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かっぱ堰さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1249
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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261.  迷宮カフェ 《ネタバレ》 
骨髄移植をテーマとした映画で、少なくとも前半はあからさまにPR映画のように見える。ファンタジックかつミステリー調に展開する中でも、骨髄移植の基礎知識のようなことを主人公が何気にしっかり語っており、そのあとコーディネーターが出た場面などは本当に啓発ビデオ(コメディ風味)のようだった。 提供された側が感謝する顔をわかりやすく出すことをしないのは、現実に相手の顔が見えないことの反映と思われる。しかし代わりに出ていた「調整医師」役の女優はまさに本物であって、実際に骨髄移植を受けたからこそ今この人がここに映っているということのようである。そのほか映画的な作為として本人と偶然対面する場面があったりもした。  また啓発だけでなく後半では“家族”や“生命”に関することを加えて物語の厚みを増していたようだが、特に“生命”に関することが正直わかりにくいのは困った。無理にまとめる必要はないかも知れないがあえてまとめると、生命の価値はそれ自体が絶対的なものであって代替不可能、というようなことを訴えたいのかという気はしたが、それにしても台詞が長かったりして文章を読み解くような努力を要するのは少々つらい。 また本当にわからなかったのは獄中結婚のくだりであって、これは獄中側にとってはありがたいことだろうとは思うが、結婚を言い出した側の動機については納得できなかった。いろいろと事情はあるにせよ、自分を助けるための人助けをするな、という一般原則に反した軽率な行動ではなかったかという気はしなくもない。  一方で物語の作りとしては、少々わざとらしいが意外な展開が何か所かあって退屈せず、また個人的には2か所、思わず泣ける場面があった(録音テープの声、コーヒーが好きな人)。最後に出た「浜辺の少女」(役名)というのがほんわかした感じで心和むものがあり、このことも穏やかな余韻を残す結果につながっている。 また主人公は良心的な人物だろうと最初から思ってはいたが、「甘いもの食べると少し元気が出る」という言葉を聞くと、あらためて心優しい人柄が見えた気がして素直に好意を寄せたくなる。最初はただのPR映画と思っていたら結果としては意外に悪くなく、心温まる映画に思われたというのが実感だった。 ちなみに自分としては、これからドナー登録をするには遅いようだが、せめて(直接関係ないが)献血くらいは続けたい。
[DVD(邦画)] 6点(2017-12-06 19:27:52)
262.  学校の怪談 呪いの言霊 《ネタバレ》 
以前の「学校の怪談」シリーズというのを知らないので比較できないが、これ単独で見る限り、安手のアイドルホラーと割り切って見れば悪くない。撮影は全て天気のいい昼間だったようだが、それでけっこう背筋の寒い映画ができている。 ストーリーは込み入っていて理解不能だが、要は計5人が同じ日に廃校へ侵入したところ、男3人が校内の閉鎖空間に取り込まれ、以前からいた高校生と合流したということらしい。また校内で人々の発言に聞き耳を立てていたのが「あ」「く」「ま」であって、これが閉鎖空間を支配していたが、普通とは違う専用の降霊術でコンタクト可能だったようである。校舎が解体されてからも、この閉鎖空間だけはいつまでも現地に残るのだろうという気がした。  また「言霊」という言葉の解釈に関しては、暑いと言われると本当に暑くなる、というのはいい例だが、しかしガス事故を語ればガス事故が起きるというのも短絡的過ぎるので、簡単に言ってしまえば「怪を語れば怪至る」ということだと思われる。また場所の問題ということもあるわけで、まさにその現場でそんなことを言うな、と思う場面は現実世界でもなくはない。 自分が思い出したのはむかし読んだ本(※)の中で、航海中に海上で怪異を見た人物が、船長に「何か見ましたか」と聞かれて「いいえ」と答えたことに関し、「船中にては左様のことは申さぬもの、という伝統的なたしなみを持っていられたのであろう」と評した話があったことである。“たしなみ”といえば場所の問題だけでなく、そもそも死者なり鬼神なりに対して敬意を払っておく(のが無難)というのもその一つと思われる。 何かと強がって見せたい年頃の連中にそんなことを求めても無駄だろうが、それでも一応、例えば心霊スポットに突撃して現場を荒らす無鉄砲な連中を戒める教訓的な映画と取れなくはない。 ※今野圓輔「日本怪談集 幽霊篇」(1969年)(現代教養文庫666)「海坊主のあくび」  なお主演のグループは知らない人々なので何ともいえないが、気が動転して何も考えられなくなった顔がけっこう真に迫っていると思う演者はいた(これが彩乃という人?)。侵入した女子の「バッカみたい」というのも非常にいい。石橋杏奈さんは心のピュアな清楚系の役で大変結構でした。
[DVD(邦画)] 6点(2017-12-06 19:27:49)
263.  コドモ警察 《ネタバレ》 
amazonで視聴、TVドラマの方は見ていない。 この監督の映画に共通のことらしいが、自分としては最初から最後まで大笑いというわけでもなく、微妙にニヤニヤしながら見ていて時々大笑いする場面があるという感じである。この映画では、新聞をたたんでから茶をぶちまけたところは笑った。 刑事ドラマとしては特にどうということもなく、要は年齢のギャップが可笑しいだけである。特にギャップが目立つのがデカ長だろうが、これで石原裕次郎なのか渡哲也なのかはわからない。最年長の刑事は役者も年上でベテランの風格が出ているが、劇中人物としては慎重すぎて詰めが甘くなるのが弱点ということらしい。また女刑事はあまりに美形すぎて笑ってしまった(惚れた)。さすが同級生の児童からも一目置かれていたようである。 そのほか新人刑事を含めて、最後はレギュラーメンバーにけっこう愛着がわいて来る作りだったので、TVシリーズの方はさぞ人気が出ていたのだろうと思っておく。
[インターネット(邦画)] 6点(2017-12-01 19:28:30)
264.  富江 アンリミテッド 《ネタバレ》 
伊藤潤二原作のホラーマンガシリーズ「富江」の映画化第8作で、現在までのところこれが最後の富江映画である。 写真部の月子という少女が主人公で、主に原作の「写真」「接吻」のあたりを下敷きにしたようだが原作通りでは全くない。グロ描写や残酷場面を遠慮しないというのが副題の意味だろうが、廊下を追いかけられる場面などはドタバタホラーの風情だった(これは気色悪い)。あまり真面目に見るものではないという気にもなるが、今までにない賑やかさと映像的な見せ場(安っぽいが)の豊富な富江映画とはいえる。  ただし終盤になると、主人公の秘めた感情をもとにして思い切りシリアスな物語ができている。意味不明ではあるが自分として思ったのは、劇中では明らかに富江(姉)=怖い、主人公(妹)=可愛い、という対比ができており、これはどう見ても妹の方が人に好かれるはずだということである(主観だが)。主人公が姉に引け目を感じていたというのは家庭内事情なので何ともいえないが、少なくとも外部評価として姉>>>>>妹ということはありえない(主観だが)。 主人公は自分が他人に必要とされていないと思い込み、本当は周囲の皆が少しずつ自分の存在を支えてくれていることにも気づかないまま、そこに付け込んだ姉に誤ったイメージを植え付けられて自滅したということではないか。妹が父の実子でないというのも実は嘘で、本当は姉の方がもらい子だったとも考えられる。最後は例えば虐待する夫から離れられない妻のような図式になっており、こうならないためには自己の確立が大事だという警告の物語と取れる。  ところで今回の富江は、「シリーズ史上最も原作のキャラクターに近いと評される」という宣伝文をあえて否定するつもりもないが、何しろ顔が怖すぎて、見た男が全員惚れるという本来の設定はどこに行ったのかという感じだった。これに比べれば、終盤で街中に蔓延していた富江はさわやか感が際立っており、仲村みうという人本人も(もともと少し怖いイメージだが)さすがに本来はこっちに近いのだろうという気がした。 また主人公(妹)は、外見的な印象としては前記の主観のとおりで、この人だけはあくまで清純派でいてもらいたかったが最後は少し残念だ。ほかAKB48メンバーの扱いがひどすぎたのは笑うしかないが、しかし本人は何とも思っていなかったようで、こういうところは現代アイドルの割り切りのよさかも知れない。
[DVD(邦画)] 6点(2017-11-26 21:58:26)
265.  手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド 《ネタバレ》 
VSシリーズとのことで2つの戦隊が一緒に出ているが、途中でまた別の戦隊が出て来るのは意外だった。この企画の通例としては、今の戦隊(ニンニンジャー)のTV放送が終盤にかかった時期に、前の戦隊(烈車戦隊トッキュウジャー)と共演するのを基本とし、そこに放送開始前の次の戦隊(動物戦隊ジュウオウジャー)が予告的に姿を見せるということらしい。次期ヒーローを出すのは仮面ライダーでも同じだが、昨年の戦隊が再登場するのは前から見ていた人には懐かしく感慨深いということになるようである。 エンディングテーマはニンニンジャーの方だったので今の戦隊がメインということだろうが、実際は2つの戦隊がほとんど並列で活躍する形になっている。自分としてはニンニンジャーのかすみ姉のファンなのでもっとじっくり見ていたかったが、メインキャストが12人もいて存在感が低下するのは残念だった。また両戦隊とも、どちらかというとお姉さんキャラより妹キャラの方が目立つ構造だったようである。  内容に関しては、特に烈車戦隊の方の基本設定がよくわからないまま起こっていることをただ見るだけだったが、それでもけっこう声を出して笑うところが多い。両戦隊ともベースがそのように作ってあるのだろうが、ある程度年齢と関係なしに観客を楽しませようとする姿勢は好印象である。単純に面白いだけでなく両戦隊の間をつなぐ共通のテーマがあったようで、みんなのところへ帰るイメージが自らを救うところはなかなかよかった。 ちなみに次の戦隊(ジュウオウジャー)は出番が短かったが、撮影地の都市的景観や戦隊メンバー自体のカラーリングの関係もあってか爽やか感の強い映像になっていた。戦闘中にトラの人が「にゃあ」と言っていたのは好感が持たれる。
[DVD(邦画)] 6点(2017-11-09 19:39:41)
266.  うさぎ追いし -山極勝三郎物語- 《ネタバレ》 
癌研究で知られる山極勝三郎博士(1863~1930)の映画である。「厚生労働省推薦 日本赤十字社推薦」であるから安心して見られる。 人となりに関しては、劇中人物のキャラクターの通りとすれば確かに好人物である。業績の意義は素人としてはわかりかねるが、日本初のノーベル賞受賞は湯川博士でなくこの人だったかも知れない、といえば国内向けにはアピール度が高い。また多分この映画独自の趣向として、実験動物と文部省唱歌を関連づけて出身地とのつながりを強調していたのは、ご当地映画として地元の要請に応えるためだったと思われる。なお動物実験に関して、登場人物自身が悩む姿を見せることで観客の批判的感情を和らげようとした節もある。 ストーリー面では、事実そのままではお話にならないところ、何とか面白味を出そうとしていたようでもあるが感動要素は正直少ない。本筋以外の劇的な部分として長女の学究心とか津軽娘の恋のエピソードが入っており、これは一応理屈で考えると、研究一筋だったことで本人や周囲が犠牲にしたものもある、という意味に取れるが、実際見ているとさらりと流れてしまったようでそれほど心に引っかからなかった。  キャストに関しては、仏頂面だが好人物というキャラクターにこの主演俳優は適役とは思うが、新婚初夜からしてこの役者がやるのでは笑ってしまう(それをいえば新妻役もだが)。まあ劇中人物としてもユーモラスなところがあったので、最初から笑われるくらいがちょうどよかったのかも知れない。 また長女役(及びナレーション)の秋月成美という人は顔を見ていると和むタイプで好きだが、劇中でも重要人物だったのは嬉しいことで、大正時代の女学生の姿も似合っている。しかしこの長女が歳をとると何でこんなくどい顔になるかというのは不満だった(声もガラガラだ)。ほか津軽娘役の森日菜美という人は東京出身のはずだが、発音をけっこう練習していたようで感心した(「私です」が上手い)。 以上のほか、実は突っ込みを入れたいところがかなり多い映画だったが、ここは山極博士と出演俳優(特に秋月さん)への敬意を込めて少し補正した点数にしておく。
[DVD(邦画)] 6点(2017-11-05 17:48:16)
267.  ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ 《ネタバレ》 
完璧な映画では当然ないにしても、多少のことは主人公のキャラクターだけで全部許しちゃるという気分だった。自然体で邪気のない愛すべき人物で、東京に行ってからもぜひこの方言のままで通してもらいたい(周囲に真似されそうだ)。終盤で、この主人公が父親と祖父の間で手をつないだところでは少し感動した。最後の歌もかなりいい感じである。 全体としても、基本的には退屈せずに見て、それなりに盛り上がってからすっきり終わる普通に面白いアニメだった。しかし一方では必然性不明の設定とか細切れの事物が流れ去っていくような落ち着かない感じの話になっており、また宮崎ヒーロー並みの離れ業とかコリコの街の発明少年のようなのとか第3新東京市で使徒を迎撃するような状況には新しさを感じない。それでも全部通して見れば、細かい点でわからないことはあっても(考える気がない)何を表現したかったのかはおおむねわかる気がする。 個人的な疑問点としては、2020年までに自動運転車を実現するというのが変に現実味のある設定で、単に事実に取材しただけのようで夢が感じられないことである。人が要らない完全自動運転にしても、すでに現実の延長上に見えるものであって驚きも何もないわけだが、あるいはもしかすると“発達した技術は魔法と区別がつかない”というような主張を、抽象論ではなく今ある現実に即して見せようとするとこうなるのかと思ったりした。またそれよりも自分としては、“年配の科学者が不可能だと言った場合、それはほとんど間違っている”(クラークの三法則の1より)ということの方が思い出され、これから伸びようとする若い世代への期待を込めた物語だったのかという気もした。 そういうことで点数は、主人公のおかげもあって少しいい点にしておくが、これはDVDで見た場合の点数であって、もし映画館で見ていればさらに+1くらいにはしていたかも知れない。 ついでに、関係ないかも知れないが思いついたので書いておくと、劇中の整備工場(特に灯台の下にあった方)は、エドワード・ホッパーの「海辺の部屋」のイメージ(部分)かと思ったりした。
[DVD(邦画)] 6点(2017-10-02 19:55:51)
268.  劇場版 仮面ライダーウィザード in Magic Land 《ネタバレ》 
TVシリーズは当然見ていない。特にこの映画を見る義理があったわけでもなく、同時上映の戦隊モノを以前に見たのでその関連でということだが、メインキャストのうち3人(白石隼也・奥仲麻琴・戸塚純貴)をこのサイトで人名登録したのが自分だということもあって若干の思い入れはなくもない。うち白石隼也は、映画初出演の「制服サバイガールⅡ」(2008)では最悪の印象を残していたわけだが、さすがにこの段階に至るともう違和感もなく、基本的にはイケメン役者だろうがとぼけた感じも出していて、かなり好感度の高いキャラクターになっていた。ほか凛子ちゃんというのもきりっとして感じのいい人である。 この劇場版では日常を離れた異世界で物語が展開し、単純なTVの拡大版でないのは「劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト」(2003)のようでもある。世界が「マジックランド」になってしまったために主人公の強さが相対的に低落し、TVシリーズを見ていなかった自分としてはもっと普通に格好いいところを見せてもらいたいと当初は思ったが、中盤以降は当然ながら本領発揮していたようで結構だ。ちなみに黒が基調で透明感のある赤という姿は嫌いでない。 ストーリーとしては何だかよくわからないところもあるが、今回の劇中世界では浮いた存在に見えた「ファントム」というものが終盤でちゃんと意味を持つことがわかったのは感心した(感心するまでもなく当然だろうが)。また自分としては、特にエンディング後のしあわせ感のある場面が非常に嬉しかった。登場人物の役名で「マヤの妻」というのがあったのでどこに出たのかと思っていたら、最後になってそういうことだったのか、という意外感がある。「世界を一つ、ブッ壊した甲斐があったな」という台詞が感動的だったといえなくもない。
[DVD(邦画)] 6点(2017-08-19 20:54:32)
269.  陽炎の辻 ~居眠り磐音 江戸双紙~スペシャル 海の母 <TVM> 《ネタバレ》 
時代小説シリーズ「居眠り磐音 江戸双紙」を原作として、2007~2009年にNHKが放送した連続TVドラマの特別編である。それまで3年3期にわたったTVシリーズの最後をこの特別編で締めくくるということだったらしく、原作小説はこの後もまだ続いていたが、TVの方は主人公が所帯を持って地位も安定したように見えたところで一旦終了にしたようである。 自分としては原作・TVとも未見だが、今回見ると主人公はなかなかの好人物で、少々ご立派すぎるのがかえってマイナスかという感じである。長屋の衆など番組レギュラーの近況を一応紹介する場面もあったが、ちなみに本編ではもう少し存在感のある人物だったはずのお有(演・海老瀬はな)という人が、この特別編では顔出しだけで終わっていたのは個人的に残念だった。  今回のメインになるのは13歳の少年が御家存続のために仇討ちをするエピソードである。真の悪人はいないにもかかわらず結果的に人は死ぬという展開だが、武家の論理を理不尽なものとして否定するということでもなく、この時代なりの社会の厳しさに年若い少年を直面させて成長を促す話だったように取れる。登場人物の思いの絡み方が結構複雑なのは原作由来だろうが、母とか祖父とか幼馴染とかの様々な心情を見せることで視聴者が共感できるポイントを各種用意していたように見える。 なお今回は話のかなりの部分が江戸を離れて房総半島で展開しており、上総上湯江(千葉県君津市上湯江)、安房北条(千葉県館山市北条)といった実在の地名が出る。ただし北条湊の場面は岩手県大船渡市で撮影したとのことで、リアス式海岸のため房総半島にしては風景が狭苦しかったりする。港湾施設で突然仇討ちが始まったのは周囲の迷惑だろうが、野次馬で見ていた町民は本気の真剣勝負を間近に見て度肝を抜かれたのではと思ったりした。
[DVD(邦画)] 6点(2017-07-18 19:50:36)
270.  男子高校生の日常 《ネタバレ》 
題名からすると男しか出ていないようで見る気が薄れるが、実際見れば男女比が均衡しているので悪い印象はない。男は要はバカばっかりだが、くどくならないのでわりと気分よく見ていられる。女子の不敵な態度とか酷薄な感じも悪くなく、主人公の妹の強硬姿勢も見ていて心地いい。個別の台詞としては「温暖化そんな甘くないっつーの」という突き放した一言が個人的に好きだ。 男女それぞれ日常会話で騒ぐ場面が多く、話の内容自体に大した意味はないわけだが男女別の特徴は出ている。同じ監督の「私たちのハァハァ」(2015)も見たことがあるが、若い連中のわちゃわちゃ感のようなものを好む監督なのかも知れない。また原作由来かも知れないがギャグネタが可笑しいところもあり、登場人物の行動(演出)で失笑させられる場面も多い。物語の面では特に何だというほどのものはないが、年に一度の非日常のハレの日を何となく迎え、実はそれぞれ期待するところのあった男3人の思いが実を結ばず終わった侘しさと、明日からまた日常が戻って来るという諦念を残したラストに見えたのは悪くない。 登場人物に関しては、今回は目当ての女優が三浦透子さんと山谷花純さんの2人いたので個人的には豪華キャストだったが、ほかにコンビニのお姉さんにも目を引かれてしまったりする。また「チームしゃちほこ」の当時のメンバーが全員出ていたようで、劇中ではマイナー扱いだったが自分でさえグループ名だけは知っている。名乗り部分にものすごい脱力感を覚えるグループだった(ただし4年前)。 以上、人生への啓示を得られるようなものでは全くないが、自分としては単純に面白かった。これはけっこう好きだ。全国的に評判がよくないようだが悪い点はつけられない。  ちなみに中身と関係ないが、撮影に使った海の見える学校は静岡県沼津市の廃校ではないかと思うが、今回を含めて自分としてはここで撮った映画を3つ(または4つ)見たことがあり、その全部に前記の三浦透子さんが出ていたりする。近年かなり便利に使われているらしい。
[DVD(邦画)] 6点(2017-05-30 19:54:30)
271.  鷹の爪8 ~吉田くんのX(バッテン)ファイル~ 《ネタバレ》 
「秘密結社鷹の爪」の劇場版第8弾ということのようである。このシリーズは初めて見たので事情がよくわかっていないが、今回は主に20世紀の島根県吉田村を舞台として、「吉田くん」が世界征服を志すに至った動機とその結末(予定?)を描いた形になっており、いわゆる「鷹の爪団」はほとんど出ない。 今回のネタ元は題名に出ているとおりTVドラマ「X-ファイル」(1993~2002アメリカ)で、エイリアンとかオーパーツとかUMAとかオカルト色が濃厚だが、そのほかどうしようもないギャグネタ満載のせいで失笑の連続である。個人的には「ジョン&パンチ」などというものを日本国民の一体何割が憶えているものかと呆れた(TVドラマ「白バイ野郎ジョン&パンチ」1977~1983アメリカ)。 ちなみに20世紀の吉田村にいた同級生の里美役は、声優ではなく女優の森川葵という人で、何でこの人でなければならないと思ったのかよくわからないが、外見はかわいいのに性格がきついキャラクターを当てたのは悪くない(声優としての力量については何ともいえない)。こんなアニメを自分が見たのはこの人が出ていたからだが、そうでなくとも本編のバカらしさだけで結構面白いと思わされる映画だった。ちなみに少し切ないところもある。  なお余談として、映画の中にも島根県の自虐カレンダー(2017年版)が出ていたが、旧国名とか個々の場所は知られているのに県単位で存在感のない例は他にもあるわけで(例えば×重県)、自虐してまで無理に売り込む必然性はない気もする。出雲大社とか石見銀山とかの有名どころ以外にも、映画関係でいえば錦織良成監督の「島根3部作」や、少女時代の夏帆が出演した「天然コケッコー」「砂時計」があり、さらに「砂の器」に出ていた「亀嵩」(仁多郡奥出雲町)も吉田村からそれほど離れていない場所にある。そのほか個人的には、著名な都市伝説「〇とりばこ」が旧松江藩領内の話だったことも覚えており、ちゃんと知っている人は知っているということである。まあ知らなくても困らないとはいえるが。
[DVD(邦画)] 6点(2017-03-25 22:54:38)
272.  魔法少女を忘れない 《ネタバレ》 
ライトノベルを原作とした青春映画で、福岡市に拠点を置く「テレビ西日本」が中心になって製作し、撮影は福岡県内で行われたとのことである。結果的にはさまざまな面で見る側にかなりの寛容さを求める映画になってしまっているが、それでもあえて自分としては褒めることにした。こういうものを大真面目に作ったTV局はえらい。  まず「元魔法少女は忘れ去られる運命にある」というのが基本設定になっており、これが終盤ではかなり衝撃的な形で描写されていたが、しかしそのように“忘れられる”ことだけでなく、“忘れる”ことの悲しみも強く表現されていたようである。人は何かが好きだと思ったとき、同時に自分のその気持ちがいつか失われることを予期して悲しく思うことがあるが、そのような主人公の思いが切なく感じられる映画だった。 また「元魔法少女」とはそもそも何のことなのか、説明がないまま終わらせるという突き放した態度も嫌いでない。劇中歌の歌詞で、“恋をしたら呪文を忘れる”というようなことを言っていたのをまともに取れば、実際に(発端の時点から?)恋をしていたので魔法が使えなかったのかとも思われる。終盤の荒唐無稽かつ都合良すぎの展開は、2人の強い思いが魔法に負けないほどの奇跡を生んだとでも思っておくしかないか。  登場人物に関しては、劇中の魔法少女はほとんどの場面で可愛らしい美少女に見えたが、鋭角的な顔立ちのせいもあって単純にカワイイで終わりにならない複雑な印象があり、これがいかにも魔法少女らしいといえなくもない。 一方の幼馴染はマンガっぽい可愛さを出しており、序盤で眼鏡がずれたところなどは秀逸だったが、中盤での告白場面はあまりにも痛々しいので正直泣かされた。ここまで延々と語らせておいて何で早く受け止めてやらないのか、と男の側に言いたくなったが、結果的に受け止めてやらなかったのは非常に意外だった。結局、誰かのハッピーエンドは別の誰かの不幸を前提にするものだったようで、これが魔法少女の魔性ということかと思わなくもない。 ただ彼女は忘れられたとしても、逆に彼女の方が忘れることもできるという意味ではお互い様である。大人ならそう思って納得するところだが、しかしその場の当人にとってはそうもいかないのであって、ここは自分としても大昔の記憶がよみがえる気がして若干切ないものがあった。
[DVD(邦画)] 6点(2017-02-16 23:14:01)
273.  明烏 あけがらす 《ネタバレ》 
落語の「明烏」を一応予習してから見たが、その割に序盤の展開が「芝浜」のようだと思っていたら落ちがまるきりそのままだった。これのどこが「明烏」かと思うが、中盤で真面目ホストが借金取りを篭絡しようとするあたりは「明烏」の一部を真似ていたようである。題名の方は要はホスト=カラスということだったらしい。 笑える話かどうかに関していえば、これまで自分が見たものでは「女子ーズ」(2014)と同程度である。つまり笑うところがなくもない、というくらいのものだが、ただし自分としては田中邦衛にはどうしようもなく笑ってしまった。いろいろあっても最後は全部が丸く収まるのが心地いい作りで、まあ見てよかったという気にはさせられる。 ほかキャストに関しては、主役を含めて男はどうでもいいとして、吉岡里帆という女優は注目する気がなくても否応なしに思い切り印象に残る。知らない人かと思ったら「幕が上がる」(2015)に2年生役で出ていたようで、見直してみると見事に存在感がなく、こんな人がよくも大勢の中に紛れていたものだと逆に感心した。「明烏」とは直接関係ないが、演劇を目指す人にエールを送る「幕が上がる」とのつながりで、自分としても陰ながらこの女優を応援したくなった。
[DVD(邦画)] 6点(2016-12-30 16:38:33)(良:1票)
274.  ポッピンQ 《ネタバレ》 
題名の印象が強かったので出来心で作品登録してしまったが、自分が申請したからには率先して見なければという気になって行って来た。しかしさすがにこれを自分一人で見に行くのは恥ずかしい。チケットカウンターで題名を言えない。 映画としては東映アニメーション60周年記念とのことで、昔の東映動画まで遡れば各種さまざまなアニメが制作されてきたわけだが、今回のこれはセーラームーンとかプリキュアシリーズの流れだとすれば、そういうものを見ていることがますます恥ずかしい。  物語としては、当然ながらそれほどの深刻さもなく大らかな気分で見るものになっている。別々の場所に住んでいた中学3年生の少女5人が、卒業式の直前に異世界に呼び出されて全ての世界を救うために戦う話であり、その中で卒業後の新しい人生に立ち向かう勇気をもらったというようなことかと思われる。5人が揃うまでには少し時間がかかったが、最終的に揃ってみればそれぞれイメージカラーを生かしたコスチュームと特殊能力を付与された美少女戦士なり魔法少女のチームのように見えた。 本編はそれ自体としてハッピーエンドで終わるが、エンドロール後に後日談のようなものが入っていて、高校進学後の彼女らをまた新たな展開が待ちうけていることになっていた。どうもこれはシリーズ化の予告のようで、本編中の謎もそのまま持ち越されるらしいが、さすがに自分もそういうものまでは期待していない。  こういう映画にあまり真面目に突っ込むのも気が引けるわけだが、自分として残念だったのは異世界の風景だった。事前に見ていた紫基調のイメージ画(ティザービジュアル)の感じを期待していたところ、実際はアメリカ西部のようなあっけらかんとして乾いた風景で、空に向かって高く盛り上がる家々も劇中では生かされていなかった。背景設定よりキャラクターとダンスに力が入っていたのかも知れない。 ただ自分がこういうものを見慣れてないからかも知れないが、劇中の出来事そのものはたいしたことないと思いながらも雰囲気に巻き込まれて変に感動させられてしまう場面が複数あった(例:クールビューティの失言、橋を渡って11秒88)。これは劇場で見たからということもあるだろうが、作り方として上手いところがあるのかも知れない。 なお点数はかなり甘くつけておくのでそのままには信用できない。
[映画館(邦画)] 6点(2016-12-24 09:45:05)
275.  ビッグゲーム 大統領と少年ハンター 《ネタバレ》 
いきなり最初からフィンランドにこんな険しい山があるわけないと思ったら、実際の撮影地はドイツのバイエルンだそうで、このあたりでこれはもうファンタジーなのでリアリティなど問題にすべきでないという気にさせられる。 アメリカ人役で出ているのは実際にアメリカで活動している俳優らしいが、原案・脚本・監督はフィンランド人であり、この映画もあくまでフィンランド映画である。その割にはハリウッド風の(大作風の)アクション映画のように見えるが、これは今回の趣向がそうだったというだけで、実際はフィンランド映画であるからハリウッド映画と直接比較するようなものではない。ただしフィンランド映画にしては金がかかっているのではないかと思われる(英独も製作に関わっている)。 物語に関しては、基本的には異質のようでも共通点のある2人が協力して困難を切り抜けたことでともに成長する話に見えるかも知れないが、題名に基づいて解釈すれば、テロリストと少年が狩りの獲物を奪い合う映画と思うのが正しいことになる。最後は少年が勝ったことでアメリカ大統領がクマとかシカ並みの扱いにされていたわけで、あくまで主人公はフィンランドの少年である。 またアメリカ大統領をめぐる陰謀の映画のようでもあるが、それが最終的にどうなったのかよくわからず、問題を残したままで終わってしまった印象もある。しかしあくまで主人公はフィンランドの少年であるからワシントンでこれから何が起こるかはもう関係なく、少年側がめでたい状態で終わればハッピーエンドである。 そういうことで、あくまでフィンランド側に視点を置いて見れば素直に良さが感じられると思われる。要は天下のアメリカ大統領をネタに使ってフィンランド人が盛り上がる痛快映画だが、単純に可笑しい場面もあって万人が楽しめる映画になっている。  ちなみに自分はフィンランド語は話せないが聞いているのが好きなので、劇中でフィンランド人が朗々と語る場面は聞き惚れてしまう。古老の言葉を後で少年が再現する場面があったが(“Metsä on ankara tuomari…”)、ここはこの少年が格好よすぎて少し感動した。
[DVD(字幕)] 6点(2016-12-17 10:51:24)
276.  帰ってきた手裏剣戦隊ニンニンジャー ニンニンガールズvsボーイズ FINAL WARS<OV> 《ネタバレ》 
TVシリーズ終了後の特別編Vシネマとのことで、劇場公開の場合の時間的制約がないということなのか、サイズ的に55分もあって内容が充実している。序盤のニンニンガールズの大活躍がいきなり爽快で、なぜか突然アニメ化する場面もあったが個人的には実写の方がかわいく見えた。 今回はゲストが豪華なようで、中山忍という人は戦隊ヒーローの母親役にはさすがに若すぎる気がしなくもないが、もしかすると名前でキャスティングされたということか。またミドニンジャーの人は戦隊ヒロインとしては明らかに違和感があって笑いを誘うが、本編を見ていた人々にとっては声優の顔出し出演ということになるらしい。もう一人、敵方のおふくろさん役の声優も顔見せしていたようである。 今回も当然ながら視聴者を楽しませようという意図が前面に出ていたようだが、物語に込められた一応のメッセージとしては、夢は誰のものでもなく自分のものだからその気で頑張れ、ということらしく、そういうことなら番組終了後(いわば卒業後)の後日談にふさわしい。かすみ姉(個人的にファン)には自分としても研究者の道でがんばってもらいたいが、今回は可愛いアイドル姿を見せてもらって大変よかった。 ラストで「冠婚葬祭の時」にまた集まるようなことを言っていたのは現代日本の生活感が出ているが、シリーズはこれで本当に終わりということらしい。エンディングでの御礼と年少の視聴者への励ましを見ていると、自分は対象外だと思いながらも嬉しくなる。
[DVD(邦画)] 6点(2016-11-10 20:34:28)
277.  流れ星が消えないうちに 《ネタバレ》 
「半分の月がのぼる空」(2009)と同じ原作者の一般小説(ライトノベルでなく)を映画化したものである。 映像面の印象やクラシカルな背景音楽の雰囲気は悪くないが、どうも話が地味で長く感じる上に説明不足の点が多い。大まかなところはわからなくもないが、自然にわかるというより作り手の意図を理屈で推測する感じだった。 物語としては、要はかけがえのない人の死をどう消化するかの話と取ればいいのだろう。多少ネタバレ的に書いてしまえば、死んだ元彼はこれから主人公と今彼を結ぶ紐帯として、二人の関係の中に取り込まれたと思えばいいのかも知れない。もちろんそれ以前にそれぞれの心の中で一定の割り切りが必要なわけで、劇中でもそういう描写はあったように思われる。 ただしそもそもの問題として登場人物、特に主人公に生活感が全くないのはさすがに変だ。また今彼がいつまでも死んだ友人にこだわっているのが同じ男として理解できず、主人公の父親までが高校生の発言に感化されるというのも話として甘く見える。ちなみに小市慢太郎という役者の持ち味が、今回は少しわざとらしく感じたのは残念だった。  映画だけでは不足だったので原作を読んだところ、原作にかなり忠実なようではあるが、原作での説明が映画ではかなり捨象された感じになっており、また場面間のつながりも弱いため、やはり映画だけ見た人間にはつらいものがある。また映画では今彼が単に軟弱な男にしか見えず、性格や行動面での美点に関して元彼との対比がはっきりしないため、この男ならではの存在意義が感じられなくなった気がする。 やはり映画化の限界というものがあってのことだろうが、ただし人が生きようとする物語だという基本線には当然だが賛同できる。原作ファンであれば、きれいに映像化された原作の世界を楽しめるかも知れない。また個人的には、劇中で親しい者同士がじゃれ合う様子が自然な感じで好きだ。終盤の鍋のしあわせ感も嬉しい。  なお余談として、同窓会の場面で相楽樹という女優が出ていたが(吉田みずき役)、何か思惑があるような顔でいながら結局何だかわからず、原作を読んでも書いてないので謎のままである。また「武蔵野市・三鷹市 協力作品」とのことだったが、劇中でも「武蔵野地粉うどん」「むさしのプレミアム」といったものが出ていて、東京なのに地方のまち興し映画のようになっていたのは変だ。
[DVD(邦画)] 6点(2016-11-04 20:32:15)
278.  金メダル男 《ネタバレ》 
原作・脚本・監督・主演の人物がこだわりで作った映画のようで、本人の人脈で一定の豪華キャストが実現したということらしい。基本的にはコメディで、爆笑するほどのものはないが終始ニヤニヤしながら見ている感じだった。泣かせる箇所も複数あり、そのような悲喜こもごもの断片が連なって流れていくのが人生ということかも知れない。 ただしそれによって描かれた主人公の半生に感動を覚えるかというとそうでもない。これまでやってきたことはいつか必ず生きる、というのはいいとして(かなりわざとらしいが)、また人生の折り返し点を過ぎてなお挑戦を続けるのもいいとして(というか、これ以外の生き方ができないとわかった?)、そもそも主人公の性格が個性的すぎて共感しようがない。多才な芸能人ならこういう生き方があるかも知れないが、無芸な一般人にとって人生物語としての効用はかなり限定的というしかない。  ところで自分がわざわざ映画館まで行くのは映画自体より主に特定の女優を見るためであり、この映画に関しては森川葵さんが目的である。何でキャスト配列順がこんなに下なのかと思ったが、登場順とのことで仕方ない。少なくとも自分としては、この人の出番は強烈に可笑しかった。 また土屋太鳳という人がものすごく清純で可愛らしい顔で出ていたのがかなり意外だった。エピソードとしてもトリダンスは圧巻で、ほか坂本龍馬も含めて「表現部」全体が面白い趣向である。ほかの出演者としては、宮崎美子さんの最初の場面は20代相当とのことで、自分としてはカメラのCMの頃を思い出した(とまでいうと嘘だが)。平泉成氏も最初はまるきり年齢不詳の役柄で笑ったが、最終的には見事な老夫婦になっていて感動を誘う。 以上、本筋のところで共感しづらいところはあるが、楽しい要素も多いので否定できない映画だった。ちなみに背景音楽も個人的には時代背景を感じさせて悪くない。点数はかなり甘くしておく。
[映画館(邦画)] 6点(2016-10-25 19:59:49)(良:2票)
279.  南風(なんぷう) 《ネタバレ》 
台湾が舞台の自転車ロードムービーである。観光案内のようでもあるが、自分としては台湾に行ったことがないので別に悪い印象はなく、かえってストリートビューで少し現地の様子を見てみるかという気にもなる。ストーリーとしては人生の先行きに迷っていた3人が、この旅をきっかけにして新しい道を歩き出すということらしく、題名の「南風」は意味不明だが、例えば変化の予兆となる風というような意味づけだったのかも知れない。 面白かったのは日本人のおねえさんと台湾人少女のやり取りで、罵詈雑言の応酬などがかなり可笑しく、これだけでも楽しく見られる映画になっている。始終けんかしているようなのは遠慮のいらない関係ができているからで、要は本当の姉妹のようだということだろう。また日台関係に関しては、「龍騰断橋」のところで台湾人少女があからさまな親日感情を表明する一方、クールな台湾人青年の方は「家族みたいな関係」としながらも「時に嫌気がさす」と言っていた。これを日本人としてどのように捉えればいいのかわからないが、とりあえず(根拠はないが)台湾をやたらに世界の親日代表のように決めつけない方がいいのではと思ったりもした。あるいはこの映画全体として一つのあり方を示していたのかも知れない。  ところで騙されてはならない点として、台湾人少女役のテレサ・チーという女優は「維基百科,自由的百科全書」によるとアメリカ人とのハーフであり、こういう顔つきが現地では普通というわけではないと思われる。また生まれが1989/6/1のため劇中設定の1997/2/24より8歳も上で、黒川芽以(1987/5/13生まれ)とは2歳しか違わないのだった。これで16歳という設定がまかり通るのはどういうことかわからない。 個人的感覚としては、いかにオバサン扱いされようとも黒川芽以の方が和風でかわいく見えると言いたいところだが、なぜか途中から本当にオバサンっぽくなってもう黒川芽以だか何だかわからない顔になってしまうので困る。それでもオバサンのような女の子のような風情ではしゃいでいる姿は微笑ましい。  なお完全に余談だが、映画のポスター写真に使われた風力発電のある場所が気になったので調べると、苗栗県通霄鎮にある「石蓮園」という鉄道車両を利用した宿泊施設兼レストランだったが、ネット上には日本語の情報が極めて少ない。日本人にとっては超穴場的な場所ということになるだろうが、他人にお勧めできるところかどうかは不明である(YouTubeに現地語の動画が上がっている)。
[DVD(邦画)] 6点(2016-10-13 19:52:54)
280.  桜ノ雨 《ネタバレ》 
有名かも知れないが一応説明しておくと、「桜ノ雨」とはもともと「ニコニコ動画」で初音ミクの歌う歌として発表されたもので、現在では卒業ソングとして定番化しているらしく、動画投稿サイトで検索すると各地で児童生徒が歌う動画が上がっている。その歌のイメージをもとにした小説版を原作にしたのがこの映画であり、主人公の名前「未来」は小説版に由来しているが、元は初音ミクから来たものらしい。 内容としては原曲のイメージ通り素直な気分で見られる青春ドラマになっており、人の気に障る要素をわざわざ入れたがるリアル路線の作りにはなっていない。キャラクター設定を始め人物の行動や効果音にマンガのようなところが目につくが、極端なのは前半のコメディ部分だけである。また特に先輩(部長)役がとても高校生には見えず、これはさすがにミスキャストではと思ったが、少女マンガのような先輩役をシレっと演じるにはこのくらいの役者でなければならなかったのかも知れない。 最初と最後には全ての発端になったエピソードが出ていたが、ここでの「桜の雨の中にいた」という図柄がまたいかにもマンガのようである。そこで振り向いた主人公が少し小首をかしげてみせるのもわざとらしいが、その辺はまあ微笑ましいので嫌いでない。  一方でストーリーを真面目に見た場合、合唱の世界とは縁のない自分としても納得できないものになっている。「好きな歌うたって、楽しければそれでいい」を大前提にしてしまっていたが、気に入らないものを好きになろうともしないのでは世界が広がらないだろうし、また真剣に取り組んでいれば逆に愛着がわくこともあるだろう。そういう葛藤なしで結局「桜ノ雨」が全ての解決法というのでは、いくら歌が出発点の映画にしても話が簡単すぎる。理性的観点からすれば絶賛できるお話には全くなっていないが、それでも個人的にそれほど悪い映画に思えなかったのは、やはり合唱というものが本来持つ力のせいだろうという気がする(正直泣けた)。 もう一つ、「こんなんじゃ楽しめない」という主人公の爆弾発言は容認できないが、何かベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章の”O Freunde, nicht diese Töne!” に通じるものがあるような気がして自分としては全否定できなかった。そこまでは関係ないか。  なお映画と関係ないが、今年もNHK全国学校音楽コンクール全国大会にうちの地元の高校が出場することになっている。○高がんばれ。
[DVD(邦画)] 6点(2016-09-23 19:58:12)
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