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もっつぁれらさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 542
性別 男性

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241.  大いなる西部 《ネタバレ》 
グレゴリー・ペック扮するジェームス・マッケイの何ものにも動じない強い信念や懐の深さと、西部の広大な大地とが実に上手く噛み合っているようで、観ていて非常に気持ちが良い映画です。 だだっ広い平原の真ん中を走る馬車を多角的に捉えたオープニングを始め、ほとんどの場面で遠景のショットが出てきていて、物語が語られるあらゆる場面で舞台である西部の雄大さを感じることができます。 そして超ド定番ですが、西部劇と言えば馬車の追いかけっこ。ペックとリードが乗る馬車がヘネシー一味に追われるシーンを横からの移動撮影で捉える疾走感。ヘネシー一味の馬が画面左奥にスゥ~っと入ってきた時のあの何ともいえないスリルは西部劇ならではの気持ち良さでしょう。 また、同様のテクニックが後半でも用いられており、テリル少佐が単独でヘネシーの村に乗り込むシーンで、谷を越える時に手前に大きく映った少佐の背後から駆けつけてきた馬が次々と映し出されるシーンがあるのですが、ここでもまた先ほどと同様の高揚感を感じることができ、本作では特にこの二つのシーンが良かったと思いました。 他にも、荒馬と格闘するシークエンスでの馬を手なずけた瞬間の馬の足元を映したショットは、もはや芸術の域に達している程ですし、最後の方で二人が相撃ちするシーンの俯瞰ショットなんかを見ると、二人の倒れている姿や介抱する人を映して両家の成り行きに迫るよりも、こちらの方がより争うことの無意味さや虚しさが出ているような感じがして、これが正しい撮り方なんだなと、凄く納得しながら見ていたような気がします。 ところでヘネシー家のオヤジですが、最初の方でパーティー会場に乗り込んで来た時の態度を見るに、明らかに悪役の様を見せていましたが、後半になると一転、息子のだらしなさも手伝って、とても男気溢れる芯の通った人物だったというのが面白かったです。映像の華麗さもさることながら、前半と後半で真逆の印象を植え付けるウイリアム・ワイラーの手腕に脱帽しっ放しの一作でした。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2011-02-24 23:14:26)
242.  恋人たちの失われた革命 《ネタバレ》 
3時間はさすがに長すぎ。 舞台は1960年代後半のパリ。監督のフィリップ・ガレル自身の実体験なのですが、何もこんなに多くの出来事を詰め込まなくてもと思ってしまい、要所要所だけにしておけば2時間くらいでまとめられただろうなというのが観終っての率直な感想です。 ストーリーはタイトルから想像するに、主人公のラブストーリーが繰り広げられるような気がしましたが、むしろ人間ドラマ的な感じの中にスパイスとして恋物語を組み込んだようにも見えます。 主人公のフランソワがリリーという女性に出会い二人の間に恋が芽生える場面は、さほど時間もかからずに深い仲に進展してしまうので、お互いが惹かれ合うまでの過程があまり丁寧に描かれていないように思えるかもしれませんが、二人の仲が発展していくのが驚くほど自然で上手に描かれていて、ここはとても良かったと思いました。 ところで、この映画のモノクロ映像なのですが、光の匙加減の調整を一切行わずに撮られているように見えます。 昼の室内のシーンの時は、陽の光が強すぎて物の輪郭や凹凸がわからないほどの明るさの中で撮られている一方、夜のシーンでは、炎や月の光くらいしか光源がないんじゃないかと思わせるくらいの映像が続いていたのですが、こんな環境でもストーリーに関係する物や人は意外なまでもしっかりと捉えられていて、何の問題もないどころか、かえってリアリティーのある映像に仕上がっていたのが凄いと思いました。 蛇足ですが、字幕が見辛い時が多くあり、白地に白の文字で字幕が出ることがかなり多く、もう少し配慮が欲しかったです。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-21 01:50:29)
243.  エリン・ブロコビッチ 《ネタバレ》 
主人公のキャラクター設定が普通すぎて、抜きん出た魅力らしい魅力もないごく一般的なヒーロー像(・・・じゃなくって、ヒロイン像)だったように思えます。 ジュリア扮するエリン・ブロコビッチは、大胆で細かいことなんぞ気にも留めない型破りで破天荒な性格。学もなければTPOもわきまえないような礼儀知らずなところもあるけれど、自分の信じた道をとことん貫く意志の強い持ち主で、まさに“大物”という言葉がピッタリな人物像。おまけに、ふとしたことでホロッと涙を流してしまうような弱い一面も兼ね備えていたりして、見る側の共感を得たりもする。 要するに、教科書通りのごくありきたりな主役という感じで、人物に深みのない非常に描きやすいキャラクター設定だなと思いました。 ストーリーもまた、1人の女性のサクセスストーリーというのは別に構わないのですが、実話を元に作ったところに甘んじている部分が感じられます。 例えば、水道調査の書類を自由に閲覧してコピーできるところなんか、もしフィクションだとしたら、ありえね~!となって一気に評価が下がりそうなところ、実話と言われてしまえば、観ている方としては噴出寸前だった不満を引っ込めるしかなく「これは実話なのだから仕方ないブツブツ・・・」と無理矢理自分をなだめるハメになってしまい(笑)、何とも情けない気持ちになってしまう。 また、最後にエリンが200万ドルの報酬を貰うシーンも、その直前にエドがニヤッと笑っているカットが挿入されているせいで、エリンと同じ驚きを共有できなくなってしまい、下手糞な演出だなぁと思ったりと、いろいろな部分でダメな映画でした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2011-02-19 23:41:10)
244.  素晴らしき哉、人生!(1946) 《ネタバレ》 
天使が出てくるまでが長いと言われてますが、確かに長い。けど、冒頭で天使の存在を出さずに最後の方でいきなり川に飛び込ませる方が何となくシックリこないような気がするので、これで良かったのだと思います。映画の中盤、如何に天使の存在を忘れていられるかがポイントでしょう。 映画全体を見ると、脚本にかなり凝っている印象で、軽快過ぎるテンポやウイット含みのやりとりがやや鼻に付くというか、いかにも“作った感じ”が出すぎているのが自分の好みではないです(アメリカ映画って本当にこういうのが多い)。 途中出てきたダンスのシーンで、床が開いてプールが出てくる場面がありましたが、その後でびしょ濡れになって外を歩くシーンを撮りたかったという理由であのセットを作ったようにも感じられ、ここはちょっと過剰な演出のようにも思えます(ていうか、お金の使い方これでいいのか??)。 最後の方で天使と出会って、自分が存在しない世界を見せられるのですが、そこには薬屋の親父も犯罪者になってるし、いるはずの弟も凍った池に落ちて亡くなってる。戦死した友達もいれば、ジョージと結婚したはずのメアリーは独身のままときた。 こんな世界を見せられてジョージが何を思ったかといえば、自分自身が冷たくあしらわれ悲しくなってしまったのはもちろん、それ以上に、自分がいないことで周りにいた人をどれだけ不幸にさせてしまっているかということなのだと思います。自分を取り巻く人たちに対する思い遣りや彼らに尽くす気持ちが、元の世界に戻して欲しいと思ったのでしょう。 元の世界に戻してもらい、家に帰れば、階段の飾りは外れてるし、子供のピアノの音がうるさく感じられてしまうこともあるし、単純なスペルを繰り返し聞いてきたりする。けど本当は、こんなごく普通の日常が幸せなんだと気づかせてくれる。こんな風に思えるのってすごく羨ましい。やっぱり、今のこの世の中には天使が必要だなと思いました。
[映画館(字幕)] 6点(2011-02-19 23:38:19)
245.  ザッツ・エンタテインメント 《ネタバレ》 
MGMが自分の好みでない映画を作っていることがわかったある意味自分にとってありがたい映画。 これで、観なくて済む映画が増えたのは助かる(笑)。 この映画の立ち位置的には、MGMの創設50周年記念に作られた作品で、今までの軌跡を振り返ってみようという内容。MGMミュージカルのダイジェストムービーの様相です。 他の映画から借りてきて貼り合わせたフィルムだからストーリーらしきものは当然ないですし、感動とか興味を引くものがあったとしても、それはこの映画だからそう感じるわけではなく、オリジナルのそれにこそそういった評価をするべきで、もしこの映画で評価するところがあるとすれば、ゲストの方々の語りの部分や個々の映画を繋ぎ合わせる編集のテクニックにあると思います。 自分のこの映画の評価が低いのは、そのどちらにも良いところが見出せなかったし、ミュージカルの一つ一つを見ても、とにかく大袈裟で極端にオーバーな演出ばかりなのが受け付けられませんでした。 お客さんのために作られた映画という感じもしませんし、映画のための映画とでも言うべきでしょうか。もっと言ってしまえば、映画で映画の宣伝を行っているというひねくれた考えも浮かんできてしまい、とにかく自分にとっては良い部分が見つからない映画でした。 
[映画館(字幕)] 5点(2011-02-12 18:30:52)
246.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
サスペンスとは何かと問われれば、かなり私見で広義ですが、“劇中の人物が知らない真相を、観る側の人間がそれを把握している場合に起きている出来事”のことだと勝手に思っているのですが、この映画の凄いところはそのサスペンスの斬新さにあります。 ストーリー上では3つの場面がクロスカッティングによって同時進行し、更にこの3つの場面全てにサスペンスが成立してしまっているというとんでもない展開。 まず、ジュリアンは車が盗まれてしまいその先々で起こる事件によりドイツ人夫妻の殺害犯に知らぬ間に仕立て上げられてしまい、またカララ夫人はジュリアンがエレベーターに閉じ込められているという真相を知らず、そして若者たちは社長殺害犯の車に乗っているという事実を知らないまま車を走らせるという、まさかのトリプルサスペンス! ただ、この斬新なシナリオは評価できますが、細かな部分に粗が多すぎるのが玉にキズ。 冒頭の社長殺害のシーンは直接的な描写でなくて好きなのですが、鉛筆削りの音で銃声をかき消すように撮りたいのか、はたまた鉛筆を削り終わった後の数秒の間で銃声が響いてしまい失敗に終わるのかが一瞬わからず、映像が社長室に移行する時に初めて殺害が成功したのだとわかるのがちょっと完璧ではないし、また、エレベーターに閉じ込められていた時に鉤付きのロープの映像が一度も出てこなかったのも演出力のなさを感じます。ここはジュリアンがロープを取るためにに戻ったのだから、ジュリアンがエレベーターの中でもがいているシーンの途中でベランダに残ったままのロープのカットを最低1回は挟むのが常識でしょう。 それと決定的にダメなのが、カメラをストーリーの中に出してしまうところ。 犯罪映画において、カメラが証拠品になることなんか誰にとっても当たり前過ぎる事であって、しかも「3枚残ってる」とわざわざ不倫現場が写っている事を暗に教えてくれてしまっているのは、ここで伏線張りましたと言ってしまっているようで、何だか悲しくなってしまいました。 最初に述べたトリプルサスペンスのアイディアは見事でしたが、この映画を撮った頃のルイ・マルは演出においての力量にやや欠けていた感があったような気がします。  ところで、若き頃のブリアリがチェスをやってたりおかしな証言をしてたりして、妙に存在感出てましたね。
[映画館(字幕)] 7点(2011-01-31 01:10:49)(良:2票)
247.  さよなら子供たち 《ネタバレ》 
正直に言ってしまうと、この映画のような起伏のないストーリーというのが苦手で、少なくとも上映時間のラスト20~15分くらいの間に盛り上げ所がある映画でないと観終わってからの充実感がほとんどなくなってしまいます。 ラストがこの映画の主題であるだけに、少年たちのストーリーの中に余計に興味を引くような出来事を入れてしまうと、かえってラストが引き立たなくなってしまうために、このような変化のないストーリーになってしまったと推測できるので、まぁこれはただ単に自分とは相性が悪かっただけだと諦めることにします。 そんな中でも興味を引いたのが、宿舎でみんなが寝静まったときの真っ暗なシーンなのですが、静寂が部屋全体を包む時のあの独特の緊張感が良い味を出していたと思います。 遊んでいる時も食事の時も腕白さ全開の子供たちが唯一静かになる瞬間がその時なわけで、普通に考えて何の出来事も起こりそうにない瞬間を敢えて撮るのが逆に不気味で、実際に、ユダヤの子が蝋燭を立てて祈りを捧げている(?)シーンがあり、それ以降は何かが起こるんじゃないかとドキドキして観てしまいました。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-29 18:05:42)
248.  好奇心 《ネタバレ》 
幼少期や小学生くらいの子供を描いた映画には今までに何本も出会ってきていましたが、中学生ほどの性に目覚めたくらいの少年を描いた作品はこれが初めてのような気がします。 描き方がリアルとしか言いようがなく、親の目を盗んで騒いだり、煙草や酒に手を出したり、パンツを脱いで長さを測ったりとか、慰めることに罪悪感を感じていたりとか、いろいろなタブーに触れる快感を知った年頃の少年を上手に描いているなと思いました。 さらに、映画の序盤から垣間見られる息子と母親との親子愛の描き方がとても良く、親子間の愛情をしっかりと描きながらも、そのうち関係を持ってしまうんじゃないかという予感を感じさせないバランス感が絶妙。 終盤になると、ついにその場が訪れてしまうのですが、母親の服と下着を脱がし、いよいよという時のあの尋常でないカット割りの速さ!それまでのゆったりとしたストーリーからは考えられないほどのテンポの速いカット割りによって、母親と関係を持ってしまうというストーリー上の出来事が映画のヤマになっているだけでなく、そのように映像を工夫することによってもここがヤマなんだなとわかる映画作りのセンスに脱帽してしまいます。 また、最後の父親のクローズアップも非常に効果的で、それまでは「放任が成長を促す」とか言って、子供と距離を置き教育に無関心な態度をとっていただけに、このラストはある意味、ドンデン返しを食らった感じがして面白かったです。 このルイ・マルという人の作品は「ブラック~」と「ルシアン~」に続いて3作目なのですが、面白い撮り方をする人なんだなと思い、もっと多くの作品に触れてみたくなりました。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-23 23:33:13)
249.  ブラック・ムーン 《ネタバレ》 
ひとことで言うと、幻覚を見ているような映画。 意味不明な事だらけだし、当然意味なんか求めるもんじゃない。 誰にでも当てはまると思いますが、こういう妄想系の作品って完全にフィーリングの相性ですので、監督によって合う合わないが決まってくるものだと思います。 例えば自分ですと、ゴダールなんかだと面白く感じたりもする一方、シャブロルやこの映画だと特に何かを感じたりというのはなかったです。 ヒロインのパンツがスルスルと脱げてしまったり、目覚まし時計を窓から何個も投げるところが面白くて、ちょっとコメディの雰囲気も出ていたような感じがありました。 たまに現れるユニコーンと、ピアノの鍵盤の上を歩いていた猫が名演。冒頭の穴熊もそうですし蛇やムカデなど、動物を自由自在に操っている映画って、それだけで不思議な感覚が倍増するような気がします。 それと、若干ブニュエルの影響を受けているような箇所もありましたね。
[映画館(字幕)] 4点(2011-01-16 23:08:24)
250.  しあわせの雨傘 《ネタバレ》 
オゾンはいろんな風に期待を裏切ってくれる映画監督なのですが、今回のはどちらかと言えば良い意味の裏切りという感じではなかったです。 この映画は要するに、女性のサクセスストーリーを描いたものであって、フランス映画らしい控えめな演出になっているところもあるにせよ、言ってしまえば、そんじょそこらのアメリカ映画と大して変わらないような実にありきたりな作品になってしまっていると思います。特にラストなんかもう最悪で、単純・平凡・軽薄という言葉しか出てきませんですし、オゾンが過去の作品で何度も見せてきたような味わい深い余韻を残すラストショットとは程遠く、大変ガッカリしてしまいました。 さて、ドヌーヴ扮するスザンヌですが、ストーリーが進むにつれて何とまァいろいろと良からぬ過去が出てくるわけですが、このままいくと隠し子があと二人くらいは出てきちゃうんじゃないかという嫌な予感もしたのですが、それ以上は出てこなくて本当によかった。 オゾン作品では、毎回のように余計なセックスシーンが出てくるのが好きではなかったのですが、今回はストーリーの流れからいってもそのシーンを出すことの意味が出ていたので、この程度なら特に問題はないでしょう。 カトリーヌ・ドヌーヴと夫役のファブリス・ルキーニはまさにハマリ役というくらいに見事に役を演じ切っていましたが、ストーリー的にただ一つ言わせていただくと、スザンヌは専業主婦のときは詩人でもあったわけですから、会社の経営を立て直そうと立ち上がったときに労働者との交渉時にもう少し詩人っぽい台詞で喋ってくれてればより面白さが生まれていただろうと思います。“お友達”と“友愛”の2つくらいしか出てこなかったので、もっとビジネスとはかけ離れた詩的な台詞で“こんな世間知らずの脳内お花畑女に会社を任せて大丈夫か?”という雰囲気を出してその場のゴタゴタ感が増せば、より楽しいシーンになれたのではと思いました。 それと、家のソファーにドヌーヴが座るシーンがあるのですが、画面全体を同一系統の色で統一しているシーンがこの他にもいくつかあり、オゾンの「シェルブールの雨傘」に対するオマージュが(雨傘の他にも)感じられて良かったです。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-10 02:27:34)(良:1票)
251.  天罰 《ネタバレ》 
これは恐ろしくも悲しい映画。 それと同時に、サイレントならではの表現を堪能できる面白い映画です。 あくまで個人的な意見ですが、サイレントはトーキー以上に映像から伝わってくるものが多く、また、ワンショットごとの映像のインパクトも後世の映画と比べるとやはり大きいのではないかと思います。 特に、ロン・チェイニーが出てくる映画になると絶対に書かなくてはいけないのが、何と言ってもまず、あの凄みのある表情。まさに、この映画の通りサタンの化身であるかのような風貌はインパクト絶大です。そんな男がピアノを弾いたりするもんだから、かえって凄みが増すし、「死の歌」なんてピアノの旋律だけで彼女が殺されてしまうんじゃないかとまで思ってしまうほどで、ここは本当に恐怖に満ちたワンシーンです。 他にもピアノを弾くシーンが2回ほど出てきますが、音が聞こえてこないだけに想像力がいつも以上に働いてしまい、サイレント特有の余計に怖さが伝わってくるような錯覚を覚えます。 また、暖炉のギミックや小窓から覗くために懸垂をしながら上に昇っていくシーンも目を引いてこれまた面白いし、その時にカメラもそれを追って上方向に移動していったのが室内撮影では珍しいなと思い、ここはちょっと不思議な感覚があります。 ところで、Penaltyとは、また何という皮肉だろう。 街を支配しようと考えたのは脚を失ったことと因果がある為で、彼に非があるとは当然言える訳もない。脳を手術したことで善人になり、過去を悔い改める気持ちが芽生えてきたということか?などと考える以外に答えが出てきません。 新たな人生の一歩を踏み出した矢先の悲劇。撃たれた理由もわからずに死んでいってしまい、今までにないくらい胸が痛む思いがしました。
[映画館(字幕)] 8点(2011-01-09 00:13:28)(良:1票)
252.  鉄仮面 《ネタバレ》 
ダグラス・フェアバンクスが出てくる映画ではどうしても彼の超人的な身のこなしや相手を圧倒する剣術を期待してしまうのですが、今回はそういった彼の特長が出たシーンがちょっと少なかったので、やや物足りなさがあった気がしました。 しかしストーリーはやはり面白く、一時解散してはなればなれになった後に王の一大事で再び4人が集結して力を合わせるところなんかは気分が高揚してきますし、王が双子だとわかるまでのシークエンスで、背後から様子を探っていき過去の記憶を繋ぎ合わせるところなんかちょっとしたサスペンスの雰囲気も出ていて見応え十分でしょう。 最後まで見ると、4銃士とヒロインがみんな死んでしまって寂しい感じがあり、しかも双子の片割れの方も最後は幽閉されてしまって生まれながらにして悪者のままで生涯を終えてしまうので、ちょっと可哀想だなという気もします。 一番好きなのは何だかんだ言って冒頭のキスシーンなんですが、上から籠を貸してもらうところがちょっとルビッチっぽい感じで面白かったです。現代のように路チューなんて考えられない時代ですからね。人目のないところを探す一連のシークエンスなんかを見ると、いい時代だなぁと思います。 〔澤登翠さんの活弁付きで鑑賞〕★通算300レビュー★
[映画館(吹替)] 7点(2011-01-08 21:22:54)
253.  私のように美しい娘 《ネタバレ》 
親父に蹴り上げられて吹っ飛ぶシーンがワイヤーで引っ張られてるのがミエミエだとか、飛び降りるシーンを偶然子供がカメラに収めていたのは出来過ぎだとか、主人公の女は何で囚人服を着てないんだろうとか、そんなことはどうでもいいんです。コメディだから。スカートはいて脚を出さなければストーリーが成り立ちませんので。 にしても、あれだけスタイルが良ければどんな男だってイチコロだし、本能のままに生きてるから寄って来る男も当然のように本能をさらけ出す。何でもオープンなもんだから、ちょっと騙してすぐヤれちゃいそう・・・って考えてる俺も含めて、出てくる男はみんな馬鹿。 よくよく見てみると、梯子もないのに飛び降りたり、自ら車に轢かれたり、塔の上から飛び降りたりと、何故か周りの男を不幸にしてしまう。まるで、あれよあれよと難を逃れていつの間にかハッピーエンドに辿り着くチャップリンやキートンのようで、見ていて次第に楽しくなってきます。 ストーリー的には、「私のように美しい娘」の唄の後がやや冗長だったのと、途中まで見てこの社会学者が最後に餌食になるんだろうなという予感があったにもかかわらず、その予想を裏切ることが出来ないままにエンディングが来てしまったのが残念でした。 しかし、やはり主演女優の存在感は言うまでもなく、部屋から出て歩きながらスカートのファスナーを上げるのもトリュフォーらしい感じですし、トリュフォー映画の定番アイテム長銃も出てきたりと、楽しさもいろいろと見られる映画でした。
[映画館(字幕)] 7点(2011-01-01 16:57:48)
254.  魔術師(1926) 《ネタバレ》 
「人を創造してこそ魔術である」と言ったからには、ちゃんと人造人間を作って欲しかったところ。 マッドドクターが登場する映画は他にも観たことがありますが、風貌・目力ともにややインパクトに欠けるような印象で、しかも“いつの間にか”ヒロインをさらわれてしまったりと、特に怖さを感じることはなかったように思います。(しかも、なんで薬剤師?) それよりも、序盤に出てきた手術のシーンのあのギャラリーの多いこと。あんな手術室があること自体驚愕だし、メスを執る方も変なプレッシャーがかかるっつうの。 ある意味、このシーンが一番衝撃的でした。
[映画館(字幕)] 6点(2010-12-31 18:22:58)
255.  チャップリンの衝突 《ネタバレ》 
チャップリンの初期の作品らしく非常にコンパクトにまとまっている印象。 上映時間が約10分と短く、まだ続きがあろうかという終わり方だったのでちょっと残念な気持ちもありましたが、自分が今まで観てきたチャップリン映画では、水に落ちることもやられたままでお終いということもなかったので、あのラストは全くの予想外で、しかもしっかりと笑いをとってのラストだったので良かったと思いました。 一度しか見ていませんが、恐らくセリフなどのスポークンタイトルは一度も出なかったんじゃないかな?
[映画館(吹替)] 6点(2010-12-31 18:01:50)
256.  荒武者キートン 《ネタバレ》 
冒頭からいきなりシリアスな殺し合いのシーンで少々面食らいましたが、暫くするといつものようにキートンが出てきてくれたのでホッとしました。 時代を感じさせる列車での移動は、犬にも追い抜かれる程のゆっくりとしたスピードで(健気に追いかけてくる犬がまた可愛い)、しかもロバが線路で邪魔をしていたりトンネルの中を牛が散歩をしていたり、おまけに線路から外れても何事もなかったかのように普通に走ったりしていて、線路敷く意味あるのか?とツッコミを入れたくなるような場面もあったりと、冒頭の殺伐とした雰囲気から一転、いい世の中だなぁと何だかとてもほのぼのとした気分にさせられました。また、男女カップルにとってはあの完全個室とも言えるワゴンで旅をするのもいいものでしょうな。 食事に招かれたシーンでは、省略されてしまって何も起きなくて残念でしたが、やはりこの映画のメインはどなたも書かれている通り、ラストの救出シーンだと思います。 このシーンがどれだけ凄いかは、女が落ちる瞬間とキートンが飛び出すタイミングを計るのに一体どれだけのテイクを重ねたのだろうと少しでも考えることがあれば、いとも簡単にわかるのではないでしょうか。 おまけに、キートンが腰を軸にして吊られているため、腰痛にならないかと心配になってしまい、それでも続々と今作の後にも映画を作っているわけですから、いろんな意味で凄い人だなぁと思いました。
[映画館(字幕)] 6点(2010-12-20 00:08:45)
257.  焼け石に水 《ネタバレ》 
こんなキモい映画、よく日本で公開する気になったもんですわ。 1,2章までは目を背けたくなるような映像ばかりで、しかも乾杯の後にグラスを洗ってコートを着て立っているところなんか、1章と2章で二人の立場が入れ替わるのが面白いと思って見せたつもりなのでしょうが、下らなさすぎ。 ここでは脚本がまた最悪で、冒頭で中年男に“その気”がある事をかなり早くから見る側に察知させてしまっているのですが、大抵の場合は、正体を明かすところまではそれらしき匂いを嗅がせる程度にし、「もしかしてこのオヤジって・・・」と疑わせるくらいに留めるのが効果的な演出なわけですが、この映画の場合、ハナっから“その気”がありありと出てしまっていて、見る側の好奇心などは一切無視したように会話が進んでいるように思えます。 後半のほうになって、4人が集結しアナ役のサニエが乗り気になってきたところから急激に面白くなってきそうでしたが、フランツが脱落したところで再びテンションダウン。一番最初にこういうアブノーマルなプレイに耐え切れなくなるのは若い男という、ごく普通の全く意外性もない展開になってしまったのはシナリオにも問題ありだと思います。 しかも、中年男が、フランツが死んでも悲しむどころかそれを嘲笑い、のけ者をあしらうような態度を見せたのも全く意味がわからない。結局、若い女に乗り替えたということか。これもまた、実に下らない展開。 興味を引いたのは、最初の寝室のシーンで、鏡が真正面にあるのにカメラの位置をわからないようにした映像くらい。小型カメラで撮影したのか?
[映画館(字幕)] 3点(2010-12-19 23:48:33)
258.  キートンの空中結婚 《ネタバレ》 
あんな3つに分かれたカヌーなんかで乗れるわけないじゃないか?と思ったら、やはり案の定でしたね。てか、墜落した場所に何でカヌーが落ちてるのか意味ワカラン。 ついでに、アミューズメントパークで女性と舟に乗って戻ってきた時にキートンの片目に青アザができてたのですが、これも意味ワカラン。 この映画では色々な動物が顔を出しますが、中でも熊が見ていて面白い。ただ人懐っこいだけかもしれませんが。水牛と睨み合いをしている時もドキドキしますし、ヒロイン役の女性があんなことをやっているのが凄い。 ついでに、ラストの滝の絶壁に近づいていくときもドキドキハラハラ感がありますが、このシーンは下手なサスペンス映画なんかを見るよりずっとドキドキするんじゃないかな?
[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2010-12-18 14:54:59)
259.  キートンの鍛冶屋 《ネタバレ》 
この映画のメインは、車をハチャメチャに壊したりする様を楽しむところにあるのかもしれないですが、自分にとってはあまり面白いとは思えませんでした。 キートン自身が他人の物を壊したりするよりも、キートンが濡れ衣を着せられて追い掛け回されたり、間一髪であれよあれよと難を逃れたりする方が素直に楽しめるような気がします。 最初の方に出てきた馬の蹄をつけるシーンで、馬に鏡を見せて品定めをしてもらう時の馬の演技が可愛くて可笑しかったです。
[映画館(字幕)] 5点(2010-12-17 23:45:55)
260.  幕間 《ネタバレ》 
最初からシュールレアリズム映画だと知ってて観ていれば、素直に入っていけたと思うのですが、何か突拍子もないものを観てしまったように思いました。 ストーリーはあってないようなもの、というのではなく、ない。これは間違いない。 後半辺りから少し繋がってきてはいるけども、最初の方は一貫性のないただの映像の羅列のような感じ。 カメラを傾けたりスローにしたり逆回しにしたりと、色々なことをやっていて、移動中の空の映像を高速で映しているシーンなんて、何だか一つの絵が浮かび上がってくるんじゃないかっていう感覚も湧いてくるのですが、実はクレール本人もそれにチャレンジしてるのかもという気がしてきます。 最後、パッとFINの文字が出て、あ~こんな終わり方なんだ・・・と思っていたら、そういう“映像”ではなく、白い紙にFINと書かれていただけで、その紙を破って画面の向こう側から人が出てきたのが意表を付かれた感じで面白かったです。 チープでちゃっちい演出なんだけど、俺の見たことのない映像ってまだまだあるなぁと、映画の世界の広さを思い知らされたような気がしました。
[映画館(字幕)] 6点(2010-12-17 22:53:49)
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