241. 新選組始末記
《ネタバレ》 市川雷蔵と藤村志保のカップルはいいね。 池田屋の前の一時の幸せな時間。 二人の顔が、本当に緩んでて、役者って巧いなぁって感心する。 新選組の隊員と、医者のカップルってのもいい。 そして池田屋での事件。 近藤さんは、二つの情報の間で揺れるんだよね。 でもって、6人だけ池田屋に向かわせる。 この辺、史実なん? 奉行所と新選組の微妙な立ち位置は興味深いね。 また会津藩のしたたかな対応も興味深い。 この話の後日譚、池田屋の後の新選組は、 令和の「燃えよ剣」に詳しい。 興味ある方は是非! [DVD(邦画)] 7点(2023-03-02 00:13:42) |
242. 丹下左膳(1952)
《ネタバレ》 トーキーになって悪声で悩まされた俳優は数多かったらしいが、板妻の声は大好き♪ どんな無理な場面も板妻なら許せちゃう。 刀なしであんなに生き延びられるなんて、と思うが、板妻なら説得力があるね。 現代の時代劇はリアリズムに走り過ぎのきらいがあるね。 もっと伸び伸びやっていいんじゃないかなぁ・・ そして淡島千景さんがきれい。 レビュー読んでたら、「リボンの騎士」のモデルとな!? うんうん、うなづけます。美人だもの~(惚) 先に同じ松田監督の同素材のリメイク丹下左膳を観てたので、 ストーリーがすんなり入ってきました。 リメイクの方が、子役のこととか分かりやすかったし、壺の秘密が捻っていて、面白かった。 でも板妻だから、本作も好き♪ [DVD(邦画)] 8点(2023-03-01 00:05:48) |
243. アイダよ、何処へ?
《ネタバレ》 国連の紛争現場での悪戦苦闘ぶりを描いた映画は、ほかに「ノーマンズランド」がある。 国連も人道的に有意義なことをいっぱいしているだろうが、 やはり映画が取り上げるのは、こういう過酷な現状である。 映画は、紛争現場の国連の動きの中で、なんとか正気を保とうとする 女性を描いてる。 きついな、と思ったのは、セルビア人との関わりの証拠を処分する中で、 夫が3年半の間、紛争の記録をつけた日記すら処分していたことである。 歴史は、このような戦火をかいくぐれなかった記録が膨大にある中で、 わずかに残った記録から形づけられているのだろう・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-02-25 23:23:23) |
244. ベルファスト
《ネタバレ》 時は1960年後半。ハリウッド映画の盛んな頃である。 廃れる町、アイルランド。 市政への不満からか、暴動が起きる。 その不満分子と、前向きに町から出ようとする父親の対決でクライマックスを迎える。 家族の連係プレーと警察のおかげで難を逃れる。 そして、この事件を機に町から出ることに反対だった妻も、出ることに賛成する。 想いの詰まった町での、ラストダンス。 これが美しい思い出になるであろうことは想像できる。 シェイクスピア劇のケネスブラナーの自伝的作品であろうか・・ 場所がアイルランドといい、アランパーカーの「アンジェラの灰」を思い出した。 作家を輩出する町には、特徴があるみたいだ。 [DVD(字幕)] 8点(2023-02-19 22:19:41) |
245. さがす
《ネタバレ》 いやぁ巧いなぁ。 タイトルの「さがす」も、冒頭の失踪シーンを心配する娘からの描写ではじまり、 妻のことがあってからの本当のお父ちゃんを探し出したラストで終わる。 見事な作品。 佐藤二朗も弱さがありそうなキャラで、殺人犯につけいれられそうな感じが出てて、見事なはまり役。 主演男優賞をあげたい♪ 島の事件があってから、幸せが訪れたかのような終盤。 あれ?これでいいの?観てる側は、そう思う。 そこに、娘がまた大きく存在感を出す。 凄いです。 凄い監督だと思います。 [DVD(邦画)] 8点(2023-02-18 21:29:00) |
246. 梟の城
《ネタバレ》 篠田時代劇! 黒澤時代劇と比べて、篠田さんは勉強をとにかくしてるから、 一本の作品にあれもこれも詰め込んでしまうんだよなぁ・・ 聚楽第を画面に出した映画って、これくらいなんじゃない? ホント、野心的でさ、すごく興味深い話なんだよね。 ただドラマって詰め込み過ぎると、焦点が定まらないのも確か! でももうちょっと篠田時代劇も評価されてもいいような気がします。 一大文化を築いた時代劇娯楽映画の良さをたっぷり出してるもんね。 勿体ない気もします。 [ビデオ(邦画)] 7点(2023-02-15 11:27:16) |
247. 国定忠治(1946)
《ネタバレ》 さずが!国定親分の子分は粒ぞろいですね。 お松さんとの別れのシーンは、歯を食いしばって観ました。 映画を観て、歯を食いしばるなんて、中々ないですよぉ。 歴史を知っているから、ラストがたまらない。 赤城の山にこもるまでを描いた映画でした。 板妻がばっちりはまり役! [ビデオ(邦画)] 8点(2023-02-12 01:23:25) |
248. 雨あがる
《ネタバレ》 小泉さんらしい、骨太の佳作。 あのお侍さんと、奥さんは、小さい頃から一緒にいた感じだね。 能力はあるのだが、冴えがなく、いつまでも貧乏な夫婦。 現代の平社員にもいそう(笑) [DVD(邦画)] 7点(2023-02-10 13:55:45) |
249. さらば箱舟
《ネタバレ》 日本にこういう映画があったということが、まず驚き! ホドロフスキーに近い。 時間を所有する本家の男を殺した、分家の男が死ぬまでが、本編のメインストーリーである。 人殺しが死ぬまでに、どうなっていくのかを、寺山流に描写。 殺しの動機が、時間が無くなると、気持ちが静まらなくなるというとこが面白い。 その分家の男の妻が貞操帯を持っていたというのも動機の一つだろう。 (何故?貞操帯?許嫁が他にいる女だからか?) 演劇的な意味合いは良く知らないので、細かいところは分からないが、 その分家の男が、時間を本家とは別に持つことで、殺され、その妻の貞操帯が外れ、 それを本家の隠し子の男がモノにして、現代社会が生まれるという話は、いかにも一時代を湧かした作家らしい発想。 さらには石橋演じる分家の人間がやってくるあたりから、もうついていけましぇ~ん!(泣) 作家らしい発想としか言いようがありません。 ただ、神話を勉強したら意味が分かるかなとは思いました。 しかし、日本神話に真っ向勝負をかけた、寺山現代神話とも言えそうな気もします。 あの世の風景が現代社会というとこが面白く、ラストは高層ビル背景に記念写真で終わり♪ とてもユニークな作家が日本にいたというとこが発見でした。 [DVD(邦画)] 7点(2023-02-04 23:44:48) |
250. 時をかける少女(1983)
《ネタバレ》 これは封切り当時観た時は、正直、良さが分からなかった。 変な演出だなくらいしか思わなかった。 が、大林作品を多く観ていくうちに、大林マジックにも慣れ、 40年経って再鑑賞。 驚いた。 こんなに天才ぶりを発揮していた作品だったのか!?と・・ 周りの多くの映画青年が、この映画に影響受けていることも改めて分かった。 自分の凡才ぶりにも気づかされた(笑) でも、何より、この人の天才さを早いうちに気づいて、どんどん その才能を伸ばした業界の人たちの慧眼ぶりに驚いた。 [DVD(邦画)] 7点(2023-02-03 08:43:45)(良:1票) |
251. アキラとあきら
《ネタバレ》 主人公は2人の男とバチバチ火花を散らす。 1人は同期のアキラ。 ライバルがやがて、一緒に戦う者となる。 スポーツではありがちだが、ビジネスもので、この展開は新鮮。 もう1人は、上司の不動。 名前の通り、銀行のセオリーの権化である。 クライマックスは、一気にこの二人の男とバチバチやる。 だから、ヒートアップして、観ている者も、おおっと画面にくぎ付けになる。 巧いね♪ 女性があまり出てこないのに、埃っぽくないのは、今どきの若者の清潔感ゆえか・・ [DVD(邦画)] 7点(2023-02-01 23:45:52) |
252. どら平太
《ネタバレ》 夕方、テレビでやってる勧善懲悪時代劇を 豪華な顔ぶれで脚本にした感じの出来です。 陽キャラの役所広司がやれば、こんなラストになるよね。 この市川崑とのタッグが名作テレビ時代劇「盤獄の一生」につながるんでしょうね。 僕的には、役所広司は浪人の方が似合ってる気がします。 とにかく上意を捏造したとあっちゃ、武士道も何も、宇崎竜童の切腹も 説得力がなくなります。 まぁ娯楽時代劇の贅沢な味付け版という感じでしょうか・・ [DVD(邦画)] 7点(2023-01-29 19:59:11) |
253. MEMORIA メモリア
《ネタバレ》 アピチャッポン監督、初鑑賞。 ヘルツォークを思い出させるような文明批判映画と感じた。 人類の記憶の中に、西欧文明だけでは不可侵な分野がある、そういうメッセージを受けた。 あのラストの宇宙船が、その象徴だろう。 幻聴のする女性と、石の声が聞こえる男性。 この二人の邂逅に物語は大きく盛り上がる。 そして聞こえてきたのが・・ 砂浜での箱の中に主人公が閉じこめられていて、それをハンマーか何かで、 叩いて、箱をこじ開けようとする声だ。 これが宇宙船なのか(放射線とか言ってる)、彼女を殺そうとした別のなにかがあったのかは分からない。 (ただ素直に考えると、この女性は宇宙から来た人じゃないか?と思えるのだが・・) 、 [DVD(字幕)] 7点(2023-01-28 20:55:50) |
254. 無頼漢(1970)
《ネタバレ》 いやぁいいね!篠田時代劇! 「おりん」「写楽」「満開の桜」につづいて、この作品を観ました♪ もうね、タイトルからして、捻りなんだよね。 無頼漢って、丹波哲郎だったってとこがね。 普通、仲代って思うでしょ? しかも話のベースが山中さんの傑作「河内山宗俊」なんだよね~ 時代劇にあまり詳しくない人は、こっちを先に観ることをおススメします。 どういう人かって分かる方が、話も面白くなるから・・ (ネットで無料で観られますよ) 黙阿弥の原作がどの部分かも興味あるね。 古典を広げると、ここまで芳醇な世界が広がるんだね。 面白いです♪ [DVD(邦画)] 8点(2023-01-22 18:45:04) |
255. 丹下左膳(1958)
《ネタバレ》 やはり時代劇、屈指のキャラクター、丹下左膳に外れなし! 痛快時代劇の決定版です。 日本映画が好きな若者なら、「丹下左膳餘話 百万両の壺」は観たことがあるでしょう。 これは、その作品をさらに美味しく盛った豪華版であります! 実に痛快! 大岡越前、柳生一族まで出てきて、もうお腹いっぱいです! さらには美空ひばりの赤胴鈴之助ばりの立ち回りまで! 将軍がいい人だったりするとこなんか、本当にいいお上のもとで みんな幸せという造りに、観てるこちらもニンマリです♪ 左膳の剣が妖刀だということが分かっていると、また味が濃くなります。 [DVD(邦画)] 10点(2023-01-16 00:12:23)(良:1票) |
256. ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
《ネタバレ》 ダサい勉強ばかりの女子高生2人が、高校最後の夜を楽しむ。 現代の「アメリカングラフティ」だ。 しかも、主人公の相方の女の子がLGBTというとこが、現代らしい。 とにかく元気いっぱいのティーンエイジというとこが、さすが肉食の国アメリカらしい。 老いている日本とは、まったく違う。 若々しい気持ちになれた。 パーティ会場にたどり着いてからが、また楽しい。 会場を探し出すまでも楽しいし、ドラッグで人形になるとこは、新しい。 ラストまでとにかく元気だ。 コロナ禍のティーンエイジャーの生態も知りたい。 [DVD(字幕)] 7点(2023-01-15 20:16:05) |
257. 天草四郎時貞
《ネタバレ》 時代劇をかなり観てきたが、この映画は容赦ない。 前から思っていたのだが、時代劇の映画と漫画では、残酷さが違う。 白土三平や小池一夫の漫画は、かなり残酷だ。 一方、映画は、侍をどう描くかに力点を置くのが多い。 藩の横暴をここまで描いた映画は、今のところ、知らない。 それだからこそ、反乱というのが起きるところに説得力が出る。 江戸時代の多くの反乱。 それを真っ向から描いた、この映画は、ひょっとしたら多くの作家に 衝撃を与えて、文化を変えてしまったのかもしれない。 白土三平の漫画が多くの若者に影響を与えたように・・ その出発点が日本のヌーベルバーグ大島渚のこの一本もかなり関わったのではないか? [DVD(邦画)] 7点(2023-01-13 17:31:13) |
258. 風の歌が聴きたい
《ネタバレ》 聾唖者の映画といえば、名作「名もなく貧しく美しく」。 大林さんの本作は正に平成の「名もなく貧しく美しく」です。 聾唖者の映画といえば、もう一本お薦めなのが「エール!」。 これも素晴らしい映画です。 大林演出マジックのない、真っ向勝負の演出で、 感動の出産場面を描きます。 考えてみれば、映画で出産場面を描いた映画ってないですよね。 (小生も経験ないですが・・笑) もうこの場面は涙、涙でした。 さて、令和の時代の「名もなく貧しく美しく」は、誰が撮影するのでしょうか? [ビデオ(邦画)] 10点(2023-01-10 21:52:58) |
259. 女ざかり(1994)
《ネタバレ》 面白いじゃないか!吉永小百合! 本当にこれ観て、つくづく思った。 彼女は使いづらい俳優なんだろうなって。 小百合ブランドを、大林ブランドで力でねじふせて使ってみたら、 何ととても面白い作品に仕上がっている! とにかく、小百合ブランドを潰すような使い方ばっかり! 性の匂いのしない吉永と、中年のエロさたっぷりの津川をカップルにするとことか、 内容そのものが、「現実(昭和の)世界」マイナス「大林ワールドの少女世界」イコール「この映画」って感じだもん。 政治の世界の不気味なとこに入っていく度胸のある女性を吉永が演じると、これが実にはまり役! そして、その後、政治のしがらみに絡めとられた組織(新聞社)から退職するまで、実に見応えがある。 何というか、喧嘩に勝ったら、もうそれでいいみたいな女性が吉永に重なって、ラストは拍手もんですよ。 そして、政治の不気味さが大林ワールドの異世界と不思議とマッチしてて、お見事! これは、傑作! [DVD(邦画)] 9点(2023-01-08 23:16:29) |
260. 酔画仙
《ネタバレ》 画人をとり上げた映画は、有名なのは「美しき諍い女」。 これは1枚の絵を完成させようとする映画だった。 他にも「燃える女の肖像」がある。 これは男のような女を見事にキャンパスに収めて見せた。 この映画は、実在の画人「張承業」の一生を描いたものだ。 劇中、スラスラ描かれる絵は、どれも息をのむ。 絵も映画も見応えあって、素晴らしい作品だった。 鷹に追われる小鳥の群れの絵が、自分的には一番好きだった。 ただ、悩み苦しんで、人生の集大成の作品が最後、我々に 見せてもらえればもっと良かった。 [DVD(字幕)] 8点(2023-01-08 10:51:43) |