Menu
 > レビュワー
 > 目隠シスト さんの口コミ一覧。2ページ目
目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2291
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 お世話になっております。
只今『真・女神転生VV』攻略中のため新規投稿お休みしております。
2024.6.28
とりあえず1周目クリアしたのでぼちぼち投稿再開しています。
2024.7.19


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
6162636465666768697071727374757677787980
81828384858687888990919293949596979899100
101102103104105106107108109110111112113114115
>> カレンダー表示
>> 通常表示
21.  ミンナのウタ 《ネタバレ》 
ネタバレしています。未見の方はご注意ください。  都市伝説的に有名な『暗い日曜日』や邦画ホラー『伝染歌』など、歌うと死ぬ系のギミックは既に存在しますが、本作の場合「歌うと消える」でした。とはいえホラーですから「消える=死」だと理解していましたが、一件落着後「現れる」というミラクルな着地を見せます。そのため作中現在進行エピソードでの死者数はゼロでした。これは『GENERATIOS from EXILE TRIBE』という人気アーティストを本人役で主演に配した影響であり、完全にネタバレですがGENERATIOSのリアルライブシーンで終幕します。そう所謂『アイドルホラー』ジャンルの作品。これは冒頭に記した『伝染歌』(AKB48)や本作出演の早見あかりが在籍したももいろクローバーの『シロメ』と同ジャンルということ。そもそもファン向けのアイドル映画ですからファンが納得すればそれで良く、あまり外野がとやかく言う筋合いはありません。ですが、とやかく言います。そういう趣旨のサイトなので。 一言でいってしまえば「トンチキホラー」です。決して正統派ホラーではありません。でもこれが「面白い」のです。この「面白い」には「笑える」と「ホラーとして楽しめる」の2通りの意味があります。前者については何といっても「劇中リアルカラオケ」が挙げられるでしょう。唐突に始まるGENERATIOS楽曲のカラオケ風ムービー。主演はマキタスポーツ。ホテルの夜景。ちゃんと画面に歌詞まで出ます。このスカシ(ギャグ)が秀逸でサスペンスで重要とされる「緩和剤」の役目を果たしていました。当然「こんなのフザけてる!」と立腹される方が居るかもしれませんが、そもそも「トンチキホラー」なので言うだけ損です。それよりも一人だけドラマ不参加メンバーが居ることを問題視しましょう。スケジュールの都合かな?ゴネたのかな?理由は分かりませんがライブシーンのみの出演でした。私は逆に滅茶苦茶ウケましたが、そのメンバーのファンだったらどう思うのでしょうか。気になるところです。後者については意外と言ったら失礼ですがホラーとしてちゃんと怖かったのです。演出面で際立っていたのは「はーい」のところ。これは同監督の『呪怨 白い老女』でも使用されているフォーマットで、その構造を理解していても鳥肌でした。掃除機のコードにしてもそうですが、日常風景の些細な違和感に由来する恐怖に私自身殊更弱いようです。設定面ではタイトルに隠された真の意味に震撼しました。これは相当にエグいでしょう。呪いの歌のメロディはキャッチ―で覚えやすいものの、すぐに忘れられるのが有難い。実生活に影響しません。もっともこれは私の加齢による効果かもしれませんけど。 「そもそも呪いのトリガーって何?」「みんなちゃんと歌を聞いていましたか?」「弟はどうやって殺されたの?」「呪い殺すより時空を歪ませる方がずっと大変な気がしますけど」等々。疑問点を指摘し出したらキリがありませんが、そこは「トンチキホラー」なので言ったら負けです。「トンチキホラー」最恐ではありませんが最強かも。 観終えてみればショッキングシーン控えめのマイルドな仕上がりで、デートムービーとしての実用性もあり。ホントか?GENERATIOSのファンは勿論、それ以外でも「トンチキホラー」を笑って許せる御方であれば(そこそこ)楽しめる映画ではないでしょうか。少なくとも私は嫌いではありません。ところで「みんなのうた」だと某SASの楽曲が思い起こされますが、カタナカ表記にすることで著作権的な話はクリアになるのでしょうか。いっそエンディングテーマに採用してくれたらアッパレだったと思いますがLDHが許しませんか?点数は4点~6点が妥当だと思いますが、本作についてはももクロちゃん加点が適応されます。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-08-20 18:15:37)
22.  忌怪島/きかいじま 《ネタバレ》 
記載したのは「こう考えると面白いのでは」な解釈の一例です。決して正答ではありませんのでご承知おきください。またネタバレしております。未見の方はご注意ください。ちなみにこの手の長文解釈作品は「すごく面白くて興奮した」か「いまいちなので自力で楽しんだ」のいずれかのパターン。どちらに該当するかは点数でご判断ください。  私最大の関心事はラストの解釈でした。「少女は何故自死したのか」ということ。この点を念頭に物語を整理してみます。 チーム・シンセカイが創り上げた仮想空間は、実在する離島をスキャンして作り上げたもの。視覚だけでなく風や匂い音など全てが完全再現されていました。リアルさを追求するため島のあらゆるデータを隅々まで取り込んだのでしょう。その中には島民(協力者)の脳内データも含まれていました。主人公の仮想空間での登録ナンバーが「4」であることから協力者は「3人」と推測できます。冒頭で死んだ園田、お世話係の老人、そして女子中学生。老人の脳内データ(記憶、知識、感情等)が元となって忌女(漢字だとこうですよね)が顕現したと考えられます。注意したいのは「霊があの世から戻ってきた」ではなく「脳内データから再構築された」ということ。シャーマンが話す「あの世」が仮想空間と酷似していることから前者と錯覚しそうですがミスリードと感じました。老人がこの「違い」を理解していたかどうか不明ですが、少なくとも自身が忌女を出現させた自覚はあったはず。だから彼は厄災を引き起こした自責の念に駆られて自殺したのでしょう。 さて、ここで冒頭の「少女の自死」に戻ります。作中自死したのは老人と少女のみ。なら理由も同じでは。つまり彼女も責任を感じて自殺したのでは。いみじくも老人と同じ唄を歌った直後の出来事でした。更にこの説をエピローグが裏付けます。フェリーに乗船する2人の背後に忌女の気配。でも女は鳥居を焼いた際に消滅したはず。しかし別の忌女が居たとしたらどうでしょう。忌女が脳内データで再構築されるのなら、老人以外の脳内データで再構築されていても不思議ではありません。少女もまた厄災の発端となったひとりかも。とここまで書いておいてなんですが見当違いです。というより少女は自死していません。少なくとも自殺したのはアバターでした。現世で焼失した海中鳥居が存在しているので仮想空間の出来事。もちろん現世の少女が仮想空間に再入室した可能性は否定できませんが、手引きする人はもう居ません。よってラストに自殺した少女のアバターは「読み込み済み過去データ」と推測します。この時点で少女は忌女の厄災を知らぬはず。彼女のアバターが死を選んだ理由は何でしょうか。 ここで主人公が理想とした仮想空間とはどんな世界だったのか振り返ってみます。其処は他人と関わらなくてよい場所。見る景色は変わらないのに、人だけが居ない町。初対面の主人公に物おじせず話しかけ、村八分の老人と交流していた「人間大好き」な少女にとって地獄では。そう彼女(のアバター)は孤独に耐えられず自殺したのではないか。そんな馬鹿なという気もしますが、彼女にはウイルソンが居ないのです。たとえば『あつ森』にもう何年もログインしていないなんて人はいませんか。〇〇島の「あなた」はちゃんと生きていますか。 最後に、エンディングで2人が向かった先について。これはかっぱ堰さんがご指摘のように「あの世」と解釈するのが正しい気がしますが、もしかすると「現世」かもしれません。いずれにせよフェリーに乗り込んでいたのはアバターであり、彼らが今いる世界は仮想空間です(海中鳥居と腕のナンバーで判断)。仮想空間とはおそらく現世とあの世の中間に位置する世界。アクセス良好なのは忌女が証明済み。彼らが向かった先が「あの世」と考えるか「現世」と捉えるかで物語の余韻は大きく変わります。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-08-16 18:20:49)
23.  サンクスギビング 《ネタバレ》 
聞けば『マチューテ』同様のネタ映画だそう。マジレスするのもどうかと思いますが「王道スラッシャーホラー」に対する雑感として記載します。 ご存じ『13日の金曜日』のジェイソンはホッケーマスク、『ハロウィン』のブギーマンはラバーマスク。殺人鬼は顔を隠すのがデフォルトです。理由の第一は顔バレを防ぐため。そして何より不気味だから。身も蓋もないですけど。でもちょっと考えれば分かるようにマスクは不便です。視界は遮られ、息もし難い。命のやり取りをする修羅場でマスクを着用するのは不合理です。そう彼らのマスクは“ハンデを負ってでも着用する意義がある必需品”ということ。いわば殺人鬼としてのアイデンティティ。本作では復讐の発端となった惨劇「感謝祭」を象徴するお面が選ばれました。これは分かり易い。納得できます。でも現実に祭りのお面を付けて人殺しが出来るでしょうか。答えはNO。正対しないと相手を視認できないのではお話になりません。もっともこれはジェイソンにだって言えること。しかし本作ほど違和感がないのは、彼が大男だからです。ブギーマンやレザーフェイスも然り。歴代のメジャー殺人鬼は基本「大男」でした。マスク着用のハンデがあろうとも“揺るがない戦闘力(殺人力)”を感じさせるキャラクター。その観点から本作の殺人鬼は「体格不足」でありました。ミステリーであるがゆえの弱点。本来「中肉中背」では殺人鬼としてのポテンシャルに欠けるのです(ちなみにこのタイプの殺人鬼には『スクリーム』のゴーストフェイスも該当します)。となると“揺るがない戦闘力”を体格以外で示したいところ。そう武器。武器で殺傷能力を示せばいい。本作の殺人鬼は斧以外に銃を使用しました。銃なら問答無用の殺傷能力です。でもこれはスラッシャーホラーの様式美に反する行為では。詫びも寂もありません。「あえて皮肉った」可能性もありますが、ネタ映画であるなら尚のことスラッシャーホラーの「様式美」や「流儀」に拘って欲しかったと感じます。では飛び道具以外で、かすっただけでも絶命させるような強力な武器は何でしょう。ずばり「毒手」がおススメ。マスク系中肉中背殺人鬼は全員「毒手」をご利用ください。「毒手」って何?な常識人は「柳龍光」で検索ください。ただし殺人鬼はいつも手袋をしているキャラクターにならざるを得ないので「タクシー運転手」か「手タレ」に限定されてしまいますが。 さて、本作の殺人鬼もご多分に漏れず死体が見つかりませんでした。続編及び不死身キャラのフラグが立ちました。もう犯人は特定されたので顔を隠す必要はありませんが、きっと次回もお面を付けてくるでしょう。でも前述したように様式美無視の無粋な真似は勘弁願いたい。と言う訳で続編では「毒手」採用を希望します。あるいは「骨延長手術」で2mオーバーの大男になってください。「骨延長手術」が不明の場合は「ジャック・ハンマー」で検索ください。
[インターネット(字幕)] 5点(2024-08-07 18:31:31)(笑:1票)
24.  夜明けまでバス停で 《ネタバレ》 
時代設定がコロナ禍の作品は観たことがありますが「コロナ禍」自体をテーマとした映画は初めてでした。職を失い、住むことろを失い、追い詰められた主人公が辿り着いた境地に身震いしました。どんな善人であろうと「貧すれば鈍す」ということ。柄本明が言う「社会の底が抜けた」は弱者だけでなく全ての人にとっての「緊急事態」を意味しました。「私が幸せならばそれでいい」は通用しません。「情けは人の為ならず」とはよく言ったもの。多くの人が幸せに暮らせることが、結局は自分自身の利益に繋がるのだと思います。そういう意味で本作の主張は政治批判も含め共感出来る部分はありました。ただ両手を挙げて賛同はできません。主人公の罪は窮地に助けを求めなかったこと。友人に、家族に、政府に、何故助けを求めないのでしょう。弱みを見せられない性格?プライドが邪魔をする?それが理由になるのは精々未成年まで。「神は自ら助くる者を助く」とは言いますが、助けを求めることは恥でも何でもありません。助けてもらった分、次は助けてあげればよいだけ。この世は持ちつ持たれつですから。「黙って動けぬ者も含めて困窮者は全員助けるべき」が理想かもしれませんが、よほど社会に余力がない限り無理な話。そんな余力があるなら、そもそも底は抜けていない訳ですし。ただ最後に物言わぬ主人公が救われたのは奇跡ではありません。あれこそ「情けは人の為ならず」の成果。かけた情けが戻って来たと捉えて良い気がします。さて大切なのは「機」を逃さぬこと。彼女が手にした(たぶん)30万円は、人生を立て直すに可能な原資と考えます。作るのは爆弾ではなく「居場所」です。
[インターネット(邦画)] 6点(2024-08-05 00:13:37)
25.  ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー 《ネタバレ》 
物語の構成は前作とほぼ変わりません。【起】掴みはアクション【承】ゆるゆる日常生活【転】敵との抗争【結】ド派手な格闘で決着。何なら決め技まで同じ。『男はつらいよ』と見紛う定型文です。でもよく考えてみれば『ミッション:インポッシブル』だって似たようなもの。ここは洗練されたフォーマットと捉えましょう。 一般的に続編は「パワーアップ」を旨とします。本作も例外ではなく、コメディと青春ドラマが強化されました。しかし反面、敵のグレードはダウン。これは「駆け出し殺し屋兄弟」をメインゲストに迎えた影響ですが、一部要素とはいえ弱体化したのは意外でした。もっとも敵の戦闘力ばかり追求し出すとインフレを起こし、いずれ行き詰まります。敵の「強さ」ではなく「タイプ」に着目した判断は賢明だったと考えます。事実アクションは見応え十分でした。動き続ける銃撃戦や格闘ムーブは、リアリティを放棄したからこそ辿り着いた境地。胸が躍りました。エンタメ至上主義の“魅せる”アクションが『ベイビーわるきゅーれ』の生命線であります。 強化ポイント、コメディと青春ドラマについても触れておきましょう。まずコメディから。もともとナチュラル脱力系の笑いでしたが、本作では主役2人の役割(ボケとぼんやり)が明確になり積極的に笑いを取りに行く姿勢が示されました。手薄であったサブキャラにも新顔を入れシリーズ映画としての体裁を整えた感があります。コメディセンスが万人ウケするとは思えませんが、個人的には渡辺哲に『ビジュ爆発』と言わせただけで優勝でした。青春ドラマについては、まひろの台詞『私に賭けろ。杉本ちさと』に痺れましたが、大部分は「ビギナーアサシンブラザーズ」のお手柄と言っていいでしょう。喧嘩、いやスポーツ感覚での殺し合いは、不謹慎ながら「青春」そのもの。大変な良キャラで殺してしまうには惜しい逸材でした。少年マンガなら敵から味方への鞍替えするパターンかと。結末の表現をみるにその可能性はゼロでは無さそう。リアリティよりエンターテイメント性を重視している作品ゆえ、密かに彼らの復活を期待しています。 総じて前作より観易くなったと感じました。つまり娯楽作品として大衆性を身に着けたということ。これは前作の感想で指摘したポイントであり歓迎すべき変化ですが、前作が「思わず10点を付けかけた8点」であるのに対し、本作は「7点以下にはならないが9点10点にもならない8点」とニュアンスに違いがあります。喩えるなら前作が「球速160㎞の荒れ球投手」で本作が「制球力ある150㎞投手」。後者の方が優秀ですが、浪漫があるのは前者だったりもします。贅沢なお願いで恐縮ですが、本シリーズには制球力ある170㎞投手を目指して頂きたいです。 TV連ドラ『エブリデイ!』に劇場3作目『ナイスデイズ』も控えており、ビジュならぬ人気爆発している本シリーズ。嬉しい限り。ナイスデイズのキャッチコピーなんて無視してじゃんじゃん続編をつくってください。期待しています。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-07-29 20:56:13)
26.  ザ・プロジェクト 瞬・間・移・動 《ネタバレ》 
ネタバレ厳禁映画です。未見の方はご注意ください。  瞬間移動実験で起きた予期せぬエラー。「どうして起きたか」の説明(光の反射理論)は実はよく分かりませんが、「何が起きたか」はすぐに理解できました。というより多くの観客が真相を予想できたのでは。それくらいこのSFジャンルでは使い古されたネタでした。主人公の実験記録を盗んでいった人物の描き方は明らかに「見せ過ぎ」であり「そりゃそうだろう」としか思えません。しかしネタに新鮮味がないから不可ではありません。見せ方、そしてテーマ次第。監督の手腕が問われる「定番」SFだったと思います。 ワープ実験により記憶障害を負った主人公。彼女が苦難の末真相に辿りつくまでが「見どころ」であります。記憶に質量はあるのか。記憶は電気信号か。では魂はどう定義される?科学とも哲学とも言えるアプローチは興味深く、前述したように理論は理解できずとも真相は十分腑に落ちました。そして彼女の立場に我が身を重ね絶望する訳です。あの解決方法しかないのは理解しますが、これを「当たり前」と捉えるなら劇中非難されていた「動物実験」と何が違うのかという話。「動物実験は殺人と同じ」という活動家のトンデモ理論が俄然正当性を帯びてきます。科学技術の進歩に犠牲が付き物だとしても、どこまでが許容範囲かということ。動物愛護活動家の主張も、科学者の態度も、どちらも私には受け入れ難い。しかし瞬間移動が本当に実用化されたならどうでしょうか。事故を理由に自動車を否定する人が居ないように、瞬間移動技術がもたらす莫大な恩恵の前には相当な犠牲が社会的に許容されるでしょう。おそらくこの価値観の変化こそがラストカットの「繭」で暗示される人間社会の「メタモルフォーゼ」。それは人が魂を捨て去る世界と言えるかもしれません。 念のため最後に1点確認を。主人公と母親の通話シーン。まるで引っ越し前後のような何もない白い部屋に母親がひとり。違和感と共に得も言われぬ恐怖を感じさせました。これは「背景が無い=主人公の記憶が無い」という意味で捉えてよろしいのですよね。もしそうでないなら、パラレルワールドとかマルチバースの可能性も考えなくてはいけないので。もうちょっと深掘りして解釈を試みたい気もしますが・・・。もし本作が面白いと感じられたなら『プライマー』(2004)の鑑賞をお勧めします。ただし考察に要する時間は本作の比ではない超難解映画ですので時間に余裕のある時にご鑑賞くださいませ。
[インターネット(吹替)] 7点(2024-07-23 20:54:52)
27.  Pearl パール 《ネタバレ》 
牧歌的な“古き良き”田舎暮らしにそぐわない鮮烈かつ容赦のない殺戮描写。A24ブランドの名に恥じぬハイセンスなサイコホラーが展開されます。聞けば3部作の2作目とのこと。1作目『X』より出来が良いと思いました。何といっても主演のミア・ゴスが素晴らしい。鬱屈した心情、爆発する狂気。圧巻だったのはエンドクレジット越しの「長すぎる笑顔」でしょう。もはや「顔芸」ですが、これを見せたいが為の映画だったとさえ思えます。絶品でした。だからこそ一瞬といえども予告編でこのシーンを使うのは悪手では。必殺技は出し惜しみしてください。 やはり気になるのはパールの「幼さ」「未熟さ」でした。夢を見るのは構いませんが、夢の中から出てこないのは困ります。相川七瀬(織田哲郎)の言う通り。彼女の犯した「殺戮」は「現実逃避」と同義。だから事後、必死に「いつもの生活」を演じたのでしょう。でも自分で自分を騙している自覚はあるから前述した「長すぎる“苦しみの”笑顔」になったと。恐ろしくも哀れです。『X』をみるに彼女はこの精神のまま年老いた様子。それは彼女の現実逃避を容認した者がいることを意味しました。夫=ハワードの罪は、パールの犯した罪と同等です。 得てして「若さ=正義」とされる風潮がありますが、精神が未成熟であることはむしろ悪です。ソクラテスの『無知は罪』ならぬ『未熟は罪』。パールの残虐性は幼さの裏返しでもありました。子どもが戯れに虫を殺すのと同じ。もちろん、同じ生き物を殺すにしてもグラデーションはあります。虫は殺せても小動物は殺せません。これが一般的に共有されている「越えられない一線」でしょう。そういう意味でタイトルバックにもなった「ガチョウ殺し」は、彼女が「こちら側」ではなく「あちら側」の人間であることを示唆しています。あるいはクロコダイルダンディもびっくり無類のワニ好きかもしれませんけど。 ところで今頃気づいたのですが『X』の年老いたパールもミア・ゴスなのですね。主役のマキシーンもミアですし二役でしたか。つまり本シリーズはミア・ゴス祭り。大したものです。でも大嫌いだった上司に似ているのでミア・ゴスは嫌いです。
[インターネット(吹替)] 7点(2024-07-19 18:22:46)(笑:1票) (良:1票)
28.  ルックバック 《ネタバレ》 
ネタバレ厳禁映画です。「評判良さそう、どんな感じかな」で本サイトを開いた方は速やかに閉じることを強くおすすめします(管理人様勝手なことを言ってすみません)。すぐに劇場でご覧ください。劇場公開が終了している場合は、DVDでもサブスクでも構いません。観てください。観終えてから再度ご訪問いただければ幸いです。  ※劇場鑑賞後すぐに勢いで「推敲なし」で投稿しましたが、文才皆無のため「何を言いたいのか分からない」状態でした。申し訳ございません。『嫌われ松子の一生』で懲りたはずなのに同じ過ちを犯すとは。面目ない限り。鑑賞後数日経ち、少し落ち着き思考も整理されてきたので改めて投稿し直します。  本作で激しく心を揺さぶられたポイントは3つです。ひとつ目は「努力が報われたこと」そしてふたつ目は「理解者を得たこと」。この二つは同時にやってきました。藤野と京本が初めて顔を合わせた場面。まさに盆と正月が一緒に来たとはこのこと。そっけない態度とは裏腹に藤野の心は狂喜乱舞しました。この時の「表現」は日本アニメ史上に残る名シーンであります。生涯忘れえぬ感動は、漫画連載が決まった時より、アニメ化が決定した時よりずっと大きなものだったでしょう。この「思い出」だけで生きていけるほどに。恥ずかしながらもらい泣きです。何故これほど感動的なのか。それはこの二つを得るのが至難の業だからです。一度も手にせぬまま人生を終える人も多いはず。残念ながら今の私もその一人であります。勿論この感動は京本にも当てはまりました。あるいは彼女の場合は藤野以上かもしれません。「人生の転機」となる出会い。固く閉じていた未来への扉が開いた瞬間でした。陳腐な表現ですが「魂の片割れを見つける」とはこういう事かもしれません。 3つ目に心揺さぶられたのは言わずもがな。京本を襲った悲劇です。私はかねてより「人が死ぬから悲しい物語」は嫌いでした。その思いは基本今でも変わりません。しかし年を重ねて少し心境が変化した気がします。それは「死」が決して「特別なもの」ではない事を知ったからです。今日と同じ明日が来る保証など誰にもありません。死は唐突に訪れるものであり、往々にして理不尽なもの。これが世の道理です。物語だから死を避けるのも不合理では。 藤野は当初京本を外に連れ出した自分を責めましたが、彼女に非が無いのは言うまでもありません。もちろん彼女も頭では理解しているでしょう。でも心が追い付かない。そんな彼女に見せた幻が「ifの未来」でした。藤野が漫画を諦め、空手に勤しんだ未来。京本を襲った悲劇を回避できた未来。もしかしたら本当に「別の未来」が存在するのかもしれません。それは誰にも分からないし、知る術もありません。「死期」と同じ。だから私たちに出来るのは、真摯に自分の生と向き合うことのみ。自分がやれること、やりたいこと、やるべきことをする。それだけ。京本もそうして生きてきたのです。 良き人との出会いは「幸運」であり、別れは悲しいですが「必然」です。断言できるのは「努力が報われ」「理解者を得た」人生が「この上なく素晴らしい」こと。これだけは、絶対に、間違いありません。
[映画館(邦画)] 10点(2024-07-15 13:01:06)(良:3票)
29.  スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼 《ネタバレ》 
『スマホを落としただけなのに』のその後を描く続編。前作主演の二人が冒頭顔見せしてくれた時点でシリーズものとして誠実ですし、キーマンだった加賀谷刑事(千葉雄大)が本作の主人公を務める点も違和感がありません。投獄中の殺人鬼・浦野(成田凌)を軸に物語は進行しました。比較されて勝ち目などない『羊たちの沈黙』パターンに一抹の不安を覚えたものの、前述したキャスティング含め極めて正攻法の続編であり、期待こそしていませんでしたが(前作は5点)、概ね好感を持って鑑賞出来たと思います。ただ「思っていたのとは違う」いや「全然違う」でした。これは多くの観客が抱いた感想と思われ、平均点低下にも繋がっている気がします。ただしこれは"勝手に期待して裏切られた気分になった"とも言えます。サスペンスと決めつけた私の早とちり。本作は『羊たちの沈黙』パロディであり、悪ふざけ系コメディという認識が正しいかと。アルピー平子のあり得ない死に方、アキラ100%の「逆に不安にさせましたか。履いてますよ」等きちんとヒントは出ていました。奈緒、江口のりこといった主演級俳優の無駄遣い。車が多数駐車されているPAに人っ子1人居ない不自然さ。彼氏の親子関係に無神経にも口出しする彼女(白石麻衣)のお花畑ぶり。そして何よりラスト。唐突に提供された「スマホを落としただけなのに」エピソードに震撼しました。シリーズタイトルは屋号と同じ。今回はスマホを落としてないじゃんなんて誰も言いませんよ。和菓子の名店『虎屋』が肉食動物を売ってないのは詐欺だなんて思わないでしょ。どれもこれもサスペンスだと思うから脱力する訳で、コメディならば成立するのです。その観点で評価し直すなら、割と良く出来ていると思えなくもありません。全ては浦野の掌の上。という訳で前作同様5点を進呈いたします。どうやらシリーズ3作目の公開も控えている様子。奈緒、江口のりこが続投でまた端役だったらコメディ濃厚でしょう。いやいや決めつけはいけませんね。シリーズ映画でもフラットな鑑賞姿勢で臨まなければならない事を本作は教えてくれています。
[インターネット(邦画)] 5点(2024-07-14 23:49:19)
30.  ゾンビランド:ダブルタップ 《ネタバレ》 
主要キャスト勢揃いで10年ぶりに制作されたシリーズ2作目。劇中でも10年経過しているため配役に関する違和感はゼロです。普通10年もあれば誰か不祥事を起こしていたり、事務所と揉めていたり、あるいはギャラが高騰していたり、様々な理由で再登板に支障がありそうなものですが、主役4人がちゃんと『ゾンビランド』に戻ってきてくれました。ほぼ「奇跡」と言っていい完璧な続編の在り方だと思います。更に嬉しい事にあのビル・マーレイ(本人役)まで再登場ですよ。つくづく天晴れであります。 変わらないのはキャストだけではありません。世界観も演出も脚本も、何から何までお馴染みの味。続編にありがちなリニューアルやパワーアップなど一切無し。それだけフォーマットが完成されているということでしょう。帰結についても前作踏襲。大切なのは「場所」ではなく「人」。「どこに住むか」ではなく「誰と暮らすか」。勤め人にとっては「勤務地」「業務内容」より「上司」「同僚」「部下」の方が遥かに重要であることに異論は無いでしょう。この主張に基づき明確に存在を否定されたのが「バビロン」でした。モチーフは横山光輝『バビル2世』でお馴染み「バベルの塔」であります(違う?)。バベルの塔=実現不可な絵空事=非武装のユートピア=共産主義の理想郷って感じでしょうか。そりゃアメリカ映画なら完全否定しますわな。どんな理屈でゾンビ蔓延る世界で武器を捨てられるのか理解に苦しみますが、きっと常人では計り知れない崇高な理念があるのでしょう。あるいは単なる現実逃避でしょうか。ただ「安全安心の引き籠り」という指針が非常に危ういのは間違いありません。「籠城」は非常時では有効な戦術ですが、平時に採用する戦法ではありません。ゾンビがいる世界が10年も続けば、残念ながらもう平時です。避難している場合ではありません。おそらく命の次に大切なのは健全な精神を保つこと。生ける屍にならずとも、死せる生き人になっては元も子もありません。そういう意味ではゾンビ狩りをアミューズメントとしてエンジョイしていた4人は「ゾンビ世界の歩き方」を会得していたと言えるでしょう。 実は本作を観て思い起こされたのは、某借りぐらしアニメ。文科省推奨?優良アニメと不謹慎ゾンビコメディを比べるのは筋違いかもしれませんが、案外テーマは似通っているのでは。安全安心は生きていくために欠かせませんが、固執したり、妄信したりするのはいけません。危険を冒しても新天地を目指すのは、人として正しい、健全な精神の在り方という気がします。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-07-10 18:20:11)
31.  みなに幸あれ 《ネタバレ》 
以下私なりの解釈です。誤読ご容赦ください。また未見の方はご注意ください。  「生命を脅かすもの」や「理解できないもの」に対して私たちは恐怖を覚えます。本作は後者のタイプ。徹底して意味不明な展開に終始しており所謂「不条理系ホラー」に該当しました。ただ解釈は可能です。テーマはおそらく「年金制度」かと。「納税」や「国民皆保険」でもおおよそ当てはまりそうですが「老婆の出産」が判断の決め手となりました。 年金は世代間扶助。高齢者を現役世代が支える社会保障制度です。この観点で解釈を試みると物語は実にクリアとなります。横断歩道を渡る老婆への若者の気遣いは「年金制度」の理念を示していますし、生贄が中年男性から若者へ変わったのも昨今の社会情勢を反映したもの。そして前述した「老婆の出産」。ご丁寧にも分娩する老婆を大人2人が馬となって支えています。もちろん老婆が出産できるはずもなく『いくら高齢者を手厚く支援したところで喫緊の課題「少子化問題」など解決しませんよ』という強烈な皮肉が見て取れます。ちなみに世捨て人となった伯母さんは国民年金未払い者。社会不適合者の末路は哀れでした。主人公を「制度の主旨を理解せず批判だけする者」と捉えると、家族を含めた彼女の周りの冷ややかな反応も腑に落ちます。お気持ちで現状を否定するだけならば、彼女は確かに「お花畑」かもしれません。 年金制度を「誰かの不幸の元に成り立つ幸せ」と断じてしまうのは流石に暴論です。しかしそう言いたくなる気持ちも分からないでもありません。制度が破綻して血を流すのは受益者も負担者も同じ。それなのに皆他人事。危機感の欠如こそ最上級のホラーであります。目と口を塞がれ搾取される現状は、やはり正常とは言えません。たぶん年金制度自体は崩壊しないでしょうが、大きく様変わりし割を食う世代が出るのは必定です。それでも社会保障を維持する恩恵は一般大衆にとって絶大であり、ドロップアウトした伯母に比べれば「圧倒的にマシ」という現実は動きません。釈然としなくとも、これが「最大幸約数」なのです。この事実を受け入れることが「大人になる」なのでしょう。そんな大人になりたかったか?と問われると口籠ってしまいますが。幸いにも私たちに「最大幸約数」を増やす手立ては残されています。行きましょう。選挙。 解釈しない素の状態では「不条理ホラー」。解釈を加えると「風刺コメディ」に変化する二面性を持った作品(「パンケーキ食べたい」はコメディ宣言でよろしいのですよね)。まるで食べている途中で味変できるラーメンのよう。なかなか凝った意欲作だと思いますが、味変したラーメンが元に戻らないように解釈を試みた後はホラーには戻れません。そういう意味ではホラー直球勝負でも良かった気がします。画作りや演出のセンスを見るに監督に「ホラー適正あり」と判断しました。何より古川琴音さんのホラー適正が◎ですし(偉そうですみません)。
[インターネット(邦画)] 6点(2024-07-02 18:22:47)(良:1票)
32.  鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 《ネタバレ》 
『ゲゲゲの鬼太郎』は言わずと知れた国民的アニメ(漫画)ですが、『ドラえもん』や『サザエさん』のように長年に渡り継続してTV放送されてはいません。1968年に初めてTVアニメ化されて以降、1970年代、80年代、90年代、2000年代、2010年代とコンスタントにアニメシリーズが制作されてきた珍しいタイプの作品であります。日本で育った人なら誰もがどれかのシリーズに見覚えがあるのでは。先日『ブラッシュアップライフ』でお馴染み、子役の長尾柚乃ちゃんが鬼太郎のべとべとさんが好きだと言っていて驚きました。なんと幅広い年代から愛されているのでしょう。そんな大人気アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』は年代固定制を採用していないため、シリーズごとに社会背景が異なり世界観やキャラ設定も変化している気がします。思い描く「鬼太郎像」は世代によって違うでしょう。更に摩訶不思議なのは、鬼太郎や目玉の親父、ねずみ男等のキャラクターは有名でも、鬼太郎が何者なのか、彼の目的は何なのかはあまり知られていないような。かく言う私もごにょごにょしてしまいます。有名人なのに実は何者か分からない、そう鬼太郎はまさにアニメ界の「金太郎」なのです(あるいは某ファビュラス姉妹。こちらの方が妖怪っぽいか。コラ。いや美しさが異次元という意味です)。そこで本作。鬼太郎誕生の前日譚とのこと。鬼太郎ファン積年の謎(あるいは単なる勉強不足)が解消される待望のエピソードゼロでありました。時は昭和31年。敗戦の傷跡癒えぬ日本。とある田舎が舞台の妖怪奇譚。設定だけならトトロと大差ありませんが、纏う空気は真逆でした。荒廃したのは社会だけでなく人の心も同じか。終始切なく息苦しく、私が知る「ゲゲゲの鬼太郎」とはまるで別物でした。完全に大人向け仕様。でもこれが鬼太郎の本質なのでしょう。喩えるなら〇露丸の如し。私が処方されてきたのはさしずめ正〇丸糖衣Aというわけ。とはいえ、本作も糖衣が全て除去されたガチ正露〇ではなく十分オブラートに包まれていました。だからシリアスな内容に反して観易かったのでしょう。個人的には市川崑監督に本エピソードを実写映画化して欲しいですが、無理なので堤幸彦監督にお願いしたい。悪ふざけが過ぎますか?
[インターネット(邦画)] 8点(2024-06-13 18:55:05)(笑:1票)
33.  あの頃。 《ネタバレ》 
「心穏やかに満足して死ぬこと」が人生の目的とするなら、彼の死に様はひとつの理想形だと思います。あれだけ多くの仲間に囲まれ、笑って送り出して貰えるなんて幸せなこと。人生の最期が好きなアイドルの曲と一緒なら尚更でしょう。良くもないが悪くもない。充分です。上等です。私はそう思います。 因みに本作は『恋ING』の為の映画。いや『恋ING』を皆さんに知ってもらう為の映画でもありました。素晴らしい楽曲は歌う人を選びません。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-06-09 17:54:02)
34.  Ms.ベビーシッター 《ネタバレ》 
冴えないベビーシッターがボーイスカウト(ガールスカウト?)で身につけたスキルを武器に家に押し入って来た狂信者と対決するお話。一昔前のホラーサスペンスでありがちな「何でそこでアドバンテージを放棄するの」「優先順位が違うがな」など、主人公の行動にフラストレーションが溜まり爽快感に欠けるのが辛いです。また前述のスキル紹介が状況にそぐわぬ軽めな(ポップな)演出のため緊張感も削がれがち。敵も強敵とは言い難く、どうにもこうにも締まりません。まさにB級サスペンスでありました。それでもキャラクターが魅力的ならA評価に覆える現金な私ですが、ヒロインが好みのタイプではなく残念(上から目線失礼)。ただしビジュアルイメージ(DVDパッケージ)より実物は美人です。活躍仕出してからはより一層魅力が増しました。多分ギャップ狙いで芋っぽさを強調したかったのでしょうが、単純に老けてみえます。基本的に残念な仕上がりの本作ですが、ボスとの対決シーンだけは素晴らしかったです。致命傷を負わせてもなお絶命するまで。僅か10秒ほどの攻防ですがスリリングで楽しめました。 ところでエンドクレジット後の一件(10ヶ月後の出来事)は一体何なんでしょう。悪魔?が娘に取り憑き、狂信者が望んでいたように世界の秩序が作り変えられたということでしょうか。正直分かり難いですし、そもそもそんな展開誰も欲していない気がするのですが。因みに原題は『ベビーシッター・マスト・ダイ』。こちらの方が圧倒的にキャッチーだと思いますが、何故に当たり障りのない邦題が付いたのか本気で謎です。
[インターネット(吹替)] 5点(2024-06-06 18:16:28)
35.  三茶のポルターガイスト 《ネタバレ》 
CGやらせ一切無し。ガチのドキュメンタリーだそう。つまり本作に収録されているポルターガイスト現象ほか所謂「霊障」は全て実際に起きた出来事とアナウンスされています。はてさて困りました。本当に信じてよいのでしょうか。私の感覚は以下のとおり。 ①騙すつもりの完全フェイク。確率10%。川口浩探検隊やミスターマリックの超魔術が堂々と放送されていた昭和ならいざ知らず、コンプライアンス至上主義の令和にフェイクをホンモノと偽るのはリスクが高そう。洒落が通じる時代は終ったと感じます。注:例示の番組で大人は騙されていないでしょうが、子どもは普通に騙されていました(私だけ?!) ②片八百長。確率30%。出演者(あるいは制作陣も含め)真実を知らされていないが、実はトリックありのパターン。 ③まじでホンモノ。確率30%。浪漫、期待値も込めてやや高めの設定。でも信じるに値するものが無いのが辛い。本作の現象をトリック(CGやマジックなど)で再現するのは容易いですから。 ④騙すつもりのない完全フェイク。またの名を街裏ぴんく方式。確率30%。ぴんく氏が漫談冒頭で放つ「女芸人としてやらせてもらってます」と、はっきり映る白い「人間の手」は同義なのでは。この場合ぴんく氏が「うそうそ本当は男芸人ですよ」と言わないのと同じ理屈で劇中タネ明かしはありません。さじ加減を間違えたモキュメンタリーとも言えます。 結局のところ何を、いや「誰を」信じるかに尽きるかと。骨董の目利きに同じ。素人は専門家の意見を聴き、信用に値するか判断するのみ。そういう意味では「心霊現象の目利き」が不在だったのが残念でした。本作に関わっているのはオカルト畑の人たちばかり。公正な目を持っているとは言い難い。この人たちにとっては通常のビジネス案件ですから。流石に胡散臭いと感じるのが一般的な感覚では。なお一部専門家(マジシャン、内装業など)の意見聴取がありましたが、彼らがお金で転ばぬ人である確証はありませんし、何なら本物の専門家かどうかさえ疑わしい(ごめんね)。反オカルト派による科学的検証が必須と考えます。それでもなお「ホンモノ」と主張されるのであれば、それはもう映画で小金を儲けている場合ではなく、ちゃんと学問として研究しましょうという話。幽霊なのか、妖怪なのか、はたまた異次元の人間なのか。これまでの常識が覆ったら興奮しますよね。もうすぐ続編が公開されるそうですし、科学的検証もなされる模様。両者リングアウトのような有耶無耶な形でお茶を濁すことなく、完全決着を期待いたします。なお上記④の場合は種明かしをお願いします。 ちなみに全く怖くありませんので、ホラーが苦手な方でも大丈夫だと思います(無責任発言失礼)。
[インターネット(邦画)] 5点(2024-05-28 20:05:10)(良:1票)
36.  戦慄怪奇ワールド コワすぎ! 《ネタバレ》 
邦画モキュメンタリーホラーの第一人者、白石晃士監督作品。聞けばOVシリーズの劇場版だそうで。白石監督といえば、個人的にはZが付く前のももクロちゃんが『シロメ』でお世話になっており大変感謝しておりますが、作品の評価はまた別の話。積極的に探して観る程ファンではなくずっとナチュラルにスルーし続けてきました。今回鑑賞したのはたまたま。観終えてから監督名を確認した次第です。 率直な感想は予想以上に面白い。いや一周して面白い!でしょうか。 POVモキュメンタリーなのにしっかりオカルトSF。劇場版プリキュア要素までぶち込む悪ふざけ。胡散臭いのにドラマは熱いという謎仕様。さらにツッコミ待ちのボケなのか奇妙な描写がちらほらと。 例えば赤い女。手に持つ武器は何処で手に入れたのですか?ナタや包丁ならいざ知らず、ククリナイフってマニアックな。黒い男の所持品を奪ったのでしょうか。ちなみにアップで刃があるようには見えず、毎度事件でお馴染み「バールのようなもの」ならぬ「ククリナイフのようなもの」の可能性あり。服を切ってたから刃があるって?刃があっても、あれで服が切れるわけないですやん。ウソですやん。むしろ赤い女の超能力ですやん。「ククリナイ フ」ではなく「ククリナイフのようなもの」だとするとコスプレのプロップか何か。このあたりはフェイクとはいえドキュメンタリーなら拘って欲しい細部かと。でも武器にならない武器を持っていると思えば、赤い女がより不憫に見えるかもしれません。極めつけは宙に浮かぶ異型の者。おそらく赤い女が宿したものの、産まれ落ちる事なくこの世を去り物の怪に転生した子。赤い女と共に次元の狭間を彷徨う内に世界を破滅させるほどの力を身に着けたのでしょう。うーん。何だそりゃ。ここで問題なのはビジュアル面のクオリティです。ディープフェイクで本物と見紛う偽動画が出回る昨今、あまりと言えばあまりな出来栄え。単に低予算だからでは済まされぬ監督の明確な意思を感じずにはいられません。かつて『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』がガチ過ぎて本物か偽物か物議を醸した事を反面教師に、一見して偽物と判別できる低品質なCGをあえて採用しているのだとしたら・・・。監督の高いコンプライアンス意識に脱帽するより他ありません。要するにエンターテイメント万歳ってことです。ストレートにホラーとして楽しむ(怖がる)のではなく、斜に構えて面白がる作品なのは間違いなさそう。それがモキュメンタリーホラーの正しい鑑賞作法であります。
[インターネット(吹替)] 7点(2024-05-25 19:27:42)(良:1票)
37.  宮松と山下 《ネタバレ》 
香川照之が記憶喪失の役者というとまるっきり『鍵泥棒のメソッド』ですが、本作の場合コメディ要素は皆無です。淡々と綴られる日常。その全てが映画の中のよう。なぜ男は記憶を失ったのか。というより、なぜ記憶を失う必要があったのか。不意に、いやいや、訪れるべくして訪れた「宮松が山下を取り戻す瞬間」をどうぞ見逃さないでください。さすが名優香川照之の演技力。必見です。 ところで主人公の犯した「罪」の重さとは如何ほどでしょうか。法律というより倫理の領分。状況がいまいち不明ゆえ観客が審判を下すことは出来かねますが、少なくとも男にとってはリセットボタンを押したくなる程に罪の意識があったのは間違いないでしょう。記憶を失っていた12年はいわば懲役刑のようなものか。いや現状から逃げ出し自身の罪と向き合っていない以上罪を贖ったとは言えませんし、そもそも罪は消えません。そういう意味では12年の歳月は懲役ではなく執行猶予期間が正しいかもしれません。ただ、そうであったとしても12年は長い。誰かが「大抵の問題は時間が解決する」と言っていた気がしますが本当にそう。究極的には寿命が来ればご破算ですし。山下が言う「家族の問題」は兄が不在の間に自然と解決したように見えます。実際のところは分かりませんけども。ただ傍目からみる分にはこれで正解だと思いますし、宮松も納得している気がします。 それにしても記憶喪失で役者を志す思考回路が興味深い。消えたアイデンティティを探す感覚でしょうか。あるいは自分が無いから何者にでもなれる理屈でしょうか。正直宮松は役者としては三流ですが、過去を取り戻した今、一皮も二皮も剥ける可能性大かと。やはり土台があってこそ人は跳べるのです。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-05-21 20:15:05)
38.  ザ・プレデター 《ネタバレ》 
男女混合のパーティ編成やオマージュ溢れる台詞まわし、耳慣れたBGM、そしてプレーンなタイトル。シリーズを踏襲した脚本で特に第一作目を強く意識していると思しき本作ですが、オリジナル『プレデター』の魅力が感じられたかと問われれば答えはノーです。よくあるアメリカ製"大味"SFアクションでした。もっとも本作に限らず続編に『プレデター』の優れたホラー要素やサスペンス性を求めるのも酷な話。すでに手品のタネは明かされています。その上でなおプレデターという素材を活かそうとするなら『AVP』や『プレデターズ』あるいは本作のように上位互換種を登場させるアプローチになるのは理屈としては理解できます。ただやはり無理矢理感は否めません。個人的にはそこまでシリーズ化に固執するのは如何なものかと。「第一作目は面白かったよね。でも続編向きの題材ではないから大事に触らないでおこうよ」とはならないのですよね。「旨味があるうちは骨までしゃぶる。いや骨のかたちがあるまでは」な映画業界の体質は洋の東西を問わないようで。でも「シリーズの向こう側」に到達した『ゴジラ』のような特異な成功例もあるので一概に続編を否定するのも違うのかもしれません。個人的にはプレデター◯ラーを(一応ネタバレ配慮で)をアベンジャーズなりジャスティスリーグに入れてはどうかと思います。味方にしたらこれほど頼もしいキャラクターも居ないですし。
[インターネット(吹替)] 5点(2024-05-19 22:36:44)
39.  最強殺し屋伝説国岡 完全版 《ネタバレ》 
これまた『ベイビーわるきゅーれ』ファン必見!と言いたいところですが、あまり関係ないかも。本作の主人公、最強の殺し屋こと国岡が『ベイビーわるきゅーれ』で瞬殺された殺し屋と同一人物という確証もないですし。 それにしても阪元裕吾監督作品を観ていくと、伊能昌幸さんが如何に重用されているかよく分かります。勿論それも納得。格闘アクションのキレは絶品です。さらに凄いのは喧嘩の強さが全身から滲み出ているところ。顔つきと身体がもう狩猟民族のそれ。グラップラー刃牙が実写化されたらキャスティングされること間違いなしでしょう。そんな阪元監督にとって重要な手駒である伊能さんを『ベイビーわるきゅーれ』では端役で使っているのが何とも贅沢な話であります。 ちなみに本作はモキュメンタリー。作品ジャンルは、クライムでもなければサスペンスでもなく「コメディ」となりますのでお気をつけください。クライマックスの格闘シーンも北斗百裂拳のパロディと捉えて問題ないでしょう。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-05-08 00:15:36)
40.  ある用務員 《ネタバレ》 
これは『ベイビーわるきゅーれ』ファン必見。そう、ちさと・まひろの殺し屋JKコンビは本作の登場キャラクターだったんですね。つまり『ベイビーわるきゅーれ』はもともとスピンオフに当たる作品であったと。いや役名が違う別の世界線ならスピンオフにはならないのかな。でも殺し屋の名前なんて有って無いようなものですし。このあたりの判断は観客に委ねられている気がしますが。少なくとも本作の二人は単なる殺され役に留まらぬ見せ場が用意されていましたし、何より監督が彼女らにスターの可能性を見出しているのがよく分かります。扱いが丁寧。ボス戦よりも中ボス戦の方が見応えありという『キル・ビル』の栗山千明的スタンスの二人でありました。ちさと・まひろ(本作の役名はリカ・シホ)の登場だけで十分価値のある作品ですが、それを差し引くと今ひとつという感じがしないでもありません。全体的にもう少しアクションシーンのボリュームが欲しかった気がします。
[インターネット(邦画)] 6点(2024-05-04 07:26:03)
040.17%
1110.48%
2321.40%
31004.36%
41596.94%
541618.16%
650321.96%
750221.91%
837116.19%
91466.37%
10472.05%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS