301. 七人の侍
日本映画が世界映画史の中でトップに立った瞬間は後にも先にもこの作品だけだろう、そんな映画。全世界アクション映画の金字塔。 [映画館(邦画)] 10点(2006-04-30 20:35:46) |
302. スティング
落語好きな私にとって「良い落語」というのはそのオチよりもそこに至るまでのプロセスが楽しめる事、という私なりの基準があるのですがこの映画に関してもそういった事が当てはまる。ワハハよりもクスクス、ニヤニヤの映画。 [DVD(字幕)] 9点(2006-04-29 20:48:19) |
303. ニッポン無責任野郎
これぞまさに「無責任」。前作「ニッポン無責任時代」が「記録に残る」作品としたらこちらは「記憶に残る」作品でありシリーズ最高傑作はこれ。度が過ぎる、という表現もここまで進めればむしろ立派。 [映画館(邦画)] 8点(2006-04-25 22:20:07) |
304. 沓掛時次郎 遊侠一匹
本日DVD屋へ一番乗りで飛び込む。お目当てのそれをさっさと取り、レジへ。「お客様、本日発売の リー・ポッターお買い求めの際には記念品が付いてきますが如何なさいますか?」「結構です」「へ?」「いりません!!!」急いで家に戻り(恥ずかしながら初見)堪能する。う~。年をとると、涙もろくなっていけねえよぉ。なんて切なく、悲しい話なんじゃ~。加藤泰節、とも思えるローアングルの構図をふんだんに利用した画面に加えてシネスコの幅を使いきった演出方法は登場人物の感情を明確に示しておりここまでくると職人ばりの安心感。ああ、買って良かった。 [DVD(邦画)] 9点(2006-04-21 22:06:16) |
305. しとやかな獣
《ネタバレ》 (2015年8月修正) 若尾文子映画祭でこの映画をスクリーンで鑑賞する事が出来て幸せいっぱい。と同時にもともと8点だったこの映画、+1点加えたい。川島雄三監督初心者には「幕末太陽傳」ではなくこの作品から入った方が良い気がする。(「とんかつ大将」「洲崎パラダイス~」の良さがわかったのは30代から)清貧という意味ではなく、ただ悪行が目立たない様に公団住宅に住み着いている退役軍人一家の破滅を描いたこの作品、初見時には若尾文子(様)や伊藤雄之助の存在感ばかりが目についていたが今回インパクト強かったのは山岡久乃の母親。そしてやっぱりピノサク(小沢昭一)。彼の出番は最初の15分くらいに関わらず、劇場がドッカンドッカン沸いていた事報告しておきます。「監督が喜んでもらうために何でもした」と後年述べていた小沢さん、川島監督か脚本新藤兼人どちらの指示かはわかりませんが、演じていてもうノリノリだったんだろううなぁ...。本当得難い才能でした。 [映画館(邦画)] 9点(2006-04-21 01:18:07) |
306. ある結婚の風景
《ネタバレ》 倦怠期を迎えた夫婦が紆余曲折を経て離婚。離婚時はいざこざがあって大変だったが、時がたち新しいパートナーを得た二人が再会した時は昔の思い出を落ち着いて話す事が出来ました。文章にすればこれだけの内容だけど、ベルイマンが示した3時間の内容で語られるその実態は身もふたもない。設定としては知識人の家庭で子供もいてという事から理知的な会話をするかと思えば、感情に走っているときのその行動はまさに雄と雌。最初は何らかの妥協点を見出す努力をそれなりに行い、何となく離れがたい振りをしているが、一旦相手に対する嫌悪感があふれだすと、もう止まらない。自分達の性生活に対する思いをあけすけに語り、傷口に塩を塗りゴシゴシとこするような振る舞いや言葉の応酬。主演2人の演技合戦を(特にリブ・ウルマンの存在感)見ていて疲れてしまった。「理想的な夫婦生活」でも起こりうるかもしれない結婚生活の危機と破滅をこれでもか、と見せていただきましてもうお腹満腹っす。マイナス点は子供の存在がありながら、それに関してあまり触れていない事。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-04-20 02:54:43) |
307. 人間蒸発
《ネタバレ》 (もろネタバレです)「ドキュメンタリー」というジャンルに分類されているこの映画ですが実際の所は真実と虚像のごちゃ混ぜになった内容で今村昌平の弟子である原一男の映画「ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」の先駆けという内容でしょう。映画が進むにつれ「真実を映し出す鏡たるドキュメンタリー」といったお決まりのパターンにはまる事などまったく無く、男の存在なぞはついぞ出てこない。なぜゆえに失踪したのかも提示されない。この男と婚約者、その姉との三角関係が現れて観客はそこに原因があったのか、とかんぐりたくもなるがそれも単なる推測、勝手な想像として流しているだけであって実際はわからない。そもそも失踪した男の存在すら虚構で、これは「実録」という名を借りたフィクションなのではないかとも思う。でも私はこの映画を高校生の時に見て、物の見方、特にメディアというフィルターを通して映し出されたニュース映像は100%それが真実を示しているわけではなく、第三者(撮影者とか、編集とか監督など)の視点から見た事実にしか過ぎないのかなという啓蒙を与えてくれたという意味で大いに良い映画だった。ただこれは(今でもお昼のワイドショー、巷のゴシップ紙なんか典型的だが)記事になっている・写されている人間の思いをまったく無視し、視聴者に判断をゆだねるという無責任な行為であって不快になる人も出てくるだろう。そういった意味では賛否両論、問題になりやすい映画でしょう。 [映画館(邦画)] 9点(2006-04-19 23:44:06)(良:3票) |
308. ブルース・ブラザース
《ネタバレ》 古臭いと思われていたソウル+R&Bミュージックに改めて光を照らしてくれた、というただの一点に置いてこの作品の価値はあるのだと思う。冗長すぎるのも各ミュージシャンのパフォーマンスを堪能するには仕方が無い。Do You See The Light? ええええ、私もソウルの光を見ましたとも! 感謝の意を込めてこの点数。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-19 22:54:49) |
309. フェリーニの道化師<TVM>
《ネタバレ》 フェリーニの作品では小品だけど私にとっては愛着を感じるのはこれです。彼の幼年時代の思い出は私の感想では「道化師を見て笑った楽しさ」というよりも「笑われる道化師への哀愁」。「道化」師という職業は元々王室等で暇つぶしのネタにされるようなある意味「くだらない」職業であり、(その為矮小の体をもつ人達などが付く事が多かった)サーカスのピエロもそんな名残から人々からも見下されていた現実が多々あったという。哀しみを表に出さず自らを「道化」として笑いを生み出す職業、こんな寂しい話があるでしょうか。だけどこれはそういった人々へのフェリーニなりのエールなのでしょう。中世スペイン王宮でのお付画家として名を馳せたベラスケス、彼の絵画には道化をモチーフとした作品がありその中の人物はまっすぐな視線を鑑賞者に向けた「道化」という職業への誇りを表したかのような力強い作品が多いのですが、この映画はフェリーニにとっての「ベラスケスの絵画」。暗闇に消えてゆく道化師とそれにかぶるラストシーンの哀愁溢れるトランペット、「寂しさもあるがこれもまた素晴しい」応援歌のはずです。 [映画館(字幕)] 8点(2006-04-19 18:39:06) |
310. 叫びとささやき
《ネタバレ》 ベルイマンの映画の中でも結構わかりやすいのでは、と思いましたが内容はずしんと胸に来る話です。肉体関係を拒絶し、精神的な潤いを求めて苦悩する長女。逆に体の触れ合いに溺れ不倫に走る三女。死を目前にして孤独な状況から逃れたくて今は亡き母親の愛情を求めている次女。そんな苦しみを抱える彼女らに対して神様は沈黙をし応えてくれない。寂しさを埋めあえる姉妹たちであるはずなのに次女が発作を起こしたその瞬間、触れ合いすらも拒絶し直視できない現実。必死に看病をしていた女中の大きな胸につつまれて息を引き取るその姿は聖母マリアの宗教画を想像させ、神の奇跡の存在を感じてしまいました。ところが死後見つかった彼女の日記には過去に長女・三女と一緒にブランコに乗ったという形だけの繋がりを「最高に素晴しい瞬間」と記しているだけで女中への賛辞、感謝などこれっぽっちもなかった、という事実。「女性の魂の奥底はこんな色なのではないか」ということでフェイドイン・アウトに赤色を使用した、というベルイマンの説明ですが女性にも限らず、人間の奥底に潜むどろりとした思いと性質をこれでもか、と見せ付けられへこみました。キリスト教徒では私もありませんのでこのくらいしか理解できませんでしたが、女優の演技も含めて一見の価値ありかと。でも御覚悟を! [ビデオ(字幕)] 9点(2006-04-18 03:32:19)(良:1票) |
311. 鴛鴦歌合戦
日本のミュージカル映画史上、最高の名作。こういう映画を見た時の感激はひとしお、映画ファンで本当に良かった。邦画にもこういった夢のある、明るく楽しいエンターテイメントがあったのだ!皆様機会があればぜひ。♪掘り出しもの~だよ~♪ [映画館(邦画)] 9点(2006-04-18 01:59:29)(良:2票) |
312. パームビーチ・ストーリー
俺の所にも来てくれないかな、ソーセージ王ウィニー・キング。 [映画館(字幕)] 7点(2006-04-18 01:16:30) |
313. モーガンズ・クリークの奇跡
《ネタバレ》 今でこそシングルマザー、未婚の母なぞは普通の題材になるがこの当時では何ともいやはやな話を処理するスタージェス、物凄い力技のオチ=「奇跡」を持ってきます。演者では主演2人の熱演もさることながら、駄目カップルを「まったくしょうがないなぁ」でフォローするスタージェス作品の常連、ヒロインの父親、警察官(所長だっけか)を演じるウィリアム・デマレストが好き。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-04-18 01:06:31) |
314. レディ・イヴ
《ネタバレ》 この映画を見ずして「ロマンチック・コメディ」を語るなかれ、プレストン・スタージェス監督のベストはこれ。前半の恋に落ちて思い悩んでしまう憂い顔と吹っ切れ時の笑顔、はすっぱな女詐欺師から後半「淑女イブ」へと変身し、気品のある(バリバリのクイーンズ・イングリッシュに言い方が変わるのが痛快ですらある)演技に早代わりとバーバラ・スタンウィックの魅力大爆発なのがうれしい。真面目なイメージのヘンリー・フォンダがズッコケをするのも新鮮。映画館で見て、至福の時を堪能致しました。 [映画館(字幕)] 9点(2006-04-18 00:49:39) |
315. ブロークン・アロー
《ネタバレ》 映画において「荒唐無稽」は大いにやっていいが、「無神経」では困るのよ。核爆弾爆発させて、どうすんじゃ! [映画館(字幕)] 4点(2006-04-17 21:25:41) |
316. ハード・ターゲット
製作プロダクションからの制約に苦しんだ監督、自分の進めたいスタイルで演じられなかった主役、スタントマンの怪我による訴訟問題で製作に関わっていた人達には踏んだりけったりの作品になったのだろうが、アメリカへ渡ってからのジョン・ウー作品ではこれに一番愛着がある。(それは多分製作総指揮に関わったサム・ライミの影響からと思うが)魅力的な悪役(ランス・<ビショップ>ヘンリクセンにアーノルド・<イムホテップ>ヴォスルー)さえ付けとけばアクション映画ってなんとかなっちゃうんだなぁ、と感じた映画。 [映画館(字幕)] 4点(2006-04-17 21:20:42) |
317. ラルジャン
映画史上最高の遺作の一本、であると言い切っちゃおう。 [映画館(字幕)] 10点(2006-04-17 19:13:40) |
318. ジョニーは戦場へ行った
「戦争へ行った人達は大変だと思いました。平和な時代で良かったです」などという感想文を書いて提出した翌日この映画を見る機会があってそんな文章を軽々しく書いてしまった自分に激しく自己嫌悪の情がわいた。戦争に巻き込まれた人々は程度の違いがあれ皆ジョニーの様な経験を過ぎて行ったのだ。カラーで彩られた楽しかった日々と病院の寒々しいモノクロが心に残る、と書いている今の心境も私の貧弱なレビューで説明するだけ野暮なのであって、実際に映画を見て感じていただくしかないという気持ちでいっぱいです。 [ビデオ(字幕)] 10点(2006-04-17 18:57:28) |
319. 大丈夫日記
ハリウッドに渡って以降チョウ・ユンファがさえないのは多分アメリカ人が「男たちの挽歌」シリーズしか見ていないからだ。「風の輝く朝に」「誰かがあなたを愛してる」といった繊細で優しい彼の演技の資質を使わない、というのはもったいない。「寅さんが好き、渥美清と競演したいんだ」と言った彼の発言はリップサービスではなく彼の演技の器で充分対応できただろう。この映画によって彼は喜劇役者としても稀有な才能があるという事を我々に教えてくれる。美女二人も可愛くて好きだがユンファの友人でいつもハラハラしているレイ・チーホンが特に良い(彼自身も「挽歌」で悪役のイメージがつきすぎたのでこの役は大のお気に入りだとか)「大丈夫」というのは中国語では「立派な、男の中の男」というニュアンス。どこがじゃい!とは思うがみんなでベリ~ライシ~ね~。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-04-17 17:12:05)(笑:1票) |
320. 男たちの挽歌
私にとってジョン・ウー作品のツボは「プライドの復権」、つまりプライドを無くした男達が死に物狂いになってそれを取り戻す過程に心震わせ、結果「男(漢でもいい)」として復活したその姿に熱い声援を送るという点にあります。よってそれを演じる役者は駄目な時のシオシオっぷりと、男として熱く燃え上がるときの振幅がこれでもかと違う人でなければなりません。よってニコラス・ケイジは論外で、それは一作目のホー、マークまたは二作目のルンさんくらいにしてくれないと困ります。デジタル・リマスター化されたトールケース版には収録されていない吹き替え版のテンションが熱くて良し! [DVD(吹替)] 7点(2006-04-17 16:56:18) |