3701. 北の螢
仲代達矢を鬼看守に充てて雪の大地に立たせれば、それだけで一本の作品ができるはずなのに、それ以外の部分でミスりまくっているのです。まず、相手方が岩下志麻というのがいかん!このヒロインは、頼るものもなく夫に面会するためだけに石狩まで渡る健気さを持つというのが出発点なのに、岩下志麻だと、最初から仲代相手でも丁々発止で平然とやり合いそうに見えてしまい、何のドラマもないのです。それとの対比で置かれたのが夏木マリの役のはずなのだが、岩下志麻とは明らかにキャラクターが重複している。無意味な脱がされ方を執拗に重ねられた早乙女愛様も可哀想。ストーリーも、前半はいろんな人がさしたる必然性もなく出入りしているだけだし、終盤の雪中行軍はえらく緊張感がなくだれまくっている。結局、素材の良さを大きく殺してしまいました。意外にこういう役が新鮮だった露口茂に5点。 [ビデオ(邦画)] 5点(2006-09-18 01:35:41) |
3702. 旅情(1955)
《ネタバレ》 単純な直球のラブロマンスを想像していたので、本題に入るまでに40分以上かかったのには参った。その後も、いくつかの印象的なシーンはあるものの、ロマンスの過程もえらく適当だし、ラストの部分も、脚本にそう書いてあるからそう演じている、というだけであって、それ以外の表現がなされていない。ベニスの風景に助けられている部分が大きいと思う。 [ビデオ(字幕)] 5点(2006-09-14 00:46:06) |
3703. 魔界転生(1981)
《ネタバレ》 主役の天草四郎がジュリーというキャスティングのセンスが凄すぎ。彼ほどのアイドル性とカリスマ性を持った人であれば、霊界から甦ったと言われても納得してしまいますし、少しも衣装負け・美術負けしていません。当時アイドルとして売り出し中だった美青年・真田広之も、ジュリーの前ではまるで子供ですね。細川ガラシャの佳那晃子も頑張っています。いつもは脇役のことが多いので、これほど存在感があったというのにはびっくり。2人が並ぶと、千葉真一や若山富三郎ですら食われてしまいそうです(ラストの殺陣は別格ですが)。よく見ると、登場人物のそれぞれの動きは適当でばらばらなのですが、陳腐な団結とか統一目標といったものを出さずに迫力で全部押し切っているのは見事。 [映画館(邦画)] 9点(2006-09-12 01:00:21)(良:1票) |
3704. X-MEN2
各キャラクターの個性を出そうという努力の形跡は見られますが、整理しきれてなくて、結局みんなで右往左往しているだけのように見えます。アンナ・パキンちゃんは前作より綺麗ですが、途中から出番がなくなって残念。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2006-09-11 23:27:47)(良:1票) |
3705. 華の乱
もう、びっくりするほど主演の皆様方のキャスティングが合っていない。辛うじて適合しているのは池上季実子ぐらいか。内容的にも、与謝野晶子と有島武郎の不倫もどきの中途半端なロマンスが延々と流されているだけであって、彼女の人生のドラマチックさなどまったく表現されていない。つまり、俳優陣のビッグネームの面々を、歴史上のビッグネームに適当にあてはめて作っただけのこと。ただし、大杉栄や伊藤野枝など、明治日本の黒歴史というべき部分についても、きちんと登場人物としての位置を与えてスポットを当てた点については評価したいので、そこに+1点。 [DVD(邦画)] 5点(2006-09-09 19:21:01) |
3706. パルプ・フィクション
《ネタバレ》 2分で終わる会話を7分続けてそれを延々と積み重ねて適当に前後させただけという、非常に安易な作品なのだが、ダラダラしたところがかえって妙に印象に残ってしまうという困った作品。ただし、そんなジャンクフードみたいな作品の隅々まで演出を行き渡らせる制作者の執念みたいなものは溢れており、その辺のアンバランスさが面白い。●この作品は、時系列操作の代名詞みたいに言われる事もありますが、考えてみると、大きな操作は2つしかありません(ミスター・ウルフの清掃パートを前半から最後に持っていって、その中からパンプキンとハニー・バニーの強盗パートを最初に持っていっただけ)。しかし、それだけでも魔術のように全体を彩ることができる、ということを示した点には、大きな意義があります(その中で、ヴィンセントのあっけない最期というスパイスも強烈に効いています)。 [映画館(字幕)] 7点(2006-09-07 03:11:18) |
3707. X-メン
アンナ・パキンちゃんが見られたので目的は達成した・・・んだけど、あんな設定だったら顔しか見られないじゃん。 [ブルーレイ(字幕)] 4点(2006-09-06 02:29:08) |
3708. 別れぬ理由
それぞれに不倫しながらもなぜか離別しない夫婦、というそれなりに奥の深そうな素材なのに、単に両者の不倫を順を追って描いてそれでおしまい、という内容でしかないので、何とも食い足りない水準にとどまっている。津川雅彦と南條玲子のラブシーンが執拗すぎて、三田佳子の方の関係が飛んでしまっているのも難点。それに、両方があれだけ堂々と不倫をしているのであれば、見つかりそうになってはらはらどきどきの瞬間とか、もしくは相手がそれに気づいたときの心の動きとか、もっと描写のしようがあると思うけど。 [ビデオ(邦画)] 5点(2006-09-05 02:44:26) |
3709. ホテル・ルワンダ
限りなくリアルタイムに近い話であり、それだけにずっしりと重いのだが、このことを分かりやすい形で映像化し、しかもそれを世界に広めたという点で、この作品の意義は非常に大きい。あくまでもごく普通のホテルマンが、情熱と機転だけを武器に軍部や民兵を相手にしたというのも、我々に勇気を与えてくれる。飾らず、声高にならずに、淡々とじっくりと登場人物を追っているからこそ、普遍的に共感を生み出せるのだと思う。 [映画館(字幕)] 7点(2006-09-04 02:29:24) |
3710. 青いパパイヤの香り
映像は十分に綺麗なのですが、ストーリー性があまりにもなさすぎるのがちょっと・・・。ヒロインの女性の表情や仕草も、今ひとつ美しさが欠けていると思う(幼少時・成人時ともに)。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-09-03 01:33:09) |
3711. シティ・オブ・ゴッド
目まぐるしいカメラワークは本来は嫌いなのだが、この作品に関しては、片時も気を抜く間もないスラムの住民の鼓動が聞こえてくるようで、それほど不快感はなかった。それよりも、登場人物のほぼ全員に異様なほどの「生命力」が満ちているのが凄い。一度見たら頭にこびりつくほどの映画としてのパワーがある。犯罪描写一辺倒と見せかけておいて、さりげなく映像トリックや叙述トリックを織り込んでいるのも格好良い。 [DVD(字幕)] 7点(2006-09-02 23:51:40) |
3712. 小さな中国のお針子
《ネタバレ》 何といっても、お針子のジョウ・シュンが凛としていて実に魅力的。この作品はそれだけでOK。また、前半で、山間の農村の生活のさりげない一場面をあちこちにちりばめているのが、作品世界に重みを与え、後半のドラマチックさに貢献しています。ラストがハッピーエンドでないのも良いし、いったん現在の姿を出しておいて肝心のシーンを最後にとっておく構成も巧い。 [DVD(字幕)] 7点(2006-08-29 11:19:08) |
3713. プルメリアの伝説 天国のキッス
《ネタバレ》 まあ、アイドル聖子ちゃんを売り出すためだけの作品なので、突っ込みだしたらきりがないんですが、一番笑ったのは、本番直前に中井貴一のウォータースーツが切り裂かれていた場面で(そのときの聖子はジョギングスタイル)、次のシーンではどでかいヒラヒラつきのブラウスとスカートに衣装が変わっていること。そんな一分一秒を争う場面で、君は優雅にお召し替えをされてたんかい。いくらアイドル映画でも、そんなところで露骨に手を抜いてはいけません。こんな作品でも何とかお付き合いして演技の形をつけていた宝田明と小山明子のプロ根性に1点ずつ。 [地上波(邦画)] 2点(2006-08-28 11:55:48)(笑:1票) |
3714. サイン
超極私的で小心者的で陰鬱でじめじめした宇宙戦争。実に執念深い強力なSFパロディです。こういう制作者の執念が暴走しているような作品は嫌いではありません。ただの自己満足ではなく、カメラワークなんかもしっかりしています。とはいいつつ、見ていて面白い作品とはやはり言い難いのでこの点数。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-08-22 01:12:54) |
3715. 日本沈没(1973)
何でこんな美味しい題材で、こんな退屈な作品になるかなあ・・・。導入部がだらだら長すぎるのと、肝心の災害発生の描写に想像力が欠如しているのと(地震でも火災でもない「沈没」ならではという要素がない)、ペース配分を誤っている(災害発生後も何となくのんきな会議なんかが続いている)のが敗因でしょう。神経質に叫びまくる小林桂樹というのも、どうにも違和感。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-08-21 00:45:45) |
3716. 青い珊瑚礁(1980)
《ネタバレ》 あまりにも単純明快なところが良い。「あはは、待て~、捕まえるぞ~」なんて、まさか映画の中でそのまんま聞くとは思わなかったし、中盤の2人の喧嘩が完全に小学生レベルなのも良い。かと思えば、船を黙って見送るシーンなど、物語としてのポイントを抑えているのも良い。しかし、だからこそ、ラストへのあの持って行き方は何とも中途半端だよなあ・・・そのまま島で幸せに暮らしました、で何の問題もないのに。あと、蛇足ながら、陸海の珍しい動植物の数々をきちんと捉えた撮影部隊も頑張っていると思う。 [DVD(字幕)] 6点(2006-08-19 02:13:13) |
3717. ザ・ファン
あらすじから見当がつくほどどうみてもB級な話で、これだけのキャストをつぎ込むべき作品とはまったく思えないが。アップで追うしか芸がないカメラワークも最低。点数は、そのおかげで拝めたエレン・バーキン様の麗しのお顔に対して。 [DVD(字幕)] 3点(2006-08-15 02:07:57) |
3718. フライド・グリーン・トマト
回想の方は特段目新しくもなければ必然性もない話が淡々と積み重ねられているだけだし、現在の方は、制作側の狙った線がミエミエで、かえって醒める。キャシー・ベイツやジェシカ・タンディといった大御所を食ってしまったM・S・マスターソンのはまり役ぶりに4点。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2006-08-14 02:45:27) |
3719. 8月のメモワール
もう、びっくりするくらいすべてが中途半端。戦争も貧困も人種差別も他の子供との関係も、すべての要素が中途半端。父親の存在も中途半端だし、姉のナレーションで進めながらウェイトは明らかにイライジャに置かれているなど、視点も中途半端。何がしたかった作品なのかさっぱり分からない。登場人物の誰1人として魅力的に見えないのもびっくり。特に、子供連中があれだけ数がいて、ほぼ全員がしつけがなってない餓鬼の大集合であるのは、作品のイメージを大きく落としている。 [DVD(字幕)] 3点(2006-08-12 01:24:51) |
3720. 紅いコーリャン
ストーリーを細かく見出すとわけがわからなくなるのだが、そんなことはどうでもいいと言わんばかりに中国の大地とコーリャン畑、それとよくわからない乾杯の歌(?)だけで押し切ってしまうパワーが凄い。こういう原始的衝動は、内容がどうであれ、嫌いではありません。しかし、コン・リーの登場場面はやっぱり少なく、もう少し見たかったな。 [地上波(字幕)] 6点(2006-08-11 02:34:25) |