361. 十八歳、海へ
《ネタバレ》 まさしく、主人公2人が思いつきだけの発言と行動で最後まで全部行ってしまうというだけの作品。しかし、そのコンセプトだけで最後まで押し通してしまった監督の執念は逆に凄い。しかし、永島敏行も森下愛子も、小林薫でさえ、この頃は揃って演技が上手くないのにはびっくり。辛うじて見られるのは島村佳江。 [DVD(邦画)] 5点(2010-07-05 00:53:31) |
362. ディア・ハンター
《ネタバレ》 これはベトナム戦争映画の系列に置かれるべきではありません(時間自体も、戦場部分はそんなにとられていない)。田舎町の素朴な青年たちを描いた青春映画であり、むしろ「アメリカン・グラフィティ」や「ファンダンゴ」と比較されるべき作品です。それもコテコテの。私にとっては、最初に延々と展開されて終わるようで終わらない結婚式こそがクライマックスです。戦場よりもロシアンルーレットよりもそっちです。そして、こんなコテコテ描写になると、デニーロやストリープは俄然光るのです。それに比べ、帰還以降の作品の出来が少しだれてしまったのが残念。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-07-04 02:53:29) |
363. 秋のソナタ
《ネタバレ》 最後は当然何らかの意思疎通があると思っていたので、あのラストにはびっくり(一応フォローはあるけど)。ほとんどが家の中の連続したシーンで展開としては平坦なのだが、人の心の本心の部分が衝突した瞬間に発生すべき強力な負のインパクトを適切に捉えている。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-06-27 23:02:04) |
364. 天国の日々
これほどまでに周りの環境を整えておいて、肝心の俳優にまったく演技をさせていないとは・・・何とももったいないことをするものです。 [DVD(字幕)] 5点(2010-06-14 00:59:12)(良:1票) |
365. アウトロー(1976)
《ネタバレ》 中途半端にロードムービーっぽくなっているのが、作品の締まりをなくしている。いろいろと順不同に積み重ねていったら、予定調和的にラストで敵を討ち果たしました、という感じ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-06-08 02:30:51) |
366. ラ・マンチャの男
《ネタバレ》 牢内の光景からドン・キホーテの再現になだれ込む強引な展開はなかなか迫力がありましたが、その後は、同じような話が行ったり来たりしていて、冗漫な印象を受けました。結局、あえて映画の形をとりながら、舞台劇の表現手法から離れられなかったんではないでしょうか。ラストの大合唱のインパクトで得している気がします。 [DVD(字幕)] 5点(2010-05-04 02:33:53) |
367. ロビンとマリアン
主役の2人が、ロビン・フッドとその恋人というよりも、長年連れ添った老夫婦のように見えてしまうので、さっぱり話に入り込めない。美術や衣装関係もチャチすぎ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2010-04-21 23:21:37) |
368. パリは霧にぬれて
《ネタバレ》 子供が誘拐される話と聞いていたのですが、いつまでたってもその事件が起こらず、逆に起こったと思ったら、あっさり解決してしまったので拍子抜けした。そっちはむしろオマケであって、中心は主人公の葛藤と錯乱の心理だったのですね。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-03-30 23:48:50) |
369. リトル・ロマンス
《ネタバレ》 子供同士の単純初恋ロマンスかと思いきや、ベースは確かにそうなんですが、周辺人物を巧く絡ませることによって、奥深さもあわせ持った作品に仕上がっています。少女の父が少年に好感を持ったのは、いけすかない映画監督を堂々と一発しばいてくれたから。最後に自ら決着をつけられるのも、少年少女のまっすぐな情熱に影響されたからです。そのような周辺部分も丁寧に扱っているからこそ、ラストの橋のシーンが実感をもって生きてきます。ヒッチハイクで出会った夫婦の最初の一言も伏線になっているなど、脚本の細部にも考慮が払われています。 [DVD(字幕)] 7点(2010-03-29 01:13:36) |
370. 叫びとささやき
ひたすらどろどろした怨念のような情念を描出する手法はそれはそれでよいのだが、最初から最後まで延々と同じようなトーンでやられると、さすがに入り込めなくなる。というか、かえって意味がなくなる。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-03-13 13:07:30) |
371. デルス・ウザーラ
シベリアの大自然を延々とカメラに収めまくった執念については評価したいが、肝心の登場人物達が、そう動いた方が脚本の進行が都合良くなるというだけで動かされているにすぎず、ドラマ性が感じられない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2010-03-06 02:08:20) |
372. コールガール(1971)
終始統一されている画面の暗く陰鬱な作り方はなかなか魅力的なのですが、謎の展開そのものがあまりにも適当で、雰囲気を楽しむ以上のものがありませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-02-20 22:58:22) |
373. プリティ・ベビー
各登場人物の心理の綾を突っ込んでいけばもう少し表現の余地がありそうな内容なのだが、娼館で育った少女という設定のインパクトが先行して、その先の部分が見えにくくなっているように感じる。落ち着いた中にも華麗さを込めた画面の色彩感覚に+1点。 [DVD(字幕)] 6点(2010-02-08 03:14:05) |
374. 聖獣学園
《ネタバレ》 所詮はB級エロ作品なんだろうと思ったら大間違い。欧米でもお目にかからないんじゃないかというほどのとんでもない暴走アンチクライスト作品です。こんな内容でそもそも映画を製作できて、しかも堂々と公開できたということ自体が驚きです。修道院内が舞台で登場人物の大半はシスターなのですが、善玉のシスター陣は最初から最後までひたすら無意味に辱められ、悪玉の方はその凌辱行為を心底楽しそうに、というか使命感に満ちて真剣に行っています。制作者はそれ以外のことは何も考えていません。そして、カメラや演出も実はちゃんとしており、クライマックスのシスターの1人の強制放尿シーン(!)なんて、時計の針や周囲全員の表情を執拗に捉えるこだわりぶりに目まいがします。本作が主演デビューの多岐川裕美様もしっかり脱がされまくってますが、上半身裸の状態で茨のムチを巻かれ、その棘が乳房に食い込んで血が流れるショットなんて、美学すら感じてしまいます。いろんな人のいろんな執念が凝縮された純度高すぎの一作。 [DVD(邦画)] 7点(2010-02-05 04:00:44) |
375. イルカの日
全般的に、ほのぼのと平和にイルカとやりとりをしているシーンの比重が大きくて、本来の設定の割には今ひとつサスペンス色に乏しいような・・・何を主眼とする作品なのかよく分かりませんでした。 [DVD(字幕)] 5点(2010-02-05 03:33:37) |
376. 不毛地帯
《ネタバレ》 豪華キャストの面々の安定した芝居を見ているだけで3時間十分に楽しめるが、肝心の利権をめぐる権謀策術部分の比重が軽いのはやはり気になる。前半のシベリア抑留部分はやたら長すぎ、逆に収束部分は妙に情緒に流れた方向に着地している。一番良かったのは、仲代と大滝秀治の面談部分かな。静かな殺気が漂っていました。 [映画館(邦画)] 6点(2010-02-02 03:18:40) |
377. 欲望のあいまいな対象
《ネタバレ》 最初から最後まで「迫る→逃げる(消える)」の同じようなやりとりがされているだけで、ドラマ性が感じられませんでした。タイトルにある「欲望」が肝となるはずなのですが、その表現も特に明確ではありませんでした。 [DVD(字幕)] 5点(2010-01-31 12:20:21) |
378. 旅の重さ
何といっても一番良いのは、背景の説明をほとんどカットして、余計な台詞や余計なシーンも入れず、主人公の表情、行動、そして現場各地の風景にすべてを託していること。それによって、主人公の旅に向けた初期衝動やその中での感性が、瑞々しく、直接的に伝わってくる。あれこれ考えすぎない方が映画は良いものになるという好例。また、当時19歳でデビュー作であるにもかかわらず、風景負けしない存在感を持ち、三國連太郎や高橋悦史相手にもきちんと渡り合っている高橋洋子の好演が作品を大きく支えていることはいうまでもない。 [DVD(邦画)] 7点(2010-01-10 04:32:18) |
379. 小さな悪の華
《ネタバレ》 邦題どおりこの2人がやっていることは「悪」行だらけ。しかし、それをどうこう言う気が起きないのは、その行動のすべてが一つの「不安定性」への立脚に徹底しているからである。だからこそ、ラストではちょっとしたことで動揺し、その刃を躊躇いなく自分たちに向けて完結する。この迷いなき一貫したベクトルが辛うじて作品世界を成り立たせていると思う。 [DVD(字幕)] 6点(2009-12-27 01:08:52) |
380. オーメン(1976)
《ネタバレ》 日常生活の中に何気なく出てくる恐怖こそが、現実感があって何より怖いのです。だから、神父串刺しとか記者切断みたいなおどろおどろしいものよりも、最初の自主的(?)首つりの方が恐さのレベルは上です。途中、イタリアでの調査なんかが妙にのんびりしていて、そこでペースダウンしていますね。音楽に+1点。 [DVD(字幕)] 6点(2009-12-23 12:22:47) |