301. あの子を探して
《ネタバレ》 お金が行動の基準になる13歳の代理教師の女の子。学校にも通えず出稼ぎに町に出ざるを得ない子供。決して恵まれているとはいえない中国の地方の子供たちの教育事情。この作品に出ている子供たちはほとんどが素人の子供たちなんですよね。それだけに、テレビで華やかに映し出される北京や上海とは違う、巨大な中国の持つもう一つの表情がこの子供達を通してリアルに伝わってきました。それと同時に、チャン・イーモウ監督の描く子供たちや代理教師の女の子の持つ飾り気の無い等身大の素朴さや、純粋さ、たくましさがとても深く印象に残ります。素直に見てよかったなあ、と思えるとてもあたたかい作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2009-01-04 00:57:50) |
302. 初恋のきた道
チャン・イーモウ監督の「しあわせ三部作」の中では「あの子を探して」「至福のとき」の方が好きなのですが、美しい風景の中、純粋なラブストーリーが微笑ましく、観ていてとても心地良かったです。 [DVD(字幕)] 6点(2008-12-26 00:23:49) |
303. 太陽に灼かれて
《ネタバレ》 映画のタイトルや、前半のミハルコフ自らが演じる大佐と家族が田舎で平和に暮らす美しい風景からは想像もつかなかった後半のストーリー展開が衝撃でした。前半の平和な暮らしの描写の時間が長く、退屈に感じられるかもしれませんが、中盤から後半にかけてその平和な暮らしに時代の暗い影が忍び寄るあたりからどんどん物語に引き込まれていきます。それにしても娘役の女の子がミハルコフ監督の実の娘だったとは!その無邪気な可愛らしさが後半からラストにかけて一層物語に悲しさをもたらします。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-23 18:59:15) |
304. スモーク(1995)
《ネタバレ》 何度見てもいい。煙草屋の主人・オーギーを演じるハーヴェイ・カイテルが「おい、そんなに急いで生きるなよ。もっとゆっくり生きろよ」と見ている僕たちに語りかけてくれているような、そんな映画です。ウィリアム・ハートと2人で写真を見るシーン。どの写真も同じ時間に同じ街角を捉えた同じような写真ばかり。ペラペラ適当にアルバムをめくるウィリアム・ハートに「写真はもっとゆっくり見る方がいい」とうながし、ハートの亡くなった奥さんの写真を見つけさせるんですね。作品全編がこんな風にゆったりとした優しさに包まれています。そしてラストのオーギーのクリスマス・ストーリー。いいですね。「嘘が上手いのも才能だな」「秘密を分かち合えない友達なんて友達といえるか」カイテルとハートの2人、なんていい雰囲気だろうか。そこにトム・ウェイツの歌が流れる。何度見てもそこで涙腺が緩んでしまいます。トム・ウェイツの歌をバックにラストクレジットが流れてもいいのかもしれない。では、その後のモノクロのオーギーの話を映像化したものはどうなんだろうか。2人の会話のシーンで終わるのもいい。でも、短い時間ですがあのおばあさんの表情を見ていると何か癒されるんですよ。心に染み入る名演技だと思います。だから、僕は最後のモノクロの映像も好きです。あんなに人を幸せにさせる嘘もあるんですね・・・。 [DVD(字幕)] 9点(2008-12-20 20:07:47) |
305. ケープ・フィアー
《ネタバレ》 デ・ニーロの俳優としての凄み、役者魂を感じました。ラストシーンの水かさが増す中で沈み行くデ・ニーロの姿とその目が忘れられません。 [映画館(字幕)] 5点(2008-12-20 17:26:24) |
306. 訣別の街
おなじみのパチーノの演説を堪能。パチーノには演説がよく似合う。本当に大統領選挙に立候補してアメリカ国民に喝を入れるアツい演説をしてほしいくらいである。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-17 00:37:22) |
307. 誘う女(1995・米)
同じような方は他にもいらっしゃる事と思うが、邦題につられて観て失敗した典型的なパターンでした。ニコールはやはり綺麗でしたが。悔しいが、この邦題を考えられた方は仕事の出来る方だと認めざるを得ない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-12-14 20:38:35) |
308. イル・ポスティーノ
《ネタバレ》 イタリア南部に浮かぶ小島の美しい風景にまずは魅了されます。主演のマッシモ・トロイージはこの作品の完成直後にこの世を去りました。とても好きな役者さんだったのでその早すぎる死が残念でなりません。そんな病と闘いながらの彼の演技には心を打たれます。特に、島の美しい風景の数々ー波の音、風の音、美しい星空などーを録音していくシーンの彼が特に強く印象に残ります。 [映画館(字幕)] 6点(2008-12-07 18:44:48) |
309. アパートメント(1996)
《ネタバレ》 良質の恋愛サスペンスでした。複雑に絡み合う4人の男女の関係と、その心理描写が巧みで、現在と過去が交錯するという手法は一つ間違うと支離滅裂になってしまうものですが、徐々に謎が明らかになっていき、最後は全ての謎を解き明かしてくれる語り口が見事でした。映像も音楽もとてもスタイリッシュで、どこかミステリアス。全編に漂うこの雰囲気も良かったです。この雰囲気にフランス語の響きがとてもよく似合っていました。途中、ヴァンサン・カッセルとモニカ・ベルッチがあと少しで出会えるのにすれ違ってしまうというシーンがありますが、こんなことって案外誰の人生にもあることかもしれないですね。本人は全くそれに気付くことなく。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-12-06 20:59:39) |
310. マンハッタン殺人ミステリー
《ネタバレ》 久々にコンビを組んだウディ・アレンとダイアン・キートンが相変わらずの名コンビぶりを見せてくれたのが嬉しかったです。サスペンスといえども、そこはやっぱりアレン流。この作品でもおなじみのアレン節で、とにかくアレンがしゃべりまくってくれます。それに絡む久々の競演を全く感じさせないダイアン・キートンもお見事!の一言。特に犯人に脅迫電話をかけるシーンは大爆笑でした。この作品でも全編に見られるNYのさりげない風景。やっぱりアレンの映し出すNYは素敵ですね。 [DVD(字幕)] 7点(2008-12-05 21:38:55) |
311. ウディ・アレンの影と霧
《ネタバレ》 作品の舞台は1920年代のとある町という設定との事。全編モノクロで雰囲気も音楽も何かその当時の映画っぽい雰囲気が不思議な作品です。町を徘徊しているという謎の殺人鬼を追う自警団にアレン演じる気弱な男が駆り出され、そこにヘンな人物が次々に登場するヘンな一夜のお話。大した話ではないですがウディ・アレンの遊び心が出ているようでいいですね。タイトル通り影と霧の雰囲気が不思議な感じで楽しかったです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-12-05 21:27:14) |
312. グリーン・カード
《ネタバレ》 なかなか面白くて素敵なシーンも沢山あって、好きな作品です。お互いの事情のため偽装結婚した男と女。面接が上手くいけば即離婚するはずだった2人。最初は当然全く噛み合わなかった2人が喧嘩しながらも一緒に過ごすうちに少しずつ距離が縮まっていって最後は・・・とストーリーは予想通りです。でも、どんでん返しが痛快な映画もあれば、予想通りに行ってほしい映画もある。「グリーン・カード」はまさにそんな映画ではないでしょうか。お互いの特徴を確認しあうシーンでドパルデューが自分で自分のことを「鼻は特大」と言ったのには思わず笑ってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-11-29 23:37:49) |
313. レナードの朝
デ・ニーロは改めてすごい人だと実感。やはりこの人は努力の人なんだなと思います。でも、この作品に関してはロビン・ウィリアムス演じるセイヤー医師が強く印象に残りました。人と関わるのが苦手で、ずっと研究室勤務。その彼が初めて患者と接する。気が弱く、不器用で口下手ですが、誠実な人柄である医師を演じる彼が素晴らしく、ひげ面にあの笑顔がたまらなく好きです。人と接する事が苦手だった彼がレナードと出遭ったことで彼に友情を感じ、人と人が出会い、心が触れ合う事の素晴らしさを知ったのだと思います。そしてラストでレナードが目覚めた直後の映像を見つめるシーン、一番の理解者であった看護士との「彼は先生の友達」という会話の後、お茶に誘う終わり方はとてもよかったと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2008-11-28 20:23:57) |
314. 活きる
《ネタバレ》 チャン・イーモウの中では最も好きな作品です。50年代の大躍進政策、60年代の文革という、庶民に犠牲を強いた2つの時代に2人の子供を失った夫婦の物語です。しかし、決して暗い映画ではない。チャン・イーモウの批判精神だけでなく、ユーモアのセンスが素晴らしい。それに加えて主人公である夫婦を演じる2人が実にいい。飄々と運命を受け入れて生きていく夫、それを支える力強く、明るく生きる妻。それゆえ、後味は決して悪くない。悪いどころか、不幸を乗り越え、それでも家族が支えあって人生を明るく前を向いて力強く踏みしめて生きていく姿に勇気さえもらった気がしました。 [DVD(字幕)] 9点(2008-11-27 21:12:31)(良:1票) |
315. ライフ・イズ・ビューティフル
《ネタバレ》 描き方に賛否両論がある作品ですが、家族を一途に愛し、夫として、父として家族を守り通そうとする男の生き様が良かったです。間もなく自分が殺されるであろう直前に息子の前でおどけてみせる父の姿が忘れられません。 [映画館(字幕)] 6点(2008-11-22 15:53:23) |
316. デーヴ
《ネタバレ》 ストーリーも分かりやすく、気軽に見れる良質のハートウォーミングなコメディでした。閣議で福祉のために予算を捻出するシーンがいいですね。実際にはあんなに簡単にはいかないんだろうけど、本気でやろうと思えば解決できる税金の無駄遣いなんていくつもあるんじゃないかな。日本の国会議員の先生方にもお勧めしたい作品です。最後の「君のためなら死ねる。」という一言にジ~ンと感動! [DVD(字幕)] 8点(2008-11-22 10:42:53)(良:1票) |
317. JFK
《ネタバレ》 アメリカでは真相を追究することに非常に勇気がいるテーマだと思いますが、オリバー・ストーン監督の「絶対妥協しない」という強い意思と心意気が感じられる。気合の入った真相追究ものを見たという感じです。勿論今も真相は明らかになっていないし、真相は暗殺実行者や、その黒幕にしか分からない訳ですが。時間が長い映画は苦手ですが、ケネディ暗殺には以前から興味があったので長さを感じることなく最後まで興味深く見ることができました。事件から何年も経っていない当時に真相を究明しようとしたジム・ギャリソンに敬意を表したい。 [DVD(字幕)] 8点(2008-11-22 01:22:17) |
318. 山の郵便配達
《ネタバレ》 子供の頃から仕事で家にいないことが多く、家にいても無口だった父。息子はその父と郵便配達の旅に出て初めて本当の父の姿を見る。とても静かで淡々とした語り口で物語は進む。でも、じわり、じわりと感動しました。旅の最後の夜、息子の寝顔を満足そうに見つめる表情や、ラストで息子を送り出す姿など、お父さん役の俳優さんが素晴らしかったです。 [DVD(字幕)] 8点(2008-11-20 21:01:46) |
319. グレイスランド
《ネタバレ》 自分のことをエルヴィスだと言い張る、あつかましいにも程がある謎の男。どう見てもエルヴィスには見えない。しかし、旅先で出会う人達は皆、彼がエルヴィスだと信じ、彼に敬意を表する。そして、それは登場人物だけでなく、ストーリーが進むにつれて見ている僕たちも。ひょっとしたらエルヴィスは本当に生きているのかも・・・?そう思わせるエルヴィスに全く似ていないハーヴェイ・カイテルの名人芸。感動しました。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2008-11-19 23:47:37) |