21. 裸足のピクニック
それなりに期待して観たが、テンポの悪さにがっかりさせられた。予算や時間に制限がある中での撮影だったとしても、ちょっとこれはないだろう。リアルタイムで観ていたら、もう少し好感を持てたかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2008-07-31 21:27:50) |
22. アフタースクール
物事の見かけをうまく利用してストーリーに揺さぶりをかけるところは、ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』に通じる面白さがある。ただ、演出面で意外な事実が判明するときの衝撃が弱く、頭の中で事の次第を並べ立てていかなければならないので、前作の『運命じゃない人』に比べると観終わった後の爽快感が薄くなったような気もする。 [映画館(邦画)] 7点(2008-06-07 01:02:01)(良:1票) |
23. 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程
メッセージ性を前面に押し出した映画は苦手なんだけれども、これは観てよかったと思う。連合赤軍がどうというよりも、その理念が何であれ、権威主義的な組織に身を置くことの恐ろしさを改めて思い知らされた。 [映画館(邦画)] 7点(2008-06-07 00:39:00) |
24. ラルジャン
《ネタバレ》 洗面所で手を洗っているところを撮るだけで、主人公が殺人を犯したことを効果的に伝えてしまうブレッソンの手際のよさには舌を巻く。ストイックな演出が冴え渡る中で、ワンカットだけ映し出される女性の脚がなんともエロティック。 [ビデオ(字幕)] 9点(2008-06-07 00:25:55)(良:1票) |
25. 薔薇の葬列
《ネタバレ》 ゴダールやアントニオーニ等、同時代の映画作家の二番煎じという感じではあるが、それはそれで結構楽しめた。政治的な内容でありながらも随所で遊んでいる感覚がよかったんだと思う。パゾリーニの『アポロンの地獄』のポスターも単なる記号ってわけじゃなく、ちゃんとした伏線になっていたんだな。 [ビデオ(邦画)] 8点(2008-06-04 21:06:23) |
26. コースト・ガード
キム・ギドクの作品の中では、軍隊に所属していた頃の監督自身の経験が最も反映されているのではないかと思わせるような内容。ある事件をきっかけに内面から徐々に崩壊していく軍隊の様子を、独自の世界観と並行させて描き出すことに成功している。昨年公開された『父親たちの星条旗』を思い出してしまった。 [DVD(字幕)] 8点(2007-09-02 15:08:18) |
27. ミーン・ストリート
ストーリー自体は単純なはずなのに、どうしてここまで長くするのだろうと感じた。ストーリー以外のところに監督のこだわりがあったんだろうか。でも、それが何なのか僕には理解できなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2007-09-02 14:48:43) |
28. ソウ2
《ネタバレ》 前作と比べると、とりあえず犯人の正体が分かっているため怖さは半減。次々といろいろなことが起こるけど、それぞれの関連性が希薄だったのも残念なところ。まあ、次の3も観たいと思わせるだけの良さはある。注射器の山に放り込まれるシーンは痛そうだった。 [DVD(字幕)] 6点(2007-09-02 14:42:54) |
29. 無防備都市
《ネタバレ》 イタリアンネオレアリスモを代表する作品ということで少し身構えていたが、コミカルな演出もあってそれほど難しさを感じることはなかった。女が射殺されるシーンや最後に神父が銃殺されるシーンは忘れがたいものとなりそうだ。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-31 23:35:08) |
30. 奇跡の海
《ネタバレ》 ラストにはどうも違和感を感じてしまう。べスにとって一番の救いであるはずのヤンの回復は全くと言っていいほど強調されず、あるはずのない鐘の音が鳴り響くという、それまでとは打って変わって作為的な演出。これはヒューマンドラマとしての体裁を保とうとしているだけで、トリアーが本当に描きたかったのは、その危険なまでの純粋さによって傷ついていくべスの姿にあることをほのめかしているようにさえ思えてしまう。個人がどんなに自分の信念を貫こうとしても、それを阻もうとする社会の重圧には耐えられないのではないか。それを肯定的にとるか否定的にとるかは観客次第だが、そう問いかけること自体に意味があるような気がする。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-31 23:16:20) |
31. 着信アリ Final
いじめによる自殺が問題となり、メールで嫌がらせをするといういじめの陰湿化が指摘されたことを考えると、なかなか批判的精神に富んだ映画だと思う。死にたくないがために携帯を奪い合う若者の姿は滑稽だった。ただ、解決の糸口を見つけてからはものすごく退屈。内容的には90分以内におさめてほしい。 [DVD(邦画)] 5点(2007-08-25 15:02:15) |
32. 雨の町
冒頭のシーンでは、すりガラスを通して子どもを撮るだけでここまで怖くなるのかと感心したが、後は怖いというよりも滑稽なだけだった。最終的には下手なモンスターパニックみたいになってしまったし。ホラーコメディとしては結構楽しめる。 [DVD(邦画)] 5点(2007-08-25 14:47:47) |
33. リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1960)
B級映画としては申し分ない出来だと思う。まともな登場人物が一人もいない。そのあたりはデヴィッド・リンチの映画を観ているようだった。実際、リンチも影響を受けているのかもしれない。ロジャー・コーマンはこの映画を2日で撮ってしまったらしい。そこを評価の対象にするのはどうかと思うが、すごいことであることに変わりはないだろう。 [DVD(字幕)] 8点(2007-08-25 14:38:55) |
34. キサラギ
脚本が良い。普通なら説得力を持たない展開であっても、そこからさらに別の出来事につながっていくことによって、隙間をうまく補うことに成功している。『サマータイムマシンブルース』と似たような印象を受けたが、こちらの方が断然好きだ。 [映画館(邦画)] 7点(2007-08-25 14:21:46) |
35. 夕凪の街 桜の国
《ネタバレ》 ものすごくベタな演出。しかし、唐突に挿し込まれる妹の声だとか被爆者を描いた絵は、その不自然さゆえに原爆の不条理さを表し得ていた。残念なのは、もう少し細部までこだわって作ってほしかったということ。例えば、プロポーズという重要な場面の背景の中に看板に書かれた「不法占拠禁止」の文字がでかでかと映し出されていたり。ベタな演出なだけに、そういった所が嫌でも気になってしまう。 [映画館(邦画)] 6点(2007-08-25 14:06:51) |
36. カリスマ
《ネタバレ》 僕たちは絶えず何を生かし何を殺すか選択しながら生きているのだと思う。それは当然のこととして受け入れられていて、その選択自体を拒否することは許されない、かのように見える。役所広司はそのことにぼんやりとした違和感を覚えていたのではないだろうか。だから、序盤の人質事件において、何もすることができなかった。しかし役所は、森での出来事を通して、何を生かし何を殺すかが問題なのではないことを悟る。そもそも、そのような問題が成立してしまうのは、何かが生き何かが死ぬということが法則とか力関係のもたらす結果として捉えられているからではないか。ならば、法則とか力関係といったものを度外視してしまったらどうなるか。そこに残るのは、何かが生き何かが死ぬという表面的な事実のみである。そのように世界を認識することによって、役所は、何を生かし何を殺すかという選択から解放され、世界をあるがままに受け止めることができるようになったのだと思う。全ての物事があるがままでいい。たとえそれがどんなことであったとしても。だからこそ役所は、終盤の人質事件に迷うことなく対処することができたのだろう。ただ、そんな境地に達することは現実的には不可能だし、それは想像を絶する世界である。だから僕たちは、大金を出したり、爆破しようとするなりして、恣意的に選択されたカリスマに追随するしかない。そこには必然的に対立が生じる。そのことをラストの戦火が表していたのではないだろうか。この映画ははっきりとした解答を提示しているわけではない。しかし僕は、その潜在性において一縷の希望を見出すことができた。 [DVD(邦画)] 10点(2007-08-22 21:25:36)(良:1票) |
37. 人間の約束
とにかく救いのない映画だった。誰が悪いというわけではない。そこにあるのは「人間の約束」と疲弊した家族の表情だけだ。この映画が作られて20年経った今でも状況はさほど変わっていないように思われる。それは、単に社会問題として片付けてしまえる問題ではなく、人間とは何かという根本的な問題にまで深く関わってくるからではないか。非情に強いメッセージ性を持った傑作である。 [DVD(邦画)] 9点(2007-08-22 20:17:45) |
38. ロスト・イン・トランスレーション
《ネタバレ》 前半はビル・マーレーとスカーレット・ヨハンソンが部屋の中に独り佇んでいる所が印象的。二人がお互いのことを意識するようになり、脱獄と銘打って街に繰り出す後半は、ウォン・カーウァイの映画みたいに奔放に揺れ動く映像が続く。一時の現実逃避がもたらす高揚感のようなものを描きたかったのかなと思った。二人が肉体関係を持つことなくお互いの生活に戻っていくというのが、現実逃避を美しいものにしているようで良かった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-08-21 23:56:14) |
39. ミミック
《ネタバレ》 擬態という発想は面白いが、あまり効果的な使い方をしていなかったような。ユダとあの不気味な風貌をした人間が同一のもので、それが擬態によるものだと分かってもあまり衝撃がない。前半でユダのことを意識させず、もっとユダが擬態した姿を人間らしく見せればいいのにと思った。映画の作り自体は悪くないが、ぐっとくるような場面はない。 [DVD(字幕)] 6点(2007-08-21 23:28:37) |
40. 豚と軍艦
それぞれの出来事のつながりが把握しづらかったが、映像は圧倒的だった。主人公たちの存在を拡散するかのように画面のあちこちで動き回る人々が、街中に溢れかえった豚の姿に変わったとき、この映画が伝えようとしていることの全てはここに集約されてしまうのではないかと思った。皆が生き残ろうと必死になっているが、そこには何らの秩序もなく、そのことに疑問を感じ立ち止まる者などひとりもいない。人間がとても活き活きと描かれていながらも、どこか皮肉を感じてしまう。 [DVD(邦画)] 8点(2007-08-21 23:11:49) |