242.  薄桜記
「忠臣蔵外伝・丹下左膳ビギニング」みたいなお話で、その名前を少しもじった丹下典膳という人が主人公。高田馬場の決闘から吉良邸討ち入りまでの中山(堀部)安兵衛の姿と、そこにクロスする丹下典膳なる人物の運命が描かれ、物語運びの上手さ、巧みな演出に、さらに忘れ難きは雷蔵の美しくも悲壮な表情、これぞまさに出色の時代劇です。高田馬場の決闘をきっかけに、安兵衛と典膳とは互いに一目おく存在となり、武士道を通じた敬意による、信頼関係が生まれる。しかし同時にまた二人の運命の交錯は、それぞれにとっての波乱の始まりでもあり、道場からの破門、同じ女性への恋。そして典膳と妻に悲劇が襲いかかる……。安兵衛が見つめる川面に降り注ぐ涙雨。典膳夫妻の絆を象徴する紙人形。背景の暗転によって強烈に浮かび上がる肩口の血の深紅。決闘の場へとひた走る勝新の描写、あるいは俯瞰による殺陣の描写など、カメラの工夫にも溢れており、そして何と言っても、ラストの息も絶え絶えの(後の『大殺陣 雄呂血』でも見せたような)悲愴感溢れる雷蔵の死闘、そして表情。ああ、早く来てくれ勝新よ、と思わずにはいられないクライマックスが、もうたまりません。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-10-26 10:28:16)
243.  バンテージ・ポイント
さっき、テレビでやってたのを何の気無しに観て、ホントに何の気無しに観て、いやもうビックリ、儲けた気分、ニコニコ。ってったって、この映画、構成が構成ですから、それなりに警戒して観ちゃう。同じ事件を、「主役」を入れ替え何度も何度も繰り返し描く、群像劇。こんな同じコト繰り返して、この映画一体何がやりたいんだろう……「主役」が代わり視点が変わると、だんだん真相が明らかになってきて、ああナルホドとも思えば、それなりに味気無かったりもするのだけど。でもこの作品、どうやら、そういう“謎とき”路線にのみ走ろうって訳ではないらしい。むしろ、何かが判明するごとに、それを契機としてアクションが展開される。そして、事件の描写が途中で断ち切られ何度も繰り返される中で、明らかになっていくのは、事件の真相というよりは、事件の終着点。何だかワカランが、一連の事件がどうやらココに収束するらしい、というポイントが徐々に見えてくる。何度も時間を行き来し何度も視点を変えようと、また徐々に真相が明らかになり物語が広がりを見せていこうと、同一の事件である限り、絶対に回避不可能な、ある収束点。クライマックスのカーチェイスは激烈で爆発的なエネルギーを感じさせるけれども、それでも決してその収束点の枠から逃れることができない訳で、お釈迦様の手を超えて先に行けなかった孫悟空のごとし。カーチェイスってのは一般的には「突然のクラッシュ」すなわち必然性の欠落こそが喜ばれるところ、それを本作は、心理的な終着点を設け、必然性を備えたカタストロフを我々の前に突き付けることで、カーチェイスそのものををドラマとしても見せてくれた、いや実に見事です。参りました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-10-21 23:30:50)(良:1票)
244.  ウェイバック -脱出6500km- 《ネタバレ》 
この映画を前にすると、「意外なオチ」を売りにするドンデン返し映画が、可愛く思えてきますね。この映画の“オチ”ほど凄まじいものは、なかなかお目にかかりません。全編にわたり、過酷極まりない逃亡の旅路が描かれ続け、最後はようやく目指すインドに辿り着く、しかも映画冒頭で「3人は最後に助かる」ことが我々に最後に我々に告知されていた訳だから、まさに待ちに待った“旅路の終わり”であるハズなのですが……映画は、彼らの歩く足元を見つめ続け、彼らの足も決して止まることはなく、そこに戦後の東欧の歴史がオーバーラップする。主人公がついに故郷へ、家へと辿り着いた時には、すでに年老いていて……つまり、映画で描かれた艱難辛苦は、実は、故郷へと至るまでの彼らの長い長い旅路の、序章に過ぎなかった、ということ。なんという残酷なオチ。とにかく、もの凄い映画でありました。しかしまた、壮絶で過酷な自然が、どこか憧れをもって描かれているようにも感じられるのが、本作の不思議なところなのですが。
[DVD(字幕)] 9点(2013-09-17 20:50:55)
245.  黄色い星の子供たち
邦題を見てSF映画だと勘違いしたのは私は決して少数派ではないと思うのですが。第2次大戦、ドイツ占領下のフランスで行われた、ユダヤ人一斉検挙。ある少年の目を通して描くと同時に、ヒットラーの姿もまた並行して描かれるのは、実際にあった事件の再現ドキュメントとしての性格を映画に持たせますが、ここでのヒットラーは、映画が描く事件の異常性と単純に呼応させるような“狂気の人”としての描写ではなく、時に狂気を演じこそすれ、周囲の人間にとっては“普通の人”としても描かれています。これは、ひとつには、蛮行に加担したフランスを告発するべき本作が、ヒットラーという個人に責任をなすりつけて良しとするようなカリカチュア化した描写を行う訳にいかない、という表れでもあるのでしょう。しかしそれに止まらず、一方で主人公の少年、一方でヒットラー、という映画の中で決して交わることのない二人が描かれることで、両者の間に存在するどうしようもない「分断」が明らかとなります。いやそれだけではなく、フランスにいるユダヤ人と、フランス人たちとの間にも「分断」があり、それによってユダヤ人家族たちをバラバラにしてしまう、新たな「分断」が生まれる。映画は、あえて「フランス人が1万人のユダヤ人を救った」と告げて終わるけれど、映画自体は明らかに、それを素朴に肯定して描いたりはしていません。映画は、悲劇を、大きな「分断」を、怒りを込めて描いています。「再会」も描かれるけれど、家族がそろった元の幸せな生活が戻ってくる訳ではない。「分断」でいったん損なわれたものは、もはや決して取り戻すことはできない、という現実。1万人救ったと考えるべきなのか、1万人しか救えなったと考えるべきなのか。実際にあった事件を描くということで、史実を追うという点ではドキュメンタリ調の部分もありますが、それに縛られることなく、むしろ、情熱と怒りに満ちた描写が多く見られ、これはあるいは、監督が映画界の外から来た人(ジャーナリスト出身)ならではの、“なりふりかまわぬ気迫”の表れなのかも知れません。凄い映画でした。 ちなみに、競技場等のシーンで流れるのは、フィリップ・グラスのヴァイオリン協奏曲第2楽章。これはちょっとセンス無いかな……。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-08-31 12:06:48)
246.  集団奉行所破り
東映の一連の“集団抗争時代劇”が、時代劇の歴史における異色作であるならば、本作はさらにその集団抗争モノの中の異色作とでも言えるでしょうか。虚無感や悲愴感より、ユーモアがまずは表に出ています。ここでの“集団”とは、ほとんどゴロツキのような連中、その彼らの大阪弁での軽妙な会話というか、逆にディープ過ぎる会話というべきか、がテンコ盛りで、要するにユーモラスであると同時になんともコッテリした、関西人以外のヒトが観れば胸焼けしそうな世界です。開高健の「日本三文オペラ」みたいなエネルギーあふれまくりの世界。小難しい顔した大友柳太朗演じる浪人も、軽妙な彼らの中に混じるとむしろ、これまたユーモラスな存在ともなるんですけれども、映画はただただ明るい色調なだけではなく、登場人物たちそれぞれの「訳あり」なところが、時に映画に暗い影を落としたりもします。彼らが目指すは、よりにもよって、奉行所への押し込み強盗。究極のアナーキズム。そしてクライマックスの死闘へなだれ込むと、やはり悲愴感・虚無感が表れてくるのですが、それをひたすらあおり立てるのではなく、BGMなどに感傷的な要素を入れているのも、見逃せない本作の特徴。登場人物誰もが、活き活きとして素晴らしい。一見冷酷ながら二面性を備えた役どころの佐藤慶が素晴らしい。そして誰よりも、シナシナとシナを作りつついかにも訳アリ感に満ち満ちた、桜町弘子が素晴らしいです。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-08-31 10:54:04)
247.  宮本武蔵 二刀流開眼
宮本武蔵5部作の中で、ドハデな決闘を描く第2作と、破天荒過ぎる戦争映画のような決闘を描く第4作に挟まれ、繋ぎのような、はたまたちょいと地味な緩徐楽章のような、この第3作。サブタイトルの“二刀流開眼”がじっくり描かれる訳でもなし。しかし、前2作からの因縁をここに纏め上げ、続く2作へと期待を盛り上げる意味で、この第3作が一番、シビレる作品と言えるかも知れません。いや、実際、本作を観ていると、最終作では小次郎とではなくオババとこそ因縁の対決をして欲しくなっちゃう(笑)。いや、健さん小次郎の高笑いも勿論悪くないですよ。非人間的ですらある剣豪・小次郎と、剣豪になるには人間的すぎる武蔵。そして剣豪として担ぎあげられてしまった悲劇を背負う吉岡清十郎。はたまた、彼らに翻弄されてしまった女たち。実にシビれる、5部作の中でも特に欠くことのできない作品だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-08-15 20:59:38)(良:1票)
248.  チャップリンの殺人狂時代 《ネタバレ》 
ラストのチャップリンのセリフをもって、何やら教訓めいた映画として捉える向きもあるかも知れないけれど、いやいやいや。もっと得体の知れぬ、ぶっ飛んだ映画じゃないでしょうか、これは。だって、この主人公、殺人鬼ではありますが、要領が良いのやら悪いのやら、気がつきゃ結果オーライだけど、テキトーなことこの上なし。殺人鬼らしい凄みもなく、登場早々、毛虫を助けてあげたり、それこそサイレント喜劇俳優みたいに(!)ドタバタを繰り広げて見せたり。そんでもって、最後も悔い改める訳でもなく、澄ました顔で言う事にゃ「ワタシも人殺しですが、映画みてるアナタたちには敵いませんよ」って訳ですよね。誰がこんな「教訓」を素直に受け止めるもんですか。要するに、我々に喧嘩売ってますよね。そう、この映画の凄さは、この主人公の「規格外ぶり」にあるし、またその特殊さが、我々を悩ます点でもあると思うのです。こんな変な主人公、他ではなかなか見られません。またそもそもこの映画には、好感の持てる人物が(ひとりを除き)登場しない。困った登場人物たちが映画の中に散りばめられ、なかなかに入り組んだ構成(このため、一見、散漫な印象を受ける人もいるかも知れない)。例えば映画の最後の方での主人公逮捕のきっかけとなる一家、彼らの様子は映画冒頭で実にイヤらしく描かれるし、主人公を追う刑事の姿も映画早々に触れられ期待させておきながら、途中で実にアッサリと主人公に殺されちゃう。その他の登場人物たちのキャラクターもその多くはデフォルメされ、映画の中にゴチャゴチャと配置されているその中を、このヘンテコな主人公は、要領が良過ぎるのか悪すぎるのか、ただただ無感動に突っ走る。悪意も無ければ恐怖心もない。唯一、一度は殺そうとした女性に心を開き、財産を失った後に彼女に再会し、自首(?)を決意するあたりは、「ちょっとイイ話」に聞こえそうだけど、トンデモナイ、別に悔い改めた訳でもなんでもなく、むしろ、生きがいを失った彼が「自分が処刑される」ということに生きがいを見出し、処刑前には「映画を観ている我々に」イヤミのひとつでも言ってやる、ということに生きがいを見出したに過ぎない。うむ、これぞまさに規格外の男。規格外の映画。驚きの作品。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-07-24 22:48:37)
249.  馬上の二人
『捜索者』と同じく、先住民族に誘拐された人々を巡るオハナシで、類似した辛辣さを含んでいる部分もありますが、映画全体の趣きはいくぶん異なってます。そしてこちらも傑作だと思うのです。何かといい加減で調子のよいところのある保安官をジェームズ・スチュアート、彼の友人で、武骨でやや堅物な軍人をリチャード・ウィドマーク。この二人の絶妙なコンビぶりが、まずもって作品にユーモラスな色合いを添えています。二人だけのやりとりの場面では長廻しのカットが適用され、川べりで葉巻をくゆらすシーンが4分弱、リングル氏との会話の後のシーンが2分弱。二人の独特の関係が象徴づけられますが、二人の関係の描写に止まらず、この映画全体のテーマが、「人と人との絆」というところにあるように思われます。登場する数々の脇役たちがみな特徴的に活き活きと描かれ、主人公二人とこれらの人々のやりとり一つ一つがまた、「絆」でもあるのですが、その一方で、これらの人々は、かつて先住民に誘拐された身内を取り戻すこと、「失われた絆」の回復を望んでおり、その任務を主人公二人が請け負うことになります。しかし歳月によって失われてしまった「絆」は、もはやそう簡単に取り戻せるものではない、という厳しい現実。いやそれ以上に、この作品では、過去の「失われた絆」に対比して、「誘拐されていた女性に対する人々の冷たい視線」という、現在進行形の「絆の不在」をこそ、糾弾しているように思えます。そしてとどめを刺すように描かれる、「失われた絆」の象徴としてのオルゴール。そのオルゴールは今、目の前にあり、実は「絆」は失われていないかも知れないのに、人々の不寛容がその目前の「絆」を拒絶する、という現実。ラストではまたユーモアを取り戻した締めくくりとなっており、ホッとさせてくれるのが、本作の本作らしいところ、ではあるのですが、なかなかに手厳しい作品でもあります。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-07-06 09:45:17)
250.  ターミネーター3
子供のころ(ってか今でもそうだけど)街でクレーン車の頑強で雄々しいボディを見かけたら、「クレーン車でカーチェイスしたらさぞかしスゴイだろう」と思ったもの(誰しも一度は思ったことあるでしょ!)、それをホントにやってくれた画期的な映画。しかしさらに「クレーン車にシュワをぶら下げたらもっと面白いだろう」というところまでは思いつかなんだ。天才ですね…。さてこの、シリーズ中で「どうしようもない」位置をしっかりと占めてしまっている異色作ですが。2作目のパロディですね、これは(さらに、野獣が美女に蹂躙されるこの愛すべき設定は、『スピーシーズ/種の起源』風味とも言えます)。ここに登場するジョン・コナーは、2作目の彼というよりも、2作目を観てその世界に浸り切り、すっかり妄想にとらわれてしまったオタク青年、といったところ。そこに妄想そのまんま、ホントにターミネーターがやってきちゃった、しかも敵は2作目より遥かに素敵な美人ちゃんだし、味方は2作目よりもっと融通の利かないポンコツ野郎。まるで主人公を相手にしていないかのようにロボットどもが暴走し、妄想の主が「現実の妄想」についていけなくなっていく。観終わっていつも感じるのは、「ああ、さすがにそろそろ現実の“現実”に戻らないとな」(笑)。この作品、「もう3作目にもなるので、色々遊んでみました」路線としては大成功だと思うのですが、どうでしょうか。
[ビデオ(字幕)] 9点(2013-06-01 05:50:11)(良:1票)
251.  忍者狩り(1964)
浪人と忍者との戦い、どちらかというと私闘に近い物語ではあるけれどもこのオドロオドロしい雰囲気、まさしく東映の集団抗争モノの一本ということができます。とにかく暗いのです。そして壮絶。近衛十四郎父ちゃんが、城を失い帰属を失った浪人、他藩のためにいわば傭兵として宿敵に挑む浪人の凄まじいばかりの執念を見事に演じてます、顔のクドさにも負けぬくらい濃い役どころで、ハマリ役と言えるのではないでしょうか。他の雇われ浪人とともに、お墨付き書を狙う甲賀忍者の殲滅に挑む、という物語、タイトルは『忍者狩り』だけれども、狩られるのはどちらなのか。忍者の首領は、闇のクランドとかいう、滅法強いメチャクチャ強い謎の人物。“魔人”と言ってよいでしょう。主人公は外様の浪人の立場、味方の理解も協力も乏しい状態で敵と戦わねばならないのだけど、相手はこの恐るべき“魔人”、しかも主人公にとっては個人的な恨みを持つ宿敵でもあるもんだから、主人公の姿勢にも鬼気迫るものがみなぎってくる。そしてついに二人が相まみえるクライマックスの死闘!! 虚無感あふれるラストまで目が離せない、とにかく凄まじい作品です。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-04-12 00:17:25)
252.  悪名一番
感動的な作品ですよ、これは。今回、朝吉親分と清次のコンビが向うのは、大都会・東京。八尾ではそれなりに知られた存在の朝吉親分も、ここでは完全に田舎者扱い。いや、田舎者以前に、見た目といい、言動といい、時代錯誤も甚だしく、チャラチャラした清次の方がよほど進歩的。都度、朝吉親分にたしなめられる清次、しかし靖国神社でついに二人は決裂。とってつけたように靖国神社の英霊の前で号泣する朝吉親分には、清次ならずともア然とするところ、しかし朝吉はそれが気に食わず、大ゲンカになってしまう。まあ要するに、朝吉親分、都会からも、時代からも、ちょっと“浮いた”存在な訳ですね。それでも自らに忠実に、愚直に突き進む朝吉親分、その一方で清次は清次なりに活動を開始する。清次の活躍が見どころです。で、クライマックス。敵の事務所に監禁された清次の救出のため、殴り込みをかける朝吉とニセ朝吉ニセ清次。すさまじいばかりの格闘シーンが続きます。そして、リンチでズタボロになった顔の清次が、朝吉と言葉を交わす時。どうしてこんなにダサいシーンなのに、感動しちゃうんですかねえ。スバラシイです。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-03-05 20:48:02)
253.  ドライヴ(2011)
タイトルから想像するほど走りまくる映画では、無いのです。設定といい、夜の雰囲気といい、ウォルター・ヒルの『ザ・ドライバー』を連想させます、が、ここにはイザベル・アジャーニみたいなアヤシイ(妖しい)人はいなくて、もっとピュアな“恋愛”があります。しかしそれ以上にピュアな、“暴力”があります。この映画、場面場面をビシッとキメてきます。画面をキメるため、しばしば登場人物がショットの中で大きな動きを見せません。そこが本作の良いところでもあり、悪いところでもあるのかも知れないけれど。疾走するカーチェイスのシーンですら、主人公は涼しげな表情を我々に見せ続けます(よくある安い映画では必死の表情でハンドルを切りまくるところですね)。そしてそのクールな、しばしば優しさすら溢れる表情の裏には、実は狂気が隠されていたことを思い知らされる後半。狂気の者に、安住は決して許されない、という訳で、実にシビレまくる映画でした。
[DVD(字幕)] 9点(2013-02-10 09:15:25)(良:2票)
254.  十七人の忍者
「十七人」とはちと多く無いですか? 100分の映画なら一人あたり6分しか持ち分が無いですやんか。いえいえ、この数字は、捨て駒として露と消えてゆく忍びの者のはかない命を表しているのです。これがおサムライさんだったら、一人ひとりの存在感も高く、『三匹の侍』あるいは悲壮感が増してくると『七人の侍』『十一人の侍』『十三人の刺客』と人数も増えてくる。忍者はそれ以上に“消耗品”扱いなんですな。「カシラが死ねと言えばいつでも死ぬ、それが掟」。なお、さらに人数が増えると「101匹わんちゃん」とか「2000人の狂人」とかになる訳で、“忍者”の置かれているポジションが数字によく表れていますね。さて本作、いやこれは面白いですよ。密命により、城にある連判状を盗み出す決死の作戦に挑む伊賀忍者隊。片やこれを待ち受ける城の防衛を指揮するのは、根来忍者・才賀。彼の鋭い読み、鉄壁の守りに対し、伊賀忍者たちは仲間の命を犠牲にしながら隙を窺うが……はたして、連判状奪取作戦の行方は、いかに。十七人もいた仲間が次々と命を投げ出していく大胆な消耗戦、ある意味大味な展開の一方で、城への侵入の模様などの“忍術”をディテール豊かに描いて見せる、その対比が面白くてワクワクします。伊賀忍法と根来忍法、勝つのはどちらか。敵の忍者・才賀がえらくキャラ立ちしていて、忍術使いというより妖術使いに見えちゃうのですが、“忍術”とは言っても最後にモノを言うのは、腹の探り合いであり、自分の命すらかえりみないヤセガマンであり。またそれこそ最後に勝敗を左右するのは、人望とか仲間内の結束力とかであったりする訳で、ビジネス指南映画としても最適でしょう…?。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-01-20 08:24:04)(良:1票)
255.  リアル・スティール
ロボット同士が対決するオハナシで、中心となる小柄なロボットの名前が「アトム」っていうんだから、きっと“手塚先生の「地上最大のロボット」くらいちゃんと読んでますよ”ってことなんですかねえ。しかし内容までそこに寄りかかることなく、一線を画したスポコンものになっています。でもやっぱり、この「小さい者がじっと耐えつつ、巨大な者に立ち向かっていく」構図ってのは、日本人のメンタリティに合いますなぁ。しかも、ただただ戦いに向っていくロボットの愚直さよ。ひたむきで壮絶で、ユーモラスで哀愁がある。思えば渡辺竜王がボナンザを破った時、皆ほっとしつつも「ボナンザありがとう!」と心の中で叫んだはず。ひたすら派手だけど2番煎じの凡作『ターミネーター2』に良いところがあるとすれば、銃が効かない相手にひたすら銃を撃ち続ける事しか知らないシュワ型ロボットの愚直さ、木偶の坊ぶり、ですよね。で、本作ではロボット並みあるいはそれ以上に愚直な「オヤジ」というニンゲンの存在もあったりして。ドン臭くドロ臭いが故に興奮する(興奮しすぎると気恥ずかしくなるけど)、家族そろって楽しめる映画です。
[ブルーレイ(字幕)] 9点(2013-01-05 09:03:46)(良:1票)
256.  ロストロポーヴィチ 人生の祭典
20世紀後半におけるチェリストの最高峰であり(20世紀のチェロの名作の数々が彼への献呈として生まれた)、また指揮者であり、奥さんの歌曲の伴奏を弾くピアニスト(?)でもある、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ。彼のピアノ伴奏、FM放送で聴いた事は何度かあるけれど、ここではその映像が拝めました(ついでに言うと、本作では、“動くショスタコーヴィチ(だよね、あのメガネの人)”まで拝めちゃう)。すいません、本作、2度目に観る時は、これは観るなんてもんじゃなく、メモ片手にロストロポーヴィチの語りの字幕をひたすら書き写しておりました。興味深く、また素晴らしく刺激的な言葉が、この朴訥とした爺さんの口からポンポン飛び出す。ショスタコとプロコフィエフの確執。思えばかつてハイドン先生と若きベートーヴェンが喧嘩した頃から、こういう衝突は避けられないんだろうね。ベンジャミン・ブリテンの言葉「僕に近いのはシューベルトだ」。おお、そうなのか、納得できるようなできないような。しかしロストロ御大は、ブリテンとペンデレツキをショスタコに近いと位置付ける(なるほどシューベルト、マーラー、ブリテンには一種の“稚気”が共通するかも知れない)。こういった言葉が、「知識」ではなくむしろ「経験」として、「懐かしさ」と共に語られる(しかもこの、インタビュー中に散髪に行っちゃう爺さんの口から)のが、たまらないですね(ネット上をあっちからこっちにコピペして知ったかぶりする世代とは大違いです)。バッハへの敬愛が語られるのはもう必然。バッハの音楽は奇跡。しかしこの爺さんも充分に奇跡です。彼は「演奏家は音楽の娼婦、すべての作曲家に愛を捧げる」と宣言し、今日もペンデレツキの新作に、つまり新しい音楽の開拓に、指揮者・作曲者と取り組む(まあ、ペンデレツキもカドが取れましたが)。歴史の生き証人というだけではなく、現在進行形の情熱がここにある。その彼を前にしては、監督も我々も戸惑い、畏怖し、でも微笑まずにはいられない。と言う訳で、到底フィルムには収めきれない彼とその妻の人生を、無理に収めようとせず、監督自らの戸惑いとともにそのまんま封じ込めた、奇妙で刺激的なドキュメンタリ作品です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-01-05 08:30:54)
257.  ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌
いったいこのドンパチだらけの作品の、どこが「ハード・ボイルド」なのかねえ、と思うけれど、ふむ、確かに、ややもするとエモーショナルになびきそうな流れを敢えて断ち切り、ひたすらおバカなドンパチに突き進んでいく点は、広義の「ハード・ボイルド」と言えるかも知れぬ。言える訳ないっての。でも、よくぞここまでやったね、と感心します(あるいは「なるほどそういうハメの外し方があったか」という感心かも知れないけど)。一緒に観てたウチの子供たちはア然としてたけどね。ごめんよ、また変な映画見せちゃって。修羅場に次ぐ修羅場、まさに修羅場のオンパレード。「こういう無茶苦茶な映画を作っちゃった」という恐怖を含めて、これはホラー映画ですね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-01-04 22:49:21)
258.  タバコ・ロード
汚いものを汚く描いてなお美しい。と言えば、何のこっちゃ、ですが、でもそんな映画なのです。主人公の一家がひたすら貧しく、そして容赦なくトコトン汚い。やることなすこと浅ましい限り。そこにはこの上無いバイタリティが溢れているのです。その厚かましさたるや、見てて頼もしさすら感じられてくる(まあ自分の身近にいないから言えることですが)、ある意味奇跡の存在(ジジイがあの不安定な板の上に何故か座れるような奇跡)。しかしそんなゾンビみたいな貧乏の神様みたいな彼らだって、万能ではない訳で(そりゃそうだ)、社会の無慈悲な残酷さには勝てない。たとえ、地主や銀行家といった社会のひとりひとりは悪い人ではなかったとしても。どうにもならない哀しみがあり、その時、そこに美しさが広がる。そして希望があり、またそこにも美しさがあある。え、やっぱり「何のこっちゃ」ですかね。いやホントにそんな映画なんです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-11-05 21:48:47)
259.  ウエスタン
映画の最初の方、コイツらが作中の主要登場人物かと思って観ていると、全員死亡。次に出てきたこの人たちこそが主要登場人物だろうと思って観ていると、またまた全員死亡。というトンデモないオープニング。やがてホントの主要登場人物たちが揃い、彼らの権謀術数の物語かと思って観ていると、どうもこのヒトたち、権謀術数どころか、何も考えてなさそう(笑)。そしてその物語の行きついた先に待っているクライマックス、そこで明らかになるのは、物語の背景を貫いていた真の力学。それは復讐であるとか友情であるとか、ベタっちゃあベタなんだけど、それをこれほど強烈鮮烈圧倒的に提示した例がありますかねえ。スゴイです。圧倒されます。ブロンソンのタレ目のドアップに、まさかこんなに感動するとは。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-10-17 20:49:29)(良:1票)
260.  切腹
日本人にとって、切腹というコトを口にするのは、ちょっと微妙な感情、一種の居心地の悪さが伴う訳で、それは、いわば日本を代表する風習のひとつでありながら、自分自身はそれを決行する自信が全くないこと。何かと耳にはする「切腹」という言葉と、その意味する実態が想像を絶することとのギャップ、しかし世が世なら自分もそれをせざるを得なかったかも知れないという恐怖(武士だけの行為ではない。近代でも自らそれを行った例が多々あるとのこと)。あと、世のSMマニアの中には切腹マニアというのもいて、そのテの本や写真集もあるそうで(三島の『憂国』だってその一例だ)、それも居心地の悪さの原因かも知れないけれど(笑)。さて本作。ひとつには物語の構成の妙が我々を釘づけにするんだけど、“切腹”を正面から捉え、しかもそれを痛々しく理不尽に描いているのが、強烈この上無い。切腹ってのは、腹膜まで切ろうとすると非常に苦しいものとなり(腹筋を切り裂くのがまず大変)、浅く切ってすぐ介錯してもらうのが楽で良いらしい(とモットモらしく言ってるのがこれまた居心地悪いんだが)。それを何と、竹光での遂行を迫られる理不尽さ、その苦痛はいかばかりか、画面からヒシヒシと伝わってくる。なのに本作の音楽担当が「たけみつ・とおる」とはこれまた何と理不尽な。それはどうでもよいが。後半、物語は一変、いや、視点が変われば物語も変わるということ。強い立場、迫る立場、追いつめる立場であったはずの人間が、実は追いつめられていってる、というその過程が、別の意味でコワイ。何ものかにとらえられている存在であることには、皆、変わらない。この凄惨なクライマックスは、一種のエンターテインメントでもあるのかも知れないけれど、そこには同時に、秩序が内側から自壊していく恐怖もある。いやむしろ、秩序の虚飾が内側からが崩壊してなお、秩序の外枠だけがガランドウのように残り続けていくことの恐怖なのかも知れない。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2012-09-29 03:47:41)(良:1票)
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