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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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21.  JAWS/ジョーズ
70年代のパワー、スピルバーグのパワーを思い知らされる快作でした。70年代前半といえば「ゴッドファーザー」「エクソシスト」等大人の映画が記録破りの大ヒットを続けていた時期で、本作もブロックバスターの皮を被りつつ、しっかりとした大人のドラマを中心に据えています。映像的ショックの薄れた現在の目で鑑賞すると、サメとの死闘よりもむしろ前半のドラマ部分の方が見ごたえがあり、マジメな姿勢で構築されたドラマと優秀な脚本の存在がいかに作品に貢献しているかが分かります。またスピルバーグのドラマ演出も驚異的。都会に疲れて田舎へ移住してきたブロディ署長が、「どうせよそ者にはわからんだろ」と言われながら孤軍奮闘するドラマを、若干25歳にして描ききっています。たった25歳で、よくも中年男のドラマを作り上げたものです。一方、クィントはスピルバーグが不得意とするタイプのキャラクターなのですが、こちらはロバート・ショーに相当お任せしている様子で、自分に出来ないことは他人に頼るという柔軟さも見られます。。。本作を見て思うのは、パニック映画にはリアクションがいかに重要であるかということです。人喰い鮫が現れた時、人々や社会はどう反応するのかを丁寧に描くことで、鮫の存在も引き立っているのです。肝心の鮫については技術的に相当な制約があり、その姿をほとんど見せないという詐欺みたいな描写が続きます。ようやく画面に登場しても作りもの丸出しなのですが、それでも本作のサメは活き活きとしています。それは、アミティの町やその住民達がこのサメの存在をしっかりと感じ、現実的なリアクションをしているからです。他方、90年代に入ってスピルバーグが関わったディザスター大作「ジュラシック・パーク」「ツイスター」「ディープ・インパクト」は技術的には本作を圧倒し、見せたいもののほとんどすべてを描写できるようになったにも関わらず、映画としては本作に劣ります。「パニック映画」の名称が90年代に入ると「ディザスター映画」と変わったのは言い当て妙で、対象に直面した人々や社会のリアクションがスッポリと抜け落ち、ただひたすら対象を描写することに集中しているからです。これはクリエイターのみの責任ではなく、難しい話を受け入れなくなった観客の責任でもあります。その意味でも、大人の映画に行列ができていた70年代は貴重な時代だったのだと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2009-12-31 12:44:39)(良:1票)
22.  時計じかけのオレンジ 《ネタバレ》 
暴力がはびこる社会と、政府が人間性まで管理することで秩序が保たれる社会、一体どちらが良いのか?前半に繰り広げる残虐行為の数々は群を抜いていますが、血が飛び散るような映像的なショックではなく、クラシックに乗せての暴力や「雨に唄えば」等、キューブリックの並外れたセンスによりこれらが表現されます。アレックスの設定についても光っており、恵まれた家庭環境に育ち、両親に対しては良い子の振る舞いをするし、学校の成績が悪いわけでもない。満たされないがゆえの犯罪ではなく、ただ好きで暴力の世界にいるという、ある意味では真の悪人と言えるでしょう。息子が夜出歩いていることに関心を示さない両親の姿を見ると、アレックスがその衝動を抑えることなく暴力をまき散らしている原因がどこにあるのかは察しがつきます。そんなアレックスが後半ついに報いを受けることとなりますが、ここで映画はふたつの疑問を投げかけます。「洗脳により無害になることが、罪の償いといえるのか?」「政府が人の思考をいじってもいいのか?」。前者については、無害化すれば人殺しでも社会に戻ってもいいというやり方は違わないか?他人や社会に対して罪を犯した以上は、いかに更生・反省しようがそれに見合った苦痛や不利益を受けるべきではないか?というものです。人間とは機械のように合理的に物事を捉えることができず、「不合理であっても犯罪者には報いを受けてもらいたい」という復讐感情が常にあります。日本で少年法が問題になる理由はこれで、道を誤った少年を更生させて社会に復帰させることが少年法の精神ですが、「罪の報いを受けさせる」という点がスッポリと抜けたこの法律に、多くの人が気持ち悪さを感じています。アレックスの世界の政府は日本の少年法と同じ理屈で犯罪者を処理し、空きのできた刑務所には、永久に社会に戻ってきて欲しくない政治犯をブチ込むという計画です。このように国民の行動をコントロールしようとする政府にロクなものはないということが後者です。無害になったアレックスは、被害者や社会による暴力を受けます。結局人間の本質は暴力的であり、社会から暴力性を排除するということをつきつめると、全員を洗脳するしかなくなります。そんな社会が良いのだろうか?アレックスが公衆の面前で暴力を受け、また女性の裸を見せられるという異様な光景で、キューブリックはその薄気味悪さを印象的に表現します。
[DVD(字幕)] 7点(2009-06-19 21:02:38)(良:1票)
23.  続・激突!/カージャック 《ネタバレ》 
スピルバーグの劇場デビュー作ということでお勉強のつもりで見てみたのですが、これがあまりに面白くて驚きました。スピルバーグのドラマ作りは、この時点ですでに完成されています。前半のコミカルな描写にはたっぷり笑わせてもらったし、シリアスな後半とのコントラストの役割もよく果たしています。子供と幸せに暮らす夢など叶うわけがない、この短い祭りが終われば自分たちも終わると知りながらゴールへと近づいて行くポプリン夫婦が切なくて仕方がありません。気弱に見えつつラストに向けて冷静な一面を見せる役得なクロヴィスはさておき、感情的なルー・ジーンを描くのはかなり難しかったと思います。わめいたり突飛な行動をとったりのトラブルメーカーなのですが、観客から嫌われるギリギリのところで踏みとどまっているサジ加減はお見事。そこいらのベテラン監督ですら難しいことをデビュー作でやってのけているのはさすがスピルバーグです。また、そんなポプリン夫婦と擬似的な親子関係を築くタナー警部も良かった。後にスピルバーグがひたすら描き続ける父親との関係性というテーマですが、デビュー作の時点で早くも作品の中心となっています。すでに親を失っているクロヴィスと、「お前みたいな娘は俺が殺してやる」と言い放つ父親を持ったルー・ジーンにとっては、自分たちを大事に扱ってくれるのはタナー警部がはじめてだったのかもしれません。無知ゆえに人生を踏み外したポプリン夫婦を温かい目で見守り、厳しい対応をできるだけ後に回そうとするのですが、警察として最後の最後には事件を終わらせねばならないというタナー警部の苦しい心境がよく描かれています。20年後、クリント・イーストウッドが「パーフェクト・ワールド」でこれとまったく同じ疑似親子の物語をやりましたが、本作の方がよく出来ていると思います。そんなわけで期待以上に素晴らしい作品だったのですが、惜しむべきはやはりこの邦題。勢いのあるサスペンスだった「激突」と、ゆったりとした人間ドラマである本作は正反対の作品はず。なのに続編としてしまっているのは、舞台が宇宙なのは同じだからという理由で「2001年宇宙の旅」と「スターウォーズ」をシリーズとするぐらいに強引です。こういう適当な邦題は作品の価値を殺してしまうので(実際、「激突」のパチモンだと思って本作をスルーしてる人は多いはず)、もうちょいよく考えてもらいたいものです。
[DVD(吹替)] 8点(2008-06-30 02:36:31)(良:1票)
24.  THX-1138
正直、かなり退屈な映画ではあります。ルーカス若気の至りというか、当時まだ25歳だったルーカス、彼はいかにも意味ありげで、誰も作ったことのないような映画にチャレンジしたかったんでしょう。本来は簡単なお話なんですけど、抑揚のない展開、無機質なセリフが理解を拒みます。天の声が「物を買え」と煽りまくってるわりに、完璧な管理社会からはまったく消費の痕跡がうかがえない、それ以前に社会の全体像があまり見えてこない、チンタラ歩くだけのポンコツロボコップからは簡単に逃げられそうなど、設定上のミスもいくつか目につくし。しかし、それ以上にこの映画からはルーカスの才気が溢れ出ています。だだっ広い空間に延々と白のみが続く監獄(マトリックスに影響?)は、本来は狭くて汚いことが恐怖の根幹である監獄のイメージの正反対、そして直線のカーチェイス(マッドマックスに影響?)は、細かいカット割りの中で障害物を時によけ、時にぶつかるという従来のカーチェイスの迫力を覆します。そして「予算超過」と言って追跡があっけなく打ち切られる展開も、本作の雰囲気になかなか合っていますね。「そう来るか」って感じでした。やっぱりルーカスはただものではないのです。そして最近リリースされたDVD。ここに収録されていたドキュメンタリーが、ルーカス30年ぶりの復讐とでも言うべき壮絶な内容でした。60年代にはハリウッドのスタジオシステムは完全に崩壊し、そこからコッポラ、ルーカス、スピルバーグ、スコセッシ、デ・パルマ、ミリアスなど、ハリウッド幕末の志士とも言うべき若き才能が登場してきます。そんな新しい世代がはじめて本格的に製作したのが「THX-1138」なんですけど、本作は出資先のワーナーによって不遇の扱いを受けました。作品を理解しなかったワーナーは映画を勝手に編集し、捨てるように公開し、失敗作の烙印を押されてしまいます。そして関係者が大物に成長した現在、彼らは恨み節全開のドキュメンタリーに、なんと当時のワーナー重役まで登場させています。映画を握りつぶした張本人のインタビューまで収録されているんです。思えばコッポラとルーカスというのは、映画製作よりも映画業界を変えることにその人生を費やしており、貴重な才能を早く枯らしてしまった感じもします。スター・ウォーズがエピソード9まで作られなくなったのもそのためなら、ちょっと惜しい気もします。 
7点(2004-10-21 01:33:31)(良:1票)
25.  ダーティハリー
同年の傑作「フレンチ・コネクション」とよく比較されますが、構造的にはまるで別物なんですよね。捜査が極めて丹念に描かれ、意外にも暴力描写の少ない「フレンチ~」に対し、こちらは暴力の嵐。犯人を捕まえるというよりも、法に代わって罰するというのがテーマでしたから。「フレンチ~」はオスカーを受賞するという快挙を成し遂げましたが(今後、このジャンルからオスカー作品は現れないでしょう)、一方後のジャンルへの影響力はこちらが上だと思います。「フレンチ・コネクション2」ですら、結果的には正編よりも「ダーティハリー」に近いものになってました。「ブラック・レイン」しかり「リーサル・ウェポン」しかり、犯人を逮捕することよりも、必要とあらば規則を踏み越えてでも罰することが刑事もの基本となっています。さらにサソリという敵キャラの存在も非常に大きいですね。ここまでのキ○チガイが登場する映画ってのはかつてなかったはずです。同年の「時計じかけのオレンジ」のアレックスと比較しても、単体での狂いっぷりは完全にサソリが上。このサソリが映画史上最狂のキチGUY、トラヴィスにつながったのかもしれません。さらに細かい部分を眺めても、自殺者の説得は「リーサル・ウェポン」や「タイタニック」に、公衆電話ラリーは「ダイ・ハード3」でパクられてました。 「フレンチ・コネクション」を「羊たちの沈黙」とすると、「ダーティハリー」は「セブン」って感じですね。
8点(2004-09-29 01:25:03)(良:1票)
26.  フレンチ・コネクション2
フランス語をしゃべれるという理由だけで雇われたフランケンハイマーですが、さすがは巨匠というか、完全に自分の色に染めてしまってましたね。リアルな雰囲気が主役だった前作とは正反対に、今回はポパイによる男のドラマとなっています。フランスにまで出張して青い目の銭型警部と化したポパイですが、もう彼のパワーがフルスロットル。ジーン・ハックマンの演技はオスカーを受賞した前作以上に鬼気迫るものとなっています。とくに禁断症状の中、野球談義をしながら泣き崩れるシーンは、これだけでオスカー数個分に匹敵するのではと思いました。今回は捜査らしい捜査もなく、冷静に証拠を追いかけていた前作とは別人かのように、怒りにまかせてホテルを焼き払うシーンまであります。今回の相棒となるバルテルミーとは文化を越えて理解し合い、彼が第1作のラソーに負けないほど活躍するのかとのかと思いきや、結局は何の役にも立たないし。もうポパイの映画なんですよ。ドキュメンタリーを見ているかのような前作に対し、今回は良くも悪くもテレビの刑事ドラマのようでした。土曜ワイド劇場みたいな安い音楽、第1作と比べるとあんまりなDVDの画質もその雰囲気をばっちりフォロー。これはこれで面白いんですけど、前作のファンとしては物足りなさを感じました。ただし恐ろしく印象に残ったシーンがひとつ。ポパイがホテルに監禁されて麻薬漬けにされるシーンで、おばあさんが「私はイギリス人だから英語を話せる」って言ってボロボロのポパイに話しかけてくるんですね。いい人なのかな?と思いきや、ばあさんの腕は注射の跡だらけ。ポパイの腕時計を盗みに来ただけだったんです。このシーンにはかなり凍りました。
7点(2004-09-27 02:31:15)(良:1票)
27.  フレンチ・コネクション
面白い!。定石通りの正当な刑事ものとしては、これを越えるのはちょっとムリではないかと思います。フリードキンというのはさすがドキュメンタリー出身というか、細部までリアルに見せることでこの映画は成功しています。全編ロケによりNYの殺伐とした雰囲気が味わえるし、各シーンをとにかくじっくり見せてきます。重要な情報を握っても張りこみには一晩をかけ、証拠を積んだ車を確保してもなかなかブツは見つからず、結局車の解体をじっくり見せられるわけです。タレコミ屋から情報を聞き出すシーンひとつにしたって、どんな状況でどうカムフラージュしながら接触するかまで丁寧描写。普通の映画なら「情報が入った」「証拠がみつかった」の一言で片付けられるシーンでも、実に事細かに描くことで捜査が活き活きとしてくるんです。そうした一連の描写が説得力を持たせてくれるおかげで、伝説のカーチェイスがさらに際立って見えてきます。まぁ私の個人的な意見としては、ハイライトのカーチェイスよりもシャルニエを尾行するシーンの静かな緊迫感が好きですけど。そして「これで終わり?」みたいな唐突のラストはいかにも70年代。「立つ鳥後を濁さず」みたいな潔さを感じました。それにしてもこの映画、かのスピルバーグが大ファンで、初のハードボイルドである「マイノリティ・リポート」ではかなり参考にしたとか。
8点(2004-09-26 23:39:33)(良:2票)
28.  スター・ウォーズ
至って単純明快、場合によっては「幼稚だ」と切って捨てられるタイプの作品でもあります。しかしあらためて鑑賞すると、この映画の作りはダテではないことに気付かされます。 本作のキャラクターには過不足がなく、どのキャラクターも活き活きしています。冒険に目覚める純朴な青年、青年を導く人格者の老人、お調子者のお供二人、愛すべきならず者とその相棒、勝気なお姫様、、、冒険物語においては定番中の定番の布陣なのですが、奇をてらっていない分、キャラクター造形には高いレベルが求められます。特にC-3POにあたるキャラクターは時に冒険の足を引っ張り、観客から嫌われかねない難しいポジションなのですが(ジャージャー・ビンクスは完全に嫌われましたね)、ルーカスはこれをほぼ完璧に作り上げています。ダテ男(死語?)のハン・ソロも一歩間違えればダサダサ人間になる可能性があったものの、ルーカスの脚本とハリソン・フォードという俳優によって狙い通りのキャラクターに。各キャラクターがこれほどまでにポジション通りの機能を果たしている作品は滅多にありません。また、物語も王道ど真ん中ですが、王道だからこそシェフの腕がモロに試される難しい素材。これを期待通りに仕上げてみせた腕前は評価に値します。そして何より凄いのが世界観の構築で、見る度に新たな発見があり、続編やスピンオフ小説を山ほど作れるほどの基礎をこれ一本で作り上げています。当初より想定されていた裏設定から後付けの話までいろいろあるのでしょうが、ともかく続編を5本も作って綺麗につながる物語となっていることには驚かされます。ルークの口からオビワンの名前を聞いた瞬間、オーウェンおじさんとベルおばさんが怪訝な表情をするところ、R2-D2を見た瞬間、オビワンが遠い目をするところなどは、30年も後に製作されたEPⅢと綺麗につながるのですから大したものです。  【2018/6/29 追記】 新作『ハン・ソロ』公開にあたり、設定年代の近い本作と『ローグワン』を再度鑑賞してみました。 優秀なクリエイター達により量産される新作で目が肥えてしまったためか、あらためて見返すと展開は鈍重で、見せ場にも目を奪われませんでした。40年も前の映画なので仕方のないこととは言え、シリーズへの新規ファンの参入を妨げているのは本作の存在ではないかという気もしてきました。 また、後のシリーズで明かされるスカイウォーカーの家系図については、本作の時点ではまったく構想がなく、後付けの設定でしかなかったんだろうという点も気になりました。特にレイアの妹設定は本作のドラマの流れとはまったく整合しておらず、それどころか妹設定を念頭に置いて見るとなかなか気持ち悪いことになっており、この後付け設定は失敗だったと思います。同じく、ベイダー=ルークの父=オビワンの親友という設定を念頭に置くと整合しない会話もいくつかあって、ルーカスはもうちょっとうまく後付け設定を付け加えればよかったのにと思いました。 他方で、今回の鑑賞で気づいた良さもありました。明るく楽しいSF大作のようでいて、人の死をちゃんと描かれています。帝国軍に襲われたオーウェンおじさんとベルおばさんの死体がバーンと出てきて、それでルークは危険な冒険に出る決意をしたり、ヤヴィンの戦いでも撃墜される瞬間にパイロットの断末魔の様を見せて、ただでさえ少ない味方がさらに減ったということを観客に見せて危機感を煽ったりと、人の死という重大なイベントとドラマの進行をうまくリンクさせているのです。現在に至ってもこういう丁寧な映画はなかなかないなと感心させられました。
[DVD(吹替)] 7点(2004-09-23 22:41:24)(良:3票)
29.  カサンドラ・クロス
この頃のパニック映画の中では一番好きです。なぜかヘンなやつが多く乗り合わせてるというのはパニック映画の定石ですが、そのあたりは当然クリアー。ただこの映画にはバート・ランカスターという強みがあるので、その時点で他の作品よりも優れてしまってるわけです。冷徹なバート・ランカスターが乗客達の演技をかなり引きたてており、相当に作品を引き締めていました。しかしバート・ランカスター、「合衆国最期の日」では正反対の役をやってましたね。軍隊出動のシーンの緊迫感は秀逸だし、このままでは列車ごと谷底に落とされるという乗客たちの焦りもすばらしかった。パニック映画には大味なものが多い中、これには結構ハラハラしましたね。これでラスト、乗客が全員死ねば私の中では満点だったんですけど。肝心のウィルスが途中で効力を失ってしまうことからも、この映画が見えざる脅威ではなく軍隊や官僚機構の非人間性をテーマにしていることは間違いなく、それならば乗客全員に犠牲になってもらった方がテーマが立ったような気がします。まぁ不満と言えばそれくらいで、全体としてはかなり優良な娯楽作です。前半部分が「アウトブレイク」、後半部分が「暴走特急」に受け継がれていますよね。しかしこれ、ロメロの「クレイジーズ」のパクリとも見ることができるんですけど、そのへんはどうなんでしょう?主題であるはずのウィルスがあまり強力ではないこと、一方それを封じ込めようとする軍隊こそが市民の脅威となることなど、テーマはまったく同じなんですよ。
7点(2004-09-18 04:13:09)
30.  ジョニーは戦場へ行った
この映画の存在を知ってから実際に見るまでに数年あったのですが、あらすじを想像するだけで背筋が凍りました。そして実際に鑑賞すると、夜も眠れないほどの衝撃を受けました。ここまで問答無用に人間の心を刺激するドラマは他にはないでしょう。人類がこれまでに生み出してきた物語の中でも、これは突出した存在ではないかとすら思います。実は私、これを反戦映画とは感じませんでした。たしかに製作側の意図は反戦にあったのでしょうけど、このドラマはすでに反戦というテーマすら越えています。ここで展開されるのは、人間にとっての究極の絶望。死が唯一の希望という深い絶望が、単なる概念ではなく、しっかりと画面に展開されるのです。いかなる形容詞もこのドラマには通用しません。多くの方がおっしゃるように、この映画は1度の鑑賞だけで十分です。もちろん、出来に不満があるからでも、嫌いだからでもありません。あまりに衝撃度が大きすぎて、2度目を見る勇気すらわかないのです。その裏を返せば、一度でも鑑賞すると、一生忘れないほどの深い衝撃を受けるということです。アカデミー賞を受賞したいかなる名作であろうと、ここまで心に刻まれるドラマは存在しません。そんな唯一無二の傑作が、いかなる映画ランキングにも登場しないことを私は不思議に思います。たしかに一般的な知名度はゼロに等しい映画ですが、なぜプロの評論家からも無視の状態が続いているのか。もしかしたら、この映画を正確に評論できる人がいないからなのかもしれません。私だって、この映画のレビューにはかなり気を使っています。あまりに映画がすごすぎて、ヘタな賛辞では作品を矮小化しはしないかと思うからです。それほどの究極の力作です。
9点(2004-09-11 04:09:35)(良:2票)
31.  ネットワーク
贅を尽くした演技合戦はもうすごいばかりです。私としては、オスカーを受賞できなかったウィリアム・ホールデンとロバート・デュバルがたまりませんでした。演劇風に撮るシドニー・ルメット作品では、俳優の演技が映えますね。ただこういう映画には同時代性が大事で、当時としては斬新な設定だったのかもしれませんけど、今となってはよくできた寓話として感じられます。同じくキ○ガイが大活躍する「タクシードライバー」が現在でもその鮮度を落としていないのと比較しても、脚本がウェルメイドすぎて、荒削りな魅力が少なかったのかなとも思います。なんて思いながら見てたんですけど、細木数子さんがレギュラー番組を持って好き放題説教しまくってる現在日本を考えると、やっぱり傑作はバカになりませんねと思い知らされる今日この頃です。
7点(2004-09-07 21:45:32)
32.  マッドマックス
B級アクションのお手本のような映画です。クールな主人公、悪すぎる敵、暴虐な展開と、メジャーでは出せない味が凝縮されています。それにしても暴走族が怖すぎです。はじめて見たのは小学生の時でしたが、コアラとカンガルーが作り上げたおおらかなオーストラリア像を完全に壊されました。あんなにもバイオレントな国には一生近寄るまいと心に決めましたね。そして、これ、「リーサル・ウェポン」「ブレイブハート」「パトリオット」「サイン」と、メルギブはよく奥さんを亡くしますね。
9点(2004-07-08 16:07:34)(笑:1票)
33.  サンゲリア
この映画の尋常ではないスプラッターには、正直ひいてしまいました。おぞましすぎるよ。ただ、見る者に不快感を与えるという意味で、この映画はホラーとしては成功しているわけでして。やっぱりすごいのはサメVSゾンビ戦です。ある意味ハリー・ポッターよりもミラクルでした。どう見ても本物のサメが泳いでるってのに、それでもゾンビ演技に徹しようとするスタントマン根性には頭が上がらない名シーン。たしかに、画面からはゾンビらしからぬ必死さは伝わってきましたが、本当に命をかけて映画史上オンリーワンの難役をこなしたわけで、私的にはあのゾンビにアカデミー賞10年分を送りたい気持ちです。
5点(2004-07-06 12:30:28)
34.  アルタード・ステーツ/未知への挑戦
要は「2001年」プラス「エクソシスト」ってとこなんでしょうけど、私には理解できませんでした。あまりにマイルールの多すぎる科学設定、「真理とは何か?」という哲学的で難解なテーマ、さらに「今まで見せてたこれ、実は幻覚でした」なんて肩透かし演出までされては、理解などできるはずがありません。とはいえ、製作側も膨らみすぎた話に追いついていなかったようで、「なんやかや大変でしたけど、結局愛ですよね」と、志望校に合格できなかった浪人生の言い訳チックな結末となっています。スターチャイルドという結論をきっちり提示して見せたキューブリックさんはやっぱり偉大なのです。 この映画で評価できるのは、職人さんががんばり抜いたと思われるビジュアルイメージの数々です。とくに、中世の絵画をそのまま映像化したような地獄のイメージはすばらしく、CGを多用したにも関わらず最悪だった「スポーン」の地獄絵を見てしまった私としては、そのおぞましさを評価せずにはいられません。「狼男アメリカン」みたいな特殊メイクもがんばってたんですけど、ただ、原始人に先祖帰りした主人公を見るとどうしても「北京原人Who Are You?」を思い出してしまい、あの映画の楽しかった思い出が、この映画の興を見事にぶち壊してくれました。 
4点(2004-07-06 02:21:12)
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