21. ケス
イギリス映画と言えば、ケン・ローチ。最下層の労働者を描き、その静かな視線はドキュメンタリーのようで、でも何ものにも負けないドラマ性をも含む。。まさにローチスタイルはドキュドラマ。。そんな作品群の中で、コノ作品が一番好き!誰にも心を許せない少年が鷹の幼鳥を育てて行くうちに、少しずつ周りとも接点を持てるようになっていく。それでいてケスをメインに持ってくるんでなく、少年の環境をしっかりと見せる。暗いんだけどねぇ~、実に。だからこそ少年と鷹のシーンが一層輝く。空に舞うケスが少年の自由への渇望を表しているかのよう。野原のシーンのなんと素晴らしいことか。・・ラストには信じられない残酷が待っているんだけど、、ローチの優しい視線は不思議と将来への希望を感じさせるから凄い!! 9点(2004-08-14 10:44:32)(良:1票) |
22. 悦楽共犯者
ヤンの長編初体験がこの『悦楽共犯者』。ビデオジャケットからして異様さは伝わりますが、、コノ作品、セリフは殆ど・・てか全くないんです。が、それすら気付かずに没頭。題名通りの変態連鎖は、否定するより根底には共感が芽生える。共犯者って観る側もなんね♪人間、少なからず秘めたる悦びを持ってて・・他人のを覗き見る楽しさ!!バカばっかり(笑)で、少し感じる安堵感。。コミカルな技法が敷居を低くしてくれてる。エゴの塊のようで、でも観る側に優しい作り手なんだわ。 9点(2004-08-13 17:34:33) |
23. スチームボーイ STEAM BOY
最近の日本のアニメ映画はあんまり観てませんが(押井とか?)、哲学的で陰な感じのが多いと思うん。。コレは『AKIRA』の世界観は継承してないけど、安心して楽しめるワクドキを与えてくれるのではなかろうか?などと、予告を観て思った訳で・・。周りの評価も低かったし、モチベーション上がってもて(笑)んで、いざ始まると・・画面に圧倒され!!『AKIRA』漫画版では崩壊しそうなビル群を書き込みすぎてボツにしたと言う逸話を持つ大友氏。書き込みに対する情熱はまだ健在。なんとも細部にまで丁寧に描かれてる。車窓から~♪それだけでぼくは満足だったんですが、レイの顔が一瞬金田になったん♪嬉や~。。「おいおい・・」なユーモア(斉藤さん良かった)も含めてぼくも手塚氏を連想しました。タイトルもだよね??多々あるつっこみを差し引いても満足出来ました♪ 7点(2004-08-13 11:41:25) |
24. スイミング・プール
ラストでかなり「?」出ましたなぁ。なに?2人の女性の内と外の変化、プールサイドに立つ欲情の男たち。対照的なリアクション。日記と書きかけの原稿と、処分したはずの小説。十字架。諸々、後から拾い集めるのが楽しぃ。そして一気に加速するストーリー。複雑な心境にさせるスイッチやったけど、ぞくぞく来た!オゾン的な刺激は要所で。ん~、なるほど!って不確かな感触にニヤリ。終盤のランプリングの奇跡的な艶やかで清らかな美しさ、そしてラストの爽やかな笑みに。魅せるって部分、天才的だわ。ラストを見ちゃうとミステリアスな側面に囚われてしまいがち。全てを解き明かすより、内面に触れ・・引かれて、隠された部分にまた吸い寄せられる。観てる時、その後、と二重引力に見事に虜にされました。 7点(2004-07-24 11:19:22) |
25. ドッペルゲンガー
なんじゃい、スっとぼけ!序盤のテイストはむちゃ好み。仁美ちゃんのお手伝い、家に上がり込んでのトンカチ・・2人役所も勿論、こんな笑いの間を持ってはるんやぁ~。楽しめました。ユースケが出てきてからは、少しダレもチラホラ。と言うか、擽られ少し置いてチクリ刺し。『M』ばりの口笛に、えっ?今、どっち?なんて、ドキっとするシーンが効果的に思考を繋ぐ。終盤はガラっとロードムービー。秘めたるパワーが一気に噴出、前面に。その辺、何やら一貫性を感じると同時に置いてけぼりも喰いました。やっぱ、あの耐久力にはちょっくしジレンマ。ひょっとして、みんなかい?・・そんな疑いはお門違い?鬱積の開放と、初心回顧。そんな螺旋を強烈に、やんわりと。変に山場を作った感も否めませんが。こんな純然たるパワーと、奇妙に癖になる強弱はお見事でやんした。効果音がやたら控えめで、トンカチが地味ぃ~に怖かったり。虚と実とその挟間の三面を見せつつ、離し、ドキっで一気に引き込む。また離し。揺れましたわ。 8点(2004-07-24 10:58:51) |
26. ブリキの太鼓
コレは想像以上でした!!なんだ??この映画。。太鼓を叩いて発狂するベネント君に、も~うクラクラ。。産まれてくるのを拒み、自らの成長をも拒む。嫌な部分もオブラートに包むことなく観せてくれるし。。このくらいじゃなきゃ。すげぇ~好き!って簡単に言えた内容じゃないけど空気がイイ!とにかく凄い映画だ、コレは。。ポーランドの暗黒時代を、物悲しい怪しさたっぷりの映像で雰囲気で、見せる魅せるミセル・・。夢に見そう。 9点(2004-07-13 21:11:32) |
27. シティ・オブ・ゴッド
コレねぇ~、ここ最近観た中じゃ「効いたぁ~!!」ナンバーワンです(笑)だって、こんな環境なんだもん。。身を投じなきゃ腐ってしまう、殺らなきゃ殺られる。。そんなのが当たり前の世界。しかも陰惨さは欠片もなく、むしろ爽快感すら漂う。全然飽きが来ないのは、監督の力量の成せる業。天晴れ♪・・・無法地帯に神はなく、笑みを浮かべるのは恐れを知らぬ子供のみ。心を掻き毟られ、連鎖の渦に呑み込まれ・・。なのに、この気持ちよさ??気紛れ神様ショッキング!!いやぁ、たまげたぁ!この映画ただもんじゃねぇ(爆) 9点(2004-07-13 20:47:52) |
28. 不思議惑星キン・ザ・ザ
あぁ~、なんてハイセンスなんだ。ナンセンスとは紙一重。されど、大違い。いっきなしの強烈なやりとり。んで、飛ばされて。なんじゃいな乗り物が飛んできて、そしてお馴染み「ク~」の一発目。思わず一時停止して、迷わず「ク~」しちゃったじゃないか!体制批判云々、その他も感じ取れるけど、とにかく面白い。そんなんが一番大事。この余韻にどっぷり。 9点(2004-07-12 00:18:59) |
29. ミツバチのささやき
映画本でふと目にしたワンショット。。少女の後ろ姿と伸びる線路。清々しい風景にどこか物憂げな、、それが強烈に印象に残って・・。作品自体の感想はと言うと、、振り向いた少女は天使のようだった。寡黙なエリセが手にした瞳は、真実を見透かすかのようで、危うげで・・ぼくは奇跡を体験した錯覚に。曖昧な描き方は少女の心そのもののよう。でも決してあやふやではない。そこには誰もが経験した幻想的な、残酷な世界が。この瞬間を鮮やかに描ききったエリセに拍手。年を重ねれば立ち止まらず、通り過ぎてしまいがちな。アナが佇むだけで、絵本の1ページが出来上がる♪んで、大人になったアナに(泣)残酷。。 9点(2004-07-11 23:40:23) |
30. ロスト・イン・トランスレーション
日本と日本人の描き方に異を唱える必要は全くない。誇張と言うよりは受ける印象の度合いが違ったり、多少の誤解ってものを含んだ表現だろうから。そこを享受する必要も全くない。ただ、初っ端は戸惑います。どこまで真面目にやってんだ?ネオンのチョイス、演出と通訳、おばちゃんなコールガール、007ネタは面白いんだけど。テンポの違いは分かるし、孤独も多少は共感出来るんだけど決め手に欠ける。内面を描ききる訳でもなく終始、中立で中性的で抽象的。そこをセンス良しと取るか、無難にまとめたと取るか。ストーリーも演出も冒険せずな感は否めず、したがってぼくは断然後者です!日本が舞台でなければ全然違った感じ方出来たと思うし、異国の地に同じ疎外感を抱く二人の、友情ともほのかな束の間の恋路とも付かない心の揺れとその顛末をストレートに体感出来たかもしれない。現にアメリカなどでは、日本語に字幕を付けずに疑似体験的な見せ方をしてるとか。生憎、言葉も文字の意味も分かってしまうんでねぇ~、残念!! 6点(2004-07-11 10:29:23) |
31. 小便小僧の恋物語
えっ、小便小僧??って思うでしょう?でも、い~んだわコレ。本当に小便小僧(立っション)だった異相青年。繊細に開閉するその心の扉はそこから。。「愛してる」を言えなくなった彼の不器用な恋は、ラストの宙に吊られた孤独感で終わる。。登場する人ちょいちょい変わってるし、妙な笑いあり、ディティールにまで拘りを見せる空間。。なんとも不思議なラブストーリーに仕上がってるので、恋愛物嫌いな人でも平気で観れると思う。ぼくがそうだったし・・。青な世界に見事なまでに映える一足の金のハイヒールが、二人の姿と重なる。あの笑顔をもっと早くに見せてくれてれば。。 9点(2004-06-27 21:26:02) |
32. クリミナル・ラヴァーズ
最初っからグッサグサ!別にそれがって訳じゃないけど、こっちにもグサグサ刺さってくる。あの小屋のあたりは童話っぽかった。跳ねっ返りの現実に狂気する女に鳥肌。ってか、アレに。おやじ、オヤジ、おやっさん・・こわキモかった。ラストはオゾン故にそ~来るのんね♪落とすんかい!展開は少しノロく感じて、日常から離れた話だったので多くを求めてしまったのかも。オゾンらしくないなぁ~、なんて思ったけど。時間をおいた今は、じわじわオゾン菌に侵されて、なるほどオゾン作品だ!と、納得したり。ちゅーか思い出し笑い出るんが不思議だわ。もしや、あのオチをしたいが為に、長々と前振りしたわけじゃあるまい? 7点(2004-06-27 19:19:26) |
33. 鉄男 TETSUO
観た当時は、もう、すんげぇ!怖さと、ちょい笑える面白さが絡み合い。才能と勢いを映像と音楽に乗せて、遠慮のない凄み。なんて、衝撃を受けたもんです。モノクロがいい風に作用してるね。荒削りの蓄積で、後半少し疲れる。でも、あのラスト。もっと唐突に終了してくれた方が、突っ撥ねられたイヤぁ~な感じが残っていいのに。ヘンな余韻が。 8点(2004-06-27 18:45:27) |
34. パイナップル・ツアーズ
これ、深夜に放送。で、チラチラ観てたんだけど・話がコロコロ変わって。それもその筈、オムニバスでした。沖縄にハマり始めたんで、きちんと観たんだけど思いのほかよかった。方言の嵐・・字幕ナシじゃあ解りません。一話ずつに個性があるし、素朴な人たちも何とも味があるじゃない。けんじもちゃんと出てるしねばかバカしい繋がりも好き。 7点(2004-06-27 18:26:26) |
35. アンダルシアの犬
映画を辿ればいつしか耳に目に飛び込んでくる。。ずっと『フランダースの犬』っぽいイメージを抱いてたんだけど?(笑)何度も観たけど、断片的で。。何で音楽はあんなに爽やかなんだろ?(笑)とりあえず初っ端から「うえぇ~!」と、思わせてくれる♪理解を求めて何度も観賞したらば、どんどん好きになってくるんですねぇ。。あの音楽がだいぶ効いてんだな。最後もかなり落としてくれるけど。。この二人に今の技術を伝授したら、えらい事んなるね♪観てみた~い!! 7点(2004-06-27 15:45:36) |
36. ホーリー・マウンテン
とにかく視覚に重きを置き。。すんげぇ感覚もった人だなぁ、、なんて別世界の人が紡ぎ出す世界に溺れて、・・置いてかれたり(笑)・・んで、あのラストがやってくる!!!一気に現実に戻されると言うか、ホドロフスキーもぼくと同じ世界に息付いてるということに、殊更衝撃を受けた(爆)この作品だからこそ、このオチが活きてる。。どこまでが計算なんだろ~ねぇ? 8点(2004-06-23 22:28:24) |
37. 鬼畜大宴会
ふ~ん。案外、言われてるほどではないんだなぁ~。ってのが率直な感想。ちゅーか、変態さんに薦められたので、心の準備万端で観たからかな?どこまで魅せてくれるんだろ?途中から興味はそこに集中!なんで、拍子抜けしたってのが正直な感想。ストーリーは、ほぼ無視。だって左翼とかって雰囲気作り以外の何物でもない。その点は成功してるけどね。出演者はみなブサイク。しかも愛嬌の欠片もないときた。終焉の舞が一番強烈でしたわ。 6点(2004-06-23 22:02:32) |
38. カリガリ博士
この時代の映画って今見ると斬新。チープな表現だけど、本当にそう思う。だって、真似できないでしょ?嘘っぽくなっちゃうし。あの妙な間を作るカクカクした動き。影の絶妙な間誤付き。セットもかなりイカしてた!ちゃんと伏線にもなってるし。だからオチにも衝撃を受けた!博士がちくとカワイイ。 9点(2004-06-23 21:29:19) |
39. 紅の豚
加藤登紀子の素晴らしい歌声、夕暮れ時に優雅に飛ぶ飛行艇。。登場人物はみな自己主張強いけど互いに引き立てあってて。何より、悪党も含めて人生を楽しんで生きてるから好感度高し。ノスタルジー溢れる作品だねぇ(笑)好きなセリフ多々。。「戦争で稼ぐヤツは悪党だぁ、賞金稼ぎで稼げねえヤツは能無しだ~。」・上手いねぇ!「飛ばねぇブタはただのブタだ。」ウンウン(爆)そして「この軽薄な赤。~」この一言を発するカーチス。。あんたの性格丸裸(爆)ただ勝負決着が痛々しくて・・。あそこだけ好きになれないんス 9点(2004-06-22 20:35:01) |
40. サイレンス
少し掴みにくい部分もあります。けれども補って余りある。。作品に広がる素朴な世界。と言うか、貧しさ。でも、それをかき消す様な映像美。少年の心象映像のようで、現実と幻想が交差する。少女の身に着ける花や果実のなんと美しいことか!盲目少年の研ぎ澄まされた聴覚。鋭すぎる感覚が見事に描かれて、ラストは別世へと誘うが如く。 7点(2004-06-20 15:51:08) |