21. 巴里の女性
《ネタバレ》 映像の雰囲気からして、他のチャップリン作品と違うのに驚いた。パーティの場面でさえ陰がある。映像の見事さは他の方が指摘されているので割愛するが、ナイフでえぐり出すような心理描写がすごい。ジャンが母親に「結婚しない」と言うのを立ち聞きしたマリーの後ろ姿にしびれた。台詞も色も、表情さえ見えなくてもこんな表現ができる、と言うのに衝撃を受けた。STING大好きさんの言われる通り、後期作品群への布石たる作品。それにしても、ここまでのものとは思わなかった。チャップリン最後の作品となった音楽も素晴らしい。 追記:劇場公開されたものを観た。レンタルのVHSの映像はかなりひどかったが、今回のものは映像がだいぶきれいになった。表情の演技が堪能できる。そして改めて思うのは、エドナ・パーヴィアンスをはじめとした俳優陣の名演。 10点(2003-11-23 15:32:57)(良:1票) |
22. 七人の侍
《ネタバレ》 どろどろしていた。あの雨の中の戦闘シーンを筆頭に、人間同士のからみ合いも濃密。このどろどろは、やっぱり日本人ならではの「情」なのだと思う。ヨーロッパの映画にこういうのはないだろう。それから、人間の「恨み」のパワーに驚いた。結局一番恐いのは百姓だったんじゃないか。 9点(2003-11-15 11:52:40) |
23. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲
《ネタバレ》 最近の邦画の中では、実写を含めてもかなりレベルの高い作品。込められたさわやかなメッセージがいい。ひろしの回想シーンのあとのやりとりがいい。あのしんのすけを抱きしめるシーンは「たかがアニメ」と言って終われるものではなかった。「家族のいる幸せをわけてやりたい」の台詞など、ひろしが隠れた主役、という感じ。ひろしファンには嬉しい。エンディングは小林幸子じゃなくて拓郎だったらもっと良かった。 追記:皆さんのレビューを見ていて泣けてきてしまう不思議。1回見ると涙腺を開けるスイッチみたいになる作品(笑) 9点(2003-11-07 06:26:11) |
24. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
《ネタバレ》 監督が「クレしん」というカンヴァスの上で自由に作品を作っている感じ。ところどころに散見されるこだわりもいい。5歳児の目に映る戦国時代の合戦というのはあまりにむごいものがある。とどめに井尻又兵衛の暗殺。「殺し」の多いアニメに過剰に反応する大人がいるが、こういうものは積極的に観せるべきだと思う。未来の日本はいい国になっている、という廉の台詞がいい。それから、映画のひろしはかっこ良すぎる。最高です。 9点(2003-11-07 06:13:49)(良:1票) |
25. オルフェの遺言-私に何故と問い給うな-
《ネタバレ》 一人の老詩人の自画像的作品。台詞一つ一つが深い。芸術家にとって現代とは生きにくい時代である。必要とされながらも、なぜ必要かはわからない。詩人自身がこの問いに苦悩する。時間のひだをさまよい、最後に消えていく詩人がまさにコクトーそのもの。そして幻想的に彩られた美しい映像が見事だ。美しい映画。 9点(2003-11-07 05:52:09)(良:1票) |
26. HANA-BI
《ネタバレ》 邪魔なものを全て振り払って妻への愛に突き進む西刑事。妻子に逃げられ、感情のはけ口をひたすら絵に求め描き続ける堀部刑事。この二人の感情の流れが映像からばしばし伝わってくる、すごい映画。一方で愛する者(西夫妻の場合の子供、堀部刑事の場合の妻子)を失った悲しみが主調低音として流れる。そしてところどころに挿入される笑いの優しさ。驚くほど純粋な感情の映画。久石譲のメロディも、見事にマッチしている。エンディング曲はさながら二人へのレクイエムか。 10点(2003-11-05 19:03:05)(良:1票) |
27. キッド(1921)
《ネタバレ》 チャップリンもさることながら、ジャッキー・クーガンの存在感がすごい。見事な共演。「Five Years Later」の字幕の後、ジャッキーがアパートの前に座っている遠景のショットは見事(役者の存在感、画の美しさ)。料理の鍋をふりかざして孤児院の職員を追い払うシーンや、ホテルでいなくなったジャッキーを必死でさがす姿など、朴訥なまでのストレートな感情表現。絆ってこういうものなのかなぁ。 9点(2003-11-05 18:54:32) |
28. チャップリンのゴルフ狂時代
《ネタバレ》 「ゴルフ狂時代」と言うタイトルだから、ついゴルフのコントが強調されがちかも知れないが、「のらくら」と言うタイトルでも知られている。原題も言ってみれば「ヒマ階級」と言う感じ。ゴルフや舞踏会に興じて遊び呆ける上流階級を徹底的に皮肉っているのだ。最後にケツを蹴りあげるのが痛快。 7点(2003-11-05 18:49:21) |
29. チャップリンの黄金狂時代
《ネタバレ》 「靴食い」に「パンのダンス」と、見どころの多い映画だが、何と言ってもジョージアとの恋愛シーンがいい。酒場で写真を拾って必死で照れ隠しをしたり、いたずらのことは何も知らず、嬉しそうに小屋に入ってきたり。パーティ会場で歌われる「蛍の光」と、待ちぼうけを食らったチャーリーの対照も切ない。チャップリン作品の中では最も後味のいい作品の一つ。 10点(2003-11-05 18:44:16) |
30. サーカス(1928)
《ネタバレ》 人形に扮するパントマイムや綱渡りなど、見どころシーン満載の映画。最初に流れる歌「Swing Little Girl」もいい。ラストシーンの美しさもさることながら、些細なことだが5ドルで奪い取ったピエロの指輪、この喜劇のアイテムが綱渡りのレックスに渡す時点で切ない小道具に変わるところが白眉。それから、「サーカス」と言う作り物の(偽物の)笑いに対する乾いた視点が興味深い。 9点(2003-11-05 18:36:45)(良:1票) |
31. モダン・タイムス
《ネタバレ》 この映画で初チャップリンという人は多いだろう。僕もそうだった。それからもう3回くらい見ているが、飽きる事がない。そして見事な先見の明。今ではロボットがとって代わっているとは言え、人間性の喪失は現代にもぴたりとあてはまる。ちりばめられた種々のコントも笑える。ラストシーン、「笑って」というジェスチャーをするチャーリー。サイレントっていい。そのシーンのBGM「スマイル」も、今さら言うまでもない名曲。 10点(2003-11-05 18:29:43)(良:1票) |
32. チャップリンの殺人狂時代
《ネタバレ》 ヴェルドゥは奥さんたちとかなり面白いやり取りをしている。そして殺してしまう。殺すシーンのあの表情が恐ろしい。そして、家族と財産を失ったあとの表情。ホームレスから成り上がった女性との絡み。チャップリンが名監督であり、名脚本家であり、名優である事を見せつけてくれる映画。音楽も見事。そしてなんといっても、法廷での台詞。衝撃だった。 9点(2003-11-05 18:23:10) |
33. 座頭市(2003)
《ネタバレ》 勝新太郎の座頭市を知らなかったので、純粋に楽しむ事が出来た。かなりエンターテインメントに傾いていて、今までの北野映画らしい静謐な感じは薄いが、「全編リズム」と言うから、それも狙いか。北野映画の新境地だろう。最後、黒幕の目を潰して石につまづいて…と言うのは、やはり北野風味。「めくらの方が人の気持ちが分かる」と言う台詞、R指定にするのが勿体無い。 タップがどう絡んでくるのか、と言うのは観る前から興味があったが、違和感なく絡んでいたと思う。大工にあのリズムをやらせた事により、最後の大団円で「町の復活」を感じさせるものになった。 タカの「殺陣師コント」は見事だったが、もうちょっとギャグ少なくても良かったかなぁ。 8点(2003-09-13 18:51:24)(良:1票) |
34. その男、凶暴につき
色で表すとしたら黒とか、濁ったグレー。救いようがない暗い映画。後味も悪い。人間の嫌らしい所をまざまざと見せつけられる。皆さん御指摘のとおり、この映画めちゃくちゃ痛い。暴力シーンのリアリティは相当なレベル。我妻の最後の一発、悲しい。 これ、薬物乱用防止教育に使ったら効果あるのでは?(笑) 9点(2003-08-30 13:05:52) |
35. ゴースト/ニューヨークの幻
《ネタバレ》 露骨な勧善懲悪と、ちょっとどぎついのは難だが、コインのシーンと乗り移ってダンスをするシーン、これだけで6点献上。あとの1点はギャグシーンに。全体的に、筋も分かりやすくてスッキリしている。最近のハリウッド映画のように、ムダにだらだら長いという事もない。なにより、あのCG、今のリアルすぎて気持ち悪いものと違い、味があって良かった。 7点(2003-08-24 17:30:02) |
36. あの夏、いちばん静かな海。
《ネタバレ》 台詞らしい台詞はほとんどなく、役者も決して上手くはない。それでもここまで引き付けられてしまうと言うのは、やはり監督の腕なのだと思う。ラスト近くで女の子が海へ向かって歩いていくシーン、きれいではないけど、美しい。あと、バス停のシーン、好きだなぁ。感動が押し寄せてくる、と言うより、さざ波のように静かに、サーッと何かが引いていくような感じがする。 音楽もなかなか。 9点(2003-08-15 00:08:07) |
37. ウォーターボーイズ
チープさが上手く生きた良質なコメディ。それでいてただのコメディで終わらずに、ラストであれだけのシンクロを完成させるのは大した物。 7点(2003-06-24 23:27:23) |
38. 永遠と一日
《ネタバレ》 純粋に、映像、台詞、音楽の美しさに心を打たれ、映画に登場する多くの孤独な人間の翳のある美しさを素敵だと感じた。バスに乗り込んできた孤独な求道者たちが、何より印象に残る。最後にさす一瞬の光が切ない。 10点(2003-06-22 13:31:29) |
39. TAXi2
前作よりテンポも良くなってます。406もちょっとおっかない顔つきになって似合ってるんじゃないでしょうか。自動車の事とか、フランスの事とか、ちょっとでも詳しければより楽しめます。日本もフランスもおバカ、これくらいは寛容になりましょう。 9点(2003-06-14 16:08:48) |
40. TAXi
なにより笑い飛ばすのに最適な映画です。あんまり深く考えてはいけませんね。つかみがいいので飽きません。ただカーチェイスはもうちょいスピード感が欲しいかなぁ。ジベール署長のキャラで+2点。 8点(2003-06-14 15:59:16) |