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301.  the EYE 【アイ】
この作品への自信を覗かせるような、点字と触覚を意識した白地のタイトルバックが、まず巧い。眼の見えなかった女性が、手術により、本来見えないものまで見えてしまうという恐怖を描いた本作、例のエレベーターのシーンやショッカーなど、その怖がらせ方に熟知した演出力には只ならぬものを感じる。まさに纏わりつくような恐怖といったところだろうか。ただ、後半の謎解きあたりからクライマックスにかけては、いかにも強引で作り話っぽくて残念だが、近年では出色のホラー映画だと言える。
8点(2003-07-21 15:43:43)(良:1票)
302.  いつかギラギラする日
まるで時代劇の御用提灯に取り囲まれた鼠小僧といったイメージで展開される、クライマックスの数十台のパトカーからの逃走劇はまさに圧巻で、邦画・洋画を問わず、近年では無類の痛快さを誇る。黒澤亡きあと、これほどスケール感を伴ったパワフルなバイオレンス・アクションを撮れるのは、やはり深作以外にないと、この当時感じたものだったが、その思いは今も変わる事はない。映画の何たるかに精通し、CGなどに頼ることなど勿論無く、あくまでもライブ・アクションにこだわってきた彼の活動屋精神が遺憾なく発揮された、実にしたたかで、まさしくギラギラしたイメージの名作だ。
8点(2003-06-15 18:13:52)
303.  ウンタマギルー
沖縄の古くから伝えられる神話「運玉義留」と、本土復帰直前の沖縄をクロスさせた、一種のパラレル・ワールドをファンタジックに描く。オープニング、頭に槍が刺さったまま彷徨する強きをくじき弱きを助ける義賊・ギルー(=小林薫)が、空中浮遊などの超能力を駆使して大活躍したり、本土復帰か米軍統治支持かあるいは琉球独立かで、各派入り乱れての一大バトルのクライマックスまで、ファンタジーと現実との区別がつかない(否、つけない)ことが、この摩訶不思議な作品の最大の魅力となっている。登場人物たちも個性的な役柄のため、かなりクセのある俳優(例えば戸川純)を起用しているが、中でもコメディ・リリーフ的に登場する、沖縄歌謡一座の散髪屋・照屋林助(林賢のお父さん!)の個性は鮮烈で、肝心の小林薫が翳んでしまうほどだ。方言としての沖縄のコトバに字幕が付けられていた事などは、実に細やかな配慮だったと思う。
8点(2003-06-15 15:31:58)
304.  マーフィの戦い
P・オトゥールといえば「アラビアのロレンス」がベストだとは思うが、もうひとつ忘れてはいけないのが本作のマーフィ役。冒頭、いきなり英海軍の戦艦が独軍のUボートの攻撃で撃沈されてしまい、たった一人生き残ったマーフィが、単身、弔い合戦を決行しようとする。いたって単純明快なストーリーながら、どうやって彼が仲間の復讐を果たすのかに焦点を絞ったP・イエーツ監督の職人芸ともいえる演出力で、見事な娯楽作に仕上げられている。マーフィが整備士という設定がミソで、あの手この手でポンコツの機械から武器を作り出すというプロセスが、なんともユーモラスに描かれていく。この復讐の鬼と化したマーフィを演ずるオトゥールの、何かに取り憑かれたような表情は、まさに彼の独壇場で、この孤独で執念の塊のような男を好演している。海に囲まれた島を舞台にした事と、共演者にF・ノワレを配したこともあって、緊迫感や殺伐感が中和されたかのように、ゆったり・のんびりといった印象を受けるが、それらの事がマーフィの人間性をより強烈に印象付けるには、実に効果的ではなかったろうか。本作は豊かな娯楽性と同時に、一人対潜水艦という刺し違え覚悟の無謀な戦いが、戦争終結となっても止むことなく、彼個人のレベルで展開されるという、まさに戦争がもたらす人間性の崩壊をも鋭く突いたことで、名作たり得たのではないだろうか。
8点(2003-06-12 01:12:17)
305.  アバウト・シュミット
老後を如何に生きていくかと言った今日的なテーマを扱った作品で、私達すべてに当てはまり、実に身に詰まされる物語だといえる。定年退職したシュミットにとって、実績や名声といったものはもはや過去のものとなり、しかも人生の大半を妻任せで暮らしてきた彼にとって、老後を共に生きていく筈の彼女に先立たれるという試練が待ち受けていた。老後の生活設計に大きな狂いが生じて、その遣りきれない惨めさを否応なく実感する一方で、ある種の開放感を味わってもいる様子。このあたり、まさにシュミットが可愛げのある男性の典型そのもののように描かれている。経済的には困っていなくても、精神的な支えを無くした彼が、生甲斐を見つける為、自分探しの旅を始めるのが映画の後半部分。娘の元へと辿る道中記は、彼の心象風景そのものだが、このごくごく平凡で無邪気な初老の男を、J・ニコルソンが珍しく等身大の人間として見事に演じきっている。特に、泣き顔というよりはむしろ喜びを押し殺しているというラストの表情などは絶品だ。
8点(2003-06-07 17:15:19)(良:1票)
306.  おばあちゃんの家
都会から電車・バスと乗り継いで祖母の住む田舎へやってきた母親と少年。(このバスの中の描写が物語を暗示していて、実に効果的だ)初めて対面する祖母は、腰が曲がり口も利けなくて、一人ひっそりと暮らしている。来た早々、母親だけはとんぼ返りで帰ってしまい、祖母に預けられた少年は、何かとカルチャーショックを受けざるを得ない生活を強いられる事となる。(冒頭の母親の喋り方や振る舞いを見ているだけで、この何処にでもいそうな少年の育ちの悪さや我が儘ぶりが窺い知れるというもの)不慣れな生活がストレスとなり、気持ちのはけ口として、何かと祖母に当り散らす少年。しかしそんな孫に、むしろ申し訳なさそうに優しく接する祖母の姿に、心打たれる。映画は様々なエピソードを重ねながら、少年が祖母に心を通わせるまでを描いてはいくが、それは決して劇的ではなく、(祖母の歩みのように)徐々に徐々に気持ちが穏やかになっていく。そのプロセスが実に巧く表現されていると思う。従って祖母と別れのシーンも、遠く離れていくバスを映すだけで、祖母の見送る姿の描写はそこにはない。多分、イ・ジョンヒャン監督は必要以上の感傷を避けたかったに違いない。(「世界ウルルン滞在記」の“別れの朝”のほうが、よほどドラマチックだ)むしろそれは、自分の家へゆっくりとしかししっかりとした足取りで帰る祖母の後姿を、どうしても強調したかったからに他ならない。動物と子供の演技にはかなわないとよく言われるのと同様に、体から滲み出るように純朴な人柄を感じさせる素人の演技には、いかなる名優も及ばないということを、本作を見ていてしみじみ感じる。
8点(2003-05-22 15:43:11)
307.  マッケンナの黄金
アパッチが隠し持った黄金の眠る渓谷を目指して、保安官や無法者たちが争奪戦を繰り広げると言うお話し。グランドキャニオンを舞台にしていることで、いかにも正統派西部劇といったイメージだが、趣向とすればむしろ秘境アドベンチャーものだろうか。G・ペック、O・シャリフ、T・サバラス、エドワード・G・ロビンソン、A・クエイル等々、実に豪華な顔ぶれが並んだ作品だが、捕われの身となり道先案内人になってしまうという、保安官としては何とも情けない設定からして、ペック以下多彩な共演陣のキャラが、あまり生かされていなかったように記憶している。要は、この作品の目的はすべてクライマックスにあるということ。インディアンの呪いがかかっていた黄金を手にした瞬間から、周囲の巨大な岩壁が次々と崩落。襲いかかる岩盤をかわしながら馬を走らせ脱出を計るスリル。当時のシネラマの大画面に展開されたこの大スペクタクル・ショーは、まさに圧巻のひと言に尽きる。本作が、後の「インディ・ジョーンズ」や「ハムナプトラ」シリーズに、少なからず影響を及ぼしていることは間違いはない。
8点(2003-05-22 11:22:55)(良:1票)
308.  フリービーとビーン/大乱戦
70年代に大流行したポリス・ムービーの中にあっては異色中の異色作。四六時中喧嘩の絶えない二人の刑事の徹底したハチャメチャ・デタラメぶりが描かれるコメディだが、J・カーンとA・アーキンが大真面目に演じているところがこの作品の狙いであり面白いところ。捜査をしているうちに、逆に殺し屋に狙われるハメとなり、追いつ追われつのまさに“大乱戦”が始まってからは、あたり構わずトイレで二丁拳銃をぶっ放すわ、シースルーのエレベーターでの銃撃戦は始まるわ、凄まじいカーアクションではクラッシュしまくりの、最後は高速道路からビルの窓に突っ込むわで、(これで一般人にけが人が出ないのがご愛嬌でもあるのだが)全編見せ場の連続といった、そのサービス精神には恐れ入る。ラストのオチまでひっくるめて、どこまでも人を食った、しかし愛すべき映画で、ストレス解消には持ってこいの珍品。
8点(2003-05-21 14:50:38)
309.  愛の狩人
同じM・ニコルズ監督の「卒業」の姉妹編とも言われている本作だが、前者が“青春映画のバイブル”と謳われて、今尚熱い支持を得ているのに比べ、高い完成度ながらそれほどポピュラリティを持ち得ていないのは何故だろうか。(アメリカではともかく、少なくとも日本ではあまりウケなかったように記憶している)物語はひとことで言うと、ジョナサンとサンディという典型的な(当時の)二つのタイプのアメリカ人男性を通して、学生時代から社会人になってからも付いて廻る、性(SEX)と結婚(生活)への願望と幻滅を描いたもの。SEXの道具としてしか女性を愛せない男と、その一方で心の結びつきを大切にしようとする男。映画は彼のどちらにも肩入れすることなく、むしろ二人ともが否定されるかのように、痛々しくそして極めてシニカルな眼差しで描かれていく。ここに当時流行った「アメリカ神話の崩壊」を見てとれ、決して彼らに感情移入する隙を与えず、まさに絶望に突き進んでいくような、かなり辛口の青春ドラマだといえる。果たして彼らに救いはあるのだろうか。しかしこの明朗快活でない作品も、絶妙のキャスティングがひとつの魅力でもあり、またキャンパス・ファッションにも大いなる影響を受けたものだった。
8点(2003-05-18 17:08:43)(良:1票)
310.  夜の大捜査線
60年代のアメリカ。いわゆる黒人が勢力をもたげ始めた頃で、白人と黒人の共学が認められたのもこの時代。平和的人権運動のリーダー・キング牧師が暗殺された同じ年に製作された本作には、黒人に関心を持ち何がしかの後ろめたさを感じる白人たちの姿というものが、色濃く投影されていたように感じる。まさにこの時代に出るべくして出た映画で、これ以降、黒人と白人の立場が逆転したような作品が数多く作られるようになった。そういう意味でもひとつのエポックな作品だったと言える。スーツをパリっと着こなし、頭脳明晰でいかにも都会のエリ-ト刑事という役柄のS・ポワチエの魅力も然ることながら、彼の捜査に対する決定的なレベルの差と人間的な大きさに、当初馬鹿にしていたものの徐々に認めざるを得なくなり、やがて敬意を抱くようになる南部の保安官という難しい役どころを、R・スタイガーが絶妙に演じる姿が、もうひとつの見所となっている。
8点(2003-05-18 15:47:33)
311.  地球爆破作戦
「2001年宇宙の旅」と同時期に誕生した、もうひとつのコンピューター反乱モノ。敵国の核ミサイルの制御監視用に「コロッサス」なるスーパー・コンピューターが米国で製作される一方で、ソ連でも「ガーディアン」と命名された同機能を有するコンピューターが誕生していた。やがてこの二つのコンピューターが自ら意志を持ち始め、互いに反乱を起こして世界を支配してしまおうという怖~いお話し。まさに米ソ冷戦時代だからこそ生まれたような異色SF作だが、人類はその恒久的平和の約束と引き換えにコンピューターに屈するという結末には、映画とはいえ暗澹たる気分になること必至だ。SF映画とは言え、かなりマイナーな作りのため、視覚効果などは期待するべくも無いが、J・サージェント監督の緊迫感溢れる演出で、これぞ大人向けの近未来SFの秀作とだけは間違いなく言える。
8点(2003-05-16 00:29:23)(良:1票)
312.  裸足のイサドラ 《ネタバレ》 
現代舞踏に新風を巻き起こした不世出のダンサー、イサドラ・ダンカンの波乱の半生を綴った作品。彼女は既成概念にとらわれることなく、また虚飾を廃すことで自己主張を貫き通す。その端的な例として挙げられるのが、トゥ・シューズを履かずに踊ること。その大胆かつ野性的なイメージは、情熱のおもむくまま男性遍歴を重ね、やがて未婚の母として生きていくという、時代の異端者としての彼女とだぶる。首に巻かれたスカーフが車輪に巻き込まれて、非業の死を遂げるラストは強烈だが、ヴァネッサ・レッドグレープがイサドラ本人を終始見事に演じきり、カンヌで主演女優賞を獲得している。
8点(2003-05-15 00:21:49)
313.  シカゴ(2002)
名声を得るならスキャンダルも武器になる、喧騒と退廃漂う大都会。シカゴという都市やその時代背景を知っていれば、この作品の面白さをより深く理解できたかもしれない。しかしそんなことを抜きにしても、ロキシーとヴェルマが激しく火花を散らす、刺激的かつ心地良いこの華麗なる夢の世界に、興奮せずにはいられない。他の出演作では決して見られない彼女たちの生半可でないパワフルでダイナミックな歌と踊りには敬服してしまう。まさにプロの役者としての心意気を見た思いだ。ただ、こういった作品にしては上映時間が少々短く、個々の人物の描き込みが不足気味で、丁々発止なストーリー展開も(とくに終盤)物足らなさを覚える。これは他の人も指摘されているように、やはり舞台と映画との違いにほかならない。惜しむらくはB・フォッシー自身で映画化して欲しかった。
8点(2003-05-05 17:53:53)
314.  四時の悪魔
物語は火山の大噴火を目前に、島の奥深く逃げ遅れた子供たちを救出するべく、神父と共に立ち上がった三人の受刑者たちを中心に展開される。罪を軽くしてもらおうという動機は不純だが、他の島民たちに比べて極めて人間的で男気のある彼ら。どこでどう道を踏み誤ったか、真っ当に生きられなかった男たちが最後に見せた人間としての優しさと自己犠牲の精神。映画は、そんな彼らを慈しみを持って描かれていき、涙を誘う。迫り来る溶岩や今にも落ちそうな橋からの脱出劇は、昨今の作品にみられるスピード感溢れるスリリングさは希薄だが、いかにもこの当時のサスペンス重視の姿勢は十分伝わってくる。神父役のS・トレイシーはいかにもこの人に相応しい役柄だが、珍しく熱血漢ということもあって、やや一本調子の感があるのに対し、F・シナトラの若く颯爽とした無頼漢ぶりが出色だ。「いつかまた会おう」の最後の一言を残し、島は跡形も無く吹っ飛んで、映画は終わる。極めて男臭いドラマだ。
8点(2003-05-05 15:18:00)
315.  忠臣蔵外伝 四谷怪談
「忠臣蔵」と「四谷怪談」という、あまりにも有名な物語を強引にミックスさせ、自由奔放かつ大胆に創作した、深作欣二監督の野心作。そのメリハリの効いた劇的構造と躍動感溢れる描写で、ひとつの新しい物語として十分納得できうる作品となっている。伊右衛門という偽善に満ちたひとりの武士の、悲劇的で複雑な人間像をシニカルに演じる佐藤浩市。死して尚、恨みより彼との愛を貫こうとする武士の犠牲となったお岩役の高岡早紀。ともに存在感溢れる好演で、この作品には無くてはならないキャラクターだ。化け猫メイクの荻野目慶子演ずる狂女・お梅が伊右衛門の弾く琵琶に舞う妖しいシーンと、毒を盛られたお岩とがカットバックされるシーンは本編中最も強烈で、作品のイメージを雄弁に物語っている。これら個性的な役者が揃ったことで、初めて成し得た作品だったと思う。
8点(2003-04-17 17:13:07)(良:1票)
316.  8人の女たち
ベテランからニューフェイスに至る、それぞれまったくタイプの違う新旧の女優たちがスクリーンの向こうで一堂に会する。その豪華な顔ぶれとそれに負けずとも劣らない華麗なファッションの数々。数ある名女優たちの競演作の中でも、これほど映画としての醍醐味を味わえる作品も滅多にお目にかかれるものではない。サスペンス的要素が強くて重苦しいテーマを逆手にとった演出スタイルでミュージカルに仕立て上げ、重層な人間ドラマとして描き切ったF・オゾン監督の手腕はお見事と言うしかない。
8点(2003-03-18 00:18:50)
317.  CURE キュア
背筋が凍りつくような日常生活に潜む狂気を、平成のクロサワが炙り出す。おそらく日本映画で初めてと言ってもいい程の、これは上質の本格的サイコ・スリラーだ。ごく普通の人々が突然何かに取り憑かれたように、そして連鎖反応を起こすかのように、狂気が狂気を生む怖さとその不可解さと不条理さ。夕食に生のままのステーキ肉が皿に盛られて出てくる、そのさり気ない不気味さ。銃の弾が無くなっても、なお自制心も無く犯人を撃ち続けるシーンの壮絶さ。人間の精神構造の病巣をえぐり出すかのような、黒沢清監督極めつけの演出スタイルが強烈なインパクトを与える秀作。
8点(2003-03-14 15:24:27)
318.  地球の静止する日
50年も昔に創られたR・ワイズ監督初期の作品。ある日、一機の空飛ぶ円盤(UFOにあらず)がワシントンに飛来。その目的は、一体のロボットを従えた一人の宇宙人(エイリアンにあらず)が、争い事の絶えない地球人たちに警鐘を鳴らす為に。彼は、高度な科学兵器が地球はおろか宇宙にまでその影響が及ぶ為、各国の代表者を召集し話し合って、それを阻止して欲しいと主張するのだが・・・。確か映画の中でははっきりとは言ってなかったように思うが、高度な兵器とは明らかに“核”のことである。反核と世界平和。皮肉にも当時も今も世界情勢のキナ臭さはなんら変わらないといった、まさにいつの時代にも適合しうる普遍的なテーマを扱った作品だと言える。戦車や武器を手にした軍隊あるいは群集が、未知の物体を遠巻きに取り囲むシーン。そして抵抗する者を一瞬のうちに消滅させるロボットの怪光線(レーザー・ビームなどと言ってはいけない)の脅威といった構図は、今日に至るまでの、ありとあらゆるSF映画の教科書である。この作品をB級SF映画などと言ってはいけない。今と違い当時は空想科学映画と呼称され、一般の映画と比べ社会的認知度が低く、幼稚・低俗といった、いわゆるお子様映画的にしか評価されなかった歴史がある。そんな中にあっても本作のリアル感や恐怖感など、ワイズ監督の力量と映画に対する真摯な姿勢を存分に感じとれる作品となっている。
8点(2003-03-14 00:42:51)(良:3票)
319.  笑う蛙
とある夏の別荘で展開される人間悲喜劇。乱歩の「屋根裏の散歩者」をヒントにしたような、納戸の中と外というどちらも隔絶した世界という構図が面白い。納戸の節穴から好奇の目で覗き見するものの、自らはどうする事も出来ない立場の男。終始覗かれていることも知らずにいる来客たち。たった一人事情を知っている男の妻。このほとんど感情を表さず、自分の気持ちひとつでどの様にも転ぶ、悪く言えば男を手玉に取る女の存在が、恐ろしく痛快である。それを実にクールに演じる大塚寧々は、なかなかのハマリ役。お定まりではなく、少々キツい結末にしたことで、人間ドラマとしての深みと面白さが増したように思う。自分の都合と欲望だけで生きているような人間たちを、庭の蛙たちが高見の見物をして笑っているという図は、あたかも小噺の洒落の世界。監督は平山秀幸。今まさに旬の人だ。
8点(2003-03-07 00:33:08)(良:1票)
320.  ボーン・アイデンティティー
M・デイモンの本格的なアクション映画は初めてのようだが、実はすでに「オーシャンズ11」で、そのアクション俳優の片鱗はみせていた。そのスリムでシャープな身のこなしや面構えなど、なかなか堂に入っている。そして、アメリカ人の中でも典型的なヤンキーっぽい顔立ちの彼だが、ヨーロッパの街並みが不思議と良く似合う。それだけD・リーマン監督が俳優の魅力を巧く引き出せているということなのだろうか。本作の撮影の素晴らしさにも増して、決してCGなどに頼ることなく、終始切れ味鋭い本格的スパイ・アクション映画に徹しきった彼の演出力は高く評価したい。決してこれ見よがしの派手な見せ場はないが、スパイ映画としての緊迫感と、渋くてどこかに懐かしさをも感じさせ、久々に堪能させられた。
8点(2003-03-06 23:42:57)(良:1票)
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